君塚直隆『チャールズ皇太子の地球環境戦略』

 

 

チャールズ皇太子の地球環境戦略

 

著者:君塚直隆

発行:勁草書房 2013年

 

 

 

イギリスの王位継承者第一位、ウェールズ大公、通称「チャールズ皇太子」は、

地球温暖化問題の先駆者として名声をたかめている。

1980年代初頭から、バッキンガム宮殿に分別用空きビンいれを設置、

無鉛ガソリン自動車を普及させ、有機農法の生産物を販売するなど、

当時「エコ」が奇行とみなされるのもかまわず邁進した。

 

 

 

 

1980年に購入したハイグローヴ農園で有機農法を実践、

「公爵領(ダッチー)オリジナル」ブランドでうり、利益は慈善団体へ寄附する。

 

 

ジョン・トラボルタと踊りうれしげなダイアナ

 

 

90年代にはいりダイアナ妃は、対人地雷廃止やエイズ患者救済のとりくみが世界的に報道された。

チャールズやイギリス王室の伝統にならつたのだろうが、

活動歴は数年にすぎないし、離婚を機に各種団体から手をひく。

 

派手ずき宣伝ずきのヨメを王族はにがにがしくおもつていたところ、

その死により皇太子の人気が失墜したので、しかたなくダイアナ流をとりいれる。

「博愛精神は高貴なる者の当然の責務」なんていつてられない。

すすんで脚光をあびるしかない。

 

 

 

 

スポーツや社交より読書をこのむチャールズが、学生時代うちこんだのは音楽と演劇。

かれの演じたマクベスは好評で賞をとつたことも。

 

農業は「農産物産業(agri-industry)」であつてはいけない、

文字どおり「農作物文化(agri-culture)」でなくてはならないなんて講演してるが、

なかなかの教養とユーモアのもちぬしらしい。

 

 

海軍時代のチャールズ。たよりない海軍士官もいるものだ

 

 

1992年、リオ・デ・ジャネイロで「地球サミット」がひらかれる直前、

「環境と開発に関する世界委員会(WCED)」の会合で、チャールズは基調講演をまかされた。

 

東西間の問題[米ソ冷戦]は幸運にも変わりました。

いまや南北間の問題[環境]こそが重要になっております。

リオでの話し合いが、南北間の合意と協調にとって画期的な展開を見せることができれば、

長期的な視野から問題解決の糸口も見つかっていくことになるでしょう。

 

第二次大戦後の世界史は、ある母子の来歴にかさなる。

東西冷戦は、エリザベス二世が西側諸国をたばね勝利した。

環境破壊との最終戦争を息子がひきつぐ。

 

 

ブラジル原住民と交流

 

 

チャールズは熱帯雨林保全をうつたえる際、「先住民族」の協力をおもんずる。

木々や土地に関しゆたかな知識と経験をもつから。

先祖が「帝国主義」の権化なのをおもうと、立派な見識だ。

 

 

 

 

本当に植林や森林保全で緑はふえるのか?

中米コスタリカをみよ。

激減した森林面積を、政府の環境政策により回復させたではないか。

 

チャールズも演壇にたつた2009年の「COP15(国連気候変動枠組条約締約国会議)」は、

史上はじめて気候変動が高次元政治(ハイ・ポリティクス)におしあげられた瞬間。

会議は紛糾、妥協の色こい「コペンハーゲン合意」の内容も賛否あり、

国際的枠組をしめすむつかしさを痛感するが、だからこそウェールズ大公の存在感はます。

 

 

明仁および美智子と

 

 

ところで以上のチャールズの奮戦を、日本のマスメディアは黙殺。

「となりの芝生は青い」と、国民が不満をつのらせるのがこわいのか。

「ダイアナフィーバー」はなんだつたのか。

わかい美女以外のロイヤルファミリーに関心ないのか。

 

COP15では、鳩山由紀夫首相が主導的な役割をはたし、

「鳩山イニシアチブ」として評価されていることにもふれておく。




チャールズ皇太子の地球環境戦略チャールズ皇太子の地球環境戦略
(2013/07/10)
君塚直隆

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