クマノイ『リメインズ・JC』
リメインズ・JC
作者:クマノイ
掲載誌:『まんがタイムきららミラク』(芳文社)2014年-
単行本:まんがタイムKRコミックス
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女子中学生の「廃墟もの」。
戦争か災害かその両方か、「あのとき」以来荒廃した、
日本海に面する町でサヴァイヴする少女をえがく4コマ。
淡白な絵柄はハトポポコに似ている。
ハトフォロワーのつくみずが『少女終末旅行』で、
おなじく「廃墟百合」の傑作をものしたのを思いおこせば、
どれほど音感のにぶい者でも、現代文化のノイズをつらぬく、
「ポスト『平成生まれ』時代の肯定的な終末感」とゆうメロディを聞きとれる。
そもそも百合以外に、傾聴にあたいする旋律はあるのか。
セーラー服を着崩してるのが、ちんまい「ひまり」。
文明が崩壊してもなお、いやだからこそ制服を着つづける。
自分なりの作法で。
二次元作品で、セーラー服少女のへそ出しにガッカリする僕には、
Tシャツのうえに雑にひっかけるのが粋にみえた。
人影ないイオンモールを探索。
女の子なら店員の目を気にせず、手あたり次第試着したくなる。
もちろん『リメインズ・JC』は学生服店でファッションショー。
JCはドラグノフ狙撃銃がにあう。
たとえば『セーラー服と機関銃』(原作1978年/映画1981年)は、
「それサブマシンガンだろ」とツッコミたくなる代物だが、
2015年の漫画は、ゆるふわ4コマだろうと照準の描写などにこだわる。
兵器でたわむれる姿が、あどけなく愛くるしいのはなぜか。
制服は本来帰属をしめすのに、なぜ女子をより個性的にみせるのか。
彼女たちは一体、なにに属してるのか。
解読不能なエニグマがつきつけられる。
クマノイはリクエストを募り制服イラストを描いていたほどの、制服のマエストロ。
たとえすべてが滅亡しても、彼女らの清潔なうつくしさは永遠。
そこにあるのは、百合とゆうユートピア。
![]() | リメインズ・JC (1) (まんがタイムKRコミックス) (2015/04/27) クマノイ |
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