FLIPFLOPs『ダーウィンズゲーム』2巻 「無敗の女王」シュカ戦
ダーウィンズゲーム
作者:FLIPFLOPs
掲載誌:『別冊少年チャンピオン』(秋田書店)2013年-
単行本:少年チャンピオン・コミックス
[1巻の記事はこちら]
「殺人ゲームもの」として、烏丸渡『NOT LIVES』と双璧なす作品。
あちらは外連味たつぷりの演出でみせるが、
こちらは緻密な駆け引きと、ひとを小馬鹿にしたユーモアが売り。
夜の工場によびだされた主人公「カナメ」は、あるプレイヤーとの交渉にのぞむ。
「こっちだにゃ♪」との張り紙が。
接触してきたのは、「無敗の女王」の異名をもつ「シュカ」。
いきなりデスゲームにまきこまれたカナメは、やめる方法をしりたい。
すくなくとも、できるだけ情報をひきだし、同盟をくみたい。
予想外にカワイイし。
埒あかない。
無敗の女王はルーキーに興味もつが、すこしも信用しない。
まづ鞄の中身をみせろと。
マズイ……。
ことを荒立てたくないが、自衛のため道具をみつくろつてきた。
「konozama.com」からとどいた拳銃は、
職質されたらゲームオーバーゆえ自宅におきつぱなしだが。
今回デッキにしこんだのはフラッシュライト!
たたかう気はないし、勝ち目もないし、にげる隙さえ得られればよい。
すかさず扉をしめられるが、ギリギリ間にあいそう。
……なにか違和感。
……いや、躊躇したら唯一の逃げ道をうしなう。
……いやいや、「唯一」とゆうことはつまり?
鉄扉につきささる鎖鎌。
シュカは逃げ道を「とざした」のでなく、「意識させた」。
目がくらんでも、狙い撃ちできるから。
戦闘の本質がここにえがかれる。
「熟練者が絶対に有利」。
新米プレイヤーの意図や反応は、すべて想定ずみ。
照明ともしフラッシュライトを封じた。
シュカの「棘薔薇の女王(クイーンオブソーン)」は、蛇の様に物陰へとどく。
カナメは運よく異能(シギル)発動、自宅のベレッタをとりもどし、
どうにか膠着状態にするも、じわじわおいこまれる。
新人相手でも安易にとびこまない、無敗の女王。
防御にもつかえる「棘薔薇の女王」があれば、
飛び道具で背後をつかれないかぎり負けない。
順に死角をつぶすのが、チキンといわれようが必勝パターン。
詰みだ。
たのみの綱の拳銃を囮に、いやただの囮でなく、
さつきと逆の目くらましにもちいる複合トラップ。
「ハメ」にたよる堅実なプレイヤーほど、裏の裏をかかれるとハマる。
生存競争のため総動員される知力の結晶がうつくしい。
全身全霊の死闘を、高みから見物する悦楽。
うまい棒納豆味を片手にあじわいたい。
![]() | ダーウィンズゲーム(2) (少年チャンピオン・コミックス) (2013/10/08) FLIPFLOPs |
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