フクハラマサヤ『水瀬まりんの航海日誌』
水瀬まりんの航海日誌(ログブック)
作者:フクハラマサヤ
掲載誌:『まんがタイムきらら』(芳文社)2013年-
単行本:まんがタイムKRコミックス
海は乙女のロマン。
ここは、ほとんど陸地のない世界である「海球」。
はてなく蒼い風景に映える、「雪風舞」のピンクの髪。
傑作駆逐艦「陽炎」の艦長をつとめる。
主人公「水瀬まりん」は、ごく普通の日本の女子高生だが、
修学旅行の軍港ツアーで水難事故にあい、異世界へさまよいこむ。
霧のなかから突然、戦艦武蔵があらわれるなど、
美少女と軍艦だらけの惑星ではじまる、ミステリアスな「処女航海」。
副艦長は、統率力とおっぱい力がたかい「大村時雨」。
旧海軍を愛する作者の、旧スク水へのこだわりがうれしい。
ぱっつん黒髪ロングは「霧島由花」。
軍事的も性的にもアグレッシヴな砲雷長。
機関長の「山城あおば」は、小柄な元気娘。
陽炎のマスコット的存在だ。
客員のまりんをふくめ5人で駆逐艦をうごかす。
艦長が料理上手だったりするので、どうにかまわせる。
海軍といえばカレー。
理由は不明だがとにかくカレー。
むしろカレーのため船乗りをしている様なもの。
見張り台はふたりだとせまいけど、女の子同士なら不快じゃない。
舞艦長のルーズソックスもかわいい。
「萌え×ミリタリー」は陸海空を制覇し、流行とゆうよりもはや定番だが、
船上の共同生活のたのしさをえがく本作は、『艦これ』などとひと味ちがう。
まりんを元の世界へかえす手がかりをもとめ、陽炎は冒険をつづける。
霧から今度は、40.9ノットでる高速艦「島風」があらわれた。
敵でも味方でもないらしく、いよいよ謎はふかまる。
安易に砲火をまじえないのは、ほんわかした絵柄にあってるかな。
補給にたちよった「農業艦」で祭りに参加するなど、エピソードはさまざま。
フクハラマサヤはこれが初単行本だが、メカも人物も描きこなす達者な画力で、
見せゴマをおおきくとったり、表現手法の実験もしている。
包容力があり部下からしたわれる、舞艦長の人柄が印象的だが、
陽炎の悪口をちょっとでもいわれると即キレるので要注意。
不安つのらせるまりんを、ぎゅっと抱きしめなぐさめる。
きらめく波と仲間以外、だれもみていない。
軍艦は、百合の生息地だった。
愛とゆう名の水平線めざし抜錨!
数日煮こんだカレーみたく、お舟と女子とその絆がとけあう注目作。
「きらら型」の最新鋭艦が、あざやかな航跡をえがく。
![]() | 水瀬まりんの航海日誌 (1) (まんがタイムKRコミックス) (2014/09/27) フクハラマサヤ |
- 関連記事