『ハナヤマタ』9話 百合のひかり

 

 

シスター・コンプレックス

 

テレビアニメ『ハナヤマタ』第9話

 

出演:上田麗奈 田中美海 奥野香耶 大坪由佳 沼倉愛美 豊口めぐみ

演出:関田修

絵コンテ:浅香守生

監督:いしづかあつこ

シリーズ構成・脚本:吉田玲子

キャラクターデザイン・総作画監督:渡辺敦子

色彩設計:大野春恵

原作:浜弓場双『ハナヤマタ』(芳文社刊)

アニメーション制作:マッドハウス

放送:2014年

[過去の記事→3話/7話

 

 

9話のタイトルは「シスター・コンプレックス」。

英語教師と生徒会長、「常盤姉妹」の葛藤をえがく。

 

 

 

 

顧問の「サリーちゃん先生」にといただす。

よさこい部が廃部になるのは本当かと。

 

 

 

 

まだ正式な部としてみとめられてないなんて、寝耳に水。

スクールアイドル部や戦車部まであるのに。

 

 

 

 

埒があかない。

サリーちゃんはたのしい先生だけど、婚活に夢中だし、たよりにならない。

わたしたちでどうにかしよう!

 

東の空がまだあからむ、トワイライトの色調がうつくしい。

 

 

 

 

先生の妹「真智」は、「多美」が心配でならない。

エゴイストである姉が、自分の親友まで傷つけるなんてことは、あってはいけない。

「サリーちゃん」とか呼ばれて、したしまれてるみたいだけど、

本当は平気でひとを裏切るロクデナシだとわからせたい。

 

 

 

 

「どうしてそんなに目の敵にするの? わたしたちには、とってもいい先生だよ」

「……そんなの多美には関係ないでしょッ!!」

 

口からあふれた憎悪のはげしさに、当人すらおどろく。

 

日がしづんでも、街路をてらす光はある。

でも顔をあげなければ、あたりは闇のまま。

 

 

 

 

相模湾のかがやきを筆頭に、本作の背景はリリカルで印象的。

登場人物の心の輪郭をきわだたす。

 

 

 

 

姉は世界一のヒーローだった。

なんでもできるスーパーガールで、ああなりたいとあこがれた。

 

 

 

 

両親のねがいをかなえようと、医者をめざす姿勢がなにより尊敬できた。

家族全員のほこりだった。

 

 

 

 

ちかくでみてたから、才能だけじゃない努力家としっている。

がんばる様子が、また魅力的だった。

好きで好きでたまらなかった。

 

 

 

 

姉妹で一緒に医者になる、それが夢だった。

お姉ちゃんのあとについてゆけば、絶対かなうとおもっていた。

 

 

 

 

だから姉が両親とケンカして家をでたとき、真智の世界はいきなり崩壊。

「『本当の自分』を否定する家族なんていらいない」と、捨て台詞をいわれた。

あなたが家族を拒絶するなら、わたしはあなたを拒絶しなければならない。

でないと、わたしは生きてゆけない。

 

 

 

 

姉のことは「そのひと」「あなた」とよぶ。

家族や先生とみなすなんて論外。

 

 

 

 

意地っぱりな「ヤヤ」の鼻っ柱をあえてへし折る展開で、

7話はすこしコミカルに、少女たちの和解がかたられた。

だが真智の葛藤はより内面ふかくへくいこみ、かつロジカルで、容易にいやせない。

 

 

 

 

多美に屋上へつれられ、よさこいにとりくむ姉を見物させられる。

やさしく熱心な「いい先生」のフリをしてた。

 

 

 

 

一挙手一投足が癪にさわる。

家族をすてた人間が、よその子にやさしくする?

わらえない冗談だった。

かといって不真面目にしてたらしてたで、ゆるせない。

姉が呼吸していることさえ、妹にとって不快の種。

 

 

 

 

頭のいい真智と議論してもしかたない。

多美は親友のとなりにすわり、辛抱づよく糸口をさぐる。

ちょっと見方をかえるだけで、誤解だったとわかってもらえるはず。

太陽の光が、入射角によって色をかえる様に。

 

 

 

 

医師から教師へ進路をかえたきっかけは、自分とすごした時間にあった。

妹にとって裏切りでも、姉にとっては愛情表現だった。

 

 

 

 

わかりはじめると、すべて一瞬でわかる。

めぐまれた家庭に、すぐれた能力をもってうまれた娘同士だから。

自分たちは瓜ふたつだった。

そっくりすぎるから、一度すれちがうとヒビがおおきくはいった。

 

 

 

 

ほとんどあかりのない校舎。

 

 

 

 

姉が校長室からでてきた。

 

 

 

 

「採用試験どうだった……おねえ……ちゃん」

 

 

 

 

言葉がなくても、くらがりのなかでも、通じあえる。

ふたりは姉妹で、一心同体だから。

 

 

 

 

おもいは天の川をこえて。

演出に関田修、絵コンテに浅香守生とヴェテランを配し、

7話と対をなすかたちで、しっとりえがいた光の藝術。

その叙情性は、わすれられそうにない。




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上田麗奈、田中美海 他

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