知的女子! 『インサイダー』『天海の定跡』『こたつやみかん』『ムジカ』

 

 

投資顧問会社に転職したばかりのヒロイン、「春風日向(ひなた)」。

『週刊ダイヤモンド』や『経済界』などの雑誌で勉強したと、先輩にみせびらかす。

 

ともぞ・作画/呉屋真・原作『インサイダー』(ヤングジャンプ・コミックスGJ)から。

 

 

 

 

アウディの窓からなげすてられた。

「お前やっぱ奴隷だ」

 

各投資情報誌がすすめる銘柄が下落したのは、

大口投資家たちが「売り抜け」のためしこんだネタだから。

金持ちに身銭を上納するなんて、まさに奴隷。

 

 

 

 

父が株で失敗し自殺、春風さんは9000万円の借金をせおう。

金融業界へとびこんだのは、その清算と仇討ちが目的。

 

 

 

 

年俸10億の指導主任「東堂」の仕事ぶりをまなぶ。

半年まえから知り合いになった、ある玩具会社の社長秘書の息子に、

ニンテンドー3DSソフトをプレゼントしたり。

 

 

 

 

無線LANのセキュリティを突破し、PCへ侵入成功。

業界最大手と提携する情報をつかみ、2億4000万の利益をうる。

違法なインサイダー取引だが、證拠はのこさない。

 

 

 

 

カネ儲けに必死な女子って、なんか萌える。




インサイダー 1 (ヤングジャンプコミックス)インサイダー 1 (ヤングジャンプコミックス)
(2013/12/19)
ともぞ

 

 

 

 

 

 

 

八神健の短篇集『ユキのいた街』(バンブーコミックス)から、

2004年に発表された「天海の定跡」を。

奨励会に所属する17歳の「鳴瀧」を主人公とする将棋モノだ。

 

『密・リターンズ!』に『ななか6/17』に『どき魔女』と、

八神先生も20年しぶとく生きのこってるなあ。

 

 

 

 

父の跡をおいプロをめざす鳴瀧は鳴かず飛ばずで、きょうも敗戦。

シュンとして帰宅したら、みしらぬ女の子がいた。

北海道出身の「天海(あみ)」は父の弟子で、奨励会の入会試験をうけにきた。

 

 

なぜかゴスロリ

 

 

将棋会館で対局する。

二代目としての重圧でつぶれそうな鳴瀧は、たのしく将棋をさす天海がゆるせない。

一手ごとコロコロかわる表情も、ことごとく定跡をはづす戦法も。

作戦なのか、天然なのか……。

 

 

 

 

……天然でした。

 

恋は知恵くらべ。

さぐりあって、だましあう。

つぎの行動がよめる女の子なんてかわいくないし。

 

ふたりの関係がみづみづしい好篇だが、

作者の棋力は駒をうごかせる程度で、連載へのこころみは頓挫した。

でもこの「初手」のあざやかさを、短篇集は後世にのこす。




ユキのいた街 八神健短編集 (バンブーコミックス)ユキのいた街 八神健短編集 (バンブーコミックス)
(2013/12/17)
八神健

 

 

 

 

 

 

 

噺家系JKをえがく、秋山はる『こたつやみかん』(アフタヌーンKC)も第3巻1巻/2巻

「有川真帆」さんの三味線で、お楽しみ寄席のはじまり。

 

 

 

 

若さに似あわぬシナをつくり、「牡丹楼まほ吉」師匠が『転宅』を演ずる。

特に男子はメロメロ。

 

 

 

 

ファミレスできょうの高座を反省する、まほ吉師匠。

色物でなく、本寸法の落語をやりたい。

 

 

 

 

「それって自分は美人でいい女だよってことっすか?」と、後輩の「梢」。

「あ、そーいうことになるか~。なははは」

 

みづからの美貌を否定しつつ肯定。

 

 

 

 

漫画のヒロインがカワイイのはあたりまえ、むしろつまらない。

最終的に勝負は総合力できまるが、

「付加価値」の部分は萌えと齟齬をきたしがち、匙加減がむつかしい。

可愛げないインテリガールを、いかに可愛くみせるか。

 

秋山はるの、高校の落研とゆう壊滅的に地味な題材を、

日常エピソードのつみかさねで語りつくす藝にうならされる所以。




こたつやみかん(3) (アフタヌーンKC)こたつやみかん(3) (アフタヌーンKC)
(2014/01/23)
秋山はる

 

 

 

 

 

 

 

最後に、かかし朝浩『ムジカ』(バーズコミックス)完結となる第2巻を。

ロベルトとクララ、シューマン夫妻の青春時代をえがく音楽史モノ。

 

のちに歌劇王として音楽界に君臨する、18歳のリヒャルト・ワーグナーが、

擲弾でバイエルン王マクシミリアン2世の命をねらう。

ドイツ三月革命に加担し、テロリストとして指名手配された史実をふまえる。

黄燐マッチを擦ってたり藝がこまかい。

 

 

 

 

正規の音楽教育をうけたが、元祖中二病のせいで貧困にあえぐ。

偉人のカッコワルイ面に光をあてるのが、かかし流。

ここには「解釈」がある。

ケン・ラッセル監督の映画『リストマニア』(1975年)にまけてない。

 

 

 

 

メンデルスゾーンへ、反ユダヤ主義的ヘイトスピーチを直接ぶつける。

ネット右翼さながらの醜態。

 

 

 

 

クララがワーグナーのピアノソナタをみつけたが、理解できない。

わざと人間の手で弾けない様にかいた、「音楽の悪魔」のための曲だから。

 

 

 

 

われをわすれ難曲にいどむクララ。

服をぬぎ髪をきり、限界まで身をかるくする。

天才同士の狂気がぶつかり、エロスの火花をちらす。

 

このうつくしい作品が、7巻までつづいた『暴れん坊少納言』に対し、

わづか2巻でおわったのはおしい。

19世紀ヨーロッパ音楽界は男社会でありすぎ、

女が活躍する余地がすくないのが一因かな。

平安時代の宮廷が異色ともいえるが。

 

日本は知的女子がさかえる国だった。

いまはどうだろう。




ムジカ (2) (バーズコミックス)ムジカ (2) (バーズコミックス)
(2013/10/24)
かかし朝浩
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