唯登詩樹『最近この世界は私だけのモノになりました……』

 

 

最近この世界は私だけのモノになりました……

 

作者:唯登詩樹

掲載誌:『グランドジャンプ』(集英社)2013年-

単行本:ヤングジャンプ・コミックスGJ

[同作者の『My Sisters』の記事はこちら

 

 

 

唯登詩樹の新作のヒロインが露出狂だとして、だれもおどろかない。

「還暦ちかいのに、あいかわらずエロいな」と感心されるだけ。

 

 

 

 

しかし本作の「美希」は露出こそおおいが、狂人じゃない。

ある朝めざめたら、世界から自分以外の人間がきえていた。

ランジェリーショップへ侵入し、大胆下着を失敬するなど、結構たのしんでる。

 

 

 

 

異変がおこるまえ、美希はビッチだった。

毎晩あそびあるき、ちがう男と寝た。

 

 

 

 

もともと倫理なんてどこ吹く風だから、他者がいなくなりタガがはづれる。

ひろったバールであちこち破壊したり。

 

 

 

 

むなしい。

バイブでしかイケない生活が。

人恋しさはつのり、涙が枯れる日はない。

 

 

 

 

唯一の生存者は、オタク風のデブだった。

デブぎらいの美希から、みたまま「デブ」とよばれる。

 

本来なら鼻もひっかけられない存在だが、

唯登詩樹版『不思議の国のアリス』たる本作では、白ウサギの役をつとめる。

 

 

 

 

バイブよりマシってことで、デブをセックスの道具にする。

いやいや応じられるのがおかしい。

「唯性主義」とでも称すべき作風が、ワンダーランドで純度をます。

 

 

 

 

生存者はもうひとりいた。

太陽と風力で発電し、美希をストーキングする男が。

 

 

 

 

ストーカーが男なのは、暗闇でのオナニー中、ぬるっとレイプされてわかった。

ヤルのは好きだけど、ヤラれるのは嫌いなので、美希は怒り心頭。

このナンセンスな恐怖はジャバウォック

 

 

 

 

大学生である美希の過去もえがかれる。

優秀な兄と比較され、ドロップアウトしてゆく過程が。

その兄との、一夜のあやまちが。

世界の異変も、おそらく兄が関係する。

 

 

 

 

美希がビッチになった原因は、すこし病的。

闇がおそろしくて、ひとりで夜をすごせない。

トンネルすらはいれない。

 

 

 

 

トンネルをぬけると、そこに美少女がいた。

 

唯登詩樹ならではのタガのはづれたエロスと、いつになく内面をえぐる物語が、

三月ウサギのお茶会みたいなハーモニーをかなでる、

ルイス・キャロルやアリス・リデルにもよませたい傑作だ。




最近この世界は私だけのモノになりました…… 1 (ヤングジャンプコミックス)最近この世界は私だけのモノになりました…… 1 (ヤングジャンプコミックス)
(2014/08/20)
唯登詩樹

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