グレゴリー・チャイティン『ダーウィンを数学で証明する』

エルンスト・ヘッケル『生物の驚異的な形』

 

 

ダーウィンを数学で証明する

Proving Darwin: Making Biology Mathematical

 

著者:グレゴリー・チャイティン

訳者:水谷淳

発行:早川書房 2014年

原書発行:2012年

 

 

 

メイナード・スミスとサトマーリの定義によると、生命とは、

「変異をともなう遺伝をしめし、自然選択による進化をおこしうる存在」のこと。

その本質は軍拡競争で、おなじ場所にとどまるための全力疾走でもある。

遺伝子は決して「利己的」じゃない。

ただひたすら創造性をたかめ、進化したがっている。

性によりゲノムの半分をすてる行動の、どこが利己的か?

 

 

 

 

数学者でコンピュータ科学者のチャイティンは、身体とDNAの関係を、

コンピュータのハードウェアとソフトウェアのそれになぞらえ、

ダーウィン的進化が作用することを数学的に證明。

 

『種の起源』の冒頭でダーウィンも、育種家による人為選択と、

自然選択の類似性をもちい論をときおこしている。

著者チャイティンの見立ては、そう突飛なものじゃない。

 

 

 

 

やや社交性に難のあるクルト・ゲーデルは、

プリンストン高等研究所の夕食の席で、わかい天文物理学者に対し、

「わたしは経験科学を信じない。信じるのは演繹的(アプリオリ)な真理だけだ!」といった。

苛酷な職場だ。

 

ところが「経験科学」の代表選手たる生物学に、

ゲーデル的かつチューリング的な「創造性の数学」がハマるのが、おもしろい。

 

 

 

 

著者は、計算可能性理論の「ビジービーバー問題」をとりあげ、

計算の数値が、生命体の「適応度」をあらわすとみなす。

3つの進化形態で、「累積的進化」が「しらみつぶしの探索」よりずっと速いとわかった。

 

有利であるちいさな進化が累積して進化がおこるとゆう、

半分しかできてない目などについての、ダーウィン理論の骨子と一致。

 

 

『生物の驚異的な形』

 

 

古代ギリシアや支那やルネサンス期イタリアが創造的で、古代エジプトが退屈なのは、

都市国家による分権支配と、中央政府による全体支配のちがい。

著者が属するユダヤ人社会も、律法集の内容やラビの任命など、

知識と知性をおもんじ、議論をこのむ伝統をもつ。

イスラエルの軍人は、退役後ハイテク企業を設立することがおおい。

つねに戦争状態だから、創造的でありつづけることを強いられる。

 

アメリカ人の6割しか進化論を支持しないことは、よく嘲笑の対象となるが、

ボクがおもうに、数学的に證明されないから信じなかった面もあるのでは。

 

さあ端末をいじり、ソフトウェアをヴァージョンアップしよう。

この場にとどまるために。




ダーウィンを数学で証明するダーウィンを数学で証明する
(2014/03/20)
グレゴリー・チャイティン

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