小説10 一夜

『自由か、隷属か』


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4月11日 朱星ジュン

 

 

 

夜10時、コーポアヤナギ303号室のドア。

ひとり暮しの男の部屋は来たことあるのに、ガタガタ身ぶるい。

多分いまから灰野先生に抱かれる。

根拠ないけど人生かわる予感が。

ドアがひらいた。

 

「どうしたんだ突然」

「突然学校こなくなったのは先生でしょ」

 

許可えないまま入室。

シナ人窃盗団に荒らされた様な乱雑さ。

 

「ちらかってるから、あがるのは遠慮してほしいんだが」

「そうゆうレベルじゃない。汚部屋だよ。にしてもすごい数の本だなあ」

「で、なんの用?」

 

フードつきの黒のジャケットに、カーキ色のカーゴパンツできた。

私服みせるのはじめて。

あたしはオンナノコぽくない服の方が似あう。

 

「正直にこたえて。先生はスパイ?」

「…………」

「いろんなひとに裏切られたから、あたしは傷つかない。ウソはやめてね」

「たしかにスパイをした」

「ふーん、そうなんだ」

 

気絶しそうなほど胸がいたむ。

 

「キミの情報を生徒指導の荒谷先生につたえていた」

「メールでおびきだして拉致させたの?」

「その計画はしらなかったが、責任は感じる。もうしわけない」

「あたしを守るといってくれたもんね」

「見通しがあまかった。一介の教師の手におえる問題じゃなかった」

 

泣いちゃダメ……泣いたら負け。

 

「あやまらなくていいよ。本当のこと言ってくれてありがと」

「まだ言ってないことがある」

「なに?」

「部室にカメラが仕掛けられていた。あのときのキスの映像で脅迫された」

 

くだらない、どうでもいい。

 

「変なことにまきこんで、ごめんね」

「教師としてどうすべきかまよっている」

「あたしなら大丈夫。自分のせいで先生がクビになったら嫌だし」

「ボクのクビですむなら簡単な話さ……」

 

話を複雑にしないでよ。

不良娘がいて、手におえなくて、見放した。

いつもの結末でしょ。

先生が書物の密林をみまわす。

 

「たくさん本をよんだけど、ボクはまるで社会をわかってなかった。

ひとは権利をもとめ戦わなきゃいけない。つねに全力疾走すべきだ」

「エゴイストでいいってこと?」

「そう、キミはただしい。ヘイトスピーチはいただけないけど」

「在日特権でヌクヌクくらすゴキブリがいて、

そいつらの多くが凶悪犯罪者なのは事実でしょうが」

「統計的事実じゃないだろう」

「日教組乙。あたしがチョンにレイプされても平気なの?」

「ボクは加盟してないよ。はぁ……どうして極論にはしるかなあ」

 

映像ソフト専用の棚をみつけた。

かくれアニオタだったか。

 

「『ロウきゅーぶ!』のBOXじゃん。いいアニメだけど、なんか意外」

「いや、むかしバスケやってたから」

「『なのは』に『はなまる幼稚園』……なるほどねえ。

『小学生は最高だぜ!』のひとか。あたしに興味ないわけだ」

「ご、誤解だ」

「わかるよ、小学生ってカワイイもん。

小4くらいの自分の写真みるとマジ天使っておもう。いまはもう下り坂」

「そんなバカな」

「じゃあまだイケるかな。ねぇ先生しってる? あたしもう生徒じゃないんだよ」

 

足の踏み場もないので、四つん這いでちかよる。

草食系教師は部屋のあちこち指さす。

 

「さっきまでカメラやマイクをさがしてたんだ。監視されてる可能性がある」

「だからなに? 先生とならこわくない」

「まだ『先生』っていってるじゃないか」

「ニコ生でながしてもいい。垢BAN上等で」

 

胸におさまる。

気持ちいい。

 

「あたしビッチっていわれるけど、どっちかってゆうとセックスはきらい。

アレのときの男って必死でこわいでしょ。あちこち舐められるのも不快だし」

「そうゆうものかな」

「でもギュッとされるのはすき。だからそうして」

 

政府のひと、みてる?

あたしはいま、天にのぼるほどしあわせ。

 

「……本当にキミは自由だな。そこがすきだ」

「うれしい。リョウさんにあたしの全部をあげる」

 

この人生、まだ落ち目じゃなかったみたい。



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苑田 謙

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