アメリカの死刑

中山敦支『ねじまきカギュー』(ヤングジャンプ・コミックス)9巻

 

 

2004年のアメリカ連邦最高裁判所、「ローパー対シモンズ事件」の口頭辯論。

未成年(殺人をおかした時点で18歳未満)の死刑執行について、判事があらそう。

「世界の総意は死刑に反対だ」

「いや、合衆国憲法にかかわる判断は、諸外国の事象を基盤にすべきでない」

 

 

10巻

 

 

熱烈に死刑を支持する、アントニン・スカリア判事がわりこむ。

「ヨーロッパにおける死刑廃止は、民主的手続きにもとづかない。

輿論調査では、おおくの国で死刑制度がこのまれていたのに、

理想家肌のエリートたちが強引にうちきつた」

 

 

 

 

アンソニー・ケネディ判事がうけてたつ。

「ヨーロッパでそういう経緯はみられたが、議論はわかれる。

論じているのは、いまのアメリカが異常かどうかだ」

「諸外国の実態は、アメリカの道徳となんの関係もない」

「国内の行為をもつて、他国のひとびとに影響をあたえるべきという姿勢を、

これまで我々はしめしたことがないのか?

たとえばトマス・ジェファソンの様に」

 

米国の司法は、政治に腐蝕されている。

妊娠中絶の是非が、二大政党の分水嶺とみなされるなど。

それでもなお、建国神話が道標としてはたらく。

死刑執行数も、1999年の98件から下降の一途。

 

 

6巻

 

 

ボクが死刑廃止を主張するのは、政府に殺されたくないから。

客観的にみて政府は、共和主義者たるボクを殺す動機がある。

よつて戦後の冤罪事件などには、さほど関心ない。

かたや大衆は、無智で偽善的で大勢順応的だから、死刑を支持。

根拠なく、おのれは正義と錯覚する以上、話は通じない。

われら文化エリートが範をしめすべき。

 

韓国に先をこされたのはくやしいが、

アジアを啓蒙する役は日本がふさわしいし、まだおそくないはず。







【参考文献】

 ジェフリー・トゥービン『ザ・ナイン アメリカ連邦最高裁の素顔』(河出書房新社)



ザ・ナイン ---アメリカ連邦最高裁の素顔ザ・ナイン アメリカ連邦最高裁の素顔
(2013/06/20)
ジェフリー・トゥービン

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