はんざわかおり『こみっくがーるず』
こみっくがーるず
作者:はんざわかおり
掲載誌:『まんがタイムきららMAX』(芳文社)2014年-
単行本:まんがタイムKRコミックス
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「女子寮もの」の4コマ漫画。
住人はみなプロの漫画家で、共同生活のなか切磋琢磨しあう。
主人公「萌田薫子(ペンネーム:かおす)」とおなじ15歳でデビュー、
おもに『りぼん』など集英社の少女漫画畑で15年のキャリアをかさねた、
作者の人生がゆるふわな絵柄のむこうに透けてみえる。
「かおす先生」は読み切りでデビューするもアンケートは最下位。
すっかり自信喪失した激弱メンタルを鍛えるため、入寮をすすめられる。
アシスタント用のペンケースを学校にもってった失敗談は、作者の実体験かな。
トーンへらを聖徳太子みたいに持ってごまかしたかどうかは、わからない。
同室の「小夢(こゆめ)」は少女漫画家で、本人も少女漫画みたくキラキラまぶしい。
ただ恋愛経験がなく男が描けないのが弱点。
黒髪で大人っぽい「琉姫(るき)」はティーンズラブ作家。
マジメな性格なのに、編集者にいわれるままエロばかり描いている。
人気作家も苦悩は絶えない。
ショートカットの「翼」は熱血少年漫画家。
女でも見惚れるほどスタイル抜群だが、本人は筋肉しか興味なし。
きららのお約束「水着回」に、あらたな角度から光をあてる。
現役JK感ゼロのかおすに服を貸しファッションショー。
素材はいいので、小夢のも、るっきーのも似合う。
けど「オシャレ小学生」にしかみえない。
漫画家は、内面からにじみでる個性で勝負するしかない。
私服はやっぱりベレー帽!
かおすの持ち味は、かわいい女の子がすきなこと。
アキバでみたフィギュアのうつくしさに感極まり、泣きながら両親に感謝する。
この子とおなじ時代に生まれてよかったと。
本作の連載開始前に、はんざわは芳文社のアンソロジーへ寄稿した。
『まどマギ』では、夢中になっていた作品に参加できてしあわせ、
『桜Trick』ではおかげで百合にめざめたと、ブログで心境をかたる。
大手出版社で10年以上のキャリアがあるのに。
ある種の謙虚さ、つまり藝術作品への敬虔な感情が、創造の扉をひらく。
![]() | こみっくがーるず (1) (まんがタイムKRコミックス) (2015/04/27) はんざわかおり |
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