なぜ源氏物語はハーレムラブコメなのか

平安神宮

 

 

太政大臣となった光源氏は、六条京極あたりに大邸宅をたてた。

四つの区画はそれぞれ春夏秋冬をあしらう。

自分が起居する春の御殿に紫の上を、夏の御殿に花散里を、

秋の御殿に秋好中宮を、冬の御殿に明石の上をすまわせる。

あちこち散在していた女がひきうつる「殿わたり」は、平安朝の男の理想の生活。

 

 

冷泉院の帝を中心にした対立系図

 

 

臣下にくだった33歳が他氏をおしのおけ、位人臣をきわめる。

藤原氏全盛期にあってはファンタジー小説まがいの絵空ごとだが、

主人公もそれなりに努力している。

 

たとえば若い玉鬘を自分の娘といつわり引きとったのは、

ロリコン趣味だけが原因でなく、イモねえちゃんをしかるべく教育し、

いづれは宮中にいれ、一家一門の繁栄をはかる手立てのひとつ。

女とゆう政治資産を売買しながら、ハーレムとゆう政治機関を拡大。

 

玉鬘は結局、髭黒の大将に略奪されるが。

 

 

車あらそい

 

 

女を手にいれることは侵略戦争とおなじ。

兵をうごかさず領地をひろげられるのだから命懸け。

影媛への求婚がみのらなかった武烈天皇は、

恋敵の平群鮪をころしたし、仁徳天皇も弟と女をころした。

 

おのれの女は、鉄壁の警備でまもる。

正妻格の紫の上は夕霧に懸想されるが、生涯二度しか姿をみせなかった。

台風の翌朝の混乱と、死に顔だけ。

義理の親子でさえ、一瞬の油断は破滅をまねくから。

 

 

女三宮の子をだく光源氏(源氏物語絵巻・柏木)

 

 

朱雀院の帝の姫君である女三宮を、妻にむかえるのは気がすすまなかった。

40歳はすでに老境、女たちの感情のうずまきに身をおくのはわづらわしい。

 

正妻の誇りをきずつけてまで後見となった女三宮は、柏木との不義の子をうむ。

これも家筋をたたる怨霊のしわざらしい。

六条御息所の怨恨がもののけとして発動、

葵の上と紫の上をころし、女三の宮に世をすてさせた。

光源氏の家の始祖は光源氏だから、全責任は自分にある。

 

病にくるしむ柏木を宴席へよびだす。

密通についてほのめかし、酒をしいて心身をいたぶり、容赦なく命をうばう。

刃物もちいぬ殺人で、ダメージコントロールを遂行した。

 

冷徹さ、それがラブコメ主人公の条件。







【参考文献】

池田彌三郎『光源氏の一生』(講談社現代新書)



光源氏の一生 (講談社現代新書 2)光源氏の一生 (講談社現代新書 2)
(1964/03/22)
池田弥三郎
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