久野遥子『甘木唯子のツノと愛』

 

 

甘木唯子のツノと愛

 

作者:久野遥子

発行:KADOKAWA 2017年

レーベル:ビームコミックス

[ためし読みはこちら

 

 

 

中学1年の「唯子」は、教室でもどこでも帽子をかぶっている。

クラスの男子がイタズラで脱がそうとするが死守。

なにか隠してるらしい。

 

 

 

 

唯子の額にはツノがあった。

秘密を知った神父から、自分がユニコーンかもしれないと教わる。

 

多摩美を出た27歳の作者は、キラキラまぶしいキャリアの持ち主。

旧約聖書への言及など思わせぶりな表現に、育ちのよさを感じる。

 

 

 

 

短篇集である本書は、在学中の2010年発表の作品もふくんで玉石混淆だが、

表題作である『甘木唯子のツノと愛』はプロらしい出来映え。

100ページ弱に、母の死などの仕掛けが詰まっている。

 

 

 

 

いつも自分を守ってくれる兄に恋人らしきものができ、唯子は動揺。

帽子を落として露出した額を、その「野重さん」に触られる。

なにごともなく。

唯子のツノは、孤独な兄妹がはぐくんだ幻想だったと明らかに。

 

 

 

 

幻想性が本作の吸引力となっている。

部屋に散らばる段ボール箱を、迷宮として演出するカメラワーク。

それを、映画監督・岩井俊二は単行本帯で「意思を持ったパース」と、

卒業制作の担当教員・野村辰寿は「全篇浮遊するカメラワーク」と評する。

 

 

 

 

思春期の通過儀礼で否定された唯子のツノは、攻撃性の象徴だろう。

オトナなら、隠さないといけないものだ。

もちろんペニス羨望を視覚化した、屈折した近親相姦の物語でもある。

 

本書に収録された初期の3篇は、いかにもサブカル調で僕の趣味じゃないが、

最新の表題作はジャンルのタコツボを抜け出て、精彩を放っている。





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苑田 健

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