金田一蓮十郎『ゆうべはお楽しみでしたね』6巻
ゆうべはお楽しみでしたね
作者:金田一蓮十郎
掲載誌:『ヤングガンガン』(スクウェア・エニックス)2014年-
単行本:ヤングガンガンコミックス
結婚をきめたふたりは、それぞれの両親に報告する。
しかし厄介なのは、ネトゲを通じて知り合ったという事実。
世代によっては受け入れられないかもしれない。
ただし上のゴローさんの父の反応は、半分冗談。
式や指輪や旅行など、結婚にまつわるアレコレを処置してゆく。
サバサバした性格のゴローさんは、結婚式を挙げるくらいなら、
その分のお金を新婚旅行へまわし、ふたりの思い出をつくりたいという考え。
いまどきの女子の人生観をわかってないパウの方が、
相手を気遣うあまり、保守的な提案をしがち。
ネトゲのコミュニティから発生したカップルなので、
最初に相談する相手もネトゲ仲間をえらぶ。
チーム内でゴローさんは男と認識されており、パウの説明不足もあいまって、
ふたりをゲイのカップルとおもいこんだメンバーたちは動揺する。
ゴローさんと母親のやりとりがよく描けている。
さすがは女性作家という感じ。
離婚して雑貨店をいとなむ母は、ゴローさん以上に淡白なところがあるが、
ルームシェアの相手が実は男だったと知って、いまさらながら驚く。
ここに本作の真のテーマがある。
「ネトゲでのつながりは、ときにリアルより深い」とゴローさんは信じ、
そしてそれは一面の真理であるが、とはいえ母が心配するのも当然だ。
なにかのきっかけで豹変する男もいる。
そういう意味でゴローさんは幸運だった。
ネトゲという題材で、いかにも現代的でカジュアルな男女のあり方をえがく一方で、
表面からはみえない奥底で、燃える様にロマンチックな愛が脈打っている。
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