中山敦支『ねじまきカギュー』完結 DNAを打つ

 

 

ねじまきカギュー

 

作者:中山敦支

発行:集英社 2011-14年

レーベル:ヤングジャンプ・コミックス

[以前の記事→1-4巻/5巻/6巻/7巻/8巻/9巻/10巻/11巻/12巻/13巻/14巻/15巻

 

《注意》

以下の文章では、物語の核心部分にふれています。

 

 

 

最終16巻は卒業式をえがく。

一番大泣きするのはアゲハなのがファンとしてうれしいし、富江の袴も似合う。

 

 

 

 

ラスボスは森先生だった。

政府のエージェントでありながら行動の自由をみとめられ、

校内で八方美人にふるまいつつ、陰で私利私慾にはしる。

 

 

 

 

彼女が黒幕系女子であることは4巻あたりで匂わされており、

執筆開始時どこまで意図してたかしらないが、構成はみごと。

「ククク……ヤツは四天王の中でも最弱……」的な御都合主義は1ページもない。

 

 

 

 

『ねじまきカギュー』は、ふたつの一騎打ちの物語だ。

ひとつはカモ先生と理事長、善と悪の相剋。

もうひとつはカギューと森先生、愛のつよさをきそう闘争。

前者はリクツっぽく、後者は地に足がつく。

 

 

 

 

森先生の人生は、バグったRPGみたいなもの。

まったく缺点をもたずに生まれ、すべて楽勝で、苦戦を経験したことがない。

退屈もてあます彼女は、不完全な人間にひかれる。

 

 

 

 

ミロのヴィーナスやサモトラケのニケは、缺けているからこそ、いっそう魅力的。

「完璧すぎる」とゆう自分の唯一の缺点を、他者をオモチャにすることでみたす。

 

 

 

 

森先生は決して「悪」じゃない。

だれかを傷つけたりしない。

それでもカギューたんとの激突はさけられない。

ふたりは正反対で、かつ愛がつよすぎるから。

 

 

 

 

裏で糸ひく系女子の「毒蜜(トキシシロップ)」でダウンした螺旋巻拳の使い手は、

心臓に拳をねじこみ復活、さらにおのれをメッタ打ち。

分子のスケールで肉体改造をはかる。

螺旋巻拳は、DNAの二重螺旋構造のアナロジーでもあった。

未完成だからこそカギューたんは進化するし、だからこそつよい。

 

 

 

 

トドメの一撃はキュビズム的破壊力。

中山敦支おなじみのモティーフ、パブロ・ピカソへのオマージュ。

藝術に完成はありえず、すべては解釈にすぎないことをまなんだのだろう。

 

 

 

 

そしてシェイクスピア的結末をむかえ幕はおりる。

 

萌えの流行に迎合しているのに古典的で、

単純なバトルものなのにサブカル的好評を博す、たぐいまれな傑作だった。

 

 

 

 

単行本のオマケは毛筆風のタッチで、いつになく「荒い」印象。

よりによって中山敦支が、最終巻で手抜きをするはずない。

息つく間もなく、全力疾走をつづけているだけ。




ねじまきカギュー 16 (ヤングジャンプコミックス)ねじまきカギュー 16 (ヤングジャンプコミックス)
(2014/07/18)
中山敦支

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