『ネイビーシールズ』

アメリカ海軍「SEALs」隊員出演による、特殊部隊ものの決定版

 

 

 

ネイビーシールズ

Act of Valor

 

監督:マイク “マウス” マッコイ スコット・ワウ

制作:アメリカ 2012年

 

 

 

 

出演者名が明記されない、世にもめづらしき劇映画。

シールズ隊員の実名は機密扱いということか。

水も滴るイイ男なのに勿体ない。

 

 

 

 

東南アジアの密林。

拉致されたCIA工作員を奪いかえすため、あせらずひとりずつ殺す。

かれらは一種の半魚人で、水中からの潜入はお手のもの。

 

 

 

 

特殊部隊は絵にならない。

影にひそむのが本領だから。

そもそも全篇がナイトヴィジョンでないとおかしい。

 

 

 

 

顔も迷彩をほどこし、だれがだれやら。

シールズ隊員の役は、ホラー映画の幽霊にちかい。

名はなく、個性もない。

あつても表にでない。

 

 

 

 

お気にいりは、RQ-11レイヴン無人偵察機をとばすところ。

模型飛行機みたいなのをヒョイとなげる。

 

 

 

 

プロペラで推進し、高度300mまでとぶ。

夜でも撮影できる。

ものすごくほしいが、システム全体で2000万円するとか。

 

 

 

 

地上から無線操作。

ああ、ほしい。

ついでにM4も。

 

 

 

 

まる見え。

卑怯ですらある。

殺人的な選抜試験と訓練をくぐりぬけたシールズ隊員は、

ハイテクにたよらずとも最強の殺人機械だ。

しかし、より卑怯なほうが勝つのが戦争なら、いくらでも卑怯になる。

 

 

 

 

CIA工作員モラレスへの拷問は、戦争映画の閾値をこえる。

女の手に電動ドリルで穴をあけたり。

シールズはおどろかない。

膝をやられないだけマシ、とでも言いたげ。

 

 

 

 

目を撃たれた一等兵曹の「マイキー」。

意識をとりもどし錯乱する。

殺人機械といえど、つねに冷静でいられない。

本作にキレイゴトはない。

戦争は腐臭ただよう泥沼。

 

 

 

 

 

 

 

プロの殺し屋兼アマチュア俳優のなかで、

名演をみせたのは上級曹長の「シニア」ことミラー。

軍事に疎くて残念だが、下士官が作戦をしきる様にみえ驚いた。

 

 

 

 

密輸業者「クリスト」のクルーザーへ、南太平洋でのりこむ。

許可をもとめずに。

星条旗バッジつきのスーツに着替えたシニアが尋問開始。

服装で優位にたち、見栄つぱりな相手を揺すぶる。

あえて手枷をとき、余裕をみせる。

わざと名をまちがえ、いらつかせる。

敵に指一本ふれない暴力。

 

 

 

 

こいつは実行犯でないが、総じて敵方も魅力的に描かれている。

敬意を感じる。

とぼしい資産でオレらに挑戦するのだから、たいしたものだと。

 

 

 

 

「……ゲームか何かのつもりか!?」

ガシャーン!!

だがゲーム感覚にみえるのは、むしろシニアのほう。

世界で指折りの悪党と対峙するのが、たのしくないはずない。

でないと危険すぎてワリにあわない仕事だ。

 

 

 

 

 

 

 

チームリーダーのローク大尉は、身重の妻をのこし遠征にでる。

俗に「死亡フラグ」という。

いやな言葉で、二度と使うまいとおもつた。

 

 

 

 

かれらの生活は、毎日が「死亡フラグ」だから。

そういう人生が実在する。

肉体を酷使しすぎ、えてして年齢より老けてみえる。

でもその面構えは、どんなイケメン俳優よりうつくしい。

 

 

 

 

ところで宣伝文句やレヴューで、安易に「リアル」「リアル」といわれがちな本作だが、

『ブラックホーク・ダウン』や『ティアーズ・オブ・ザ・サン』とくらべ、それほど傑出してるか?

長篇映画を手がけた経験のないマッコイとワウの演出は稚拙な面があり、

もしリドリー・スコットが撮れば、よりリアルになつたといえる。

 

おのが人生で、日々フラグを立てるものこそ、真のリアリティを感じとれるだろう。

「生存フラグ」や「恋愛フラグ」でかまわないが。





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苑田 謙

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