FLIPFLOPs『ダーウィンズゲーム』
ダーウィンズゲーム
作者:FLIPFLOPs
掲載誌:『別冊少年チャンピオン』(秋田書店)2013年-
単行本:少年チャンピオン・コミックス
『世界樹の迷宮II ~六花の少女~』『猫神やおよろず』『スズログ』などでしられる名手、
FLIPFLOPsの新作だ。
ボクはゲームを漫画化した『世界樹』がすきだが、
ほかは設定マニアの面が鼻につき、あまりノレなかつた。
でも架空のソーシャルゲームをえがく本作はよい。
この二人組、根つからのゲーマーらしい。
ちかごろ首都圏で続発中の、謎の人型アート。
異常にするどい器具で、アスファルトが直線的にえぐられる。
そして血痕。
警察も首をかしげるばかり。
主人公は「須藤要(すどう かなめ)」、高校生。
友人からソシャゲの招待メールがとどいたので、ためしてみる。
対戦相手は野球の球団マスコット。
なぜか目前に敵が。
一攫千金をねらう格闘ゲームがはじまる。
着ぐるみの中の人は、知人の知人。
「ダーウィンズゲーム」は、いわゆるフリーミアム製品ゆえ、
無料であそべるが、死というおもい課金がなされることも。
参考画像:FLIPFLOPs『世界樹の迷宮II ~六花の少女~』(REXコミックス)
作画の高畑ゆきは、得意のロリぷにな絵柄のかわりに、
こまかな線で影をつける、ざらざらした質感の描写をえらんだ。
真鍋昌平みたいでビックリ!
参考画像:烏丸渡『NOT LIVES -ノットライヴス-』(電撃コミックス)
「少年少女のバトルロイヤル」という題材はありきたり。
ただ本作は、「平凡な日常」との対比がない。
いきなり巻きこまれ、ひたすら殺しあう。
ゲームは、ゲームであればよい。
プログラム(非電源ならルール)とインターフェイスで世界は完結、それのみでうつくしい。
この感覚、わかる人はわかるはず。
ドアラ(ぽいやつ)の中の人をくだす。
全情報はビットに、全画像はピクセルに還元され、ゲーム終了とともに消滅。
人型アートの正体はこれ。
『NOT LIVES』のディリート場面に匹敵するあざやかさ。
ガチャをひき、レアアイテムをえた途端、自宅に小包がとどく。
さつきウチも、クリックから24時間たたず荷物がきたばかりで、
現代ならではの生活感を共有せずにおれない。
ダンボールに「konozama.com」のロゴ、中身はベレッタ。
ドアラもそうだが、本作は「日常」と「ゲーム」のうえに、
「ネット文化」のレイヤーをかさね、屈折したリアリティを表現する。
主人公がガンナーさんみたく不器用に銃をあつかう様子は、
フリフロ版SQのファンとしてはうれしかつた。
「ダーウィンズゲーム」は、慾望の街・東京で猛威をふるう。
都市伝説の域をこえた戦いとなる。
こんなチャチなので私を殺そうなんて、ワロスとしかw
発言で草を生やしたがるヒロイン、「シュカ」。
真鍋昌平的な視野のなかで、ロリぷに美少女が、ネットスラングをぶちまける。
だれもみたことない世界。
![]() | ダーウィンズゲーム 1 (少年チャンピオン・コミックス) (2013/06/07) FLIPFLOPs |
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