八十八良『不死の猟犬』

 

 

不死(しなず)の猟犬

 

作者:八十八良

掲載誌:『ハルタ』(エンターブレイン/KADOKAWA)2013年-

単行本:ビームコミックス

 

 

 

くせのある黒髪、黒ぶちメガネ、黒セーラー服。

ドラムマガジンつきのAK-47二丁。

「風間リン」が紙面をくろくそめる。

 

 

 

 

ある男が、カゼをひいた恋人を銃で撃つ。

「よっしゃスッキリ! テルちゃんお腹すいた!」

 

 

 

 

『不死(しなず)の猟犬』の作品世界では、ゾンビが社会の圧倒的多数をしめる。

復活能力をうばう「RDS」とゆう病気もあるが、感染者は人間とみなされない。

「ベクター(媒介者)」は発見しだい24時間以内に殺処分。

 

 

 

 

それゆえ悲劇もうまれる。

警視庁対ベクター特別班班長「剣崎」は、ベクターを愛した妹をうしなう。

 

 

 

 

風間リンはベクターを支援する「逃がし屋」。

権力と不死の力をそなえた敵に、絶望的な戦いをいどむ。

RPG-7でもだれひとり殺せない。

 

 

 

 

はげしいガンアクションがくりひろげられる本作だが、あじわいは独特。

射撃はほぼ無意味で、若干の時間稼ぎにしかならない。

真剣なのに遊戯的。

 

 

 

 

リンは組織の命をうけ、警視庁へ潜入していた。

居酒屋で口のまわりをビールの泡でよごしつつ、情報をひきだす。

 

 

 

 

大胆なスパイ活動ができるのは、運び屋の仕事をするときは、

かがやく短冊で顔形をくらませているから。

 

物語の完成度を問われたら、「かなり破綻してる」とボクならこたえる。

だがいまの作家は、揚げ足とられ、重箱の隅をつつかれるのをおそれすぎでは?

これくらい大胆不敵でいいんじゃないか。

 

 

 

 

「国連防疫事務所」(UNDOって略称がカッコイイ)も、装甲車両で都内をウロチョロ。

 

 

 

 

国連の対ベクター戦術は、一般市民をまきぞえにすること。

どうせ復活するのだから遠慮なし。

アクション漫画の文法を抜本的にかきかえ、読者を翻弄。

 

 

 

 

不死を否定する病「RDS」の拡散をもくろむ組織は、最終手段にでる。

剣崎を殺す。

無論、矢でも鉄炮でも命はうばえない。

しかしリンと愛しあえば、標的は死ぬ。

 

 

 

 

どぎついコントラストでえがかれる、殺しあいと、騙しあいと、不毛な愛憎。

緻密かつハチャメチャで、脳裏に焼きつきはなれない。




不死の猟犬 1巻 (ビームコミックス)不死の猟犬 1巻 (ビームコミックス)
(2014/06/13)
八十八良

関連記事

テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

最近の記事
記事の分類
検索とタグ

著者

苑田 健

苑田 健

掲示板『岩渕真奈 閃光の天使』
も運営しています。

Twitter
メール送信

名前
アドレス
件名
本文

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
月別アーカイヴ
06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03