我孫子祐『アンズー』

 

 

アンズー

 

作者:我孫子祐

掲載誌:『週刊少年マガジン』10月29日号(講談社)

[『スライムさんと勇者研究部』の記事→1巻/2巻/3巻/4巻

 

 

 

信号をまちつつ、合コンの戦果をかたる女子高生三人。

リュックはモノクロだけどカラフル。

この作者はファッションの描き分けがうまい。

 

 

 

 

突如発生したクマの大群が、彼女らを食い殺す。

 

『週刊少年マガジン』に掲載された50ページの読み切りである『アンズー』は、

我孫子祐にとって8か月ぶりの講談社刊行物への帰還となるが、

前作『スライムさんと勇者研究部』のゆるふわガールズライフと訣別している。

 

 

 

 

本作は二匹のネコの物語。

ヒトがクマに駆逐された東京でサバイバル。

 

我孫子祐は「世界観」の漫画家だ。

日常芝居のリアリズムと、ファンタジックな想像力を兼備した作風で、

さりげなく読者を別のどこかへエスコート。

 

 

 

 

「トラゾウ」は右目に傷もつ、アメリカンショートヘア。

喧嘩がつよく、ネコ仲間のボス的存在。

 

 

 

 

「アンズー」はハチワレの雑種で、まだ1歳。

飼い主の「ネネちゃん」にあうため、新宿の避難所をめざす。

ディストピアと化した吉祥寺のありさまは、前作の延長線上にある。

 

 

 

 

おさないせいかアンズーは無邪気で、強面のトラゾウにもなつく。

スライムさんとゴーレムさんをおもわせる。

作者にとり描きやすい関係らしい。

 

 

 

 

『週マガ』掲載ってことで、いつになく熱い感情がほとばしる。

かよわいイエネコが、野生へ放りだされることの絶望

 

『スライムさん』は、「日常系」と「セカイ系」の両面をあわせもつが、

前者が『東のくるめと隣のめぐる』へ、後者が本作に分流した。

一方それらは、ふかいところで通じあう。

 

 

 

 

つぶらな瞳のアンズーが、狩人の本能を発揮。

その戦いぶりは、たとえば冨樫義博がヌルくみえるエグさ。

 

50ページにそそがれた、長篇一本分のエネルギーにうたれる。

もし『週マガ』がアップデートしたいなら、本作を連載化するのが賢明だろう。



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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 我孫子祐 
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