スバルイチ『勇者が死んだ!』 むねきち『入ってますよ、HENTAIさん。』
近刊2作から、漫画家がいかにして読者の存在する現実世界と、
物語がくりひろげられるファンタジー世界をリンクさせるかみてみよう。
スバルイチ『勇者が死んだ!』(裏少年サンデーコミックス/ためし読み)は、
農夫である主人公が、収穫した大根にニーソを履かせる場面からはじまる。
あきれる幼なじみの「ユナ」。
職業・性癖・人間関係などがあきらかに。
主人公が脚フェチなら、その慾求の対象を描けないといけない。
ユナのふとももは、筋肉と脂肪のバランスが絶妙。
そんなこんなで、読者は作品世界へとりこまれる。
悪魔の吐く溶解液で主人公の肉が溶けたのに、ヒロインは服だけとか。
本当はスバルイチは、シリアスでホラーテイストの現代ものをやりたかったが、
担当編集者の注文にあわせ、ドラクエインスパイア系のお気楽エロコメにした。
ホームページの「好きな映画100」をみると、かなり渋い趣味の持ち主とわかり、
作中のギミックの活かしかたなどに、お馬鹿ノリだけでない素養をみてとれる。
荒ぶるアーティスト魂をごまかす方便としてのファンタジー、これはこれでいい。
お次は、むねきち『入ってますよ、HENTAIさん。』(ドラゴンコミックスエイジ/ためし読み)。
なんの変哲もない女子中学生「真理」が、
ツボからあらわれた少女「ビビア」によって、魔法少女的なものに変身。
しかしこの衣装はただのコスプレなので、特殊能力はゼロ。
自称精霊のビビアちゃんとの怪しい同棲生活がはじまるが、
札束で買収された両親は歓迎。
この世でもっとも強力な魔法、それはおカネ。
足腰立たなくなるまで真理をペロペロ舐めつくし、魔力を補給するビビア。
JCと百合があれば、そこはもう十分にファンタジー世界。
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