原田泰『ベーシック・インカム 国家は貧困問題を解決できるか』

 

 

ベーシック・インカム  国家は貧困問題を解決できるか

 

著者:原田泰

発行:中央公論新社 2015年

レーベル:中公新書

 

 

 

「日本は平等な国だ」、もしくは「平等だった」なんて、幻想にすぎない。

昔から格差は、先進国において中位にあった。

再分配政策で子供の貧困率がたかまる、OECDで唯一の国とゆう調査もある。

 

戦後の社会の変化や、超格差国家アメリカとの接触で、錯覚が生じたらしい。

平等が良いか悪いかはともかく、事実誤認はいけない。

 

公的扶助支出額のGDP比率は、OECD平均のわづか1/8。

一人あたりの給付額こそ大きいが、支給要件をきびしく設けてきた。

 

 

『シドニアの騎士』(テレビアニメ/2014年)

 

 

これから65歳以上の無年金者が続出する。

「払ってないやつがもらえないのは自業自得」と庶民はかんがえる。

なにもわかってない。

老人は生活保護の支給要件「働けないこと」を容易に證明可能。

とにかく現行の制度は維持できない。

 

 

 

 

本書はベーシック・インカム(BI)制度導入についての、ふみこんだ主張だ。

仕組みはシンプルで、「所得×0.7+BI84万」がすべての人の年間所得となる。

費用は2兆円、つまり生活保護費1.9兆円をおきかえれば貧困問題がまるっと解決。

 

給付額は低すぎないか、金持ち優遇ではないか、労働意慾を阻害しないか、

ミュージシャン志望者など「夢追い人」を増やさないか、地方軽視にならないかといった、

想定可能なあらゆる反論への具体的回答もしるされる。

日本社会を持続させる方法はBIしかない、と読者は納得するだろう。

 

 

つくみず『少女終末旅行』(バンチコミックス)

 

 

BIの負の面は、移民を制限せざるをえないこと。

貧しい国の人間にとって84万円は魅力的に映るので、

年500万円以上稼げる人にしか門戸をひらかない。

相応のコストがかかる福祉国家は、地上の楽園ではない。

 

 

 

 

BIは革命的だが、破壊的な性格はまるでない。

ほかのすべての制度と共存するか、または手直しするだけですむ。

右も左もとりこむ思想的な懐のふかさがある。

 

新自由主義のミルトン・フリードマンもBI支持者だ。

政府が貧しい人を教育し、正しい生活態度を身につけさせるのは非効率的だし、

密偵をおくり不正受給を調査させた橋下徹など論外。

 

 

タツヲ『アルノサージュ 生まれいずる星へ祈る詩』(シリウスKC)

 

 

21世紀の政府に、国民の生活をあれこれ指図する、家父長的な能力はない。

ないものはないのだから、嘆いてもしかたない。

政府さん、いままでありがとうございました。

これからは自分たちでやってゆきます。




ベーシック・インカム - 国家は貧困問題を解決できるか (中公新書)ベーシック・インカム - 国家は貧困問題を解決できるか (中公新書)
(2015/02/24)
原田泰

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