エドワード・ルトワック『中国4.0 暴発する中国帝国』
『ラブライブ!』(テレビアニメ/2013年)
中国(チャイナ)4.0 暴発する中華帝国
著者:エドワード・ルトワック
訳者:奥山真司
発行:文藝春秋 2016年
レーベル:文春新書
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ロシアには「戦略文化」があると著者は言う。
戦争をすれば必ず勝つ。
ドイツが必ず負けるのと対照的に。
戦略文化とは、言葉の重さだ。
それがない国、たとえば中国の習近平の言葉は軽い。
「尖閣は中国領」だと宣言しても、その実現のためになにもしない。
プーチンだったらとっくに占領してる。
野田サトル『ゴールデンカムイ』(ヤングジャンプコミックス)
ではなぜロシアは日露戦争で、日本を打ち負かせなかったのか。
「シーパワー(海の軍事力)」で優っていても、
その上位概念である「海洋パワー(maritime power)」を理解しなかったから。
「海洋パワー」は、他国との関係性からもたらされるもの。
日本の同盟国イギリスは、当時世界中の港を支配しており、
妨碍されたバルチック艦隊は、日本海に到達するころには疲弊しきっていた。
筆者の「大国は小国に勝てない」説の補足が必要だろう。
例としては日露戦争・冬戦争・ベトナム戦争などがあげられる。
大国が小国を脅かせば、ほかの大国がその小国を支援する。
パラドクシカルだが、これが歴史の論理だ。
中国はロシアの資源をもとめており、そのための力を蓄えている。
いづれロシアは日米の側につき、中国に対するバランシングをおこなう。
日本はロシア嫌いのアメリカの顔色をうかがいつつ、手を差しのばすのが正解。
とるべき戦略は、「受動的な封じ込め政策」。
こちらからはなにも仕掛けず、ひたすら八方美人としてふるまう。
当てにならないアメリカと馴れ合いの関係をつづけつつ、
テーブルの下でロシアの手を握り、夜郎自大な中国に愛想をふりまく。
ブチ切れて第二の真珠湾攻撃をおこせば、また国を滅ぼすから。
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