shimazaki『倒錯少女症候群』
『貴女にすべてをささげると私の眼球(ひとみ)はそういった』
倒錯少女症候群
作者:shimazaki
発行:一迅社 2015年
レーベル:百合姫コミックス
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眼球舐めからはじまる短篇集。
同人の名作を貪欲に蒐集する、いまやおなじみの「百合アーカイヴ」。
乙女の帝国主義。
舌で目をなめまわすのは嗜虐的だが、一方で視覚に対し無防備でもある。
A子はB子に、口の中から下着までさらす。
本書に登場する少女はアルファベットの名前しかあたえられない。
作者は匿名性にこだわる。
彼女らに外見以外の情報は不要だと。
イタズラの度がすぎ、ついにB子は眼球をパクンとたべられる。
女子のチャームポイントが瞳なら、それだけ味わえばいい。
あとはいらない。
ジャンスカ系の制服がいい
仲睦まじかったふたりの関係にヒビがはいる。
ほしいものを得たA子の愛はさめた。
でもB子の眼帯姿はかわいい。
最大の武器をうしなっても、なお美しくなるパラドクス。
かわいさの呪縛。
『ショウケースガール』。
窓辺にたたずむネコ耳少女。
磨りガラスの外はみえない。
退屈をもてあますが、なにもできない。
する気もない。
彼女はペットショップの売り物だった。
買い手がつくのを幾日もぼんやり待っていた。
「かわいい」とゆう名の暴力。
『ブンレツガール』。
ここでは物理的かつ直接的な暴力がえがかれる。
グロックまでもかわいくて読者は困惑。
銃弾のむかうさきは自分。
不安定な乙女心は、矛盾した内なる諸テーゼを論駁しながら、
かわいさとゆう一瞬の火花を散らしつづける。
![]() | 倒錯少女症候群 (IDコミックス 百合姫コミックス) (2015/04/18) shimazaki |
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