アレックス・カー『ニッポン景観論』

 

 

ニッポン景観論

 

著者:アレックス・カー

発行:集英社 2014年

レーベル:集英社新書ヴィジュアル版

 

 

 

フィレンツェのダヴィデ像を、日本風に「改良」したもの。

ふきだしてしまう。

町並み全体を保存してこそ観光名所がなりたつと痛感。

たとえばハワイが1959年に看板を禁じた様に。

 

 

 

 

日本は時代錯誤の国。

すすんだ土木技術があるなら、周囲との調和にいかせばよいのに。

海岸のテトラポッドも逆効果をもたらすとゆう研究があり、

アメリカでは撤去がおこなわれている。

 

 

 

 

パリは、18世紀からつづく旧市街の景観に厳密な規制をおこなう一方、

近郊の「ラ・デファンス」再開発では超現代的な街づくりをした。

ゾーニングのあざやかさが、ますます憧憬をあつめる。

 

世界の観光業の総売上は1兆300億ドル、石油・ガス(4020億ドル)より大規模。

ただ名所がのこってきたのは、目先のカネが目的でなく、

変な開発をゆるさない地元住民のプライドのおかげ。

 

 

 

 

林野庁は1949年、木材需要をみたそうとスギの植林をはじめた。

単一樹種植林は環境にダメージをあたえ、そもそもスギは市場で人気がなく、

おまけに花粉症まで発生したのに、政策は転換されなかった。

現在の林業のGDP比は1%にとどまり、戦後最大の失政とゆうほかない。

 

紅葉のたのしみまでうばわれ、日本から「秋」がきえた。

 

 

オックスフォード大学ベーリオル・カレッジの中庭

 

 

いますぐ電線を地下にうめ、看板を撤去すべし。

アレをするなコレをするなと子供あつかいするから、ひとはコドモになる。

イギリスにも「芝生にはいるな」の看板はある。

手前の緑色でちいさいのがそれ。

うつくしいものをまもるには、まづ管理者が美を解さねば。

 

 

 

 

白川郷の大型観光バスの駐車場は、景観に配慮しない。

平均滞在時間は40分、観光客は自販機くらいしかカネをおとさないのに。

トイレでおとした排泄物を処理するコストの方がおもい。

 

これぞ日本独自の景観だ、「アジア的混沌」だと肯定するものもいる。

しかしシンガポールやマレーシアの町並みは整然としてるし、

奈良・京都の碁盤の目だって、支那をみならったのではないか?

 

土木や建設をするなとは言わない。

つちかった技術を、電線埋設や護岸をはがすのにつかおうって話。

これほど合理的な予算のつかいみちがあるだろうか。

 

 

 

 

巨大構造物をありがたがる心性は、後進国の特徴。

日本は精神面で先進国になれなかった。

 

 

 

 

黒川紀章が設計した、北九州市のタワーマンション「門司港レトロハイマート」。

レンガ造りのレトロな町並みを、高みから威圧する。

いかに奇抜なものをつくるかが建築家の才能とみなされてきた。

 

 

 

 

岡山県の「奈義町現代美術館」は、1994年に磯崎新が設計。

テーマは「偏在の場、建築的身体」。

言葉の意味はだれもわからないが、現代建築と宗教の親近性はつたわる。

 

 

 

 

出雲大社本殿のすぐ横にある、鉄筋コンクリートの社務所。

1963年に日本建築学会賞を受賞。

いにしえよりつたわる神秘性をふきとばすインパクト。

 

 

 

 

「文化財愛護」と社会貢献のフリして、日立が各地に提供する看板。

堂々と社名をアピールする宣伝にほかならない。

これを日本人が奇異に感じないのは、「会社教」の国だからだろう。

 

 

 

 

会社教への熱狂は、理性でおさえられる。

まちおこしの成功例としてしられる大分県の湯布院は、

市民グループが駅前の大分銀行に対し、看板をちいさくするよう要求。

銀行に経済的損失は出なかった。

 

 

 

 

熊本県の黒川温泉は、橋を黒くぬり、宿を漆喰壁に統一する努力で、

ミシュランのグリーンガイドで二つ星を獲得するなど、有名になる。

 

シンプルは、うつくしい。

あたりまえの事実を、あたりまえに共有したい。




ニッポン景観論 (集英社新書)ニッポン景観論 (集英社新書)
(2014/09/17)
アレックス・カー

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