中山敦支『ねじまきカギュー』第五巻

加速する学園バトル漫画

 

 

 

 

ねじまきカギュー

 

作者:中山敦支

掲載誌:『週刊ヤングジャンプ』(集英社)2011年~

単行本:ヤングジャンプ・コミックス

[以前の記事は、こちらを参照のこと]

 

 

 

 

今月はじめに取り上げたばかりだが、あれが駄作におもえた。

第五巻が絶倫すぎて。

 

もともと平穏でない学園を、麻呂眉と黄金比の美脚をもつ女が、さらに掻き乱す。

支那うまれ支那そだち。

體がよわく、漢方の国の人間なのに、あやしい薬に依存していきる。

名は「マブルゥ」。

 

 

四巻から

 

 

カギューの実姉だ。

前巻での感動の再会シーンのとおり、姉妹仲はよい。

 

 

 

 

来日したのは、カギューが慕うカモ先生にあうため。

正確にいうと、あつて殺すため。

カモキュンが視野にはいつた瞬間、息の根をとめんと跳躍。

 

 

 

 

くりだすは「螺旋巻発条脚(ねじまきぜんまいきゃく)」。

妹とちがい蹴り技しかつかわない。

『鉄拳チンミ』のタンタンへのオマージュか。

殺意を沸らせたまま、カギューの成長をよろこぶ。

 

 

 

 

自分が愛する人の命を、なぜ姉が奪おうとするかわからない。

 

マブルゥいわく。

こいつは、あたいらの家族にふさわしくない。

生徒全員が平等とか、無償の愛とか、

キレイゴトばかり並べる八方美人は、ひとりを一生愛せない。

「人の愛は 有限なんだぜ」

 

肉体をもつ人間のいとなみは有限。

真実だ。

『ねじまきカギュー』の登場者は、みなそれぞれ正義をせおう。

 

 

 

 

「カモ先生の愛は無限なのっ!!!!!!」

相克する哲学。

 

「でも殺す」

カモキュンの左腕がボギンとへし折られた。

 

 

 

 

 

 

 

そこへ生徒会一同が介入。

メッシュの上着を羽織るは、生徒会長「二千恵衿沙(にちえ えりざ)」。

作者の筆の勢いがつたわるだろうか。

怒涛のごとく新キャラがあらわれるも、むしろ物語は濃密に。

 

 

 

 

副会長の貞鳥(てとり)と亜鳥(あとり)、後上姉妹がマブルゥと対峙。

 

 

 

 

描きぶりに迷いなし。

天才が天才を発揮するのをみて、ひとは恐怖する。

あまりのスピード感に、振り落とされそうな錯覚をおぼえる。

嫉妬する暇すらあたえない。

 

 

 

 

会長の武器のひとつは政治力。

煽動された群衆は、二本の脚で蹴散らせない。

 

 

 

 

カギューの同級生「中村窈」を盾にして、

マブルゥは政治屋に、政治的判断をせまる。

底しれない女だ。

窈は本作にしては影がうすいが、不意に布石としてはたらきだす。

 

これにて第二部の前哨戦(!)終了。

おもわずため息。

 

 

 

 

 

 

 

もつれた糸を、一本ずつ解きほぐす。

そういや無限とか有限とかいつてたつけ。

 

 

 

 

かつて力づくで「純異性交友」を学校にみとめさせたカギュー。

教師が生徒にプロポーズ的なアレを口にしても、だれも異としない。

恋敵の元風紀委員長「犬塚紫乃」だけジト目だが。

 

マイシスター紫乃のくだりも引用したいが遠慮しておく。

ブログ執筆は有限なんだぜ。

 

 

 

 

生徒集会。

生徒会長が、空席の風紀委員長を兼任する承認をえた。

大雑把にいうと、ひとりで行政権と司法権をにぎる。

逆に元風紀委員は、カギューらと同盟し、独裁権力とたちむかう。

そこへマブルゥや理事長や森センセ(大好き)の思惑もからんで……。

 

本作は少年漫画的インフレーションにおちいらず、

つねに箱庭のレアルポリティークに目をくばる。

矛盾せず破綻しない。

週刊連載だと信じがたい。

 

 

 

 

ゆえにボクのお気にいりのスタントンファー使い「御門朱羽」も、

戦闘力で置き去りにされるが、「パンツキャラ(笑)」としての見せ場あり。

 

 

 

 

さて人質にされた窈は、なしくずしでマブルゥと同居生活をはじめる。

カギューへの恋心をみぬかれ、唆されて告白するも轟沈。

カモ先生との間に割りこめるはずないと、しつてたのに。

 

 

四巻から

 

 

ちなみに彼女は「男の娘」。

中山敦支ほどの描き手が、流行を後追いするなんて、とおもつてたら。

 

 

 

 

本作ただひとりの「オトコノコ」として、ドス黒い衝動を暴走させてゆく。

 

『ねじまきカギュー』。

とにかく唯一無二の漫画だ。





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中山 敦支

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