楽時たらひ『にじいろシークレット』

『はじけて炭酸、夏模様。』

 

 

にじいろシークレット

 

作者:楽時たらひ

発行:一迅社 2015年

レーベル:百合姫コミックス

 

 

 

2011-13年に同人誌で発表した短篇をあつめたものだが、

少女の心の襞をえがく腕は、『百合姫』子飼いの作家とくらべても遜色ない。

さすがの鑑識眼をもつ編集部だ。

 

 

 

 

『はじけて炭酸、夏模様。』は、夏に「ステップアップ」をもくろむJKカップルの話。

制服のまま飛びこむ校内のプールは、乙女を人魚にかえる。

中学時代の塾での出会いも、さやわかで劇的。

ガール・ミーツ・ガールの神話に目がくらむ。

 

 

 

 

『シュガークラフトは融点を知らない』は、友情が恋に昇華する瞬間をカメラにおさめる。

「聡子が好きなのって、もしかして私?」

親友だからこそ、せつない片思いにこたえたい。

どこか慈善活動的で上から目線にみえる、いびつな恋。

 

 

 

 

最愛の人とむすばれても、「聡子」は幸福になれない。

「由佳」が自分のため恋人を演じてる様におもうから。

愛情と同情は、ちがうものだから。

 

そんなややこしい心理を、由佳は長めのマフラーでそっとつつむ。

たがいの体温が、ひややかな論理を解かしてゆく。

 

 

 

 

『白い吐息は火傷に似て』。

仔犬みたく「柊子」にじゃれつく「幸奈」。

いたづらな笑顔が愛くるしい。

(作者はショートカット娘を描くのがうまい)

 

 

 

 

柊子はすげなく誘いをことわる。

つきはなすのは、幸奈に彼氏ができたと偶然しったから。

彼女が幸せになるなら、孤独や嫉妬くらい我慢できるから。

 

「なんだ、それじゃ仕方ない!」

にこやかにおしゃべりをつづける。

話せば話すほど、少女たちの内面は傷つき出血する。

 

 

 

 

嘘をつくたび露わになる、ふたりの本意。

そのうるんだ瞳を覆い隠せる言葉なんてない。

 

 

 

 

やさしさが恋として結晶化する現象を、あざやかにとどめた五篇。

マフラーや靴など、百合漫画らしい小道具にときめく。

 

混在する絵柄をみると、単行本化する際かなり手直ししたとわかる。

胸にしみる短篇集だし、百合作家として商業誌での活躍もふえそう。




にじいろシークレット (IDコミックス 百合姫コミックス)にじいろシークレット (IDコミックス 百合姫コミックス)
(2015/02/18)
楽時たらひ

関連記事

テーマ : 百合漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合姫コミックス  百合 
最近の記事
記事の分類
検索とタグ

著者

苑田 健

苑田 健

掲示板『岩渕真奈 閃光の天使』
も運営しています。

Twitter
メール送信

名前
アドレス
件名
本文

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
月別アーカイヴ
08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03