秋★枝『Wizard's Soul ~恋の聖戦~』3巻 一ノ瀬まなかの「成長」

 

 

Wizard's Soul ~恋の聖戦(ジハード)

 

作者:秋★枝

掲載誌:『月刊コミックフラッパー』(KADOKAWA/メディアファクトリー)2013年-

単行本:MFコミックス フラッパーシリーズ

[以前の記事はこちら→1巻/2巻

 

 

 

顔色ひとつ変えず連勝をつづけた「まなか」が、はじめて苦戦している。

相手は全国レヴェルのセミプロ「草間紡」29歳。

劣勢を強いられるのは、力量の差でも、デッキの相性でもないらしい。

 

 

 

 

「勝負の綾」を表現するため、対戦相手の半生をまるごとえがく。

どんな恋人や友人とつきあってきたかとか。

田園風景のなかの中学生カップルの雰囲気は、恋愛漫画の名手だけある。

 

TCGとゆう盤上遊戯は、すべて包摂する小宇宙。

 

 

 

 

「ふとみん」に言わすと、草間さんは自己評価がひくすぎるが、

趣味にかまける独身アラサー女子が、自信満々だったらむしろヘン。

思春期女子とは、世界観からして噛みあわない。

 

 

 

 

まなかが草間さんを苦手とするのは、その「諦念」のせいだった。

病床の母とのゲームをおもいだすから。

つらい現実にあらがわず、それをうけいれ、カードの世界へにげこむ。

 

 

 

 

敵の本質を見切ったヘイトの天使が本領発揮。

あえて屈辱をあたえる戦法でたたきのめす。

なんの恨みもない相手に、なぜそこまで。

 

草間さんは悔しさのあまり、内心決意していた引退を撤回。

憎悪をわが身にひきうけることで、まなかは現実をかえてゆく。

 

 

 

 

亡き母へのおもいと同時に、「瑛太」との関係もうごきだす。

妹をやしなうため諦めた恋だが、まだ脈はあった。

 

 

 

 

そこに空気よまず、準々決勝の相手「上原」がわりこむ。

女の前で恥をかかす最低の男。

 

 

 

 

まなかの顔に影がさし、瞳から光がきえるのは見慣れてるが、

背後にメラメラ炎がたちのぼるのは、かつてないこと。

 

他者から憎悪されることで勝ちつづける少女が、他者への憎悪に燃えている。

 

 

 

 

観戦中の「コバ」が震える。

まなかが伝家の宝刀を抜くのを、やられた人間だけがわかる。

エグすぎる「500点で20回殴りきる」戦術。

 

ただ恋愛感情がからむ点が、あのときとちがう。

人間味をみせるまなかは、強くなったのか、弱くなったのか。

 

 

 

 

繊細きわまる心理描写で、孤独な戦いのなかでの少女の「成長」を織りあげる。

やはり傑作だ。




Wizard's Soul 3 ~恋の聖戦(ジハード)~ (MFコミックス フラッパーシリーズ)Wizard's Soul 3 ~恋の聖戦(ジハード)~ (MFコミックス フラッパーシリーズ)
(2015/01/23)
秋★枝

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