『エクソダス:神と王』 紀元前14世紀の資本
エクソダス:神と王
Exodus: Gods and Kings
出演:クリスチャン・ベイル ジョエル・エドガートン ジョン・タトゥーロ マリア・バルベルデ
監督:リドリー・スコット
脚本:スティーヴン・ザイリアンほか
制作:アメリカ・イギリス 2014年
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旧約聖書・出エジプト記を下敷きに、現代社会の不平等を撃つ映画。
僕が穿った見方をしてるわけじゃない。
エジプトの高官のセリフは、露骨なほど21世紀のエリートの論理そっくりに書かれる。
ぬけぬけと奴隷制を肯定、倫理的に批難されると「社会的リスクが云々」と話をそらす。
ピラミッドやスフィンクスは資本の象徴。
トマ・ピケティ『21世紀の資本』の映画化と言ってもいい。
僕はチャールストン・ヘストン主演の『十戒』を見たことないが、
あれよりマイケル・ムーアの諸作にちかいんじゃないか。
疫病がはやったり、イナゴが大量発生したり、エジプトは荒廃しだす。
ワニに襲われるシーンは怖かった。
なにかが間違ってるのはわかる。
どう対処すべきかも大体わかる。
でもだれもが首をすくめ傍観者のままでいる。
民衆にはリーダーが必要だ。
その名はモーゼ。
荒れ狂う海を船なしで渡ろうなどとムチャをゆう。
狂人としかおもえない。
ヘブライの神がモーゼに啓示をあたえた。
少年の姿としてえがき理不尽さを強調。
ヘブライ人は「選ばれた民」だが、そのことによるメリットはない。
神はただ要求し、ひたすら怒り、わらの犬のごとく人をふみにじる。
リーダー不在の混迷の21世紀。
クリスチャン・ベイルは時代の風潮にあらがう。
この男のためなら死ねると思わせる。
本作は監督の弟トニー・スコットに捧げられた。
幸福といいがたいエンディングをむかえた肉親と向き合う作品でもある。
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