鬼八頭かかし『たとえ灰になっても』2巻

 

 

たとえ灰になっても

 

作者:鬼八頭かかし

掲載誌:『ヤングガンガン』(スクウェア・エニックス)2016年-

単行本:ガンガンコミックス

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2巻では、命懸けの丁半ダウトに決着がつく。

「通し」をつかった山田により主人公のユキが追いこまれるが、

実は……とゆう、ギャンブルものの作法にのっとった仕掛けをみせる。

 

 

 

 

山田の良心が崩壊し、エゴイズムの虜になってゆく過程を、

作者は底の底まで徹底的にえがく。

福本伸行で言うと『銀と金』にちかいストーリーだ。

 

 

 

 

煉獄的な空間での、美少女のアバターをもちいたギャンブルとゆう、

ちょっとわかりづらい本作の構造には、おそるべき爆薬が設置されていた。

こればかりは読んで確かめてくれとしか言い様がない。

 

 

 

 

本作のおたのしみ、拷問シーン。

天使クロエルが用意したのは「ファラリスの雄牛」。

『処刑と拷問の事典』(原書房)によると、

冷酷な僭主ファラリスでさえ不快感をしめした、最悪の拷問器具だ。

 

 

 

 

クロエルは『カイジ』で言うと、兵藤や利根川に相当する敵役だが、

それらには求めようのないエロスが本作を特別なものにしている。

 

 

 

 

僕は中山敦支の『うらたろう』を読んで、受け手が物語に対し、

「そこまでやるか」とおもったとき、作り手は成功したと言えるとおもった。

クロエルはまさにそれ。

想定以上に非道なので、かえって魅力的。

 

 

 

 

作者は原因不明の眼病(強膜炎)を患い、激痛と闘いながらの執筆だったらしい。

おそらくハードな物語が、作り手の心身を蝕んだのだろう。

受け手としても全力で食らいつかねばならない。





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久遠まこと『不登校の日常』

 

 

不登校の日常

 

作者:久遠まこと

掲載サイト:『ComicWalker』(KADOKAWA)2016年-

単行本:MFC

 

 

 

不登校、それは禁断の快楽。

一度はじめたら、もうやめられない。

高校2年の「早乙女雨音」は、学校へ行かなくなって2週間め。

 

 

 

 

父は仕事で不在がち、母は離婚して家を出たので、

実質的に双子の姉である「音晴(おとは)」が母親がわり。

しかし同い年の妹を面倒みなきゃならない理不尽さに、音晴はブチ切れる。

 

 

 

 

生きる価値すら否定された雨音も、負けじとキレる。

でも殴り合うのは怖いので、物に当たる。

 

不登校経験があると言う作者による「不登校あるある」がおかしい。

 

 

 

 

本作はわたモテなどと共通の、かわいくない主人公がかわいく感じられる、

ある種の「アンチヒロインもの」だが、双子の姉の存在がきいてるのが特色。

ダメ人間が主人公でも、辛辣すぎる正論で叱られるため、読者は共感できる。

たしかにそれはそうだけど、なにもそこまで言わんでもと。

 

 

 

 

一方、音晴がイラつく事情もわかる。

自宅にいれば家事に追われ、学校では妹の不登校をごまかし、

若い身空で子持ちの女みたいな苦労を強いられる毎日。

男子から告白されても、恋愛どころじゃないので断ったり。

 

 

 

 

音晴は青春をとりもどすため家族会議をひらき、父に説得させようとするが、

「娘の涙によわい」とゆう男親特有の弱点をつかれ、あっさり陥落。

さらに「雨音の気持ちもかんがえろ」「音晴はお姉さんなんだから」と、

まったく現実を見れてない父の言葉に絶望する。

 

 

 

 

血をわけた肉親さえ、いやおなじ遺伝子を共有する相手さえ、わかりあえない。

われわれはただ、精神の沙漠を孤独にさすらう。

 

本作はギャグ漫画だが、ときおり痛切に心をゆすぶる傑作でもある。





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鈴木マナツ『コネクト』2巻

 

 

コネクト

 

作者:鈴木マナツ

掲載誌:『ウルトラジャンプ』(集英社)2016年-

単行本:ヤングジャンプコミックス・ウルトラ

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『コネクト』は、ネットを介してあつまった高校生の男女が、

それぞれの才能をいかして音楽活動をする物語。

活動の規模はまだ、動画サイトへの投稿やイベントでのCD頒布などにかぎられ、

つまりフリフリの衣装で踊ったりしないので、絵面の地味さは否めない。

鈴木マナツはそれでも、カラオケ店で歌うkanonのたたずまいなどで、

彼女にしか表現できない空気をかもしだす。

 

 

 

 

となりの部屋からギュイーンとかっこいいギターの音がきこえる。

様子をうかがうと、ひとりでギターを弾きに来た制服の少女がいたが、

演奏に夢中で和奏たちに気づかない。

ちょうどギタリストがほしかったので声をかける。

 

 

 

 

ノリノリな演奏の一部始終をみられた少女は、

パーカーのファスナーをあげて顔をかくし、一目散に遁走。

 

 

 

 

定番の「パーカー女子」ではあるが、頭部全体を覆うのはめづらしいし、

目のところが涙で濡れて怪人っぽく見えるなど、非凡なキャラ造形だ。

 

 

 

 

彼女は「矢野天音」、高校3年生。

亡き父におそわったギターをこっそり弾いてるのは、

両親の離婚によって板挟みの立場におかれたから。

女子らしい葛藤をドラマティックに描写しており泣ける。

 

 

 

 

藤尾さんがひとりカラオケの魅力をかたるシーン。

たとえばアイマスの曲をうたえば、

大好きなキャラクターたちと一緒にいる気がして、元気をもらえる。

 

ぱっとしない現実から軽やかに離陸する、作者ならではの世界観。

 

 

 

 

そしてマナツ先生は、女の子の脚を描かせたら日本一。

構図のおもしろさや、直線性と曲線性のバランスや、

ハムストリングの描写など、いくら見ても飽きない。

 

さまざまな少女たちが星座をなす様にきらめく、絵になる空間。

繊細さと力づよさを兼ね備えた作風は、もっと評判になるべきとおもうけど。





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中山敦支『うらたろう』2巻

 

 

うらたろう

 

作者:中山敦支

掲載誌:『週刊ヤングジャンプ』(集英社)2016年-

単行本:ヤングジャンプコミックス

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新キャラの「伏丸(ふせまる)」は犬に化ける能力の持ち主で、脱走したちよを追う。

 

2巻時点で性別は不明。

中山敦支の作品は、ある意味で性を超越しているため、

こうゆうユニセックスなキャラ造形が映える。

 

 

 

 

冷静沈着なイメージの伏丸だが、イヌの本能にはあらがえず、

主君の藤原秀衡にナデナデされるとアヘアヘ状態となる。

ギャップ萌えの威力はさすが。

 

 

 

 

森の奥から琵琶法師があらわれた。

身なりはみすぼらしく、言動は飄々としている。

 

 

 

 

その正体は「源九郎義経」。

歴史を改変した作品世界では、壇ノ浦の戦いで討ち取られたはずの男。

琵琶にしこんだ刀を手に、八艘飛びさながらの立ち回りをみせる。

 

『うらたろう』1巻のアクションは、中山作品にしては平凡だった。

作者は攻撃衝動が涸れたので、文化人っぽい歴史モノへ逃げたのかと疑った。

杞憂だった。

ナカヤマが源平合戦を題材とした理由のひとつは、

日本史上最大のアクションヒーロー「牛若丸」に挑戦するため。

 

 

 

 

大爆発とともに、白河関が崩壊する。

こわしたのは小柄な少女と、黒づくめの不気味な従者。

ふたりを目にした秀衡が狼狽する。

 

 

 

 

少女は安徳天皇、男は義経のライバルだった平教経。

日本の存亡の鍵となるちよを抹殺しに来た。

 

1巻の感想で「中山と歴史モノの相性は最悪」などと書いた僕は、

ナカヤマ信者を自称するくせに、とんだ過小評価をしたものだ!

中山が過去を指向した最大の目的は、「天皇」と斬り結ぶため。

鹿児島出身なのにオープニングの舞台が奥州なのも、僕は不自然さを感じたが、

それはちよを東から西へ旅させ、まるごと「日本」を表現するため。

 

 

 

 

安徳天皇はロリ暴君系のキャラ。

身分が今上天皇ゆえ、個性の説得力がすさまじい。

 

 

 

 

不死である温羅太郎が、頭部だけの状態で安徳天皇の首筋に食らいつく。

そして一息に食いちぎる。

こんな漫画、あっていいのか。

 

ビン・ラディンが聖人君子におもえるほどの過激性。

中山敦支は、やっぱり中山敦支だった。

創作意欲を疑った僕は万死に値する。

先生、死ぬまで必死に死力をつくして決死の覚悟でついてきます。





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我孫子祐『恋する水族マン』

 

 

恋する水族マン

 

作者:我孫子祐

発行:講談社 2017年

レーベル:講談社コミックス マガジン

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「千代森碧(ちよもり あおい)」は飼育員として水族館ではたらいている。

担当はアザラシ。

 

いつも女子のファッションセンスがいい作家なだけあり、

防水服でさえかわいくコーデしている。

 

 

 

 

きっちり水族館を取材したらしく、「お仕事もの」として充実の内容。

ペンギン班とアザラシ班の対立とか、おもしろい。

 

 

 

 

花形はもちろん、イルカ班。

イルカショーで華麗に宙を舞う「千鳥さん」は、まるで海の女神みたい。

 

 

 

 

碧が片思いしているアザラシ班の先輩は、千鳥が好き。

つまり碧にとって千鳥は恋敵。

ランニングする千鳥を帰宅中に見かけ、いろいろかなわないと痛感したり。

 

それはともかくドット柄のパーカーが目をひく。

色気のない職場でも、おしゃれ心はとめられない。

 

 

 

 

ストーリーは、ほのぼのラブコメ。

基本的に我孫子作品は、主人公をあからさまな逆境に置かない。

「水族館閉館を食い止めるため飼育員がアイドルユニット結成!」とかではなく、

ちょっとヘンテコリンだけど、どこにでもありそうな日常を提示。

 

 

 

 

経理の「尾根川さん」は、絶大な権限をにぎってるらしい。

女性キャラの描き分けの巧さはあいかわらず。

登場人物が多いと普通は散漫な印象になるが、

我孫子作品は不思議にも、女子がふえるほど密度が濃くなる。

 

 

 

 

僕のお気にいりは、クールな獣医の「三波足子(みなみ たりこ)」。

颯爽とした美人だが、本作でいちばんの変人かも。

 

絵柄がかわって線がシュッと細くなりつつも、

かわいさにさらに磨きがかかっており、今後も注目したい作家だ。





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柴田燕ウ『はるかぜ ちょーじょーぶ!』/比嘉史果『真昼の百鬼夜行』

 

 

柴田燕ウ/祁答院慎『はるかぜ ちょーじょーぶ!』(ファミ通クリアコミックス)は、

最初のページからショートカットの女子高生が全力疾走する。

「いったいなにが起きてるんだ?」と気になる。

 

 

 

 

中学時代に陸上競技で活躍した「春風涼美」は、

運動部から勧誘されるも、とびぬけた俊足なのでたやすく振り切る。

スポーツは得意だが嫌いらしい。

 

 

 

 

隠れ場所になりそうなドアを見つけ、中へはいる。

その怪しく装飾された部屋は、「超常現象研究部」の部室だった。

 

「なんて帰宅スピリットの持ち主なの!?」の一言で主人公を引きずりこむ、

くろは『帰宅部活動記録』に比肩しうるほど巧みなオープニングだ。

ただし第2話以降は、1話完結スタイルのオカルト話がつづき、

せっかくの初速が急にスローダウンする。




 

 

 

 

比嘉史果『真昼の百鬼夜行』(ビームコミックス)は、

現代日本を舞台とする妖怪もので、各話が独立した連作だ。

この作品世界では、人間と妖怪が共存している。

第1話は動物園の獣医師と、予知能力をもつクダンの交流をえがく。

 

 

 

 

2話は人の心をよむサトリが、鳥獣保護センターの事務職員にちょっかいを出す。

スマホでしか他者とつながれない、現代文化のおかしさを風刺するエピソード。

 

 

 

 

7話は気象予報士と、雨を降らせる鵺の戦い。

なんでも予想可能とおもいこむ、利口ぶった人間たちを皮肉る。

 

比嘉史果はこれが初単行本。

かわいらしいがちょっとクセのある絵柄で、細部の描写もおもしろく、

不思議だけどホッとするファンタジックな日常をえがきだす。

でも僕は、連作形式があまり好きじゃない。

娯楽がとぼしかった手塚治虫や藤子不二雄の時代ならともかく、

いま1話完結スタイルをとる意味ってあるのかな。

たとえば妖怪探偵の女子高生が、さまざまな怪事件を解決しながら、

徐々にあきらかとなる陰謀にたちむかうストーリーとかの方がよくない?

 

 

 

 

読者としては、やはり血湧き肉躍るストーリーで手に汗握りたい。

アクティヴに飛んだり跳ねたりしてこそ、美少女はかがやくから。




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スイッチオンしたNintendo Switch

 

 

任天堂は東京ビッグサイトで、13日にメディアむけプレゼンテーションをおこない、

つづく14・15日には一般公開の体験会を開催して、

あたらしいハードウェア「Nintendo Switch」の詳細をあきらかにした。

 

Wii Uの販売が振るわなかっため、もしスイッチで連敗すれば、

任天堂は据置型ハード市場からの撤退すら考えねばならないだろう。

背水の陣である。

 

 

 

 

懲りずに任天堂は、ゲームを再定義しつづける。

平たく言えばスイッチは、据置機と携帯機双方の特色を兼ね備えるものだが、

それだけならただ便利になったにすぎず、新味が足りないと彼らはみなす。

なので左右一対の「ジョイコン」をふたりでシェアし、

スタンドで立てた画面を見ながらあそぶ「おすそわけプレイ」をアピール。

 

 

 

 

むしろ画面すら必要なく、目と目を見合わせて対戦させる。

ビデオゲームのパーティ会場への浸透作戦だ。

 

 

 

 

据置と携帯の国境における侵犯行為それ自体が、ゲーム史上の一大事件。

たとえばスプラトゥーンは、あの持ち重りするゲームパッドから解放された。

 

 

 

 

ローカルに本体をもちよってのナワバリバトル。

スプラトゥーンが再定義される。

なお携帯モードに対応したせいか、Proコントローラーでの操作が可能に。

 

 

 

 

僕は体験会で、ボクシングスタイルの格闘ゲーム『ARMS』をあそんだ。

ジョイコンを「いいね持ち」し、スプリング状の腕をのばして殴り合う。

つまり『Wii Sports』のボクシングの豪華版だが、

拳がヒットするまで間があるため、攻撃・防御・移動の駆け引きが強調される。

 

 

 

 

アメコミ調の凝ったデザインは、ポップかつクールな世界観で人目を引いた、

新規IPとしてはWii U唯一のヒットであるスプラトゥーンにあやかっている。

販売戦略的に重要なソフトだ。

それはともかく、ロボっ娘のメカニッカたんはかわいい。

 

 

 

 

モノリスソフトの『ゼノブレイド2』も発表された。

また壮大なフィールドを駆けずり回ることになる。

 

 

 

 

CGアニメ『楽園追放 -Expelled from Paradise-』を手がけた、

齋藤将嗣がキャラクターデザインを担当。

 

 

 

 

これまでのゼノブレイドは、致命的と言えるほどキャラモデルが不細工だが、

モノリスと任天堂は齋藤のCGアニメにおける功績を評価し、汚名返上をはかるのだろう。

女の子がかわいくないと、すくなくとも日本市場での成功は至難。

もしキャラがダサかったら、スプラトゥーンは国内で絶対150万本も売れてない。

 

 

 

 

スクウェア・エニックスは、3DSのブレイブリーデフォルトシリーズのスタッフによる、

『Project OCTOPATH TRAVELER』をお披露目した。

携帯機が「据置機」に合流する現象がおきている。

 

PVによるとシンプルで自由度のたかい、TRPGよりのコンセプトらしい。

スタッフは未発表で、絵師も吉田明彦とか政尾翼とか噂されてるが、

いづれにせよキーヴィジュアルはたまらなくいい雰囲気。

 

 

 

 

グラフィックは荒いドット絵と、精細な描画のくみあわせ。

戦闘はサイドビューで、コマンドもスーパーファミコン時代をおもわせる。

最近のRPGの流行を追っている。

 

 

 

 

フィールドは3Dモデルをドット絵風に演出。

手前と奥がぼやけてたり、水面がフォトリアルだったりで、ミニチュアみたい。

RPGでの街の探索や会話がかったるくてスルーする僕でさえ、

じっくり歩きまわりたくなった。

 

 

 

 

カプコンの『ウルトラストリートファイターII ザ・ファイナルチャレンジャーズ』。

「ドット絵のストIIの復活!」が謳い文句。

ジョイコンは、幅10cmで重さ50gしかないのにLRボタンがついており、

SFCとボタン数がおなじであるため立ち上がった企画の様だ。

 

 

 

 

途轍もない人出だった体験会で揉みくちゃにされた僕は、

ゲームを心から愛するひとびとが日本にまだたくさんいるのを実感した。

この文化は守るべきとおもった。

 

Nintendo Switchは、過去を否定し肯定するハードウェアだ。

ひとことで言い表せない。

もう後はないけれど、前途は滔々とひらけている。



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火曜『ちょっといっぱい!』

 

 

ちょっといっぱい!

 

作者:火曜

掲載誌:『まんがタイムきららフォワード』(芳文社)2016年-

単行本:まんがタイムKRコミックス

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「きららフォーマット」とは、思春期女子が(セックス以外の)さまざまな文化に触れ、

ひとびと(おもに同年代の女子)と交流しながら成長する姿をえがくもの。

10年代でもっとも成功した物語形式だろう。

 

本作のヒロインである16歳の「宮原もみじ」は、居酒屋の店員としてはたらく。

頭巾が猫耳っぽくてかわいい。

 

 

 

 

もみじは亡き祖母がやっていた居酒屋の、たのしそうな雰囲気が好きで、

調理や接客にもともと興味をいだいていた。

そして学校の帰り道、「こはる屋」とゆう店の前に立ってたら、

ちょうど修羅場で猫の手も借りたかったのでスカウトされる。

 

 

 

 

あかるい性格や手際のよさが評価され、もみじは正式に店員となる。

 

それにしても、メイドカフェさながらの絵面の破壊力!

どんだけボッタクられても文句は言えない。

 

 

 

 

こはる屋は料理にこだわる店。

タコさんもイキがよすぎてシメるのに苦労する。

 

 

 

 

美人ぞろいの店員同士のチームワークも良好。

たとえば仕入れ担当の「真澄」は大酒飲みなので、

客から酒の品揃えを信頼されている。

 

 

 

 

きらららしい、学園生活での百合エピソードもあり。

 

作者にとって4コマ漫画でない連載は本作がはじめてらしいが、

女の子がビビッドにかがやいていて、目をたのしませる。

 

 

 

 

もしあなたが、元気いっぱい健気にがんばる女子をみて癒やされたいなら、

本作はかならず値段以上の見返りを提供するだろう。

サービス業として完璧な仕事ぶりだ。





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『ザ・スクワッド』

 

 

ザ・スクワッド

 

出演:ジャン・レノ アルバン・ルノワール カテリーナ・ムリーノ

監督:バンジャマン・ロシェ

制作:フランス/イギリス 2015年

[予告篇はこちら

 

 

 

武闘派の刑事役のジャン・レノが、パリで大暴れするフランス映画。

アクション映画好きなら満足まちがいなしの傑作だ。

 

 

 

 

主人公は凶悪な強盗グループを逮捕しようと追う。

グループの構成員はみな高度に訓練された傭兵で、

犯行の手口は洗練されており、かつ情け容赦ない。

 

 

 

 

一般にフランス文化は、アメリカ文化とくらべて権威に対する服従心が薄い。

映画も「勧善懲悪」の傾向があまり強くない。

不倫の恋をえがくなど、「オトナの物語」に仕上がっている。

 

 

 

 

とはいえ、特筆すべきは冴え渡るアクション。

敵味方がド派手にブッ放してくれるので爽快だ。

 

 

 

 

強盗グループがFN SCAR-Lなんて良い銃をつかうのがうれしい。

敵の方が練度が高く、ファイア・アンド・ムーブメントの戦術的機動をおこなうので、

銃撃戦は容易に決着つかず、パリ市街は大混乱におちいる。

 

 

 

 

突貫小僧的な刑事を演じるアルバン・ルノワールの活躍が印象ぶかい。

映画終盤の自動車工場での格闘における逆転劇は、意表を突かれた。

 

 

 

 

ジャン・レノは現在68歳だが、映画では年齢を感じさせず、

むしろ例のしゃがれ声で健在ぶりをアピールしまくっている。



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守月史貴『捻じ曲げファクター』/箸井地図『ホーンテッド・キャンパス』

 

 

守月史貴『捻じ曲げファクター』(ヤングアニマルコミックス)3巻。

ふわふわとろけそうな「鴨川紗知」のカラダは、あいかわらずおいしそう。

 

 

 

 

紗知にちょっかいを出す、謎のツインテ少女「灰子(はいね)」にも見せ場あり。

言うまでもなく守月史貴は豊満な体型を得意とする作家だが、

濡れたブラウスごしに透ける小ぶりな胸の乳首でも、読者をしびれさせる。

 

 

 

 

百合ビッチな「九重百花」は表紙を奪取するだけでなく、

「九重P」を名乗り陰謀をくわだて、紗知を幼なじみの男から引き離そうとする。

 

こんな具合で3巻は脇役に食われ、ヒロインの影がうすい。

シンプルなラブコメに分類しづらくなったのは、よろしくない傾向だ。

まあそれはともかく、九重Pはかわいい。



 

 

 

 

 

箸井地図/櫛木理宇『ホーンテッド・キャンパス』(Nemuki+コミックス)3巻。

かなしいが箸井版の「灘こよみ」はこれで見納め。

 

 

 

 

当ブログでは、「清楚」や「透明感」みたいな常套句をできるだけ避けてるが、

箸井版灘こよみに関しては禁を破りたくなる。

飾り気ないが洗練された服装、マジメな性格がにじみでる表情。

理想の女子大生とよぶべき隙のないうつくしさ。

 

 

 

 

最終11話。

自殺が頻発すると噂される沼での怪現象をえがく。

ビアズリーの絵みたいな幻想性にとむ扉絵だ。

 

 

 

 

アップでは勿論のこと、背景の一部としても絵になる箸井版こよみだが、

その恋模様はもどかしいほど進展ないままだった。

 

ヒロインの寿命は永遠ではない。

息のあるうち、もっともっとはげしく燃え上がってほしい。




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柴『おおきなのっぽの、』

 

 

おおきなのっぽの、

 

作者:柴

掲載誌:『月刊少年シリウス』(講談社)2016年-

単行本:ワイドKC

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「古戸蛍(ふるど ほたる)」は小学4年生だが、身長170cm。

大きな背中に小さなランドセルを背負う姿は、やたら目立つ。

 

 

 

 

学校では下級生になつかれている。

どうやら先生に間違われてるみたいだけど。

 

 

 

 

蛍の内面は、年齢以上に幼い。

友達とデパートへ買い物にいったところ迷子になるが、

子供に引率してもらう頼りない母親だと、店員にあきれられる。

 

 

 

 

4コマ漫画ならではの年中行事も、のっぽネタで解釈。

背が1年で急激にのびたので、雛壇がちぢんだと錯覚したり。

 

 

 

 

本作は柴の初単行本。

力づよい太めの描線が異彩をはなっている。

 

作品全体としては、学校や商店街の人物の出入りがはげしい群像劇で、

ちょっと気負いすぎたのか、散漫な印象がある。

ただ、初潮をむかえた同級生が保健室で相談にのってもらうのを見かけても、

蛍が全然察しないとか、心にのこるシーンはたくさんあるけど。

 

 

 

 

pixivのプロフィール欄にこうある。

 

自分が描きたい作品と

自分に描くことのできる作品、

そして自分に求められている作品。

 

要はこの三つのせめぎ合いなんでしょうね。

 

いろいろかんがえるタイプの、マジメな作家なのだろう。

僕はすきだ。

うつくしい描線で、個性的なキャラをえがけるなら、贔屓せざるをえない。





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ねこ末端『陽下3姉妹はかまってほしい』

 

 

陽下3姉妹はかまってほしい

 

作者:ねこ末端

掲載誌:『コミック電撃だいおうじ』(KADOKAWA)2016年-

単行本:電撃コミックスNEXT

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きょうだいモノの注目作である。

中学3年生「貞利」の母親の再婚相手に娘が三人いて、

しかも美人ばかりなため自宅はいきなり花園と化した。

 

 

 

 

高校1年の次女「美乃里」はかまってちゃん。

ぱっつん前髪に三つ編みがかわいい。

もともと弟がほしかったそうで、やたらちょっかいを出してくる。

薄着でうろつく義姉に90cmのバストを見せつけられ、貞利は目のやり場にこまる。

しまいにはやりすぎて、新米姉弟は気まづい雰囲気に。

 

 

 

 

長女の「珠璃(じゅり)」は家では裸でいる主義だったが、

思春期男子にはあんまりだから、水着で手をうつ。

胸の大きさはともかく、スタイルのよさは美乃里に負けてない。

水着も日替わりで、裸よりかえってエロいかも。

 

 

 

 

三女の「杏梨」は爬虫類がすきな小学生。

ちょっと反応うすい子だが、お兄ちゃんができて嬉しいらしく、徐々に心をひらく。

 

 

 

 

やはり胸囲が物を言うのか、次女の美乃里がヒロイン格だ。

描写がこまやかで、ブレザーの皺や影にみとれる。

あと右の黒髪ショートの子は僕好みで、モブキャラなのに印象的。

 

ねこ末端はあとがきで、本作は作画に特に力をいれたと述べており、

ヴィジュアルは実際、前作とくらべ格段に充実している。

腕が上がったのだろうし、リソース配分見直しのおかげもあるだろう。

プロット構築やネーム作成や取材や資料集めより、

女の子をえがく作業にひたすら時間をついやすべし。

それが自分の強みだから。

 

 

 

 

とはいえ空疎な作品ではない。

映画館デート中にガラの悪い連中にからまれたとき、

俺は「弟」なんかじゃないと、貞利は男らしさをアピール。

 

親の事情で共同生活をおくることになった思春期の男女が、

おたがいを知りながら関係をふかめてゆく一方で、

義理とはいえ姉弟であるため葛藤も表面化する。

 

 

 

 

2017年1月現在、きょうだいモノに目新しさは感じられないが、

かわいさの一点突破によって群を抜いた輝きをはなつ本作は、

極上の癒やしを読者に注入してくれる。





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晴野しゅー『疾風ういんどみる!』

 

 

疾風ういんどみる!

 

作者:晴野しゅー

掲載誌:『まんがタイムきららキャラット』(芳文社)2015年-

単行本:まんがタイムKRコミックス

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文化系も体育会系も、リアルもファンタジーも、陸も空も、

きらら系コミックは手当たり次第にクラブ活動をとりあげてきた。

本作ではあらたに、「風鳴高校ヨット部」が海原を疾走する。

人魚姫さながらの美少女たちは、海が似合う。

 

 

 

 

小型ヨットにはふたりで乗る。

スキッパーが操縦役で、クルーはバランス取りなどをおこなう。

広い海でふたりきり、まるでデートみたい。

ヨットは百合のためにある。

 

 

 

 

ロープワークとか、向かい風でもヨットが前進する原理とか、

ゆるふわおもしろだけど読んでためになるのは、いつものきらら系4コマ。

たとえばハーネスをつけて舟から身を乗り出し、体重をかける身のこなしは、

バレエや、カンフー映画のワイヤーアクションみたく優雅。

 

 

 

 

ヨットの上で踊っていたのは、名門校のお嬢様である「鳳いさな」。

風鳴高校ヨット部部長「神代颯天(かみしろ はやて)」の凛とした美貌と、

あざやかな操船能力に惚れこみ、引き抜きをはかる。

 

 

 

 

好条件を提示されるも申し出をことわる、はやて。

乗員同士の信頼関係がないとレースはできない。

愛とゆう風をうけてヨットは走るから。

 

 

 

 

晴野しゅーは「しゅー」名義をふくめて10年以上のキャリアをもつが、

これが満を持しての初オリジナル単行本らしい。

絵柄はシンプルだが味わい深く、動きがある。

双子姉妹の「ミミ」と「ナナ」をちょっと見るだけでも、充実ぶりがつたわるだろう。

 

 

 

 

きららは、ただ絵が可愛いらしいだけの凡作もすくなくないが、

本作はすこぶる完成度が高い。

バランスがよすぎて破綻がなさすぎて物足りないくらいだ。

かわいさもギャグもトリビアも百合も、潮風とともに存分に吸いこもう。





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テーマ : 4コマ漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: きらら系コミック  萌え4コマ 
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苑田 健

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