森二きゑ『美千代~Femme Fatale~』

 

 

美千代~Femme Fatale~

 

作者:森二きゑ

発行:徳間書店 2014年

レーベル:RYU COMICS

[PVはこちら

 

 

 

「昭和好き」を称する新人の、女学生もの。

1巻完結。

 

 

 

 

あとがきによると、蠱惑的なヒロイン「野田美千代」のモデルは、

谷崎潤一郎『痴人の愛』のナオミ。

可憐な容姿と、愛嬌ある表情で、ひとの慾望を手のひらでころがす。

 

 

 

 

「大学で油絵を専攻し、卒業後本作にてデビュー」とあるから、

おそらくまだ若い作者は、想像にもとづき「昭和」をえがく。

その象徴はブルマ。

どうしても下着がはみだす逸脱のエロス。

 

 

 

 

美千代にあこがれる「新見町子」はブルマがきらいだが、

「イヤらしいことは好きでしょ?」といわれ反論できない。

跋文のとおり本作は文藝色つよく、行間もといフキダシ間に趣きがある。

 

 

 

 

ボクがすきなのは第4話、ちかくの中学生男子に告白されるエピソード。

勿論スマホでなく封書で。

 

 

 

 

動顛した町子がおいかける町並みの、書割めいた平坦さ!

 

 

 

 

婀娜っぽくラムネをのむさまは、コトヤマ『だがしかし』の「枝垂ほたる」に匹敵。

 

 

 

 

女子のかわいさの表現は昭和に完成している。

LINEアプリをまさぐる姿が、あらたな萌えを追加したわけじゃない。

体操着がちょっとかわったくらい。

 

 

 

 

橋のうえで引きちぎられるラブレター。

美千代のふるまいはいつも芝居がかっている。

「日常系」のデフレにも、「セカイ系」のインフレにもおちいらず、

関係性の枠内にとどまりながら、モラルから逸脱してゆく。

 

 

 

 

母との関係もうまくかけている。

中原淳一ばりの美貌だが、娘は「枯れかけの女」と手きびしい。

 

 

 

 

挑発・抑圧・誘惑・揶揄・無視……人形つかいの様に他者をあやつる。

ツケはいつか支払わねばならない。

恋慕つのらせた町子に、花畑へおしたおされる。

 

 

 

 

美千代を目の敵にする教師をつきおとす。

そのときはじめて、一瞬だけ、彼女はおどろいた。

ほんのすこしでも心をうごかせてうれしい。

 

 

 

 

ノスタルジーをよそおいつつも、全篇に破壊衝動がみなぎるあたり、

ハトポポコ『平成生まれ』以降の空虚なカオスが感じられ、どうしようもなく現代的。

いつでもないその時代へむかい、虚空に身をおどらせろ。




美千代~Femme Fatale~ (リュウコミックス)美千代 Femme Fatale (リュウコミックス)
(2014/11/13)
森二きゑ

関連記事

テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合 
最近の記事
記事の分類
検索とタグ

著者

苑田 健

苑田 健

掲示板『岩渕真奈 閃光の天使』
も運営しています。

Twitter
メール送信

名前
アドレス
件名
本文

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
月別アーカイヴ
06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03