つくみず『少女終末旅行』

 

 

少女終末旅行

 

作者:つくみず

掲載サイト:『くらげバンチ』(新潮社)2014年-

単行本:バンチコミックス

 

 

 

なぜその世界が廃墟なのか説明されない。

少女らは、キャタピラつきのバイク「ケッテンクラート」でさまよう。

なぜドイツ軍の装備なのかもわからない。

 

 

 

 

「ゆっくりしていってね!!!」や『苺ましまろ』のコラみたいな、楕円形の顔。

寝てるあいだ手をまるごと食べられたり、ヨダレで風をよんだり。

彼女らは終末をうけいれ、週末気分でたのしむ。

 

 

 

 

ディストピアでのあてどもない探索行といえば弐瓶勉『BLAME!』などあるが、

巨大建造物から雪どけ水がはきだされたり、本作には季節感がある。

 

 

 

 

デフォルメきいた絵柄で戦争をえがくのは、『ディエンビエンフー』の西島大介らがいて、

つくみずも広義の「サブカル系作家」とおもわれる。

 

 

 

 

ディストピアや戦争のつめたさが、ディタッチメントをこのむサブカルオタにうける。

ただ本作は、会話に生活感ただよい、えせインテリ臭がしない。

戦争に言及するときも、日々の糧をえるかどうかが関心のまと。

 

 

 

 

また、つねに言動がひとをイラッとさせる天然の「ユーリ」と、

それにきびしく、ときに鉄拳でツッコミいれる「チト」の関係は、

本人が描いてんじゃないかってくらい、『平成生まれ』の「佐藤と四村」そっくり。

「ハトポポコ先生と入籍したい」と発言したつくみずの心酔ぶりは本物。

 

マウントポジションの百合、それが10年代のフォーミュラ。

 

 

 

 

即席の風呂で、こごえた体をいやす。

顔がピザ生地みたくつぶれる。

 

 

 

 

昭和生まれのボクは、2012年に『平成生まれ』をよんだとき、

彼我にひろがる精神の空隙におどろいたが、

はやくもフォロワーが商業デビューしていることにまた動顛。

2014年、ときはすでに「ポストハトポポコ時代」(語呂わるすぎ)だった。

 

 

 

 

本作全体が、不条理ギャグ4コマの変奏曲なのだから、

なぜ廃墟なのか、なぜドイツ軍なのか問うのは、野暮とゆうもの。

無目的性と、茫漠とした不安を燃料に、少女は無限軌道をまわしつづける。




少女終末旅行 1 (BUNCH COMICS)少女終末旅行 1 (BUNCH COMICS)
(2014/11/08)
つくみず

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