クマノイ『リメインズ・JC』

 

 

リメインズ・JC

 

作者:クマノイ

掲載誌:『まんがタイムきららミラク』(芳文社)2014年-

単行本:まんがタイムKRコミックス

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女子中学生の「廃墟もの」。

戦争か災害かその両方か、「あのとき」以来荒廃した、

日本海に面する町でサヴァイヴする少女をえがく4コマ。

 

 

 

 

淡白な絵柄はハトポポコに似ている。

ハトフォロワーのつくみずが『少女終末旅行』で、

おなじく「廃墟百合」の傑作をものしたのを思いおこせば、

どれほど音感のにぶい者でも、現代文化のノイズをつらぬく、

「ポスト『平成生まれ』時代の肯定的な終末感」とゆうメロディを聞きとれる。

 

そもそも百合以外に、傾聴にあたいする旋律はあるのか。

 

 

 

 

セーラー服を着崩してるのが、ちんまい「ひまり」。

文明が崩壊してもなお、いやだからこそ制服を着つづける。

自分なりの作法で。

 

二次元作品で、セーラー服少女のへそ出しにガッカリする僕には、

Tシャツのうえに雑にひっかけるのが粋にみえた。

 

 

 

 

人影ないイオンモールを探索。

女の子なら店員の目を気にせず、手あたり次第試着したくなる。

もちろん『リメインズ・JC』は学生服店でファッションショー。

 

 

 

 

JCはドラグノフ狙撃銃がにあう。

たとえば『セーラー服と機関銃』(原作1978年/映画1981年)は、

「それサブマシンガンだろ」とツッコミたくなる代物だが、

2015年の漫画は、ゆるふわ4コマだろうと照準の描写などにこだわる。

 

 

 

 

兵器でたわむれる姿が、あどけなく愛くるしいのはなぜか。

制服は本来帰属をしめすのに、なぜ女子をより個性的にみせるのか。

彼女たちは一体、なにに属してるのか。

 

解読不能なエニグマがつきつけられる。

 

 

 

 

クマノイはリクエストを募り制服イラストを描いていたほどの、制服のマエストロ。

たとえすべてが滅亡しても、彼女らの清潔なうつくしさは永遠。

そこにあるのは、百合とゆうユートピア。




リメインズ・JC (1) (まんがタイムKRコミックス)リメインズ・JC (1) (まんがタイムKRコミックス)
(2015/04/27)
クマノイ

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合  きらら系コミック 

はんざわかおり『こみっくがーるず』

 

 

こみっくがーるず

 

作者:はんざわかおり

掲載誌:『まんがタイムきららMAX』(芳文社)2014年-

単行本:まんがタイムKRコミックス

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「女子寮もの」の4コマ漫画。

住人はみなプロの漫画家で、共同生活のなか切磋琢磨しあう。

 

主人公「萌田薫子(ペンネーム:かおす)」とおなじ15歳でデビュー、

おもに『りぼん』など集英社の少女漫画畑で15年のキャリアをかさねた、

作者の人生がゆるふわな絵柄のむこうに透けてみえる。

 

 

 

 

「かおす先生」は読み切りでデビューするもアンケートは最下位。

すっかり自信喪失した激弱メンタルを鍛えるため、入寮をすすめられる。

 

アシスタント用のペンケースを学校にもってった失敗談は、作者の実体験かな。

トーンへらを聖徳太子みたいに持ってごまかしたかどうかは、わからない。

 

 

 

 

同室の「小夢(こゆめ)」は少女漫画家で、本人も少女漫画みたくキラキラまぶしい。

ただ恋愛経験がなく男が描けないのが弱点。

 

 

 

 

黒髪で大人っぽい「琉姫(るき)」はティーンズラブ作家。

マジメな性格なのに、編集者にいわれるままエロばかり描いている。

人気作家も苦悩は絶えない。

 

 

 

 

ショートカットの「翼」は熱血少年漫画家。

女でも見惚れるほどスタイル抜群だが、本人は筋肉しか興味なし。

 

きららのお約束「水着回」に、あらたな角度から光をあてる。

 

 

 

 

現役JK感ゼロのかおすに服を貸しファッションショー。

素材はいいので、小夢のも、るっきーのも似合う。

けど「オシャレ小学生」にしかみえない。

漫画家は、内面からにじみでる個性で勝負するしかない。

 

 

私服はやっぱりベレー帽!

 

 

かおすの持ち味は、かわいい女の子がすきなこと。

アキバでみたフィギュアのうつくしさに感極まり、泣きながら両親に感謝する。

この子とおなじ時代に生まれてよかったと。

 

本作の連載開始前に、はんざわは芳文社のアンソロジーへ寄稿した。

『まどマギ』では、夢中になっていた作品に参加できてしあわせ、

『桜Trick』ではおかげで百合にめざめたと、ブログで心境をかたる。

大手出版社で10年以上のキャリアがあるのに。

 

ある種の謙虚さ、つまり藝術作品への敬虔な感情が、創造の扉をひらく。




こみっくがーるず (1) (まんがタイムKRコミックス)こみっくがーるず (1) (まんがタイムKRコミックス)
(2015/04/27)
はんざわかおり

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テーマ : 4コマ漫画
ジャンル : アニメ・コミック

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カツヲ『三ツ星カラーズ』 あまりに電撃的な

 

 

三ツ星カラーズ

 

作者:カツヲ

掲載誌:『月刊コミック電撃大王』(アスキー・メディアワークス/KADOKAWA)2014年-

単行本:電撃コミックスNEXT

ためし読み/同作者の『ひとりぼっちの○○生活』

 

 

 

上野公園は不忍池のベンチで、人類絶滅計画をたてる女子小学生3人。

本作をジャンル分けするなら「少女探偵団もの」。

 

 

 

 

高校生(か中学生)の「ののちゃん」が訳知り顔で言ったのを真に受け、

自然をまもるには人類を滅ぼすしかないとゆう結論に達した。

 

オトナのテキトーなお説教や知ったかぶりを曲解し、

コドモ目線で世界を転覆するこの感じ、みおぼえある。

あと、ののちゃんの制服がかわいいので単行本で御確認を。

 

 

 

 

おしなべて本作は「社会科見学」の趣きがある。

別名義かと疑うほど、『苺ましまろ』のばらスィーそっくりの絵柄だが、

上野動物園のガイドツアーのお姉さんとのシュールなやりとりは、

あずまきよひこ『よつばと!』を髣髴させる。

背景へのこだわりもそう。

どうしようもなく「ゼロ年代の電撃」的な漫画だ。

 

 

 

 

つねに帽子着用の「琴葉」は、3DSを手放さないゲーム脳。

流血描写をこのむアンチCERO系ゲーマー。

「文化系」要素が10年代の漫画ならでは。

 

毎話の服のかわいさを堪能できるのも『苺ましまろ』同様だけど、

帽子ファッションのエレガンスが新味をくわえる。

もはや「かわいいは正義」すぎて、それだけじゃ生き残れない時代。

 

 

 

 

ときどき琴ちゃんは兇暴になる。

暴力的ゲームの悪影響を心配されるが、

ゲームそのものに害はなく、もともと自分はこうだと宣言。

 

2002年の森昭雄『ゲーム脳の恐怖』などの批判を克服した、

サブカルチャーの特権的地位が説かれる。

 

 

 

 

かくれんぼでの灯台下暗し戦術を「東大デモクラシー」と名づける。

 

なもり『ゆるゆり』の「罰金バッキンガム」に匹敵する、

知的かつバカバカしい言葉あそびは、これまた10年代的。

ハイブリッドなサブカル教養をにじませる、作者のマンガ脳に舌をまく。

 

 

 

 

ゲーム脳は正義!

いまも街のどこかに、かわいいスネークがひそんでる。




三ツ星カラーズ (1) (電撃コミックスNEXT)三ツ星カラーズ (1) (電撃コミックスNEXT)
(2015/04/24)
カツヲ

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: ロリ  百合 

小説18 「船橋防衛戦」

『フリーダム・シスター』


登場人物とあらすじ


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 暁ジュンが会議室のソファで寝そべる。

 埼玉から千葉にもどり、剣術の訓練教官と参謀長の秘書をつとめている。高速タイピングで議事録とったり、広報活動をしたり。でも総司令部では暇なほう。

「ああ、恋がしたい」

 十六歳になったジュンは、かれこれ一年ほど相手がいない。葦切コタカのことは忘れてないが、操をたてる気もない。

 あそびにきたミミズクの「白雲」が無人のテーブルをあるいている。

「くもたんは美人だから」ジュンが話しかける。「彼氏が何人もいるよね。会いたくなったらピューッて飛んでくんでしょ。自由気ままな生活だよ」

 慰めるつもりか、白雲がジュンの腹に飛び乗る。

「痛ッ! どいてよ、また服に穴開くよ……イテテ、どいてってば……どけって言ってんだろ、焼き鳥にするぞ!」

 自由軍幹部がぞろぞろ入室した。

「フクロウは」物知りのフランが肩をすくめる。「犬猫とちがい社会性がないから、怒っても躾になりませんよ。怖がるだけです」

 ジョージが便乗する。「ジュンの社会性は鳥と同レベルなんだよ」

 何度もジュンを血だらけにした凶鳥は、おとなしくフランに撫でられている。器用にキャラを使い分けるくもたんに、意思疎通能力がないとは信じがたい。それともあたしは、鳥よりコミュ力低いのか。




 一方、東京で。

 シャドウガールと作戦参謀の暁コウゴが、パジェロで江戸川沿いを走る。河川敷にいくつも野球のグラウンドがあるが、だれも使用していない。

 叛乱軍は河口から市川橋にいたる五つの橋を爆破した。近日中に大規模な戦闘がおこるのはあきらか。

 シャドウは頬杖つき川面をながめる。新調したアルマーニのスーツに皺がよる。内戦は泥沼の様相を呈し、もともと血色とぼしい彼女をやつれさせた。

「こんなちっぽけな川を渡るのに苦労するんだから、陸戦ってのは……」

 京葉地区の最重要都市は船橋だった。下総台地が海岸ちかくまで張り出し、ボトルネックの様に鉄道や自動車道の幹線が密集。

 叛乱軍は船橋に陣地を築き、攻勢に転じた敵を迎え撃つ準備をすすめる。

 月姫が尋ねる。「で、渡河地点はきまったの?」

「計画どおりです」暁参謀が答える。「河口付近で陽動をおこないつつ、北から迂回します」

「破壊されてない橋梁から遠回りするのね。でも三郷あたりに片目の子が布陣してるでしょ。脇腹を突かれたらどうするの」

「叛乱軍は連携していません。敵の北方部隊は、実質的に中立と見ています」

 独眼龍・羽生アリアは政府軍と自由軍が小競り合いを繰り返すのをよそに、着々と領土をひろげていた。埼玉県全域を根拠地とし、千葉県北西部と茨城県南西部も占領、行政機関を支配した。宣言さえすれば、独立国となる資格は十分。

「まったく想定外だわ」シャドウが頭を掻きむしる。「戦国時代じゃあるまいし。姉上様にどう報告したらいいのよ!」

「今回の作戦で」参謀の声色はかわらない。「倅の方は16号線ラインの外へ押し出せます。試合からの退場にひとしい。返す刀で羽生なる女を斃します。御安心を」

「あなたはよくやってる。作戦成功したら、全軍の指揮権をあたえるわ。お望みなら、徳川慶喜以来の征夷大将軍でもいい」

 黒衣の姫君は後部座席からコウゴの首をだき、贅肉のない頬に口づけした。




 いつも眠りの浅い暁ジュンは、兵士のノックに敏感に反応。5×3インチの情報カードをわたされる。この紙をつかうのは大井スルガしかいない。

 会議室にいたのは参謀長だけで、壁にはった地図に目印のピンをさしている。細い目が充血し、無精髭はのびっぱなし。

「睡眠を妨げてすまない」スルガが言う。「でも急ぎの用なんだ」

「大井さんは二三日寝てないよね。お風呂にも入ってなさそう」

「ああ、若い女の子もいるから気をつけないとな」

「がんばってる人の臭いは嫌じゃないよ」

 参謀長の頼みはお使いだった。朝一番で三郷市にいる羽生アリアのもとへ出向き、総司令部の指揮統制にしたがうよう要請する。

「わかった」ジュンの笑顔は複雑。「いますぐ出発する。説得できる自信ないけど。アニキとアリアさん、冷めてるし」

「彼女はなにを考えてるんだ? まさか恋愛と戦争を同一視しているのか」

「女はそれが普通かもよ。好きな人のためならなんでもするし、嫌いになれば顔もみたくない。あたしだってそう。夜中にお使い行くのも苦じゃない」

 ジュンとスルガは初めてたがいを見つめあった。

 そっか、あたしはこの人を好きだったのか。頭はいいし、顔もブサイクじゃないし、昔からオフ会とかで良くしてくれたし。さっさとあげればよかった。

 ジュンは自分からキスした。胸を揉まれ、しがみつかれる。体臭は気になるが、それ以上に幸福をおぼえた。ジャージと一緒に下着をおろされ、テーブルに手をつかされる。彼女は後背位が嫌いだが、ひさしぶりの昂奮でゾクゾクし拒否できない。

 しかし入らない。前戯がたりないのか大きすぎるのか、とにかくキツい。このままだと裂けてしまう。

「痛い痛い!」ジュンは悲鳴をあげる。「大井さん、ローションかなんか使って!」

 男は聞く耳もたず下半身をおしつける。

 雪風流の後継者はスルガの右腕をつかみ、背中にのせテーブルへ放り投げた。

「まったく」ジュンは溜息つく。「寝不足でおかしいせいだと大目に見るけど、次はゆるさないよ。じゃあ参謀長、交渉にいってきます。死なないでね!」

 いたづらっぽく敬礼した。




 政府軍は夜明け前に江戸川をわたった。アリアひきいる北方軍は抵抗らしい抵抗をしない。ジュンがスルガと乳繰り合わず、もう三十分はやく出立したらどうなったかと、後世の歴史家に難問がしめされた。

 自由軍は船橋周辺に堅陣を構築した。鉄条網や地雷で敵の行動を制限、ビルの高所にもうけた監視所から位置を把捉し、弓兵に座標をつたえる。前列に長弓隊、後列に弩弓隊を配し、精確かつ集中的に射撃。

 通信妨害や偽情報により作戦指揮を撹乱する。後方では予備隊三千人がひかえ、消耗した敵に反転攻勢をしかけた。

 暁コウゴが双眼鏡をみながら言う。「みごとな防禦戦術だ。まさに教科書どおり」

「感心してる場合じゃないわ」ふくれっ面のシャドウガール。「『攻撃三倍の法則』と言うけど、こちらの兵力は二倍に満たない。なにか策は?」

「ありません。私は指揮者であって、作曲家ではない。無から有はつくれない。すべての楽器と声を微調整し、ハーモニーを奏でるのが仕事です」

「オペラは大抵、悲劇的な結末をむかえるのよね」

 予備兵を投入し手薄になった指揮所に、自由軍数十名が侵入する。それでも秩序をたもつ国防軍は、シャドウの保護を最優先とし、半数が反撃し残りが後退した。

 しかし敵には中国軍のフェン・アイシェンがいた。常人なら持ち上げられない長大な戟を、風切り音をたて振り回す。彼女にとり人体は、柔らかすぎる解剖標本。嵐の前の花瓣の様に、手足や首がちぎれ飛ぶ。真紅のスコールが街路を濡らす。

 アイシェンは快哉を叫ぶ。「そこにいるのは日王の妹だな! わはは、大将首だ!」

 暁コウゴは抜刀した。

「大佐!」車に押しこまれながらシャドウが命ずる。「一緒に逃げなさい。あなたの頭脳を失うわけにいかない」

「不知火」コウゴは不遜にも名前で呼ぶ。「わが流派に逃げるとゆう法はないんだ」




 交叉点は静まりかえり、公園から鳥の鳴き声がきこえる。

 両軍の兵は圧迫感に後ずさりし、戦いは一騎打ちの形になった。

 長髪の女武者が戟をかまえる。

「わたしはフェン・アイシェン。中国人民解放軍陸軍上尉」

「暁コウゴだ。雪風流十一代宗家」

 コウゴは脇差をぬき二刀で対する。

 雪風流【處女】。

 時間稼ぎとゆう目標に最適の奥義だった。勝気なジュンなら【脱兎】で突っこむだろうがと、父はほくそ笑んだ。




 船橋防衛戦は政府軍が勝利した。自由軍は二千の死傷者をだし、追撃をうけ本拠地の幕張メッセを放棄することに。

 大金星をあげかけたアイシェンは深手を負い、意識不明の重体。

 撤退にあたり司令部は捕虜の処遇をきめた。原則的に全員解放だが、例外とすべき将校がひとりいた。暁コウゴ国防軍大佐。

 ジョージとジュンは医務室の外で、父の容態について説明される。軍医は患者の家族が一番みたくない顔つき、つまり「手の打ちようがない」と言外にうったえた。

 ドアをあけた軍医がアッと叫ぶ。患者が隙のない軍装でパイプ椅子にすわり、こちらを向いている。

 暁兄妹は反射的に目を伏せた。父の教育方針は狂人の様に苛酷だった。ただ己をその十倍きびしく律するため、兄妹は反抗心をもてず、ひたすら怯えた。

 ジョージは喉をつまらせ落涙。父の右腕と左脚がないのに気づいた。妹に背中をおされ着席し対面する。

「軍人が戦傷を負うのは当然で」点滴装置をつけたコウゴが言う。「むしろ名誉だ。それに動揺するとは未熟もはなはだしい」

「…………」

「お前には期待していたんだが。妹に司令官の座を譲ったらどうだ」

 返す言葉がないとは今の状況をさす。

「ジュン」父は娘の手足の筋肉をながめる。「稽古を再開したようだな。結構だ。お前の取柄は剣術だけなのだから、もう怠けるな」

「はい」ジュンは素っ気なく返答。

 致命傷を負ったはずの男の口から出てくるのは小言ばかり。遺言めいた重みはない。ジュンとは三年ぶりの再会だが、無味乾燥な会話がつづく。非現実的な情景だった。

「お父さま」ジュンは勇気をだし口を挟む。「お体に障りますからお休みになってください」

「休んでどうする」コウゴの目に怒気がはしる。「虜囚の辱めを受けたまま生き長らえろと言うのか」

 ジュンは両手で顔を覆った。この言葉を恐れていた。名誉の死をのぞむ父を止められるのは自分たちしかいない。だが子供と議論し説得される父を想像できない。

 コウゴは切先を自分へむけ、抜身の脇差を左手で膝においた。刃こぼれが戦いの凄惨さをものがたる。

「ジュン、これをとれ」コウゴはさらに威圧する。「お前が私を憎むのは知っている。私はよき父ではなかった。許せとは言わない。ただ一死をもって報いる」

 ジュンの全身が震え、はげしく椅子を鳴らす。呼吸困難となり喘ぐ。

 幼いころから見慣れた悪夢のつづきだった。気絶しては水をかけられ、骨折しても無視される。こちらが弱さを見せれば見せるほど、父は猛烈に責めた。

 ジュンは抑圧に耐えかね別居したが、精神は自由になれない。いまも毎夜父の幻影に脅かされている。

「アリアが……」ジョージがやっと口を開く。「僕の恋人が妊娠したんです。数日前にメールで知りました。お父さま、せめて孫の顔を見るまで生きてください」

 不意をうたれ狼狽する父の姿を、はじめてジョージとジュンは目にした。





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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

米田和佐『だんちがい』3巻 関係性のトリック

弥生の下がパジャマなのが惜しい

 

 

だんちがい

 

作者:米田和佐

掲載誌:『まんが4コマぱれっと』(一迅社)2011年-

単行本:4コマKINGSぱれっとコミックス

Kindle版/以前の記事→1巻/2巻/同作者の『えこぱん』

 

 

 

四姉妹と男ひとりの団地コメディ、アニメ化の追い風にのる第3巻。

わかりやすいエロスでぐいぐい攻める。

 

 

 

 

本作の特色として、「劇中劇」の多彩さをあげられる。

アニメ『D・Cガイ』や『魔法少女エコー』など。

ふだんは無表情な四女「咲月」が、ムキになるのがかわいくて。

 

 

 

 

家族でいちばんナマイキな三女「羽月」が、

絵本の読み聞かせをねだったり、いつになく兄に甘える。

イタズラではないらしい。

うれしいけど困惑。

 

 

 

 

実は「お兄ちゃん大好き」ポーズは、前日みたアニメの真似だった。

なんだかほっとする「春輝」。

一見単純な「妹萌え」も、入れ子構造になってたりして油断できない。

 

 

 

 

おしとやかな長女「夢月」と商店街でお買いもの。

恋人同士にみられるので、春輝は照れくさい。

でも天然な姉は、このテのことに察しが悪い。

 

 

 

 

こんどは元気な次女「弥生」とふたりで、ひさしぶりの外食。

妹は「カップルに見られてるんだろうな」と意識しまくる。

しかしウェイトレスは兄妹と見抜いていた。

 

カードがシャッフルされるたび、あらたな役がうまれる。

かわいさのフルハウス状態。

 

 

 

 

夢月が双子をみる表情は母性そのもの、いやペットの飼い主か。

 

美少女がウリの作品を、好意的に「かわいいだけじゃない」と評することがあるが、

ハッキリ言って本作は「かわいいだけの萌え4コマ」。

ただそのかわいさのスペクトルが千変万化で、奇術みたく魅了される。




だんちがい(3) (IDコミックス/4コマKINGSぱれっとコミックス)だんちがい(3) (IDコミックス/4コマKINGSぱれっとコミックス)
(2015/04/22)
米田 和佐

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テーマ : 4コマ漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 萌え4コマ  ロリ   

小説17 「イベント」

『フリーダム・シスター』


登場人物とあらすじ


全篇を縦書きで読む








 夜九時。鼓膜を傷つける音量でDJがダンス音楽をながす。

 暁兄妹はじめ自由軍幹部は、有明のイベント会場にいた。建物は警察官にまもられる。兄妹は政府と交戦中なのに辻褄あわないが、そもそも矛盾をはらむのが戦争。

「腹ごなしの運動をするぞ!」

 中国軍のフェン・アイシェンが部下をつれステージへのぼった。長大な戟をもち、五人を敵にみたて演武をおこなう。突き、斬り、引っ掛け、薙ぎ払い、叩く。機関銃の様な動きは目にも留まらない。暁兄妹の数倍速い。酩酊する観衆の喝采をあびた。

 ジュンがつぶやく。「アニキ、あのひと強いよ」

「当然だ」ジョージは答える。「辺境での戦いで多数の武勲をあげてる」

「そんな低次元の話じゃないんだけど」

 ジュンは壇上のひとりを自分と想定、雪風流奥義を頭のなかで仕掛けた。斃せる気がしない。殺気を感じたか、睫毛のながいアイシェンと視線がぶつかる。

 女武者は演技をやめ、司会をつとめる本城フランに耳打ちした。フランはすこし動揺したが、笑顔でマイクをとる。

「それではフェン上尉の御指名で、暁ジュンさんとの試合を急遽おこないます!」

 場内の昂奮は最高潮に。

 ジュンはパーカーに両手をつっこみ、しぶしぶ登壇した。

「ひどいよ、あたしの剣は見せ物じゃないのに」

「ごめんなさい」フランは木刀をわたす。「でもジュンさんなら断らないと思って。がんばって!」

 アイシェンは競技用の薙刀をとった。脚光あびる長身が闇にうかぶ。両目が獰猛な本能でぎらつく。大勢殺した人間の顔だ。

 衆人環視のなか奥義はつかえない。ジュンは栗鼠みたいなフットワークで、相手の間合いを出入りする。敵は足払いをくりかえす。ジュンの拠所が脚力と、はやくも見抜いた。

 パワーやスピードだけでなく、用心ぶかい遣い手だ。まちがいなく自分より強い。

「フランちゃん」振り向いたジュンが言う。「あたしも薙刀にする。取ってきて」

 フランが駆けだした瞬間、ジュンは床をはげしく蹴り、燕の様に飛びこみ打つ。絶叫しながら連打、右小手を痛撃した。

 中国の女武者は左手一本に持ち替える。骨は折れてないが右はしばらく握れない。

「ふふふ」アイシェンは闘志盛ん。「おもしろい! 曹操のごとき姦雄だな」

 ジュンは木刀をかたむけ、わざと隙をさらす。相手に一本ゆづり丸くおさめる腹だが通じない。日本だけの風習だったか。

 やばい……これじゃガチバトルになる。




 上機嫌のアイシェンが、顔に青痣つくったジュンの肩を抱いている。

「とっておきの中国の銘酒だ、みなもっと飲め!」

 ジュンも苦手な酒を無理強いされた。万力の様にはさまれ身動きとれない。

「世界は広いな!」アイシェンは白酒をがぶ飲み。「わたしと互角に渡り合う人間が地球上にいたとは。どうだ、君は何人殺した? 四桁か、それとも五桁か?」

「いや」まだジュンはもがいている。「あたしは殺し合いとかおっかないんで」

「勿体ない。名馬を厩に閉じこめる様なものだ」

 メイクをきめた斯波トモコが、めづらしく男をつれて挨拶しにきた。イケメンが名刺をアイシェンに、ジュンにクリアファイルなどのグッズを渡す。『軍人これくしょん』とゆうブラウザゲームのキャラ、「東條英子(CV:花澤香菜)」が描かれている。

 イケメンは女武者と商談をはじめた。父が実業家であるアイシェンののツテで、中国市場へ進出したいらしい。

 ようやく解放されたジュンは、壁際でトモコと言葉をかわす。

「あの人とは」ジュンが言う。「結構ふかい仲にみえるけど」

「そうね」トモコはシャンパンをすする。「一応婚約者だから」

「えっ、トモコさんレズなのに!?」

「百合と言ってほしいわ。ま、なんやかやで破談になりかけたけど」

 大東亜重工のオーナーは所在なげに婚約者を見遣る。あたらしいグラスを手にした。ペースがはやい。

「運命って変えられるのかしら」トモコが小声でもらす。

「マリッジブルーってやつ?」

「『労働者は鎖のほかに失うものがない』とマルクスは言った。私は上品ぶったブルジョワだから、鎖を捨てられない」

「だいぶ酔ってるね。水でも飲んだら」

「理事長のときから思ってた」トモコは切々と語る。「あなたがうらやましいと。イデオロギーを超越する、いわば『自己解放の天使』よ。だから賭けてみた」

「買いかぶりだけど、言いたいことはわかる。女同士の結婚をみとめる社会が、トモコさんの理想でしょ。なら一緒につくろう」

「たのもしいわ」

「まあ、あたしは普通に男がすきだけど」




 軍服でなくスーツを着た大井スルガが、隅で内緒話をしている。相手は国防軍だろう。機密にふれない程度に情報交換する。

 永遠につづく戦争はない。どこかで講話しないといけない。そのタイミングがいつか、両軍は知っておく必要がある。

 ジュンは背後から話しかけられた。初対面の女性で、声優の花澤香菜みたいな可憐な声が特徴的。

「はじめまして、声優の花澤香菜です。きょうはよろしくお願いします」

 ジュンは絶句し、昏倒しかけた。

 満場の拍手をうけ登壇した人気声優がスピーチする。

「正直に告白します。このイベントに参加することは、事務所や仕事仲間から猛反対されました」

 でも友人を戦乱で失った悲しみが、彼女の背を押した。つぶらな瞳から涙がこぼれる。

 どちらかと言うと革命軍寄りのイベントなのは知ってるが、『フリーダム・シスター』のヒロインを演じた縁で原作者と交流があり、迷わなかった。どちらかの軍を応援とか、そんなつもりはまったくない。

 村雨れいん先生は若いけど、信頼できる人です。平和をねがう気持ちに嘘はないと信じてます。ここにいるすべての人が、それを共有して行動するのが大切だとおもいます。




 幕張へもどる車内で後悔の念に苛まれ、ジュンはフランの膝に突っ伏している。憧れの人になにも言えなかった自分がかなしい。ライブに通い詰めてるとか、曲だったら『眠るサカナ』が好きとか、なぜ言葉にできないのか。

「ああ、生きるのがつらい」ジュンは弱々しくぼやく。「でもフランちゃんがすごいクリエイターだと、あらためてわかった。あたしの尊敬する人に『先生』って呼ばれるんだもん」

「たまたま原作者だっただけです」フランは妹分の髪を撫でる。「人の縁に恵まれてるので。私にとってはジュンさんこそクリエイターです」

「いやいや。なにも生み出せないあたしは、単なるデストロイヤーだよ」

 それはそれでピッタリでフランは笑った。

「それはともかく」ジュンは上体を起こす。「あたしが花澤さんのファンなの知ってたよね。なんで教えてくれなかったの?」

「驚かせたいからですよ、勿論」

「マジで心臓止まりかけたよ……。ひょっとしてフランちゃん、意外と性格悪い?」

「え、いまごろ気づいたんですか?」

 フランのいつもの笑顔に、ジュンはかるく畏怖をおぼえた。




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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

くみちょう『愛羅武勇より愛してる』

 

 

愛羅武勇より愛してる

 

作者:くみちょう

発行:一迅社 2015年

レーベル:百合姫コミックス

[Kindle版はこちら

 

 

 

関西辯ヤンキーが、しとやかな百合姫コミックスに殴りこみ!

 

10年代最高のスポ根漫画といまだ僕はおもう、『B.B.GIRLS』1巻/2巻の作者が、

「あまり恋愛を描かないから恥づかしい」と言いつつ仕上げた一冊。

 

新書館のライバル誌『ひらり、』休刊を捨て置けず、

秀作をサルベージする一迅社の、老舗らしからぬ節操なさもステキ。

 

 

 

 

くみちょう先生は少年漫画っぽい絵柄。

女の子が花を背負って登場することもない。

どちらかとゆうと汗がにあう。

 

ギクシャクした不器用な百合もまたよし。

 

 

 

 

ヤンキー「かずみ」が、優等生「理沙」の自宅訪問。

犬に相好を崩す姿にときめく。

 

 

 

 

かずみの追試のため図書館で勉強会。

寝顔があどけなくキレイで、おもわず写メを撮る。

 

 

 

 

山場はドキドキの二人旅行。

宿で男女のカップルとすれちがい、変に意識し、なんか気まづい。

 

 

 

 

本作には、百合姫的なナルシシズムや倒錯性がない。

まっすぐで熱い。

 

百合の宇宙は、どんな作風もやさしくつつむ。

こぼれる涙、あからむ頬、からみあう心があれば、それでいい。

 

 

 

 

とはいえ夏用のセーラー服に着替えたときのさわやかさは、

くみちょう先生ならではで、突出した個性がキラキラかがやいている。




愛羅武勇より愛してる (IDコミックス 百合姫コミックス)愛羅武勇より愛してる (IDコミックス 百合姫コミックス)
(2015/04/18)
くみちょう

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shimazaki『倒錯少女症候群』

『貴女にすべてをささげると私の眼球(ひとみ)はそういった』

 

 

倒錯少女症候群

 

作者:shimazaki

発行:一迅社 2015年

レーベル:百合姫コミックス

[Kindle版はこちら

 

 

 

眼球舐めからはじまる短篇集。

同人の名作を貪欲に蒐集する、いまやおなじみの「百合アーカイヴ」。

乙女の帝国主義。

 

 

 

 

舌で目をなめまわすのは嗜虐的だが、一方で視覚に対し無防備でもある。

A子はB子に、口の中から下着までさらす。

 

本書に登場する少女はアルファベットの名前しかあたえられない。

作者は匿名性にこだわる。

彼女らに外見以外の情報は不要だと。

 

 

 

 

イタズラの度がすぎ、ついにB子は眼球をパクンとたべられる。

女子のチャームポイントが瞳なら、それだけ味わえばいい。

あとはいらない。

 

 

ジャンスカ系の制服がいい

 

 

仲睦まじかったふたりの関係にヒビがはいる。

ほしいものを得たA子の愛はさめた。

でもB子の眼帯姿はかわいい。

最大の武器をうしなっても、なお美しくなるパラドクス。

かわいさの呪縛。

 

 

 

 

『ショウケースガール』。

窓辺にたたずむネコ耳少女。

磨りガラスの外はみえない。

退屈をもてあますが、なにもできない。

する気もない。

 

 

 

 

彼女はペットショップの売り物だった。

買い手がつくのを幾日もぼんやり待っていた。

「かわいい」とゆう名の暴力。

 

 

 

 

『ブンレツガール』。

ここでは物理的かつ直接的な暴力がえがかれる。

グロックまでもかわいくて読者は困惑。

 

 

 

 

銃弾のむかうさきは自分。

不安定な乙女心は、矛盾した内なる諸テーゼを論駁しながら、

かわいさとゆう一瞬の火花を散らしつづける。




倒錯少女症候群 (IDコミックス 百合姫コミックス)倒錯少女症候群 (IDコミックス 百合姫コミックス)
(2015/04/18)
shimazaki

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小説16 「大宮の戦い」

『フリーダム・シスター』


登場人物とあらすじ


全篇を縦書きで読む








 北部戦線でも自由軍と政府軍の攻防は、環七と16号線の「二重の輪」のあいだで繰りひろげられる。

 散発的に暴動がおきていた埼玉県に、羽生アリアが三千の兵をつれ浸透。組織化をおこない、ゲリラ戦の態勢をととのえた。

 いまは前日奪いとった、国防軍の朝霞駐屯地にいる。参謀の暁ジュンとともに負傷者を見舞う。イギリスBBCの取材班も同行、テレビカメラをまわす。

 ゲリラ部隊に最良の医事衛生をもとめるのは酷だった。手足をうしない、臓器を破壊された男女の叫喚が医務室にひびく。声も出なくなったものは死体と化し、たかった蝿に卵を産みつけられている。

 比較的軽傷な将兵と談話するアリアの、奈落の底で言葉をうしなわない強靭さに、ジュンは脱帽した。

 無傷にみえる民兵が、うつろな表情でベッドに腰かけるのが目にはいる。

「軍医!」アリアが叫ぶ。「この兵卒の病状を説明しろ」

 白衣の四十代の男が答える。「PTSDです。心理療法をおこなってます」

「了解した。だが治療は終わりだ。這ってでも戦わせろ。わが軍を臆病者の休憩所にするな」

「彼は臆病者ではなく、患者です。イスラエル軍の調査でも、精神的損耗をおった人員の七十五パーセントが……」

 アリアは静かに鯉口を切る。「たしかに私は若いし、女でもあるが、北方軍司令官なのを忘れるな。これは命令だ」

「拒否します、司令官閣下」

 電光石火で抜き放たれた刀を、ジュンは寸前でとめた。

 逃げ出すもの、抑えるもの、抗議するもの、撮影するもの。混沌におちいった医務室から、司令官と参謀は押しだされた。

「自分が短気だからわかる」ジュンが言う。「アリアさん、本気じゃなかったね。あたしがいるのをを利用したんだ」

「さあ、どうだろう?」

 アリアはとぼける。

 緒戦で指揮能力をしめした彼女は、自己宣伝にはげみ「独眼龍アリア」「猛将アリア」といった異名を獲得している。

「アニキとちがって」ジュンの機嫌は直らない。「アリアさんは才能あるんだから、姑息なマネしなくていいでしょ」

「部下が千人ならそれでいい。だが一万をこえる大軍の隅々まで、指揮官は直接影響をおよぼせない。プロパガンダが必要だ。味方に対しても、敵にも」

 独眼龍の右目は帝都をにらんでいた。




 ジュンは空気に、肌を刺すトゲを感じた。

 刀同士のぶつかる音と怒声がきこえる。駐屯地奪還をねらう敵の奇襲だ。

 「アリア軍」はすばやく撤退。訓練でも実戦でも、いつも逃げてるから慣れたもの。

 アリアは通信員の方をむき、宙で指をまわした。ほどなく、埋伏していた弩弓隊の射撃がはじまる。五百メートルの距離をこえ、殺意のこもった豪雨がおそう。

 敵軍がひるんだところへ反攻。一定の出血を強いたら、またしりぞく。

 金太郎飴みたく繰り返される罠に、政府軍はおもしろい様にはまる。「スカイツリーの戦い」の電撃的な一翼包囲機動で、各国の軍事関係者をおどろかせたアリアは、ゲリラ戦の専門家に転向。融通無碍の機略で敵を翻弄する。

 赤いシャツの集団が太鼓にあわせ歌い踊る。浦和レッズのサポーターだ。政府の圧力でJリーグが中止したため、暇ををもてあまし革命に参じた。「俺たちのアリア」と、司令官を讃えるチャントを合唱。

「あいつら」ジュンが眉をひそめる。「いくら言っても青い腕章つけないんだよ」

「強制しなくていい」声援に応えながらアリアが言う。「2011年のエジプト革命でも、サッカーのサポーターが中核的な役割をはたした。彼らの組織力や鼓舞する力はあなどれない」

 兄の恋人のカバン持ちをする日々で、ジュンは尊敬の念をはぐくんだ。自分は剣で半径五メートルを支配するのが精一杯だが、アリアは一万人以上を統率できる。リスクをひきうけ、確実に成果をだす。

 他者を利用することばかり考えてそうなのは気になるが。

 疲れをみせない赤シャツ軍団が「お嬢! お嬢!」とコールする。

「なになに」ジュンは嬉しげに紅潮。「ひょっとして『お嬢』ってあたしのこと!?」

「あれはトモコさんへのコールだな」

 大東亜重工の創業者一族である斯波トモコは、浦和レッズのオーナーでもあり、サポーターから偶像視されている。

「くそったれのサカオタめ」苦虫を噛み潰すジュン。「日本人なら野球だろ!」




 駐留する狭山市のゴルフ場のクラブハウスで、ジュンは夕食をとっていた。メニューはカロリーメイト・チーズ味とウイダーインゼリー。チョコ味が好みだが、毎日だと飽きるのでローテーションをくんでいる。

 ひさしぶりの入浴をおえたアリアがテーブルの向かいに座り、ぺろりと一箱を胃へながしこんだ。

 ジュンが呆気にとられる。「食べるのはやすぎ!」

「私の仕事は兵に食わせることで、自分が食うことじゃない」

 うそぶくアリアが眼帯をしてないのにジュンは気づいた。左の瞼にうっすら傷がのこる。

「不快な話題だったらゴメン」ジュンが言う。「でもアリアさんの左目、大きな傷はないんだね。普通は気づかないよ」

「ほぼ視力がないんだ」アリアは平然と答える。「だったら負傷を売りにして、人に記憶される方がいい。君ほど美人じゃないからね」

「売りって、お父さんの仇討ちのこと? ニュースになったから、あたしも覚えてる」

「本当は仇討ちじゃない」女将軍の両目は冷たい。「ジョージも知らないことだが、いい機会だからおしえよう」

 十五歳のころ北海道にいたアリアは、父を殺した三人の悪徳警官に復讐をはたした。

 だが実は、父の職業は詐欺師だった。ロシアへの盗難車の密輸にかかわるが、賄賂をケチり車を中国に売って逃げたのを制裁された。客観的にみて自業自得。

 娘は全貌を知らなくても、父が犯罪者なのは気づいていた。それでも武器をとった。「仇討ち」により剣士資格があたえられた前例に賭けた。一般に門戸をひらくとはいえ、剣士は事実上世襲の身分。アリアにとり極貧から抜け出す手段はほかにない。

「アリアさんは間違ってないよ」

「君やトモコさんに理解できるわけない。甘やかされたお嬢様なのだから」

「その言い方はないんじゃない!?」さすがにジュンはカチンときた。「あたしだって、毎日血尿がでるくらいシゴかれてたのに」

「すまん」アリアがほほえむ。「悪気はないんだ。それなりに苦労もしたろう。でも、人を殺さねば這い上がれない様な地獄とはちがう」

 日本茶をすする、アリアの彫りの深い顔に影がさした。




 未明に降りだした雨が十八番ホールを濡らすのが窓からみえる。北方軍司令部が地図をかこみ、軍議をひらいている。

「羽生司令官!」軍服を着た元少佐がテーブルをたたく。「あなたの独断専行は、総司令部でも問題視されてるんですよ!」

 無言のアリアは片目で睨み返す。

 敵の北部方面軍は、補給物資と人員の損耗に耐えかね、大宮台地に駐留しそこを要塞化しはじめた。

 アリアの立てた計画は、これまでの守勢作戦を放棄し、陣地が完成する前に総攻撃をかけるとゆうもの。

 恋人であるジョージのいる総司令部、実際に仕切るのは大井スルガ参謀長だが、彼らは北方軍に対し自重をもとめていた。サッカーファンなど種々雑多な志願兵をとりこみ、本隊をしのぐ勢いで膨張していた。

 走りこんだ民兵が報告。「レッズ連隊が抜け駆けしています!」

 独眼龍は口元をゆるめた。

 自由軍一万二千は、やむをえず北東へ猪突猛進。防柵や鉄条網を突き破り、大宮公園へなだれこむ。

 小雨は雷雨にかわった。政府軍六千余は斬り刻まれ、泥濘に赤味をくわえる。雷鳴と悲鳴がまじりあい、氷川神社の祭神をも恐れさせる。

 赤シャツ軍団は余勢を駆り、憎き大宮アルディージャのNACK5スタジアムに放火。勝利の雄叫びをあげた。

 ジュンはとぼとぼ司令官につきしたがう。お気にいりのスニーカーが汚れるのが惨めだった。

 流れ矢を愛刀の鞘でうけた。漆塗が剥げたのをみて声をあげ嘆く。

 政府軍は一矢を報いるのがやっと。高級幹部六名ふくむ五千五百人が、翌日に降伏。




 独眼龍は再占領した朝霞駐屯地で、海外メディアにかこまれていた。

 記者が質問する。「暁総司令官は、東部方面も不利ではないと言ってますが?」

「そうだな」アリアがウォッカの壜をあおる。「ただし、あちらは人材に難がある」

 へたな冗談に一同爆笑。

 壜の中身は水。下戸のくせに豪放磊落な猛将を演じている。

「ちょっといい?」背後からジュンが小声で言う。「あたし、総司令部に戻ることにした」

「そうか……それもいいだろう。いままでありがとう」

「うん。アリアさんも元気で」

 別れはあっけなかった。

 ジュンにとりアリアは、いつか家族になるかもしれない存在。有能で自信にあふれ、見習うべき美点をたくさんもつ。

 でももう一緒にいたくない。

 車へむかうジュンの耳に、ミミズクの鳴き声がとどいた。革手袋をした左手にとまらせる。再会がうれしいジュンは頬擦りする。

「ごめんね、あなたたちの森を荒して」

 くもたんは首をこまかく横にふった。否定してるのかどうかはわからない。




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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

佐伯『BOX! -パンドラデイズ-』

 

 

BOX! -パンドラデイズ-

 

作者:佐伯

掲載誌:『ヤングコミック』(少年画報社)2014年-

単行本:YKコミックス

[ためし読みはこちら

 

 

 

とあるラブホテルで、女子大生がサークル仲間に腕十字をきめる。

なにやら因縁あるらしい。

 

 

 

 

本作はオムニバス形式で、文化系サークルに属する若者の恋模様を、

ちょっとあけすけにスケッチする。

女性作家らしく服の描き分けが上手で、キャンパスの雰囲気がでている。

 

1話の「麻宮さん」は、女子校そだちの新入生。

男に免疫なく、あっさり「先輩マジック」にかかってしまう。

 

 

 

 

やさしいサークルOBは「処女厨」だった。

毎年新歓の時期にはりきり、おぼこ娘を食うのが趣味。

初恋を踏みにじられる18歳の気持ちなどかまわずに。

 

柔術の得意な「桜庭さん」が、クズ男の「処女」をうばいリベンジ。

 

 

 

 

3話。

真夏にクーラーのきいた部屋で夜も昼も、恋人でない男とまじわる桜庭さん。

大学生らしい、ただれた生活。

 

 

 

 

そうめんを食べるのに、桜庭さんはワリバシをつかう。

元カノのものとバレバレの女物の箸なんてつかわない。

自他ともにみとめるビッチだけどプライドはある。

 

 

 

 

僕のお気にいりは7話の「リンちゃん」。

かわいい顔して下ネタ連発、飲み会で一番めだつ。

 

 

 

 

彼女が飲み会大好きなのは、モテるためじゃない。

空気をよみながら空気をつくり、みんなの本音がふきだすカオスを、

うつくしい交響曲にしたてるコンダクターだった。

 

調子のりすぎて痛い目にあうけど。

でもこうゆう娘いるかも。

 

 

 

 

4年間におよぶ自由のなかで曝け出される個性をえがく列伝。

不協和音を奏でるオーケストラに拍手をおくりたい。




BOX!  1巻 (ヤングキングコミックス)BOX! 1巻 (ヤングキングコミックス)
(2015/04/10)
佐伯

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

一心同体! 韓国併合

伊藤博文と皇太子李垠(1908年)

 

 

1909年10月26日、韓国統監だった伊藤博文が銃殺された。

韓国併合に慎重だった伊藤とゆう重石がはづれても、政府は冷静さをたもつ。

しかし翌年5月、寺内正毅陸軍大臣が第3代統監を兼任するにいたり、

併合計画は前進しはじめる。

 

本稿のネタ本は、新城道彦『朝鮮王公族 帝国日本の準皇族』(中公新書)。

 

 

 

 

日本は大韓帝国皇室を、「王公族」として帝国内へ編入したが、

これを東アジア的な「冊封体制」とみるのは間違い(「冊す」と「冊封」の混同)

もともと日本が提示した尊称は「大公(グランドデューク)」であり、

韓国側が、伝統的で単に響きのいい王称をのぞんだ。

 

王冊立の席次でも、東西に座をもうけ「君臣の関係」を回避、

「対等な合意」を演出することで李王を懐柔する。

 

日本にとり前近代の礼観念など無価値だった。

条約締結権をもつ皇族におとなしくサインさせ、

西欧列強がケチをつけられない形で植民地をえれば満足。

 

 

大韓帝国時代の漢城。左奥は独立門(1905年ごろ)

 

 

地図の上朝鮮国にくろぐろと墨をぬりつゝ秋風を聴く

 

石川啄木はそう詠み、夜郎自大な近代日本を呪った。

大学生だった芦田均は「朝鮮人が可哀相だ」と書きしるす。

まあ知識人はなんでも批判したがるもの。

 

朝鮮では暴動もおきず平穏だった。

圧政にくるしんでいた民衆は、朝鮮王朝に同情などしない。

 

相手の顔をたてつつ実利をとる。

実は日本外交も、やればできる子らしい。

 

 

外遊中の李垠一行

 

 

皇太子裕仁につづいて1927年、李垠夫妻はヨーロッパ外遊にでる。

行程もほぼおなじ。

旅先で李垠は、裕仁と同格の「大日本帝国のプリンス」を名乗った。

御附の篠田治策もそれを訂正しない。

 

戦間期のアジアはおおらかだった。




朝鮮王公族―帝国日本の準皇族 (中公新書)朝鮮王公族―帝国日本の準皇族 (中公新書)
(2015/03/24)
新城道彦

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テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

川村一真『強くてカッコイイ女子は好きですか?』

 

 

強くてカッコイイ女子は好きですか?

 

作者:川村一真

掲載サイト:『ツイ4』(星海社)2014年-

単行本:星海社COMICS

 

 

 

女子プロレスの練習生が奮闘する4コマ。

ウェイトトレーニングも、つい張り切りすぎる。

だれにも負けたくないから。

 

 

 

 

砂浜でロードワークにはげむ乙女たち。

UVカットにはそれ以上に熱心。

 

 

 

 

アイドル顔負けの可愛さとスタイルをもつヒロイン、

「美枝つかさ」のさわやかさが、本作のヴィジュアルを牽引。

 

 

 

 

『SHUAS』『大日本さむらいがーる劇場』などを手がけた川村一真は、

描線がうつくしく、つかさのメリハリあるボディをなめまわす様にあじわえる。

 

 

 

 

プロレス一家にうまれた「小鳩」は、父のあとをつぎ悪役レスラーになるのが夢。

いい子だけど、ちょっとズレてる。

 

 

 

 

内気でかよわく、練習中も小動物みたいにビクビク。

でも凶器や反則の話になると目をかがやかす。

戦う女子って、やはりいい。

 

 

 

 

かわいいだけじゃ生き残れない。

青筋たてて、きょうも少女たちは己をいじめぬく。




強くてカッコイイ女子は好きですか?(1) (星海社COMICS)強くてカッコイイ女子は好きですか?(1) (星海社COMICS)
(2015/04/09)
川村一真

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テーマ : 4コマ漫画
ジャンル : アニメ・コミック

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コト『ようこそ幻界集落へ!』

 

 

ようこそ幻界集落へ!

 

作者:コト

掲載誌:『まんがタイムきららフォワード』(芳文社)2014年-

単行本:まんがタイムKRコミックス

[ためし読みはこちら

 

 

 

その村の郵便配達員はハーピーだった。

どんな僻地だろうとすぐお届け!

 

コトの初単行本『ようこそ幻界集落へ!』は、かわいいモン娘が勢ぞろい。

 

 

脚線美に注目

 

 

舞台の「神山村」は人口30名ほどの限界集落。

10代の住民は、高校1年のヒロイン「朱音」だけ。

ただ幻獣がいるのでさびしくない。

 

 

 

 

ボクっ娘ミノタウロスの「イツキ」はお気にいり。

小柄だが怪力で、棍棒をバットがわりに岩をかっ飛ばす。

 

 

 

 

和装の「シア」はサイクロプス。

鍛冶の神なので、近未来的なテクノロジーをあやつれる。

モノアイを「目隠れ」で表現する中庸さがいい。

 

 

 

 

「共存」が本作のテーマと言える。

コトは人外を描くときも奇を衒わない。

やさしくて、あたたかい。

 

 

 

 

そこは限界を突破した、百合とゆう名の幻界。

さびれた山村と、元気のない人間たちが、みちがえる様にかがやきだす。




ようこそ幻界集落へ!  (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)ようこそ幻界集落へ! (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
(2015/04/11)
コト

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小説15 「三顧の礼」

『フリーダム・シスター』


登場人物とあらすじ


全篇を縦書きで読む








 成田空港の出発ロビーで椅子にすわり、ジュンはフランに髪を編んでもらっている。真夏の暑さに耐えられなかった。

「あたし」ジュンはすこし照れている。「自分で編みこみできないんだよね。毛量が多すぎるせいか。ああ、髪切りたい」

「分け方がコツですよ」フランはたのしげに手をうごかす。「でもたしかに、すごい直毛。ゴムみたく弾力がある」

 性格とおなじで真っ直ぐなんだと、フランはおかしかった。

「そう!」ジュンがふりむく。「一度寝癖ついたら、髪洗わないと直らないの」

「うらやましい。実はわたし癖っ毛で、ストパーかけてるんです」

「へえ。おたがいに知らないこと、まだたくさんあるね」

 あまえた態度をみせるジュンは、出入りする人間に目を光らせていた。北京へ飛ぶフランを見送るのは、ボディガードのためでもある。

 政府機関である成田は、いまは革命軍の勢力下にあり中立だが、まちがいなく敵は人的かつ機械的に監視している。しかしフランひとりのため、軍の貴重な航空機は割けない。

 姉貴分が、新品の紫のリボンをとりだす。

「これ、よかったらあげます」

「え、わるいよ」

「自分で使うつもりだったけど、本当はジュンさんに似合いそうだから買ったんです!」

「そう? じゃあもらっとく。ありがと」

 ジュンの口はへの字で、全然うれしそうじゃない。「女の子っぽいアイテムは好きじゃない」と顔に書いてある。

 うーん、やはりこのプレゼントは失敗か。中国で彼女がよろこびそうなお土産が見つかるといいな。




 四時間弱のフライトをへて北京に到着したフランは、おとづれた「雲揚文藝出版社」で応接室へとおされる。彼女の小説を翻訳出版している企業であり、名目上は仕事の打ち合わせだが、実は中国政府との非公式のコンタクトだった。

 だれが交渉相手かは知らされてない。緊張するが、あえて彼女は単独で訪中。たとえば企業経営者だったトモコや、元国防軍の佐官が隣にいれば、もっと圧しが利いたろう。でも自分がナメられる。

 六十歳前後のスーツ姿の男がはいってきたので、フランは起立して迎えた。中国政界に疎い彼女でも、この大柄な男に見覚えある。習近平・国家主席だ。

「はじめまして、ミズ・ムラサメ」習が握手をもとめる。「きょうの北京は比較的空気がきれいでよかった。わたしの自己紹介は……」

「不要です、プレジデント・シー」

 笑顔をたやすな、フラン。

 わたしの武器は笑顔だ。寝てるとき以外はいつも笑顔。ジュンさんの勇気を見習え。わたしもみんなの役に立つんだ!

「わたしはこの会社から」習は着席する。「自叙伝を出版する予定なのだが、日本の高名な作家が来てると聞いて、お邪魔だろうが挨拶したくなってね」

 嘘にきまってる。

「邪魔どころか、お会いできて望外の喜びです」

 国家主席は『フリーダム・シスター』第一巻をさしだしサインをもとめる。娘がファンだと言う。著者「村雨れいん」は手の震えを気取られないよう、一息に署名した。

「これで」習は微笑する。「アメリカ留学中の娘が帰国したら驚かせてやれる。どうもありがとう」

「お嬢さんの名前も書きましょうか?」

「『明澤』とゆうんだ。二十一世紀の若者はかるがると国境をこえるから、たのもしい。私が君と同い年のころは、文革にまきこまれ下放されていた」

「大変な時代だったのでしょうね」

「言語に絶する経験だ」習は顔を曇らせる。「だがそこで民衆の生活を知ったのは、いまも役立っている。次世代のため社会を守ることの大切さも」

 世間話は終わりらしい。休学中の高校三年生は咳払いする。

「われわれ『自由日本軍』は」フランが言う。「貴国から学ぶことは多いと考えています」

 ちなみに「Freedom Japan Army」と命名したのは彼女。

「君たちから経済支援の要請があったと」習の口調は情感とぼしい。「外交部の報告をうけた。当然ながら、独立国の内政にわれわれは一切干渉しない。しかしその原則は、民間人による援助を妨げないだろう」

 言質をとった。フランは内心でガッツポーズする。

「金銭的に厳しい戦いになるのは覚悟しています。勿論、軍事的にも」

「軍事同盟の可能性について、発言を引き出そうとする意図を感じるが? あくまで君は小説家で、私は通りすがりなのを忘れない様に。でなければ退散しよう」

 国家元首の脅迫めいた低い声が、素人外交官の笑顔を引き攣らせる。

 革命軍にとり、中国との同盟締結は死活問題。人員・物資・統治力……すべてにおいて政府軍が優勢だが、もし人民解放軍が西日本へ圧力かければ、日本政府はむづかしい舵取りをせまられる。

 中国が領土を要求するリスクなど、いまは気にしてられない。勝負の瀬戸際だ。

「不躾なのは謝罪します」フランは口元をひきしめる。「でもわたしは、日本とアジアの未来を背負って話してるつもりです!」




 滞在四日め。フランは北京にある、日本のカレー専門店「CoCo壱番屋」へはいった。

 身長百八十センチ代後半の女がテーブルを独占、せわしなくスプーンを口にはこぶ。大皿はカツや唐揚げで覆われている。

 たばねた髪は地をはらう長さで、墨をながした様にうつくしい。

 フランが声をかける。「フェン上尉、御一緒してもよろしいですか?」

「またあなたか」大女が顔をしかめる。「こう毎日では正直迷惑だ」

 フランは拒絶されなかったのは承認の意味と解釈、着席して「ほうれん草カレー」を注文する。「それじゃ足りないだろう」と女がカツをわけた。

 彼女の名は「馮愛生(フェン アイシェン)」、二十四歳の陸軍上尉。満開の牡丹の様な容貌のもちぬしだ。中国政府から紹介された。

「劉備は諸葛亮の家を三回たづねて、ようやく会えました。人徳のない私は、それ以上の誠意を見せないといけません」

「三国志の三顧の礼か。でも私は『天下三分の計』など教えられないぞ」

「あの場面で、孔明に秘策があったでしょうか。あったとしても、密談がくわしく記録されてるのは不自然です」

「あははっ」フェン上尉はスプーンをおく。「君はおもしろいな。降参だ、話くらい聞こう。軍人として日本の内戦に関心はある」

 結局フランは習近平を説得できなかった。同盟締結の見込みがあるにせよ、まだ時期尚早。ならできるだけ顔を売り、隣国に味方をふやしてから帰りたい。

 新人外交官は革命の大義と戦況について、カレーが冷めるのもかまわず宣伝した。

 アイシェンが大きな瞳でみつめる。「でも緒戦は大敗を喫した。私はいま情報部にいるから把握してるんだ」

「たしかに苦戦でしたが」フランが反論。「わが軍は戦闘のほとんどで主導権を握ってましたし、いまだに士気も高いです」

「司令官の凡ミスで全滅しかけたのに? それはありえない」

「これから仲間になる人に嘘はつきません」

 中国の女武者はトンカツにかぶりつく。小柄な日本人が信用できるか品定めしている。

 フランは資料をさがした。ボストンバッグに自作の中国語版が数冊ある。

「その本は?」アイシェンが目をとめた。

「これは関係なくて……わたしが書いた小説ですけど」

「噂は聞いてるよ。若いのに大したものだ。おっ、それは初音ミクじゃないか。君は彼女を知ってるのか?」

 緑のツインテールの少女が表紙に描かれている、ボーカロイドとのコラボ小説だ。

「ええ、まあ」フランは話をもどしたい。

「うらやましい!」アイシェンが肉を飛ばしながら叫ぶ。「初音さんはすばらしい歌手だ。わたしもぜひ会いたい!」

「直接会うのは無理かも……」

「うんうん、スーパースターだからなあ。あと日本といえばボーイズラブ! 男同士で恋愛する風習が盛んなのだろう?」

 一滴も飲まずに酔っぱらう、この感じ。暁ジュンの同類が大陸にもいた。

「フェン上尉、それは大袈裟です」

「わかってるとも」アイシェンはうなづく。「そうゆう恋は大声で言い触らすべきじゃない。よし決めた、憧れのホモの国へゆくぞ! 出発は……そうだな、明日だ」

「ええっ!?」

「今すぐでもいいが、親類に暇乞いをすませ、部下も連れてきたい。わはは、腕が鳴る! 政府軍が何万人いようと、わたしの戟で皆殺しだ!」




 翌日。帰国便に乗るフランは、デジタルメモのポメラでレポートを書いている。お土産を買う時間はなかったが、充実した旅だった。

 さっきまで後方で、フェン・アイシェンと十数名の部下が酒を飲んでいたが、騒ぎ疲れて眠っている。

「ようやく静かになったね」

 刈り上げた髪型で細身のスーツを着た、隣の三十代の男に話しかけられた。

「ええ、これで作業に集中できます」

「まったく中国人ってのは……。ビジネス以外で付き合いたくない連中だ」

「そうですね。日本人もそう思われないよう気をつけたいですね」

 フランの笑顔は非の打ちどころないが、ジュンなら作り笑いと見抜いたはず。

 ビジネスマンはタブレットで内戦関連のニュースを読んでいる。安倍首相が「勝利宣言」する写真がフランの目にはいった。

「どうなるか不安だったが」男が言う。「叛乱はこのまま終息するらしい。こいつらの罪は許されないだろう」

「わたしも平和を願ってます」

「特に暁ジュンって女は、死刑にすべきだ」

 フランはホットアイマスクをとりだす。

「すみません、ちょっと眠くなったので失礼します」

 大好きな人のため、とびきりの笑顔をとっておきたい。心が磨り減る前に。フランは夢の世界でしばらく休んだ。




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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

君塚祥『上海白蛇亭奇譚』/渡会けいじ『弁天ロックゆう。』 上海と上野で

カバー下の作画も入念

 

 

さて本日も、近刊2冊を同時におとどけ。

 

君塚祥『上海白蛇亭奇譚』(バンチコミックス/ためし読みは、

『ホムンクルスの娘』につづく新作で、ずばり「上海租界もの」。

ときは1920年代の戦間期、列強やひとびとの思惑が、この魔都でうごめく。

 

 

 

 

ヒロインの「花琳」は、茶店「白蛇亭」をいとなむ。

そこに出入りする客はワケありだったり、妖かしのものだったり。

中国茶やチャイナドレスが醸す雰囲気に幻惑させられる。

 

 

 

 

単行本はこれが3巻めとなる君塚はまだ新人と言ってよく、

謙遜もあるにせよ、ちょっと背伸びして描いてると後書きでみとめる。

モダンでクラシックな異国情緒、各国のスパイがうようよする歴史絵巻。

10年のキャリアがあるベテランでも尻ごみするであろう題材だ。

 

 

 

 

しかしきめ細かい作画や心理描写は、愛くるしい化け猫「金花猫」などで、

ファンタジックな固有の世界を現出させる。

魔都上海の現代的解釈として成功しているとおもう。




上海白蛇亭奇譚 1 (BUNCH COMICS)上海白蛇亭奇譚 1 (BUNCH COMICS)
(2015/04/09)
君塚祥

 

 



 

 

見えてるのか、見えてないのか!?

渡会けいじの新作『弁天ロックゆう。』(角川コミックス・エース/ためし読みは「ギャルバンもの」。

JKがギター弾いてりゃ、とりあえず絵になる。

 

 

 

 

角川から出す14冊めの単行本の題材は、むしろ定番メニューだが、

上野を舞台に「街と女子と音楽」のトライアングルをえがく点に個性がある。

第2話扉絵は、上野公園にある廃駅が背景。

 

 

 

 

不忍池に弁天堂があるが、ヒロイン「いずみ」は弁天様に才能をみこまれた。

琵琶ならぬギターで世界をかえろと。

主人公に「魔法」をさづける導入として巧みだし、絵としても映える。

 

前作『僕に恋するメカニカル』1巻/2巻もそうだが、渡会けいじは「うまい」作家だ。

うますぎるくらい。

とにかくキャラの外見・表情・動き・セリフが魅力的で、

全体に漫画的誇張がきいてるし、ノリがよくギャグもおもしろい。

でもなにか足りない。

打ち切られた『メカニカル』3巻のレビューから。

 

打ち切られてしまった。

渡会さんのマンガは絵がかわいいのでつい買ってしまうが、

前作「O/A」しかり今回しかり、脱線が多くストーリー展開が散漫な印象。

その辺が原因のひとつかも?

 

アマゾン

 

前巻の後書きで連載が始まる前に本作のネームが出来なくて

原稿を落としたような事を書いていましたので、

本人も方向性を出せない手探り連載だったのかも知れません。

 

読書メーター

 

外の世界へうったえたいテーマがあり、描きたいラストシーンがあり、

それにむかって邁進するとゆう、作家がもつべき感情的エネルギーにとぼしい。

 

 

 

 

おそらく本作でも、渡会は「終わり」が見えてない。

すくなくとも読者につたわらない。

 

一方で、上野駅のロータリーをきりとるスナップショットは、

少女らのかけがえない一瞬を、作品とゆう永遠にとじこめる。

ここには漫画の魔法があり、結局ぼくらは抵抗できない。




弁天ロックゆう。 (1) (カドカワコミックス・エース)弁天ロックゆう。 (1) (カドカワコミックス・エース)
(2015/04/04)
渡会けいじ


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ジャンル : アニメ・コミック

オニグンソウ『もののがたり』/江島絵理『少女決戦オルギア』 なぜアクションか

 

 

近刊2作から、アクション漫画の最前線を展望してみる。

まづ、オニグンソウ『もののがたり』(ヤングジャンプコミックス/ためし読みから。

京都を舞台に、「付喪神(つくもがみ)」と呼ばれる霊的存在が暴れる。

ちなみに作者は和歌山出身。

 

ヒロインの「長月ぼたん」は一見普通の大学生。

やはりダッフルコート女子は絵になる。

ローアングルもパンツルックなら下品じゃない。

 

 

 

 

付喪神は、現世の人々の敵にも味方にもなりうる。

厳正な審査をおこない、仲間にするか判断。

 

 

 

 

おかっぱ頭の女は、最終審査のさなかに豹変し、ぼたんが従える付喪神を破壊。

静から動へのはげしい転調を、流麗な描線でかたどる。

 

 

 

 

主人公の「岐兵馬(くなと ひょうま)」は、すんでのところで第二撃から「鏡ちゃん」をすくう。

お姫さま抱っこされ照れるのがカワイイ。

 

 

 

 

アクションのなかで主人公は、おのれの存在価値を證明。

はじめ自分を拒絶した、ぼたんの態度もやわらぐ。

目元や口元のかすかな変化のためなら、命を懸けられる。




もののがたり 1 (ヤングジャンプコミックス)もののがたり 1 (ヤングジャンプコミックス)
(2015/03/19)
オニグンソウ

 

 

 

 

 

 

うってかわって江島絵理『少女決戦オルギア』(ヤンマガKC/ためし読みは、

絵本にもなりそうな、ほんわかした絵柄。

「舞子」と「緋乃」のイチャイチャを愛でる百合漫画でもある。

 

 

 

 

しかし少女たちは、街を破壊しながら殺しあう。

ミニスカートをなびかせて。

 

 

 

 

「雪の女王」に馬乗りされ絶体絶命の舞子は、月のうつくしさに見惚れる。

 

おぼろな月影や、散りゆく花のはかなさに美をみいだす、

日本的な感性がアクションにより際だつ。

 

 

 

 

新人・江島絵理は、九州デザイナー学院で諫山創の同級生だったそうで、

本作は日常パートもアクションパートもかなり密度が濃い。

ただ初見のたのしみをとっておきたいし、今回はこれくらいで。

 

アクション漫画は予備知識なしで手に汗にぎりたい。




少女決戦オルギア(1) (ヤンマガKCスペシャル)少女決戦オルギア(1) (ヤンマガKCスペシャル)
(2015/04/06)
江島絵理

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合 

雪子『ふたりべや』

 

 

ふたりべや

 

作者:雪子

掲載誌:『コミックバーズ』(幻冬舎)2014年-

単行本:バーズコミックス

[ためし読みはこちら

 

 

 

JKふたりの下宿での同居生活をえがく4コマ。

広義の「萌え4コマ」に分類されるとおもうが、本作が初単行本となる雪子は、

これまでイラスト系の仕事が中心だったのもあってか、

絵柄はきらら系の「ころころぷにぷに」でなく、少女漫画よりのリアル頭身。

この美麗イラストを、せまいコマへどう落としこむかがカギ。

 

 

 

 

ふわふわパーマが「かすみ」。

マイペースで不器用な、いわゆる残念美人。

雑誌をヒモでしばることもできない。

 

僕も苦手なので共感できる。

リアル等身からデフォルメへの落差で、あるあるネタの破壊力を増幅。

 

 

 

 

「かわいい女の子が描きたい!」とゆう慾望をためこんでいた作者は、それを『ふたりべや』にぶつけた。

世話焼きでおかんっぽい「桜子」も、一見地味だけど、

三つ編みの描写とか凝ってて、エプロンもおしゃれで、決してコンサバじゃない。

 

最近の萌え4コマは「2コマぶち抜き」が流行りだが、

本作は女子を描くため3コマ、ときに4コマ突き抜ける。

 

 

 

 

コインランドリーをつかうときは、下着をネットにいれるのがエチケット。

かすみは気にしないが、周囲からの圧力に屈する。

女子のめんどくさい内部事情もたのしい。

 

 

 

 

かすみはトイレに鍵をかけない主義。

お腹をこわしてるので相当臭うはずだが、桜子は平然としたもの。

相手の汚いところまで、まるごと受け容れてこそ百合。

 

 

 

 

しっかり者のおかん少女と、天然の残念美人。

ふたり暮らしでたがいの理解はふかまってゆくが、

長くつづけてるアルバイトを手伝ったら、そこに知らないかすみが。

女子にはいくつもの顔があって、それがリアル。

百合は堂々巡りのラビリンス。

 

 

 

 

かすみが外をあるくと注目の的。

モデルにスカウトされるなんて当たり前。

 

上の2コマは髪や服が耽美的に描きこまれるが、

呼び止められ名刺を差し出される、かすみ視点のトピックも表現する。

3コマめで、強いデフォルメをほどこしつつ「二人部屋」へシーンをもどし、

4コマめは中程度のデフォルメで、かすみの可愛さを確保。

 

 

 

 

この2コマもいい。

右側は、4階から見たかすみの全身。

1コマめは、かすみから見た桜子を、中デフォルメにより打ち解けた雰囲気で。

2コマめはカメラをうごかし、強デフォルメでトピックを処理。

 

見下ろすことで、繊細な表情をとらえながら全身を2コマにおさめる。

さえた描画スキルにささえられ、おだやかだけど鮮烈な日常がながれてゆく。

 

 

 

 

「少女漫画的な華麗さ」と「女子のあるあるネタ」が融合した、

ボーダーレスに可愛くて面白い、4コマをこえた4コマ漫画。

2015年においても百合は進化しつづける。




ふたりべや (バーズコミックス)ふたりべや (バーズコミックス)
(2015/03/24)
雪子

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ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合  萌え4コマ 

小説14 「スカイツリーの戦い」

『フリーダム・シスター』


登場人物とあらすじ


全篇を縦書きで読む







 倉庫としてつかわれる幕張メッセのホールから、かぼそい泣き声がきこえる。

 司令官の暁ジョージは、経理業務を担当する本城フランが、ぐっしょりハンカチを濡らすのを見つけた。先日軍に合流した、元蒼龍学園理事長・斯波トモコになぐさめられている。

 ジョージは段ボール箱に腰をおろし、「どうしたの」と声をかけた。

「わたし」フランがしゃくり上げる。「ジュンさんに嫌われた。昨日からずっと無視されてるんです」

「心当たりは?」

「わたしが悪いの……まちがえてこれを発注してしまって。ジュンさんは『きのこの山』派なのに」

 うづ高く積まれた箱が「たけのこの里」なのにジョージは気づいた。食い意地のはった妹がヘソを曲げたらしい。

「兵站の責任者はわたしよ」トモコがやさしく言う。「ちゃんと確認すべきだった。一緒に謝りにゆくわ」

「いやいや」ジョージがあわてる。「悪いのはジュンでしょう! たかがお菓子で怒るなんて。あとでキツく言っておきます」

「暁君、わかってないわあ」

 トモコはジョージの肩に手をおき、首を横にふる。

「女子にむかって」トモコが続ける。「『たかがお菓子』なんて絶対言っちゃダメ。あなたは仲直りする場のセッティングだけしてちょうだい」

 女心がわからない自覚はあるのでジョージは同意した。あす、政府軍へ総攻撃をかける「初音作戦」が発動する。少女たちのケンカに介入する暇はない。

「フランちゃん」ジョージが言う。「妹が迷惑かけて申し訳ない。でも多分アイツにとって、君ははじめての親友なんだ。これからもよろしく頼むよ」

「迷惑なんてとんでもない! そ、その……ジュンさんの気まぐれなところも好きなんです……」

 耳の先まで赤く染め、フランが身悶えする。トモコはジョージをみて、思わせぶりにニヤリと笑う。

 「女子」。たしかに自分の理解をこえる存在だとジョージはおもった。




 翌日の午前九時。

 軽装甲機動車が百キロちかい速度で疾走し、市川市から浦安市へ侵入。散発的な戦闘がおきるが、革命軍の分遣隊を指揮する羽生アリアは、「敵は無視しろ」と無線でくりかえす。武器を持たせたまま置き去りに。

 「隻眼の女将軍」は麾下の民兵二千人に、三か月で移動の仕方のみ叩きこんだ。おなじ速度であるき、同時に止まれれば十分で、剣の振り方は知らなくていい。戦闘力や戦術では国防軍にかなわない。国家主義にかぶれた武装親衛隊には士気で劣る。彼らと正面からぶつかるなど愚かだ。

 黒服のSS中佐がわめくのが聞こえ、車をとめさせた。奇襲され戦意をうしなった部下を焚きつけている。あからさまに敵対的な将校は放置できない。

 アリアが降車して要求する。「中佐、悪いが我々と同行してくれ」

「不逞の輩がなにをぬかす! 武装親衛隊は決して降伏しない」

「どうしても聞かないなら……」

「くどいぞ、女!」

 アリアは抜刀し、SS中佐の愛国心に満ちた人生を完結させた。運転手の方をむき、オメガの男物の腕時計を指でたたく。

「二分ロスした。とりもどすぞ!」




 車輌後部のキャビンに、「参謀」のジュンとフランがいる。独自のドクトリンにこだわるアリアは、参謀長・大井スルガなど職業軍人と反目しがちで、帷幄に護衛としてジュンをおいた。作戦にケチをつけるだけが取り柄の参謀将校の相手をするのは、時間の浪費とおもっていた。

 キャビンのふたりは無言。フランはちらちら視線をおくるが、ジュンは目もあわせない。結局話し合いの場はもたれず、モヤモヤをのこし内戦勃発。

 荒川を渡るため、車は湾岸道路へのぼる。一般車両は通行止だが、無論彼らは例外。

「ねえ」ジュンが助手席に声をかける。「アニキはちゃんとやってるかな?」

「大丈夫さ」アリアが答える。「本隊の役目は松戸を確保するだけで、バカでもできる。心配か?」

「うん。アニキのバカさ加減を、みんなわかってないよ」

 近衛師団が事実上消滅したあと政府軍は再編成をおこない、叛乱鎮圧のためどうにか二万五千人そろえた。対する革命軍は一万八千。微妙な戦力差と言える。

 政府軍は二重の防衛ラインをひいた。ひとつは「国道16号線」で、幕張を根拠地とする革命軍をこの円から駆逐すれば、重要施設は安全となり、首都機能もほぼ回復する。

 もうひとつはその内側の「環状7号線」で、いわば「絶対国防圏」。ここを破られると国家全体が致命的打撃をうける。すさまじい犠牲が市民のあいだに出るだろう。

 暁兄妹ひきいる革命軍は千葉県松戸市の高台に布陣し、葛飾区あたりで決戦をおこなう構えをみせた。

 だがそれは陽動で、初音作戦の重心はアリア隊の左翼での突進にある。

「きゃっ」フランが身をすくめる。

 河口橋が落ちるほどの振動と爆発音がつたわった。工兵部隊が地雷除去に失敗した。

 アリアが車から飛び出す。「状況を報告しろ!」

「作業続行は不可能です」生き残った工兵隊員が答える。「本隊から応援をよびました」

「それでは遅い、続行だ」

「無理です! 機材も人員もたりません!」

 アリアが地団駄ふむ。この橋をわたれば敵の背後にまわれる。逆にモタモタすれば、自分たちが側背を突かれる。

 意を決し、肉片のちらばる現場へ踏みこんだ。壁に仕掛けられた指向性のクレイモア地雷が、ワイヤートラップと電気回路でつながれている。

 アリアが工兵に言う。「簡単な仕組みじゃないか。回路を切断すればいい」

「おそらく対抗措置がほどこされてます」

「『おそらく』とは確率何パーセントだ?」

「まさか、隊長が御自身で……」

 アリアの右目は狂気をやどす。「はやく答えろ。答えねば斬る」

「……ご、五十パーセント」

 それを聞いたアリアは、スキニージーンズの腰に装着したナイフをぬく。

「アリアさん、むちゃだ!」

 車から降りたジュンがさけぶ。おびえるフランも後につづく。

「君らは装甲車の陰にいろ」アリアは振り返りもしない。「私がやられたらジョージに……いや、いい。見たまま伝えてくれ」

「やめろッ!」

 躊躇せずアリアがナイフをふるう。ジュンは身を挺しフランをかばった。

 負傷者のうめき声しか聞こえない。

 眼帯の女は哄笑した。ころがりこんだ勝利の予感に恍惚となる。

 ジュンは安堵の息をもらし、親友の手をとり立たせた。

 首都高をはさんだ反対車線で、政府軍のパジェロが発進する。そこへ乗りこむ二人に因縁あったので、ジュンはおどろいた。




 パジェロの後部座席にいるシャドウガールは、アルマーニの黒のパンツスーツに身をつつむ。バックミラーにうつる助手席の男の表情をうかがう。

「調査書によれば」シャドウが言う。「娘さんとは随分会ってないんでしょ。挨拶くらいすればいいのに」

「調べたなら御存じでしょう」四十代なかばの男が答える。「わたしが家族より国家を重んじる男だと」

 男の名は暁コウゴ。最近昇進して陸軍大佐となった。眼光するどく、痩せている。いや骨と皮だけと言っていい。家族の不祥事で予備役編入となったが、シャドウのとりなしにより現役復帰。才能を愛する彼女は、たとえ「暁兄妹の父」だろうと、「陸軍きっての切れ者」を飼い殺しにする気はない。

 黒衣の姫君はリアウィンドウにふりむく。

「それにしてもあの片目の女の子、優秀じゃない。こちらは苦戦みたいだけど?」

「紙一重になりました。でも勝ちは勝ちです」

「あらそう、まかせるわ。どちらかって言うと、わたしは海の女なのよ」

 聯合艦隊をひきい太平洋を遊弋したころがなつかしい。地べたを這いずり回るのは優雅じゃない。

 シャドウが車窓を眺めながらつぶやく。「なんだか叛乱軍の方が人材豊富だわ。かわいい暁ジュンちゃんもいるし」

「あれは」陸軍大佐が答える。「剣客としてはそれなりですが、大軍をひきいる器じゃありません。むしろ息子の方が手強い」

「ジョージ君か。わるいけど、いまいち特徴にとぼしい子よね」

「何度打たれても音をあげない男です。だから緒戦で一気に叩き潰す」

 月姫はまたミラーをうかがう。コウゴの目は逡巡どころか、闘志をみなぎらす。顔形は息子に、攻撃性は娘に遺伝したらしい。

 シャドウが尋ねる。「肉親の情が、作戦立案や指揮に悪影響をおよぼすことは?」

「それは作戦終了後、元帥閣下が評価すべきことです」

「ゲンスイカッカって、大袈裟で嫌いよ」

「軍隊は形式主義ですから」

「やれやれ」シャドウがほほえむ。「そのかわりベッドでは、わたしのこと『不知火』って呼んでね」

 焦った上官から睨みつけられ、運転手はなにも聞いてないフリをした。はじめてコウゴを動揺させるのに成功し、夜を司る神はほくそ笑んだ。




 正午ごろ。

 アリア隊の電撃的な機動は、予備隊との戦闘に巻きこまれ停滞。おおきく右に方向転換し、千葉県側へ再度荒川をわたれば、包囲は完成する。しかし一本の無線連絡が、作戦計画を瓦解させた。

 本隊が松戸の陣地をすて、正面衝突をはじめた。

「信じられん!」アリアが強化ガラスを叩く。「なぜバカでもできる仕事すらできない!?」

 戦術的にすぐれる国防軍はあえて「絶対国防圏」を放棄、たくみに敵をおびき出した。葛飾区から墨田区へなだれこんだ革命軍は、そこが死地だと気づいた。

 荒川・隅田川・北十間川にかこまれる三角地帯が、恰好の屠殺場となる。剣と矢と炎がふるまわれる饗宴。退出しようにも、ドアは厳重に施錠されていた。

 本隊を混戦から救出し、全軍崩壊をふせぐしか、アリア隊に選択肢はない。指揮官も車を降りて抜刀。

 ジュンが追随する。「あたしも行く」

「だめだ!」アリアが厳命。「前線に絶対出さないとゆう条件で、君をジョージから借りている。なにがあっても車内にいろ」

 アリアは血路をひらき北上、壊滅寸前の司令部をみつけた。長身の司令官が、指揮そっちのけで刀をふるう。

「ジョージィーッ!」アリアの怒号がひびく。「なぜ持ち場をはなれた!?」

 ジョージは目をむく。「アリア、無事だったか」

「なぜ動いたのか聞いているッ!」

「分遣隊の移動が速すぎて、連絡がほとんど取れないから……」

 ジャケットを鮮血で染めるアリアは、恋人に幻滅した。自分の身を案じられるのが、つねに嬉しいとはかぎらない。特に多数の生命が懸かっているときは。

 スカイツリーの足元で、隻眼の女将軍は矢継ぎ早に撤退の指示をくだした。




 水色の襟のセーラー服を着たジュンが、言いつけを破り戦場をさまよう。服装は兄に命じられた。軍人でないと明確にするため。

 革命軍の目印である青い腕章をつけた数名が、下町の家屋にガソリンを撒いている。

 ジュンが尋ねる。「なにしてんの。これはだれの命令?」

 兵は顔を見合わせ答えない。どうせアリアだろう。

「アニキ……じゃなかった」ジュンが言う。「司令官の命令じゃないよね。だったらやらないでいい。はやく逃げて」

 両軍にジュンを知らないものはいない。お墨つきをもらい安心して去っていった。

 サイレンと悲鳴がとびかう。交通網は麻痺し、消火活動もままならない。蜂の巣をつついても、ここまで無秩序にならないだろう。

 ふとジュンは空をみあげ、ミミズクの「くもたん」をさがす。こんな地獄についてこなかった彼女は賢い。

 後方からフランの甲高い叫びがきこえた。五人の親衛隊員にかこまれている。ジュンはニューバランスの赤いスニーカーでアスファルトを蹴る。

 武装した五人との立ち合いは、中等部の校舎裏とおなじ状況。毎日の稽古で体のキレがもどったか確認するのにいい。

 スカートの裾がひるがえる。掌底で一人の鼻骨を、左右の肘で二人の下顎骨をくだき、背中をぶつけ二人斃した。竜巻がとおりすぎるかの様に。

「まあまあか」ジュンはすまし顔。「ケガはない? フランちゃんから目を離さないつもりだったのに、ゴメン」

 フランは唖然とする。「なんで刀を抜かなかったの?」

「そういや刀持ってたっけ。きのう『グランド・マスター』って映画見てさ、八極拳がカッコよくて影響受けたのかも」

 フランは頭ひとつ大きいジュンの胸へとびこむ。颯爽とあらわれ、華麗に舞い、敵を薙ぎ倒す守護天使。崇拝せずにいられない。その気高さを疑った自分が恥づかしい。

「ありがとう」フランは至近距離から見上げる。「橋の上でもかばってくれて。わたしには守ってもらう資格なんてないのに」

「へ、なに言ってんの?」

「だってお菓子の件で、あなたの信頼を裏切った」

「きのこの山のこと? そんなんで怒るほど、あたしはガキじゃないよ」

「でも、ずっと無視してたじゃない!」

 怒っているのはフランだった。率直にエゴをぶつける親友を抱きながら、ジュンはうちあける。

「あたしね、いつも悪夢をみるんだ。三日前だったかな、フランちゃんが戦場で囲まれて、その……」

 フランは吹き出す。「殺されちゃった?」

「笑いごとじゃないよ! これ以上あたしのせいで……」ジュンは喉をつまらせる。

 どれほど強く超然としていても、ジュンは妹分なのだと、元生徒会長は再認識。

「もしわたしが死ぬとしたら」フランが言う。「ジュンさんを守るためだと思う。それなら死ぬのは全然こわくない」

「あたしだって。フランちゃんは自分の命より大事だもん」

「知ってます。これまでそうだったから」

「あたしも知ってたよ!」

 なにかとすぐ張りあう妹分が、フランは愛おしくてしかたない。ふたりは手のひらを合わせ、指をからませる。

「こうやって心がひとつなら」フランが言う。「心配なんていらない。わたしたちは無敵です」

 住宅地にひろがる猛炎に照らされながら、ジュンとフランはたがいの体温を感じあっていた。



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佐保里『宇野家の人びと』

 

 

宇野家の人びと

 

作者:佐保里

発行:エンターブレイン/KADOKAWA 2015年

レーベル:B's-LOG COMICS

[ためし読みはこちら

 

 

 

会社員の「宇野一希」が里帰り。

事情あってケータイをつかえないが、田舎ゆえ公衆電話がのこっていた。

育ての親である祖母の出迎えをうける……はずだった。

 

 

 

 

帰郷したのは療養のため。

駅で発作をおこし倒れるなど、病状は深刻。

 

 

 

 

それより問題は、「壱子おばあちゃん」が50歳くらい若返ってること。

新薬の試験に参加したらこうなった。

そんなSF仕立ての家族コメディだ。

 

 

 

 

ひさかたぶりの青春を満喫するおばあちゃんが愛くるしい。

PCやスマホをつかいこなし、スノボにも挑戦。

 

1巻完結の本書は、同人誌発表作を中心にまとめたもの(参考:作者のブログ

作者の初単行本だが、はなやかな着物の柄など画力は達者。

エンピツ風のかすれた描線もモティーフにあっている。

 

 

 

 

やさしくて落ち着いたおばあちゃんは、本来かわいいものだが、

みづみづしい外見までとりもどすと無敵の存在に。

 

 

 

 

一希がわづらうのは「ブルーライト」による発作。

液晶画面の光をあびると卒倒してしまう。

PCもつかえないから失業者になった。

あたらしい文明って、そんなにいいものじゃない。

 

 

 

 

見ためは若返った壱子おばあちゃんも、不老不死ではない。

中身は70歳、人生の終わりを意識する毎日。

彼女が輝いてみえるのは、かぎりある時間を精一杯生きてるから。

 

深みのある心理描写にもひかれる佳作だ。




宇野家の人びと (B's-LOG COMICS)宇野家の人びと (B's-LOG COMICS)
(2015/04/01)
佐保里

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旅順虐殺事件 近代日本の縮図

亀井茲明「敵屍を旅順口北方郊野に埋葬するの状況」

 

 

「旅順」といえば日露戦争より、日清戦争。

1894年11月に日本軍は、そこで大勢の捕虜や民間人を虐殺した。

第2軍司令部もみとめた事実だ。

大谷正『日清戦争』(中公新書)を手がかりに、ことの次第をさぐろう。

 

虐殺の原因のひとつは「報復」とかんがえられる。

清軍による残虐行為に、下級指揮官・下士官・兵は怒っていた。

ありがちな話だ。

問題は上級指揮官がそれを抑えず、むしろ煽ったこと。

 

ニュースは欧米世界へまたたく間にひろまる。

文明国として認識されたいなら、日本は責任をとれと袋叩きに。

伊藤博文首相や陸奥宗光外相は、慌てるばかりで無為無策。

軍部を調査し処分する能力はない。

それどころか虐殺の事実自体、欧米メディアを通じ知った。

 

 

 

 

そもそも無謀な作戦だった。

第2軍の兵力は、守備側のおよそ2倍程度。

北方を牽制しつつ、堅固な要塞を攻撃するには小所帯すぎる。

 

 

パンチ誌の風刺画

 

 

「日露にくらべ日清は楽勝」みたいなイメージは捨てるべき。

参加人数は日露戦争の3割強、規模は意外とおおきい。

清軍は鋳造鋼鉄製の野砲と山砲や、ドイツ製の新型の連発銃など装備し、

日本より装備がすぐれていたのも知っておきたい。

 

なにせ清は大国、人材も豊富だ。

李鴻章の部下である馬建中は、フランス留学し国際法にくわしく、

朝鮮に介入する際、外交面の洗練ぶりで日本に差をつけた。

 

 

浅井忠「戦争後の旅順市街」(1895年)

 

 

福澤諭吉は日清戦争を讃美した。

「文明国」が「野蛮国」と戦うのは当然と、献金などで積極的に協力する。

 

開戦時の陸相だった大山巌は、国際法遵守に意慾的。

法律顧問を従軍させ、その知識を活用したが無意味だった。

 

兵士が敵を憎むのはあたりまえ。

だがもし味方が敵を無差別に殺したら、自分たちで裁かなくてはならない。

不愉快な仕事だが、そのため指揮官は存在する。

軍隊に必要なのは学者でなく、覚悟だ。

 

 

陸奥宗光

 

 

陸奥宗光が開戦をのぞんだのは、

条約改正交渉での不手際への批判を躱すためだったらしい。

ひどい話だ。

 

イギリスとロシアの制止を無視したので、強国からの支援がなく孤立。

戦勝後は、軍部や輿論の度をこした領土獲得慾求に翻弄される。

事前に予想された三国干渉への対応も拙劣。

朝鮮をおさえるための戦争だったのに、閔妃殺害事件やらなにやらで、

反日親露派政権が誕生するとゆう最悪の結果をまねいた。

 

慎重な明治天皇は「朕の戦争に非ず、大臣の戦争なり」と不快感をしめす。

途中で気がかわり、広島の大本営で健気に応援団長をつとめたけど。

なんとも幼稚な「文明国」だ。

 

 

『2001年宇宙の旅』(イギリス・アメリカ映画/1968年)

 

 

僕は日本に、世界で尊敬される国になってほしい。

でも「武器をもって昂奮し、暴れまわる猿」とゆう、

鏡にうつった姿から目をそむけてるうちはダメだろうな。




日清戦争 (中公新書)日清戦争 (中公新書)
(2014/06/24)
大谷正

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妹たち 『ファイアーエムブレム if 白夜王国』『暗夜王国』

 

 

6月25日発売のFE新作は、「白夜と暗夜」にわけたポケモン商法。

敵味方をひっくり返しつつ1000回あそべるSRPGらしい。

 

 

 

 

したがって王道のFEストーリーも陰影ゆたかに。

 

主人公は、王子または王女として白夜王国にうまれるが、

戦争の混乱のなか、暗夜の王家でそだてられる。

 

 

 

 

あるとき、実のきょうだいと再会。

白夜へもどるよう求められる。

生まれか育ちか、白か黒か、第6章終了時に選択する。

 

 

 

 

「お兄ちゃん、もどってきてっ!」

年少期をともにした、暗夜のゴスロリツインテ妹。

独占慾がつよい。

 

 

 

 

「お兄さまと御一緒したく存じます……」

夢にまでみた生き別れの兄を慕う、白夜の和装の妹。

一途な姫君。

 

どちらをえらんでも、どちらかの妹を悲しませる。

敵として、のちに戦場でまみえるだろう。

はやくも僕の心は痛む。

 

シグルドとエスリン、エフラムとエイリーク、アイクとミスト、クロムとリズ……。

FEをいろどってきた兄妹愛の物語群に、痛切な旋律がかさなる。

 

 

 

 

「主人公」をえらべるのはシリーズ初。

コザキユースケがキャラデザをてがけた。

やはり女キャラに惹かれるが、それだと「兄妹の物語」でなくなる。

なやましい。

 

集大成をめざした2012年の覚醒は、たとえばクロムやルキナの青い髪とか、

伝統的なFEのシンボルをあえて前面にだした。

ifの主人公はモノトーンが強調され、青いマントも彩度ひくめで黒っぽい。

 

 

 

 

システム面はデュアルアタックなど、覚醒を踏襲している様だが、

敵側にデュアルが発動しているし、「アタック!」とゆう表示も見覚えない。

下はスキル的なものをセットするスロットで、ボタンやタッチで使用するのか。

 

 

 

 

いわゆるキーヴィジュアル。

ロウルートが和風で、カオスルートがファンタジー風なのが斬新にうつる。

 

情報量がおおいデザインなのに、3DS実機で描画したとき、

シルエットや色で識別しやすそうなシンプルさを感じるのは覚醒同様。

 

 

 

 

白夜の「ヒノカ」は、凛々しい薙刀つかい。

FEのトレードマークであるペガサスナイトの大胆な解釈。

 

 

 

 

まづはロウルートで、サクラさんとの絆をふかめてゆくだろう。

僕は何回プレイするかわからないが、朝7時のNintendo Direct以来、

妹たちのことを妄想した回数は余裕で1000回をこえる。




ファイアーエムブレムif [オンラインコード]ファイアーエムブレムif [オンラインコード]
(2015/06/25)
Nintendo 3DS

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