多根清史・阿部広樹・箭本進一『超ファミコン』

『メタルスレイダーグローリー』(HAL研究所/1991年)

 

 

超ファミコン

 

著者:多根清史 阿部広樹 箭本進一

発行:太田出版 2013年

 

 

 

日本発売のファミコンソフト1053タイトルから100作えらび、それぞれの本質をじつくりかたる書物。

類書あまただが、本書は執筆者が三名と少数精鋭で、

作品ごとの文量が2-5ページと多めなのが、決定版の趣きをかもす。

 

『19 ヌイーゼン』(ソフトプロ)や『ダークロード』(データイースト)などシブい選考の一方、

個人的に『不如帰』(アイレム)や『ラディア戦記 黎明篇』(テクモ)がもれてくやしいが、

それは本書の瑕疵でない。

ファミコンにはすべてがあり、ファミコンをかたるのはつねに主観的な営為だから。

 

 

『アーバンチャンピオン』(任天堂/1984年)

 

 

ゲーム史をかんがえるときは、格闘ゲームをみるとよい。

「なぐりあい」という単純さに、先鋭的な構想がひそむ。

たとえば『アーバンチャンピオン』の「画面外へふきとばしたら勝ち」のシステムは、

15年後に桜井政博が『大乱闘スマッシュブラザーズ』で踏襲した。

逆転につながる不確定要素をこのむ、任天堂のゲームデザインの粋といえる。

 

 

『飛龍の拳スペシャル ファイティングウォーズ』(カルチャーブレーン/1991年)

 

 

『飛龍の拳』の「心眼システム」は、本シリーズをファミコンの格ゲーの最高峰にした。

自分または敵の体にしめされる、隙をあらわすマーカーをめぐり、くりひろげられる攻防。

ガードなくして本格的な格闘はなりたたないが、

防御がつよすぎると消極的な方が有利となる難題を、ランダム性により解決。

 

1991年、アーケードの『ストリートファイターII』(カプコン)は、

「打撃と投げとガードの三すくみ」という別解答をみちびく。

ガードは投げによわいから、守備一辺倒では勝てない。

これが最適解だつた。

ストIIの巨大キャラのダイナミックな挙動は、ファミコンの描画性能ではきびしい。

冒頭で「ファミコンにはすべてがある」とのべたが、

演算能力やインターフェイスにしばられる側面があるのも事実。

 

 

『ジョイメカファイト』(任天堂/1993年)

 

 

……と、おもいきや。

任天堂はファミコンで、「三すくみ」の格ゲーをつくつた。

六つのパーツがフワフワただようロボットを戦わせて。

うごくと人型にみえるし、むしろ当り判定がアツい。

 

ファミコンにはすべてがある。

 

 

『バブルボブル』(タイトー/1987年)

 

 

ゲーム界はファミコン時代から、マニアックにおちいりがちな傾向をもてあました。

「MTJ」こと三辻富貴朗は風潮にあらがい、カップルがゲーセンであそべる『バブルボブル』をつくる。

泡に敵をとじこめるのがカワイイし、アイテムもフルーツやお菓子やカクテルや宝石で、

中身はやりこみ系のアクションなのに、女子からも愛された。

 

 

『ディーヴァ』(東芝EMI/1987年)

 

 

PC六機種とファミコンで、世界観を共有するゲームをだす野心的な構想、それが『ディーヴァ』だ。

自分の機種でそだてた艦隊をパスワード化し、

友だちの家のハードに入力すれば、機種をこえた共闘が可能。

だがこの壮大な作戦は成功しなかつた。

 

ゲーム機はいまだに、「つながる」より「囲いこむ」ことに重きをおき、

くだらないハード間競争で体力ゲージを浪費している。

その最初の蹉跌もファミコンにあつた。




超ファミコン超ファミコン
(2013/06/20)
多根清史 阿部広樹 箭本進一

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