服部省吾『戦闘機パイロットの空戦哲学』

 

 

戦闘機パイロットの空戦哲学

 

著者:服部省吾

発行:光人社 1999年

 

 

 

航空自衛隊の戦闘機パイロットの手記。

結構ふるい本だし、著者に実戦経験があるわけでもないが、

数しれぬ飛行訓練と、空戦史研究にもとづく思想は強靭だ。

 

たとえば、パイロットに反射神経は必要ない。

坂井三郎に「風でとんだ帽子をパッとつかんだ」などの伝説があるが、

風を感じて予測しただけの話で、エース級ならだれでもできる。

 

太平洋戦争の「特攻」をしらべた結果、命中率が過大評価されており、

願望が現実とすりかわった作戦だと断ずる。

 

空中指揮は英語でおこなう。

日本語は「単数/複数」が曖昧で、「肯定/否定」「過去/現在/未来」「断定/推定」なども、

センテンスを最後まで聞かないとわからず、しかも音節がながい。

戦いにむかない言語だ。

 

 

(Bundesarchiv/Hoffmann, Heinrich)

 

 

「柔軟な心」の大切さを著者は説く。

104機撃墜のアドルフ・ガーランドは、混戦のなか背後に食いつかれたとき、

敵機にあわせ自分も虚空へ全砲門をひらいた。

銃口からのぼる煙をみて、敵はガーランド機を撃破したと誤認し去っていった。

 

ギラギラした闘志より、人を食った機知の方が生存に役だつ。

 

 

名古屋港上空で旋回

 

 

パイロットは「浮気者」がむいている。

恋人がいてもつねに周囲に目をくばり、いい女を探すくらいでないと、

空の上で膨大な情報を処理するのは不可能。

 

 

 

 

国家を守る。同時に国民を守ろうとする。

その人が無政府主義者であろうと自由主義者であろうと、

暴力団員であろうと平和産業の従業員であろうと、

クリスチャンであろうと仏教徒やイスラム教徒であろうと、

老人であろうと女子供であろうと、

いっさい差別せずに、日本人全部を守ろうとする。

 

自分の悪口をかいた左翼的な新聞記者であっても、

日本人は日本人だとみとめ、命をかけ守る。

空で引き金をひく2秒に、だれかを贔屓する余裕はない。

政治で頭を濁らせた人間は弱いし、戦士にふさわしくない。




戦闘機パイロットの空戦哲学―トップガンの素顔 (光人社NF文庫)戦闘機パイロットの空戦哲学―トップガンの素顔 (光人社NF文庫)
(2007/09)
服部省吾

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