座紀光倫『少年の残響』
少年の残響
作者:座紀光倫
掲載誌:『月刊少年シリウス』(講談社)2016年-
単行本:シリウスKC
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天使の歌声をホールに響かせるのは、
オーストリアかどこかで活躍するアウゲンブリック少年合唱団の面々。
聴衆には感動の涙を流すものも。
もともと孤児院だった寄宿学校で、少年たちは音楽と勉強をまなぶ。
彼らが習得したのは声楽だけではない。
銃器のあつかいかたを仕込まれ、暗殺を請け負う。
その報酬で寄宿学校は運営されている。
わかりやすく言えば本作は、ショタ版『GUNSLINGER GIRL』。
表現は全体的にアーティスティック。
少年ひとりひとりの心象風景を、各話でえがく。
第1話のミヒャエルは、殺された母の記憶にすがって生きている。
くせっ毛のエーリヒは極端なあがり症。
しばしばステージ上で卒倒する。
指揮者をつとめるクリス先生は、エーリヒを心配している。
先生は元団員で、暗殺仕事の引率もする。
少年らしい体つきをながめる視線が倒錯的だ。
暗殺のオペラを演じるとき、エーリヒは強気。
もうすぐ死ぬとわかってる人たちなんて、こわくないから。
エピソードとしては第3話が秀逸。
可憐な容姿を買われ、娼婦のふりをしてターゲットにちかづくカルルと、
初老の客のあいだに奇妙な心の交流が生じる。
男色をさらっとキレイにえがいており感心した。
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