カツヲ『三ツ星カラーズ』 あまりに電撃的な
三ツ星カラーズ
作者:カツヲ
掲載誌:『月刊コミック電撃大王』(アスキー・メディアワークス/KADOKAWA)2014年-
単行本:電撃コミックスNEXT
[ためし読み/同作者の『ひとりぼっちの○○生活』]
上野公園は不忍池のベンチで、人類絶滅計画をたてる女子小学生3人。
本作をジャンル分けするなら「少女探偵団もの」。
高校生(か中学生)の「ののちゃん」が訳知り顔で言ったのを真に受け、
自然をまもるには人類を滅ぼすしかないとゆう結論に達した。
オトナのテキトーなお説教や知ったかぶりを曲解し、
コドモ目線で世界を転覆するこの感じ、みおぼえある。
あと、ののちゃんの制服がかわいいので単行本で御確認を。
おしなべて本作は「社会科見学」の趣きがある。
別名義かと疑うほど、『苺ましまろ』のばらスィーそっくりの絵柄だが、
上野動物園のガイドツアーのお姉さんとのシュールなやりとりは、
あずまきよひこ『よつばと!』を髣髴させる。
背景へのこだわりもそう。
どうしようもなく「ゼロ年代の電撃」的な漫画だ。
つねに帽子着用の「琴葉」は、3DSを手放さないゲーム脳。
流血描写をこのむアンチCERO系ゲーマー。
「文化系」要素が10年代の漫画ならでは。
毎話の服のかわいさを堪能できるのも『苺ましまろ』同様だけど、
帽子ファッションのエレガンスが新味をくわえる。
もはや「かわいいは正義」すぎて、それだけじゃ生き残れない時代。
ときどき琴ちゃんは兇暴になる。
暴力的ゲームの悪影響を心配されるが、
ゲームそのものに害はなく、もともと自分はこうだと宣言。
2002年の森昭雄『ゲーム脳の恐怖』などの批判を克服した、
サブカルチャーの特権的地位が説かれる。
かくれんぼでの灯台下暗し戦術を「東大デモクラシー」と名づける。
なもり『ゆるゆり』の「罰金バッキンガム」に匹敵する、
知的かつバカバカしい言葉あそびは、これまた10年代的。
ハイブリッドなサブカル教養をにじませる、作者のマンガ脳に舌をまく。
ゲーム脳は正義!
いまも街のどこかに、かわいいスネークがひそんでる。
![]() | 三ツ星カラーズ (1) (電撃コミックスNEXT) (2015/04/24) カツヲ |
- 関連記事