眉月じゅん『恋は雨上がりのように』

 

 

恋は雨上がりのように

 

作者:眉月じゅん

掲載誌:『月刊!スピリッツ』(小学館)2014年-

単行本:ビッグコミックス

[ためし読みはこちら

 

 

 

「表紙買いしろ」と強烈にうったえる瞳。

長身痩躯で、黒髪ロングで、ブアイソだけど眼力がすごくて。

ヒロイン「橘あきら」の存在感がすべての作品だ。

 

 

 

 

作者・眉月じゅんはこれが初単行本になるが、

集英社の新人賞「金のティアラ大賞」のサイトによると現在31歳。

アクのつよい2008年の受賞作とくらべると、はなはだしく作風をかえている。

 

 

 

 

はっとりみつるが『さんかれあ』でこころみた変身をおもいだした。

 

『ウミショー』までは自分のセンスみたいなもので突っ走っていっても

なんとか食べていけたんですけど、30代にもなって、

「そろそろ自分のセンスとか才能ではここら辺ぐらいまでが限界だろう」

と悟ったときがあったんです。

(略)

相当な覚悟の上でやっていました。

結果が出るまで、特に単行本1巻目の売れ行きが分かる1週間前までは、

寝ようとしても寝られない食べたものは戻すと、とにかく酷い有り様でした。

 

東京マンガラボでの、はっとりへのインタヴューより

 

エゴをそぎおとし、最大公約数的な絵柄や物語へすりよる。

わるく言えば読者に媚びてるし、表現者として自殺行為かもしれない。

 

 

 

 

17歳のあきらの、年上の男への恋心をえがく。

バイト先のファミレスの店長だ。

 

 

 

 

45歳、バツイチで子持ち。

風采もあがらず、なぜ好きになったか読者は理解にくるしむ。

 

 

 

 

同世代の仲間も、打ち明けたらきっとそうおもう。

クサくてダサい、ただのオジサンだもん。

 

 

 

 

あきらは怪我で陸上選手としての将来を棒にふっていた。

年上ごのみは、置いてきぼりにされた焦りからくる、一種の「背伸び」と解釈できる。

 

 

 

 

店長のまえで靴下をぬぐのをいやがったり、

のびやかな彼女の脚がモティーフとなっている。

 

 

 

 

その恋はこんがらがっていて、友人とうまく共有できない。

本来素直な娘だが、走れなくなったことによる孤独のせいで、心をひらけない。

しかたなくヤフー知恵袋にたよるが、ますます追いこまれる。

 

 

 

 

思春期の恋は通り雨。

急にふりはじめたとおもったら、いつの間にやんでいて。

そんな不安定な年頃をなつかしむ様にスケッチする。

 

 

 

 

雨や、あきらの長い脚や、心身の傷などを、縦横に織りなすことで、

ヒロインのうつくしさだけじゃない、独特の「暗さ」が個性として際立っている。




恋は雨上がりのように 1 (ビッグコミックス)恋は雨上がりのように 1 (ビッグコミックス)
(2015/01/09)
眉月じゅん

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苑田 健

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