恩田ゆじ『神木兄弟おことわり リトル・ブラザー』

 

 

神木兄弟おことわり リトル・ブラザー

 

作者:恩田ゆじ

掲載誌:『別冊フレンド』(講談社)2019年-

単行本:講談社コミックス別冊フレンド

[ためし読みはこちら

 

 

 

2015-17年に連載された『神木兄弟おことわり』のスピンオフである。

本篇では脇役の「山下セリナ」を主人公に据え、

かわいさの道を究めようとする美学をえがく。

 

 

 

 

セリナは、道端で見知らぬ女の子にチェキをせがまれたり、

ツイッターのフォロワーも5000人をこえるカリスマだが、恋愛経験はなし。

かわいくするのは、モテたいためではなかった。

むしろ下品に女を値踏みしたりする、男の粗野なところが嫌いだった。

我慢できずに面と向かって啖呵を切ることもある。

 

 

 

 

カワイくてイケメンなセリナが、クソ野郎どもに復讐される。

違うクラスの男子に誘われ、なんとなく出掛けたデートが実は罠で、

それに気づいて呆然とする彼女のヒールが、エスカレーターに挟まる。

残酷で印象的なシーンだ。

 

 

 

 

そんな冴えない日常のなか、セリナは弟の様に可愛がる橙次郎と急接近。

ツーショット写真をツイッターにバンバン上げてたら、

彼氏だと勘違いしたフォロワーが勝手に恋バナで盛り上がり、

「これで彼氏じゃなかったらただのビッチ」と決めつける過激派も現れ、

恋愛に消極的だったセリナですら退路を断たれる炎上案件に。

 

自称デジタルネイティブ世代ならではの恋模様がたのしい。

 

 

 

 

モヤモヤしたまま橙次郎と遊園地へゆく。

つれない態度に怒った橙次郎に放置され、ミラーハウスで迷ってしまう。

心象風景として好都合なミラーハウスは、物語の舞台によく出てくるが、

本作での孤独感の表現は、大袈裟でおかしくて、そしてせつない。

 

 

 

 

セリフ、表情、小道具などで共感を誘う少女漫画のテクニックを、

ちょっとハズしながら駆使する、卓抜なセンスが光る作品だ。




関連記事

テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

最近の記事
記事の分類
検索とタグ

著者

苑田 謙

苑田 謙
漫画の記事が多め。
たまにオリジナル小説。

Twitter
メール送信

名前
アドレス
件名
本文

カレンダー
09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
月別アーカイヴ
11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03  02  01  12  11  10  09  08  07  06  05  04  03