森猫まりり『源氏物語~愛と罪と~』3巻

 

 

源氏物語~愛と罪と~

 

作者:森猫まりり

掲載誌:『Sho-Comi』(小学館)2019年-

単行本:フラワーコミックス

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3巻は若紫篇である。

紫上は初登場時まだ10歳。

庭で雀をつかまえて戯れる、無邪気な少女だった。

 

のちに心身ともに成長し、この作品のヒロイン格となり、

原作者の呼称「紫式部」の由来とされる重要キャラだ。

 

 

 

 

祖母が他界し、頼れる身寄りがいなくなった紫上に、源氏は同情する。

保護するという名目で、幼女誘拐犯さながらに自邸へ連れ去ってしまう。

 

 

 

 

源氏の庇護のもと、紫上はおだやかな生活を送る。

「潮が引く様にお兄さまの心が離れたら嫌だ」とか、

絶妙な切り返しで源氏をタジタジとさせたりする。

このとき紫上は14、5歳で、海など見たこともないだろうに、

それらしい返歌をさらっと詠むあたり、知性と教養が光っている。

 

本作は、女子中高生にもダイレクトに伝わるスタイルを採用するが、

その枠内で宮廷文化の香りを漂わせるのが巧い。

 

 

 

 

ある日源氏は豹変し、保護者としての仮面を脱ぎ捨てる。

計画通りであり、正妻葵上を喪った悲しみゆえの行動でもある。

心の準備ができてない紫上は抵抗するが、相手が源氏では分が悪い。

 

性愛というものの暴力的な本質を抉り出す名場面である。

衣擦れの音がエロティックだ。

 

 

 

 

信頼を裏切られた紫上は悲嘆に暮れる。

自分への優しい態度は、すべてこれが目的だったのかと。

そして庭を歩きながら身の振り方を考える。

 

例の行為は許せないが、これまで源氏から大切にされてたのは事実だ。

不自由なく暮らせる私は、客観的に見て幸福な女だ。

主観的には不幸だが、ならば幸福とはそもそも何か。

私はいったい誰に何を求めているのか。

 

人生の荒波に翻弄されるヒロインの心理描写が冴えている。





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テーマ : 漫画
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苑田 謙

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