みよしふるまち『ゆりかごの乙女たち』

 

 

ゆりかごの乙女たち

 

作者:みよしふるまち

発行:マッグガーデン 2014年

レーベル:マッグガーデンコミックス Beat'sシリーズ

 

 

 

袴姿の女学生。

「大正ロマン」は絵になる。

 

ヒロインの「入江環」が、上級生からタダゴトでなさそうな手紙をもらった。

吉屋信子の少女小説『花物語』などでえがかれる「エス」

すなわち百合のプロトタイプを再生する、1巻完結の物語。

 

 

 

 

開校以来の秀才とよばれる環は、高等女学校の流行に関心しめさないが、

ベンチで居眠りする「久世雪子」とガール・ミーツ・ガールをはたす。

シェイクスピアの『ソネット集』を原書でよむ令嬢だ。

 

 

 

 

環がすきなのは、学校に持ちこみ禁止の低俗な恋愛小説。

ほかにイプセン『人形の家』やバーネット『秘密の花園』など、

文学談義が文学少女の魂をむすびつける。

 

坪内逍遥による『ソネット集』の翻訳書がでたのが1934年らしいから、

大正時代にしてはススんだ趣味をもつ娘たちだ。

いまなら『カゲロウプロジェクト』の話題とかでもりあがる感じ?

 

 

 

 

大正ロマンと現代の百合を融合させるのが、本作のテーマだろう。

環のツンデレな言動やデフォルメ表現は、ハイブリッドなあじわい。

 

 

 

 

ふたりづれで男装し映画館へゆく、モガ風ボブの「絹子」さん。

本気でエスにはまっている。

 

 

 

 

女学校のみだれた風習に距離をおきながらも、環と雪子はつよく惹かれあうが、

雪子に海軍士官との縁談がもちあがるとゆう、お約束の顛末に。

 

 

 

 

嫉妬にくるった絹子さんの「妹」が刃傷沙汰におよぶなど、意外な展開も。

 

 

 

 

百合はあたらしい文化か、大正ロマンの焼き直しか、またはその両方か。

ボクは判断できない。

『花物語』や川端康成(中里恒子)『乙女の港』くらい読まないと話にならない。

少女たちの指先がかすかにふれあうときの緊張感は、21世紀的とおもうが。

 

 

 

 

ただ、恋にまどう乙女の横顔のうつくしさに、時節は関係ないともおもう。




ゆりかごの乙女たち (マッグガーデンコミックス Beat'sシリーズ)ゆりかごの乙女たち (マッグガーデンコミックス Beat'sシリーズ)
(2014/06/03)
みよしふるまち

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苑田 健

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