柳瀬ルカ『涙の数だけ輝いて!』

 

 

涙の数だけ輝いて!

 

作者:柳瀬ルカ

掲載誌:『月刊まんがタウン』(双葉社)2014年-

単行本:アクションコミックス

 

 

 

売り出し中のアイドルグループ、「ピュアドールズ」の奮闘をえがく4コマ。

5人組なのに、ステージにいるのはセンターの「直子」だけ。

 

 

 

 

メンバーは寝起きもままならない問題児ばかり。

マネージャーは職場抛棄して逃走。

かわりに直子がスケジュール管理しているが、たまに自分の職業をわすれる。

 

 

 

 

ピュアドールズのライヴは、予定どおり始まらないのがあたりまえ。

よく調教されたファンは、ゲーム機などもちこみ時間をつぶす。

ドMでないとドルオタはつとまらない。

 

実は漫画とアイドルって、相性わるい。

音楽のあるアニメやゲームなら、『ラブライブ!』をはじめ人気ジャンルだが、

ウィキペディアの「アイドルを題材とした漫画作品」カテゴリをみわたしても、

印象的なのは『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』や『ふたば君チェンジ』くらいだし、

それらも藝能界をえがく物語じゃない。

ここに挙げられてないが忘れがたいのは、25年まえの安達哲『キラキラ!』。

 

漫画家が藝能界をかけない理由は単純で、未知の世界だから。

想像だけにもとづく「つくりごと」に読者は共感しない。

 

 

 

 

「このレベルでも恥ずかしがらずアイドルやれるなんてすごいです!」と、

握手会で悪意のないファンにdisられた、ポニーテールの「唯」。

 

PerfumeとAKB48とBABYMETALのファンである柳瀬ルカは、

絶妙な距離感でアイドルと藝能界を、独自のパースペクティヴにおとしこむ。

キレイすぎないし、リアルすぎない。

 

 

 

 

21世紀アイドルの宿命、「卒アル流出」。

同級生に売られたとおもうと切ない。

ボーイッシュな「涼子」は、ダサかったころの写真をみてもどこ吹く風だけど。

 

 

 

 

ツインテールの最年少「晴香」がサブヒロイン的存在。

ブアイソで性格に難あり、ことあるごとにセンターをうばおうとする。

 

 

 

 

晴香がてれくさくて、ずっと秘密にしていたこと。

引きこもりだったとき、直子にあこがれアイドルをめざしたこと。

かわいくないところが、かわいい。

 

 

 

 

直子にも過去があり、同期の男性問題の巻き添えくって「IDL108」をクビに。

現実世界で周知のスキャンダルを、読者の下世話な関心をひくためでなく、

ヒロインの苦労人ぶりをひきたたすエピソードとしてつかう。

作者のアイドル愛と教養をしのばせる。

 

 

 

 

まぶしい笑顔の陰に、ながれるそうめん……じゃない、ながれる涙がある。

日本でいちばん苛酷な業界の、くるしくもたのしい日常。

アイドル漫画の最高傑作かもしれない。




涙の数だけ輝いて!(1) (アクションコミックス)涙の数だけ輝いて!(1) (アクションコミックス)
(2014/10/28)
柳瀬ルカ

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テーマ : 4コマ漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合  萌え4コマ 
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