須藤佑実『流寓の姉弟』

 

 

流寓の姉弟

 

作者:須藤佑実

発行:小学館 2014年

レーベル:ビッグコミックス

 

 

 

過疎の村をとびだした、霊感もつ7歳の少女をめぐる物語。

作者は新人だが高橋しんのアシスタントだった)、才気あふれる1巻完結の佳品だ。

 

 

 

 

主人公は20歳の女子大生、「大谷湊(みなと)」。

15年ぶりに母との再会をはたした。

遺体として。

自由奔放だった母はキレイなまま死んだ。

 

 

 

 

かえりの電車で「夏希」と「冬希」、さわがしい姉弟とであう。

迷子なのか、家出なのか。

ネックストラップにつけている鍵を、いつのまにとられた。

不思議な娘だ。

 

 

 

 

座敷わらしみたくアパートへ侵入、強引に居候となる。

迷惑ではあるが、ドタバタ生活はたのしくなくもない。

すくなくとも心の空白はうめられた。

 

 

 

 

すぐ交番へとどけでるが、ちょうど警官がいなかったり役にたたない。

国家権力の手のとどかない異次元に、姉弟はいる。

 

 

 

 

親戚をなのる数人がひきとりにきたが、話の辻褄があわない。

夏希らは父母をさがしてるとゆうのに、なぜ当人がこないのか。

子供のウソかとおもったが、事情はもっと複雑らしい。

 

 

 

 

こちらはとなりの部屋にすむ「純子ちゃん」。

姉弟となかよくなり、学校サボって海へつれだつ。

 

 

 

 

純子が海にきたのは、ライフセーバーだった父の面影をもとめて。

錐体内出血が原因でおぼれた。

 

ほとんどの登場人物が家族をうしなった経験をもつが、

それぞれのエピソードにひねりがきき、あざとく感じない。

 

 

 

 

夏希はつよく念じると、過去へもどることができる。

 

 

 

 

それは超自然的能力か、姉弟だけで共有する幻想か、はっきりしない。

どちらかといえば後者とにおわされ、せつない。

 

 

 

 

ふたりはかしこい子供で、ひと月まえに家族でピクニックにいったとき、

両親が土砂災害にまきこまれて死んだのは理解している。

ひとさわがせな家出は、ピクニックのつづきをしてるだけ。

だれもせめられない。

 

 

 

 

夏希が霊感をそなえるのは、村の信仰とかかわりがあった。

開発計画にからみ、ファンタジックな衝撃が鎌首をもたげる。

 

 

 

 

女の子のかわいらしさは当世風だが、

漆原友紀などとくらべ遜色ないノスタルジアもすてがたい。

なにより、大切なものを大切におもう気持ちが、作中にみちる。

須藤佑実……みのがせば後悔するだろう才能だ。




流寓の姉弟 (ビッグコミックス)流寓の姉弟 (ビッグコミックス)
(2014/08/29)
須藤佑実

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苑田 健

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