池尻エリクソン『思春機13号』

 

 

思春機13号

 

作者:池尻エリクソン

発行:双葉社 2014年

レーベル:アクションコミックス

 

 

 

両腕から炎を噴射し、ネジをむさぼるツインテ少女。

頭頂にアンテナ。

いったい何者で、何をしているのか。

 

 

 

 

彼女の名は「機械田ひとみ」、ロボットである。

13億光年はなれた星から、家族とともに移住。

母星では、思春期をむかえたロボットはみな地球をおとづれ、

宇宙一感情的な生物を観察し、そのパトスをインストールするしきたり。

 

ロボットに加齢の概念があるのが斬新。

 

 

 

 

テクノロジーはややかたよる。

「友達1号」こと、中学生「北杜七瀬」がもつガラケーの機能にびっくり。

 

 

 

 

歌唱力はプロ級。

体内でCDを再生する究極の口パクだが、音飛びするのが悩み。

 

 

 

 

弟「ひとし」は新型の機体で、ゲーム機能内蔵。

頭にカセットを直接さしこむ、これがホントの「ゲーム脳」だ。

 

 

 

 

しられてないだけで、学生のロボットはめづらしくない。

『究極超人あ~る』とか。

ネタが結構ふるいな。

 

ウェブ上に作者・池尻エリクソンの情報はすくない。

「トムハンクス」とゆうかわった名前のバンドでベースを担当している(いた)らしい。

絵柄や題材は流行の最先端じゃないが、安定感あるシュール系ギャグ四コマ。

 

 

 

 

思春機13号は恋のイロハをまなび、オトナをめざす。

ラブコメのお約束「角ドン」も、事故の心配なし。

 

 

 

 

ガールズトークの議題はもちろん恋バナ!

ひとみの好みのタイプは、色白でやさしい草食系男子。

「救急車さん」とか理想かな。

 

 

 

 

とかく厄介なのは、思春期の娘と母の関係。

ロボットはコントローラで自分の子供をあやつれるから、問題おきない。

 

 

 

 

幼なじみのロボット「みいなちゃん」と地球で再会。

ひとみとちがい、人間とふかくかかわらない。

いづれ故郷へもどるのだから無意味だと。

 

 

 

 

最終話は10年後をえがく。

七瀬は、ひさしぶりに地球へきたひとみと偶然出くわす。

カメラマンのアシスタントとして退屈な雑用におわれ、

現実に負けそうになっていたところを、はげまされる。

夢をなくしたら、ただのロボットになっちゃうよ。

 

 

 

 

「人間とはなにか」についての、ひとつの解答。

友達同士の距離感(13億光年)が絶妙な、おかしくせつない名篇だ。




思春機13号 (アクションコミックス)思春機13号 (アクションコミックス)
(2014/06/27)
池尻エリクソン

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ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合  近未来  萌え4コマ 

小説22 ゴッドガール戦記

『フリーダム・シスター』


登場人物表


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10月5日 ゴッドガール




 吹上御所の朝はしづかだ。ヒヨドリの鳴き声がきこえる。

 わらわはベッドのなかでゲームボーイミクロをうごかす。野鳥より手持ち無沙汰な幽閉の身ゆえ、GBAの『ナポレオン』であそぶ。ボナパルトめは、西郷隆盛が尊敬していた。吉之助、あやつもいい男じゃった。

 黒いスーツの女がはいってくる。「ゴッドシスター」、わらわの妹だ。「千早宮」とも称される。登山が趣味で、よく日焼けしている。手にマクドナルドの紙袋が。

「姉上様、ホットケーキを買ってきました」

「気がきくのう。火虎の子分に朝マックを禁じられておってな」

「自由をうばわれお辛いでしょうが、お体は大事になさってください。ちゃんと野菜もたべるとか」

「わらわが自由だったことが一度でもあるか。このくらい屁でもない。野菜なぞいらん」

 スポーツ万能の妹は、わらわとちがい闊達な性格で、むかしから余計な口をだす。日独伊三国同盟にわらわは反対だったのに、こやつが実現のため奔走したのは苦い思い出だ。

 かつて海軍軍令部総長をつとめたので、いまも軍に顔がきく。情報をひきださねば。

「戦はどんな状況じゃ」

「わが軍が幕張メッセを奪還したことで、国民は安堵しています。終結はちかいでしょう」

「叛乱軍には寛大な処置をとれ。降伏へみちびくのじゃ」

「わたくしにその様な権限は……」

 妹の目がおよいでいる。

「しらばっくれるな。ぬしが火虎にすり寄ってるのは周知のこと。だがヤツはぬしを使い捨てにするつもりじゃぞ」

「姉上様、めったなことをおっしゃいますな!」

「いづれにせよ、わらわは退位しない。もしゴッドガールの座をのぞむなら、相応の覚悟をするとよかろう」

「ひどい、わたくしは本当に姉上様を案じておりますのに……」

 ハンカチで目元をおさえる。化粧がくづれてない。いつもの手だ。千年前は京で摂関家をまきこみ、血で血を洗う姉妹ゲンカをしたもの。

 しかし、いまのわらわにには妹しか味方がいない。姉らしく鷹揚にふるまおう。

「ちーちゃん、居間にこんか。今日から、わらわが主人公のアニメがはじまるのじゃ」

「御一緒いたします」





 八時半になり、オープニングがはじまる。

 広大な山脈や森をみおろし、一羽の鷹がとんでゆく。鳥肌がたつ。このうつくしいファンタジー世界で、魔法少女のわらわが活躍するのか。宮﨑駿よ、いい仕事をしたな。

「神であるわらわが言うのもなんだが、神作画じゃな!」

「さすがはジブリですね」

 優男風の少年が、ドラゴンなどを相手に剣をふりまわすシーンがつづく。和服姿のわらわが一瞬うつった。最後にクレジットが表示される。「監督 宮﨑吾朗」。

「なあっ、息子が監督!?」

「姉上様、姉上様! タイトルが……」

 妹がもってきた新聞のテレビ欄に、『ゲド戦記2』とかいてある。あの老人、約束をやぶりおった。現人神に対し、なんたる冒涜。

 リモコンをテレビへほうりなげた。

「姉上様、お気をたしかに。あとでNHKに問いあわせますから」

 とりみだして妹に心配かけた。しゃんとしろ、ゴッドガール。ちーちゃんの前で泣くわけにゆかない。

 そうだ、ゲームがあった。任天堂に、マリオとボンバーマンと桃鉄をかけあわせた新作をつくらせたんだ。

 内舎人に3DSをもってこさせる。ダウンロードずみのソフトを起動。タイトルは『ゴッドガールと歩くルーブル美術館』。宮本茂、おまえもか! わらわはルーブル美術館に行ったこともないのに。

 スクリーンにぽたぽた水滴がおち、立体視の画像がゆがむ。

 わるいのは自分だ。最初に適当な指示だけ出して、あとは現場にまかせきりで、おいしいところだけいただくなんて虫がよい。無責任だから、結局みじめな思いをする。

「そうだ姉上様、外出の許可をもらいましょう。たまには気分をかえないと」

「……宮よ、人がいるときはわらわを『陛下』とよべ」





 妹がさったあと、『ゲド戦記2』が臨時ニュースで中断された。

 小太りの六十歳くらいの男と、孫みたいなチビの女が、フラッシュの洪水のなか握手している。見覚えがある。ひとりは習近平。もうひとりは、わらわをババアよばわりした叛乱軍の特使。

 中国と「自由日本」が同盟締結した。

 ソファからずりおちた。

 八十年前、わらわは戦術レベルまで支那事変に介入し、結果泥沼におちいった。

 わらわはしっている。あの国にかかわってはいけない。最悪の事態だ。




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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

うがつまつき『断罪のユディト』

 

 

断罪のユディト

 

作者:うがつまつき

掲載誌:『月刊コミックフラッパー』(メディアファクトリー/KADOKAWA)2014年-

単行本:MFコミックス フラッパーシリーズ

 

 

 

その少女は、左腕に魔物をやどす。

復讐をうけおう殺し屋、ひとよんで「断罪のユディト」。

 

 

 

 

小学生の「まなせ」は直接手をくださないが、依頼の斡旋をおこなう。

それでもターゲットは殺人者ゆえ、油断できない。

シュシュのにあう美形だが、オトコノコだ。

 

 

 

 

相棒の「ユウリ」が魔力を行使するには、「充電」が必要。

ムチでめった打ちにし、負のエネルギーをたくわえさせる。

彼女は、自分の父をころした仇でもある。

 

 

 

 

本作における暴力の本質は、物理的なものでない。

「……なんで、なんでぼくは人を殺すことしか思いつかないのかな?」

登場人物はみな、内面からこわれてゆく。

 

 

 

 

ユウリは、まなせに対する罪の意識から、復讐ビジネスに協力する。

痛みがもたらす快楽におぼれる。

そして少年が闇へおちてゆくさまをながめ、支配慾をみたす。

 

pixivでうがつまつきの作品につけられたタグのうち、

二番めにおおいのが「で、誰が死ぬんです?」で、特異な作風とわかる。

光をうしなった目、いわゆる「レイプ目」がトレイドマーク。

 

 

 

 

殺人者のイキイキした姿が印象的。

ひそかに「安楽死」をばらまく看護婦は、現場をおさえられても悪びれない。

まなせは白衣の悪魔に対し、「命を奪うことの全能性」のこわさを説く。

 

 

 

 

マックでのたわいない会話になごむこともある。

 

 

 

 

それは「父が親友をころす」といった惨劇の前兆にすぎないが。

 

 

 

 

世界のすべての罪をひきうける二人組が、鬼畜をおいつめた。

「殺るなら娘の目の前で殺ってくれないか」

衝撃にうちのめされる、娘のゆがんだ顔を見たいから。

 

極限状況においては、正義も、救いも、慰めもない。

死をめぐる遊戯だけある。

 

 

 

 

同業者の「折鶴」との衝突もかたられる。

ターゲットの右の小指をおり、「署名」をのこすのが特徴。

紙でつくったツルみたいに。

 

殺しが藝術作品だと、あざやかに主張する。

 

 

 

 

闇にひそむ折鶴が、するどい眼光をはなつ。

本作の主要登場人物は、目のハイライトをえがかれないが、

心に殺意とゆう情念を燃えあがらせたとき、瞳はあやしくひかる。

 

現代の漫画の突出した先端、それが『断罪のユディト』だ。




断罪のユディト 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)断罪のユディト 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
(2014/06/23)
うがつまつき

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ジャンル : アニメ・コミック

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着物とゆうフィクション

 

 

大久保信子監修『着物の事典』(池田書店)で、あれこれまなんだ。

たとえば、留袖はかならず紋をつけること。

つまり「国民文化」としてのキモノは、近代以降に誕生した。

江戸時代までの人間は名字をみとめられないから、家紋もない。[8/13附記:この点は誤りだった。【参照】

 

いまだ共有されざる文物ともいえる。

関東では結婚後に「婚家の紋」を、関西では「実家の紋」を継ぐところがおおい。

商家の文化が根づく関西人はケチだからか。

関西の娘が関東の家へとつぐと、紋をめぐり家同士でモメることも。

 

 

 

 

太平洋戦争中、はなやかな「訪問着」が禁じられたため、簡略化した「付け下げ」を考案。

小粋な柄は通ごのみで、いまも人気の着物だ。

女たちのファッションへの慾望は、戦争すら超克する。

 

 

 

 

「茶筒型」のシルエットが、理想の和服姿。

おおきい胸は和装ブラジャーでおしつぶす。

それでも段差ができるなら、アンダーバストに手ぬぐいやハンカチをはさむ。

 

 

 

 

帯がつぶれるので、椅子の背もたれはつかわない。

浅く腰かけ、腹筋の力で背すじをのばす。

 

ものをとるときは袂をおさえ、腕を剥き出しにしない。

遠めにあれば人にとってもらう。

さりげない仕草で「しな」をつくり、みづからを貴婦人として演出。

 

 

 

 

懐紙は、スイスのアーミーナイフばりの万能ツール。

皿にも、フォークにも、目隠しにも、タオルにも、持ち帰り用の容器にもなる。

よごれないよう、懐紙入れにはさんで持ちはこぶ。

大和撫子は決して隙をみせない。

 

 

 

 

着物はカレンダーだ。

日本人の感覚を正確に反映すべき。

たとえば藤の文様を、散りごろの六月に身につけたら失礼。

 

一方で、桜は日本を代表する花だから一年中着てもよい、とゆうかんがえも。

外国人のおおい社交場なら、季節はづれでも桜柄は気のきいた装いに。

美の世界の外交官として、おのれを開花させる。




伝統を知り、今様に着る 着物の事典伝統を知り、今様に着る 着物の事典
(2011/04/04)
大久保信子

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ジャンル : ファッション・ブランド

伊藤正臣『片隅乙女ワンスモア』

制服のリボンが乙姫チック

 

 

片隅乙女ワンスモア

 

作者:伊藤正臣

掲載誌:『月刊コミックバーズ』(幻冬舎)2014年-

単行本:バーズコミックス

 

 

 

8月16日、数学の補習授業。

窓から伊勢湾がみえる。

ここは梨の栽培がさかんな「竜宮町」の高校。

ヒロインの「浦島しじみ」が二次関数にくるしむ。

 

 

 

 

テニスコートに不審者発見。

正体は東京の高校生で、「浦島しじみ」とゆう子をわざわざ探しにきた。

 

 

 

 

かれの名は「亀田竜之介」。

6年前、おぼれかけた自分をたすけた女の子、つまり「しじみ」にお礼をいいたい。

 

「浦島太郎」をモチーフとする本作の、少女と少年の関係は、

ゆうまでもなく浦島太郎と亀のそれをなぞる。

 

 

 

 

かがやく海面を背に、しじみのサラサラとはいえない髪がなびく。

「浦島しじみは私のお姉ちゃん」とウソをつく。

 

 

 

 

しじみは姉「なぎさ」に劣等感をもっていた。

容姿すぐれずバカなわたしが、たづね人だなんて言えなかった。

 

母との会話はトゲがあり、思春期女子の立つ瀬なさをかもしだす。

 

 

 

 

言えなかったことがもうひとつ。

竜之介が自分の初恋の人で、いまだ忘れられないこと。

 

どうしようもない状況に絶望、浦島家伝来の玉手箱に八つ当り。

「願いをかなえる力があるんなら、かなえてよ!」と蹴飛ばす。

 

 

 

 

なにかのスイッチがはいった。

竜宮町が海の底にしづむ。

 

表紙ふくめ、本作の水や空のうつくしさは特筆すべき。

 

 

 

 

パニックにおちいるしじみのそばに、潜水服の男がいた。

この町の「土地神」となのり、あれこれ説教する。

何百年も玉手箱を封印し地域をまもってきたのに、おまえのせいで滅んだ。

責任とれと。

 

 

 

 

カレンダーを8月16日へもどし、ヒロインは運命をかえるミッションにいどむ。

自分の願望がかなえば災厄はさけられる。

それは「竜之介君から告白される」こと。

 

今度は乙女ゲーよろしく積極的にアプローチするが、

不器用なのがわざわいし、くりかえし海の藻屑となるはめに。

片隅乙女、ワンスモア。

 

 

 

 

いわゆる「タイムリープもの/ループもの」SFを軸にすえつつ、

「おとぎ話」のファンタジーで重層化し、「ご当地もの」の海岸風景で読者をひきこむ。

入念に練りあげたプロットだと、以上の要約でつたわったろうか。

 

神さまはゲームずきで、ロゴの重要性とか、なにげない雑談がヒントになることも。

 

 

 

 

なぎさは妹の心境の変化を察し、恋愛相談にのる。

しじみは髪が重めで地味におもわれがちなので、

シュシュをあげて、ふたつ上の画像みたく男ウケよくしたり。

 

プロットはやや複雑だが、ヒロインの葛藤や成長する姿が共感よぶ。

 

 

 

 

しじみは引っこみ思案で、竜之介は鈍感、さっぱりフラグがたたない。

遠泳大会で優勝しなきゃいけなくなるなど、だんだん話はオオゴトに。

 

『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』を連想した。

破滅の危機に瀕した世界をしょって立つ主人公のヒロイックさとか、

心うばわれるノスタルジックな風景とか。

 

 

 

 

イマジナティヴな本作は、夏の午後にまどろむあなたを、海の底へいざなうだろう。




片隅乙女ワンスモア (1) (バーズコミックス)片隅乙女ワンスモア (1) (バーズコミックス)
(2014/06/24)
伊藤正臣

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小菊路よう『童貞地獄』

 

 

童貞地獄

 

作者:小菊路よう

発行:講談社 2014年

レーベル:ライバルKC

 

 

 

書店のレジへだすのに心臓のつよさが必要な題名だが、

むしろ詩情を解する繊細な読者にすすめたい、1巻完結の佳作。

 

『マガラボ』のウェブ連載をまとめた、小菊路ようの初単行本となる。

作者は女の腰のくびれに関心あるらしく、描線がうつくしい。

 

 

正直、他人ごとじゃない

 

 

主人公「間田道貞」は交通事故により、17歳11か月で死んだ。

「まだ童貞」だったので、のこされたエログッズに母や妹はドン引き。

処置にこまる半人前の魂は、極楽と地獄のはざま、「童貞地獄」へおとされる。

 

 

 

 

世話役のオニ娘相手に童貞卒業し、正式な裁きをうけるのが目標。

「燈本(ひもと)オニコ」は八重歯(キバともゆう)があどけなく、かわいい。

 

 

 

 

童貞地獄の先輩のなかには、居心地よさのあまり安住するものも。

このモラトリアムがつづけば、永遠にエロゲー状態をたのしめるから。

ハーレムラブコメの奇怪さを「煉獄」とみなす解釈がおもしろい。

 

 

 

 

童貞地獄は、昭和の田園風景。

『ALWAYS 三丁目の夕日』に代表される安易なノスタルジーへの皮肉だが、

純情可憐なセーラー服オニ娘が一緒だと、抵抗しがたい。

 

 

 

 

由緒ただしき童貞の主人公は、死後の世界でもウジウジ。

こんな俺にもやさしくしてくれるオニコは、つまり誰にでもやさしい。

てことはビッチじゃん。

 

 

チョイ役の先生もカワイイ

 

 

オニ娘がかようクラスでは、トラの交尾など生物学の知見をふまえ、

童貞の生態について真剣にまなぶ。

手際よく任務遂行し、鬼としての階級をあげたいから。

無邪気なオニコも、なにもしらないおぼこ娘じゃない。

 

 

丸顔がステキ

 

 

オニ側の事情もえがかれ、複雑なあじわいがうまれる。

まぶしい笑顔の陰にツノをかくすのが、女とゆう生き物だと。

 

 

 

 

メタ視点をくわえながらも、基本構造はハーレムラブコメなので、

主人公の優柔不断さがまねく三角関係もかたられる。

 

 

「今日は卵が安いんです!」

 

 

だが「ミツコ」は、親友であるオニコの天真爛漫さを利用する陰謀をしかけていた。

 

おまけふくめて191ページのみじかい物語で、

数本のプロットをねじりあわせ、キレイにまとめる技量に感心。

 

 

 

 

ぴりりと「鬼わさび」のきいた逸品。

味のちがいがわかる、あなたの食卓にどうぞ。




童貞地獄 (ライバルコミックス)童貞地獄 (ライバルコミックス)
(2014/06/04)
小菊路よう

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『Splatoon(スプラトゥーン)』 よくばりイカ娘の襲来

 

 

十本足の刺客が、ことしのE3を制圧(参考記事1/2

任天堂がWii U用に開発中のTPS(サードパーソンシューター)『Splatoon』だ。

名うてのゲーマーどもが突然変異のイカ娘に一目惚れ。

 

 

 

 

アヴァターは「イカ娘」、または「イカ男」。

水鉄砲を撃っては、瞬時にイカへ変身、インクの海をおよぐ。

殺伐とした戦争ゲームを、「ゲッソー」をおもわせる任天堂ワールドへおとしこんだ。

 

 

 

 

原色のインクがばらまかれる画面はカラフルでポップ、

工場などをモティフとするフィールドはモダンでクール。

壁にグラフィティやステッカーをあしらう絵面が、最高にイカしてる。

 

 

 

 

「シューター」と「RTS(リアルタイムストラテジー)」を融合したのが、なにより任天堂らしい。

「何人殺した」かでなく、「何平方メートル塗ったか」をあらそうゲームだ。

敵が塗った赤を、自分の緑に塗りかえれば「倍返し」!

陣取り合戦がアツい。

 

 

 

 

味方が塗った地面をイカ状態でおよぐと、高速移動が可能。

一方で敵の通路を自分の色にすれば、足どめできる。

「攻防一体」とはまさにこれで、新ジャンルの誕生を祝福したい。

 

 

 

 

本作は「3次元」の戦いでもある。

銃弾とちがい、インクは重力の影響をうけやすい。

下からだと攻撃がとどかないことも。

『タクティクスオウガ』顔負けの、高所をめぐる駆け引き。

 

 

 

 

高みから俯瞰すれば、どの部分に塗るべきか一目瞭然。

既存のシューターは、3次元空間を有効活用できてなかったのかも。

 

 

 

 

ゲームパッドに、リアルタイムで戦況が表示される。

けばけばしい色使いが目にとびこむ。

塗りそこねたエリアをさがしたり、タッチして瞬間移動するのにつかう。

 

任天堂はようやく、「Wii Uのジレンマ」を解決しつつある。

アクションゲームの最中、テレビからパッドへ目をおとすのはいそがしいが、

据置機の描画性能は3Dのアクションにむくとゆう難問をかかえていた。

最適解は「テレビ画面でアクション、パッドでストラテジー」だった!

 

 

 

 

タキシード猫が結果発表。

塗った面積は、それまで数値で表示されない。

パッと見で有利でも、案外負けてたりする。

 

 

 

 

撃ち合いが苦手なら、自陣にひきこもりペンキ職人に徹するもよし。

そのひと塗りが勝敗をわける可能性がある。

 

 

 

 

シューターでむつかしいのはグレネードのつかいかた。

タイミングがあわせづらい。

本作はたとえ外しても、大量にインクを撒き散らすのでポイントをかせげる。

 

 

 

 

腕に覚えあれば、イカ人間の特性をイカしたプレーを編み出せるだろう。

インクの海で待ち伏せとか、もしそれを読まれたら、

わざと怪しいところを塗って警戒させてから襲うとか。

 

 

 

 

イカになりたいと、生まれてはじめてボクはおもった。



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板倉梓『なぎとのどかの萌える不動産』完結 『ガール メイ キル』2巻

 

 

幼なじみ女子ふたりでがんばる、『なぎとのどかの萌える不動産』(KCDX Kiss)も2巻で完結。

 

二十歳くらいのカップルが店にきた。

山梨からでて同棲はじめるとゆうのに、なにやら不機嫌。

 

 

 

 

実は女の子が同棲をいやがっていた。

彼のことは好きだけど、トリマーとして東京で自立しようとするときに、

イチャイチャ甘い生活なんて、覚悟がにぶりそうだから。

経験つんだ「のどか」は、近すぎず遠すぎないライフスタイルを提案。

 

単行本あとがきによると、作者にとって初の女性誌連載で、

イケメンを出さなきゃいけないのに苦労したとか。

たしかに板倉梓の十八番、ツリ目黒髪ショート女子にくらべたら、

レディコミ仕様の男性陣はちょっと分がわるい。

 

 

 

 

はじめて上がった「梛」の部屋は、監獄をおもわせる殺風景ぶり。

子供のころは、にぎやかでたのしい空間だったのに。

のどかは相棒の心の闇をしり呆然。

 

 

 

 

不動産業をいとなみながら、自分の「本当の家」をみつけられないのは、

ある悲劇をわすれられないから。

家屋はときに、つらい記憶をやどすこともある。

 

掲載誌『Kiss PLUS』の休刊により長期連載とならなかった本作だが、

住まいをめぐる劇的で繊細な物語を、存分にえがききった。

 


なぎとのどかの萌える不動産(2)<完> (KCデラックス Kiss)なぎとのどかの萌える不動産(2)<完> (KCデラックス Kiss)
(2014/04/11)
板倉梓

 

 

 

 

ぬいぐるみを抱いてねむる、あどけない15歳の「芽衣」。

職業は殺し屋。

つづけて『ガール メイ キル』(アクションコミックス)2巻をとりあげる。

 

 

 

 

清潔感ただよう純情可憐な乙女が得意のあずにゃん先生は、

香港ノワール調の本作では、指をきりおとす拷問も平然とえがく。

 

 

 

 

ロリコンマフィアにつかまり、殴られ、未発達の体をもてあそばれる。

 

板倉梓と、彼女のえがくオンナノコの距離感は独特だ。

性慾の対象じゃない一方で、自己を投影するでもなく、母性愛の匂いもない。

 

 

 

 

オトナにしては無邪気すぎ、コドモにしては大胆すぎるが、思春期でもない。

「ペット的」とでもいおうか。

イヌほど馴れ馴れしくないから、ネコかな。

不意にポケモンみたく進化し、はげしく牙をむく。



ガール メイ キル(2) (アクションコミックス(月刊アクション))ガール メイ キル(2) (アクションコミックス(月刊アクション))
(2014/06/10)
板倉梓

 

 

 

 

『萌える不動産』2巻でも、『少女カフェ』の双子姉妹がゲスト出演。

5歳のくせに、いっぱしに恋愛をかたるのがカワイイ。

 

酸鼻な暴力も、倦怠期のカップルも、愛くるしい幼女も、

雨雲からおちる水滴を手のひらでうける様に、すべて作品へとりこむ。

板倉ワールドはさらに深化している。



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小説21 幕張防衛戦

『フリーダム・シスター』


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9月6日 朱星ジュン



 iPhone5Sからひびく『ペルソナ4』戦闘曲が、あたしの夢に幕をおろす。暗号化ツイッターアプリで、開発者本人がよびだしている。七時半。しまった、参謀部で会議があるんだっけ。「いま行く」とあわてて打ちこみ、セーラー服にきがえる。

 ドンと扉をあけると、約三十名の参謀スタッフのほとんどがテーブルをかこみ、フランちゃんが書類をくばっている。参謀長の中田はソファで横になり眠る。また徹夜で作業したらしい。

「ごめんなさいね、ジュンさん用にくんだアラームが作動しなかったみたいで。本体機能と干渉するのかな?」

 紺の七分丈のパンツをはいたフランちゃんが、さわやかな笑顔でむかえた。

「いや面目ない……」

 三倍うるさい「ジュン専用目覚ましアプリ」をつくってもらって寝坊とか、あたしも相当だよな。差つけられてるな。

「ではみなさん、おはようございます!」

 小学生にみえる高校二年生の仕切りで会議がはじまった。この場で最上位は一応あたしだが、だれもそうみなさない。まあいいけど。編制とか補給とかわかんないし。最初の議題は、政府が茅野メグミをスパイ容疑で死刑執行したこと。発表があっただけでも、特定秘密保護法で処刑されたものは十人をこえる。「茅野」? それってたしか……。

「暗殺を手引きした女じゃない? こっちのスパイだったの?」

「『二重スパイ』になる約束をさせてから、解放しました。彼女自身は『三重スパイ』のつもりだったみたいですが」

「えっ、話がわかんない」

「本気でスパイとして使う気はなかったんです。信用できない人ですし。ただ捕虜にしても無益なので、それらしい任務だけあたえて敵を撹乱しました」

 フランちゃんは笑顔のまま。でもちょっとまって、それで人が死んだんでしょ?

 議題は、国会に提出されたあたらしい法案へうつった。税制などで地方に権限移譲する内容で、自由軍に対する譲歩のシグナルとみなせる。講和の糸口をさぐるべきか、それとも欺瞞工作を警戒すべきか。

「両方だよ」といって、中田がむくりと体をおこす。

「参謀長、もうすこしお休みになった方が」と、フランちゃんが気をくばる。

「ありがとう。でも二十分寝れたから、しばらくもつ。優秀な軍人の条件は、昼寝の達人であることさ。そこのネボスケさんも参考にするといい」

 あたしのことか。さっきまで熟睡してたはずなのに、どうやって遅刻をしったんだろう。気味わるい。

 会議がおわり、フランちゃんが真剣な面持ちでちかづいてくる。

「ジュンさん。わたしはいまから、また北京へとびます」

「いそがしいね!」

「おそらく一週間以内に、大規模な衝突がおきます。海のむこうから無事をいのってます」

「大丈夫、自分の仕事に集中して。もう寝坊もしないから」

 顔をくしゃくしゃにして、あたしの胸にとびこむ。気丈にふるまってるけど、神経すりへらしてるんだ。ふたりでかたく抱きしめあう。





 午後になり作戦室で、ミニストップのソフトクリームをなめる。飲み物はジンジャーエール。最近お菓子の支給がとまり、自費でまかなうのがつらい。

 いきなりアリアさんが作戦計画書をひき裂く。怒りにふるえる。数日不眠不休で「浮舟作戦」を立案した中田も、めづらしく不機嫌そう。アニキの表情はいつもの様にどっちつかず。

「湾岸で大軍をむかえうつ? 正気か!? ここは平坦なただの埋立地だぞ!」

「この日のために、菊田川・浜田川・花見川で三重の防壁をつくった。敵は一万八千、味方は一万二千。あなたの指揮能力があれば負けない」

 皮肉まじりの中田の反論に、アリアさんは人差し指をつきつけてこたえる。

「参謀長、あなたの意図は読めてる。この作戦は『アリバイづくり』だ。最初からメッセを捨てるつもりのくせに、反撃したとゆう證拠ものこしたいんだ。だがわたしは、政治的ポーズのために部下は死なせない!」

「せめて『時間かせぎ』といってくれ。あと、こうゆうムダ話のあいだに、貴重な時間がすぎてゆくことも認識してほしい」

 刀をぬきかねない険悪さ。アニキ、たまには空気よめ。この場をおさめろ。兄妹にしか通じない目配せをする。

「……ならアリアはどんな策がある?」

 そうだ、こいつらはバカップルだった。敵が攻め入りつつあるのに、いまさら議論をうながしてどうする。

「わたしが二個連隊、いや一個連隊で奇襲をかける」

「絶対ダメだ! 桶狭間じゃあるまいし、リスクがたかすぎる」

 ムキになる中田をみて、アリアさんが人をくった笑みをうかべる。歴史オタクに得意分野でネタ振りするなんて。

「参謀長、織田信長はなぜ桶狭間で籠城しなかったとおもう?」

「それは……好戦的な性格だったから」

「ちがう。信長ほどリスクを嫌う武将はいない。桶狭間以降、一度も奇襲作戦をえらんでない。つまり彼は今川義元に攻められたとき、軍事的リスクより、政治的リスクを優先的に回避した。籠城することで、尾張国内を動揺させたくなかったんだ」

 アリアさんがドヤ顔で幹部連をみわたす。ほかに太刀打ちできそうな人間は……いた、あたしの左隣の、中国からの助っ人アイシェンさん。腕組みしてふんぞり返っている。

「ねぇ、アイシェンさんはどうおもう……って、寝てんのかよ!」

「ふわっ、なにをする!……ああ、なんだ師匠か。わたしは寝てないぞ。ちゃんと話は聞いてる」

「これでヨダレふきなよ」

「……まったく、軍議が退屈なのは中国も日本もおなじだな。この馮愛生がいる以上、戦術など無意味なのに」

「そうなの?」

「彼我の兵力差が六千なのだろう? わたしの武力が一万人に匹敵するから、わが軍はすでに優勢ではないか」

「計算わかりやすいな」

 さすがに一同気をのまれた。すかさず自称司令官に話をふる。

「で、アニキの意見は?」

「そうだな……」

「アリアさんに無理させるべきじゃないと、あたしはおもうけど。生きて帰れるかどうか」

「そんなことはオレもわかってる」

 ちょろすぎるぜ、バカアニキ。





 ぬるんだジンジャーエールの残りを飲み干す。作戦室にはあたしと中田だけ。

「やっぱり、じゅんじゅんのトークスキルは最強だなあ。たすかったよ」

「中田さんがどんだけ苦労して作戦立ててるか間近でみてるからね。軍事のことはわからないけど、きっと正しいよ」

「正直ボクは、羽生さんがこわかった。あの場で斬られるのを覚悟した」

「そうなったらあたしが守るから……なに笑ってんの、あたしを誰だとおもってんの!?」

 4月22日以来、あたしは守るべきものを守れるくらいに、自分を鍛えなおしている。信じてもらえなくても別にいいけど。

 疲労困憊でドス黒い顔の中田がつぶやく。

「ボクが斬られた方が、自由軍にとっては良いのかもしれない。実戦ではボクの理論じゃなく、羽生さんの直感がいつも正解だ」

 男って、これだから面倒くさい。慰めなきゃいけないんだよね。ま、それもあたしの仕事の内かな。

「今夜、中田さんの部屋にいくよ。あれ飲もう、なんとかオレンジ。おいしいやつ」

「カシスオレンジ」

「それそれ。ぱっと気分転換しよ」

「気持ちはうれしいけど、戦闘が終ってからにしようか。絶望的に時間がないんだ」

 クリップボードにとめたスプレッドシートに目を落しながら、中田がゆう。わたしはその紙がダミーなのをしっている。書類をみるフリするだけってことを。記憶力がよすぎて、頭脳以外の記憶媒体が必要ないことを。

 あれ、あたし大切にされてる? やばいやばい、好きになっちゃいけない。しづまれ、あたしの中のビッチ。男にやさしくされた瞬間ほだされる、例の病気だ。自重しろ。リョウさんに操を立てるつもりはないけど、これじゃ節操なさすぎ。





「……へくちん!」

「師匠、大丈夫か」

 11日の朝になった。青龍偃月刀たづさえた「一騎当万」の女武将に、顔をのぞかれる。

「きのう冷えこんだせいか、風邪ひいた」

「一向に霧がひかないな。偵察がもっと必要だ。手配をたのむ」

 会敵予想時刻の〇八三〇時を一時間すぎても異変なし。なまぬるい潮風が、不快感だけはこぶ。

 配置は、アリアさんの第一軍が菊田川、アイシェンさんの第二軍が浜田川、総司令部のおかれた第三軍が花見川をかためる。あたしは第二軍付参謀としてメッセ周辺をうけもつ。もともと人通りのおおい街じゃないが、けさは一般市民をひとりもみない。

 暗号化ツイッターアプリで自転車連隊の千葉さんに、偵察範囲をひろげるよう指示をだす。銀輪部隊はわが軍の「目」だ。





 霧のはれた午後二時、あたりがざわつきだす。「スマホがつながらない」と。あたしのiPhoneも圏外。

「アイシェンさん、これって……」

「通信妨害だろう。電話できなくても死にはしない。平常心でいることだ」

 アイシェンさんは、身長百八十六センチのアニキと肩をならべるくらい大きい。うずうずと薙刀の柄をなでている。この刃がどれだけ血を吸うことになるのか。

 軍用無線機を用意するうち、あちこちから接敵報告がとどく。その数、およそ一万五千。敵は半日かけて迂回し、ほぼ全軍で第二軍の右側面におそいかかった。三隊にわかれ、こちらの前後の橋を封鎖しつつ、本隊がわれら第二軍を包囲。「全滅」の二字が脳裏をよぎる。

「さあ自由の敵ども、馮愛生が相手になるぞ!」

 大木を伐り倒せそうな偃月刀で旋風をおこしつつ、混戦へとびこむ。薙ぎ、払い、突き、ねじ伏せ、斬る。雷光と化した刃が、人間を肉片にかえる。真紅のシャワーでおのが体をあらう。中国語の怒号がアスファルトをゆすぶる。

 でも彼女が本当に一万人を斃したとしても、第二軍だけじゃ太刀打ちできない。状況を報告し、共同作戦をとらないと。このままだと、あたしはまちがいなく死ぬ。

 ようやく無線機が総司令部の中田とつながった。

「中田さん、情報はそっちにいってる? 一軍と三軍で敵の背後を突いて!」

「第一軍がどうなってるか、そこから目視できないか!?」

「それどころじゃない、完全に包囲されてるんだって!」

 通信兵に矢がささり、交信がとだえた。海岸へむけ後退する。

 陸橋から見渡しても、たかい建物に視野をふさがれ戦況がつかめない。わかるのは敵軍が躍動し、味方の血が流れてることだけ。

 応急処置をおえた通信兵が、交信を再開する。

「で、うちらはどうすればいい?」

「おって指示をだす」

「いますぐ命令して!」

「無理せず移動をつづけるんだ。いざとなったら降伏を……」

「うるさい! こっちの心配じゃなくて、自分の仕事しろ!」

 迷彩服の集団が階段をかけのぼる。これまで最前線へでなかったあたしは、重要なことにきづいた。戦場で白のセーラーは目立つ。

「ジュンさん、こっち!」

 反対側の階段の下から、自転車連隊の千葉キリノさんによばれた。荷台つきのロードバイクにまたがっている。ころんで擦り剥きながら、銀輪の天使へすがりつく。

「たすかった!」

「川岸にボートがあります。ジュンさんだけでも司令部へもどってください」





 風の様にホテルの脇をすりぬけ、花見川まできた。味方兵士がボートの船外機をかけている。この窮地から逃げられるとおもわなかった。ちゃんとお礼いわなきゃ。

「本当にありがとう……後ろ!」

 木陰からあらわれた敵兵四人が千葉さんをかこむ。抜刀するもあえなく斬られた。

 あたしは船底を蹴った。着地と同時に抜いている。四人なら殺れる。すぐ手当てすれば助かるかもしれない。

 しかし有無をいわせぬ力で、ふたたびボートへひきずりこまれた。川面でゆられるあいだ、仰向けに横たわり、泣きながら青空をながめていた。彼女は新婚だった。命を捧げる価値があたしにあるはずない。

 あたしら兄妹は、あまりに弱すぎる。





 幕張防衛戦で自由軍はまた敗北、二千人の死傷者をだした。アイシェンさんも深手を負うが、命に別条なし。全軍崩壊しなかったのは彼女の功績だ。

 四か月すごした幕張から撤退し、千葉市の鎌取へ司令部をうつすことに。トモコ会長とも合流した。しばらく緑区区役所が、県庁機能をはたすことになる。

 ちかくにミニストップがあることが、唯一のなぐさめ。




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テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

中山敦支『ねじまきカギュー』15巻 長旅の前夜

 

 

ねじまきカギュー

 

作者:中山敦支

掲載誌:『週刊ヤングジャンプ』(集英社)2011-14年

単行本:ヤングジャンプ・コミックス

[以前の記事→1-4巻/5巻/6巻/7巻/8巻/9巻/10巻/11巻/12巻/13巻/14巻

 

《注意》

以下の文章では、物語の核心部分にふれています。

 

 

 

『ねじまきカギュー』が漫画史にどう位置づけられてゆくか知る由もないが、

「字」と「絵」を高次元でフュージョンさせた功績は、筆頭にあげられるべき。

 

カギューが雑多な字をせおう一方、ガガリは「楽」の字のみ。

それぞれのオーラを漢字であらわしたらしい。

 

 

 

 

純粋な様でムラッ気おおいカギューたんの魂が、紙上に活写される。

その不安定さが弱点である反面、彼女を無敵にもする。

 

「絵と文字によるモノクロームの魔法」が漫画だとすると、

中山がそのポテンシャルを完成にちかい域までひきだしたのはたしか。

 

 

 

 

激戦のあとカモ先生にだきすくめられ言語中枢が暴走、

「くぁwせdrftgyふじこlp」的妄言を口ばしる。

 

漫画家なのだから、「言葉にならない思い」は絵で表現すればよいのに、

つかえるものはなんでもつかう総力戦体制でせめる。

 

 

 

 

無論、『ねじまきカギュー』の本質はヴィジュアルだ。

初デート先の公園で、カモ先生からの告白場面の不穏なカメラワーク。

 

『アストラルエンジン』の海、『こまみたま』の森、『トラウマイスタ』の昆虫。

中山作品はつねに、作者の原風景である自然と交感する。

 

 

 

 

謎の女でありつづけた森先生の正体もあっさり曝露。

ついにカモとカギューは国家と対峙する。

そしてそれをこえる。

国家ごときをこえられずして、人生に意味はあるか?

 

 

 

 

最終巻をのこし、窮極の悪との決着をえがききった。

喪服でむかえる秘書アリス。

 

 

 

 

理事長は最後の晩餐を、黒白の鯨幕でアレンジ。

「殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ」と無言の圧力をかける。

 

 

 

 

ロボットにみとられながら必殺のセリフをはく。

 

あなたを殺したくて殺したくてしょうがない

この憎悪こそが僕の愛

 

作者お得意の反語的造語でなく、通常の語法で論理を転覆。

 

 

 

 

それは草薙素子ばりのゴーストハック。

人非人の精神から、干し草の山に針をさがす様に、「良心」のカケラをひろう。

本作はサイバーパンクでもあった。

 

 

 

 

公園でゲートボール大会にまきこまれる場面もすき。

ほのぼのしてるけれど、あの『トラウマイスタ』4巻の、

スジャータさんとの夜空の逢瀬にまけないほど意地わるい。

 

中山にとってデートは、ある種の「餞別」を意味する。




ねじまきカギュー 15 (ヤングジャンプコミックス)ねじまきカギュー 15 (ヤングジャンプコミックス)
(2014/06/19)
中山敦支

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 中山敦支 

久保正行『警視庁捜査一課長の「人を見抜く」極意』

『ラストウィンドウ 真夜中の約束』(任天堂/2010年)

 

 

警視庁捜査一課長の「人を見抜く」極意

 

著者:久保正行

発行:光文社 2014年

レーベル:光文社新書

 

 

 

第62代警視庁捜査第一課長をつとめ、

「警視庁に久保あり」と評された著者の手記は以前とりあげたが、

今回はかきおろしの新書形式でより実用的になった。

 

「聞き込み」では、相手の上下左右の顔のうごきに注目し、

特に目の真剣さから、信用にあたいするか判断するなどの奥義は、

たとえば営業の仕事とかにすぐ応用できそう。

 

 

 

 

無論われわれは、血や肉片がとびちる現場にめったに遭遇しないけれど。

警察官だって、地獄絵図のなかで冷静でいるのはむつかしい。

 

ある首吊り遺体が発見されたときは、紐が髪をはさんでいるのに着目。

女が、死後の外見を気にしないはずない。

くわしい捜査で、恋人による他殺とわかった。

 

 

『ウィッシュルーム 天使の記憶』(任天堂/2007年)

 

 

おおくの市民は警察とかかわりを持ちたがらず、本音を話したがらない。

胡散くさい住人に対しては、必要ないのにトイレを借りることも。

水回りをキレイにしている家庭は信じられる。

 

 

『ラストウィンドウ 真夜中の約束』

 

 

捜査一課長の直属の部下は約400で、都内2400名の刑事もうごかす。

平均睡眠時間は、ナポレオンばりの3時間。

不規則な生活ではなく、毎朝5時20分におきる。

 

 

 

 

刑事にまつわるハードボイルドでタフガイのイメージは、実質からほどとおい。

会議室は禁煙だし、ペットボトルを持ちこんだりしない。

捜査員が水を飲むあいだに、つぎの殺人がおきるかもしれないから。

 

一流の刑事は、つねに折りたたみ傘を持参。

デカが風邪をひけば、ホシがわらう。

 

 

 

 

犯罪者はウソの専門家だ。

人生でウソをつきつづけた結果、もはや空気みたいなもの。

警察を翻弄しようと、やってもない罪を白状することも。

刑事は、ソムリエがワインを嗅ぎあてる様に、ウソをみぬかねばならない。

 

ただ殺人者には共通点がある。

「人の死をふかくかんがえない」こと。

逆にいえば、死をおもう文化が防犯につながるだろう。

 

 

 

 

犯罪者は知恵がまわる。

にくらしいほど。

 

女が下着を干すとき、ほかの洗濯物で隠すのはよくあるが、

むしろ辺りを物色する強姦魔の標的となりうる。

そのまま干してあれば年増だろうから、連中はねらわない。

カラフルな下着は男の存在を暗示するので避ける。

そしてタオルのブランドやカーテンの色までたしかめ、呼び鈴をならす。

 

本書の内容が通説となれば、悪党はさらにその裏をかく。

イタチごっこはおわらない。




警視庁捜査一課長の「人を見抜く」極意 (光文社新書)警視庁捜査一課長の「人を見抜く」極意 (光文社新書)
(2014/05/15)
久保正行

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テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

菅原キク『HOLY HOLY』

 

 

HOLY HOLY

 

作者:菅原キク

掲載誌:『月刊コミックアース☆スター』(アース・スターエンターテイメント)2013年-

単行本:アース・スターコミックス

 

 

 

ドバイをめざしマラッカ海峡をゆく大型旅客船。

「ごきげんよう」の挨拶がかわされる。

超名門「聖エルレシアン女学院」の優雅な修学旅行だ。

 

 

 

 

主人公(とおもわれるの)は「草間トリノ」。

学費を免除された特待生でいつも読書ばかり、お嬢さま連中と毛色がちがう。

 

 

 

 

辛辣な言動も、周囲からうとまれる原因。

だがこのときまで、乙女らの日常は平穏そのものだった。

 

 

 

 

船が座礁し転覆、なげだされた生徒のうち十数名が無人島へ漂着する。

水と食料はわづか。

本作は、蝶よ花よとそだてられた令嬢がいどむサバイバルの物語。

 

おりあしく韓国での沈没事故がおき、単行本が発売延期となったが、

偶然とはおもえぬ精度で災厄を予言するのが藝術とゆうもの。

作者にとってむしろ名誉だろう。

 

 

 

 

百科事典をよむのが趣味のトリノは、無力なお嬢たちを統率する。

スマトラトビトカゲはタンパク源にするため確保。

 

 

 

 

ジャンルとしてはホラー要素つよめ。

かよわい乙女との振れ幅がすさまじい。

 

 

 

 

それでも令嬢は令嬢であろうとする。

学友から神のごとく崇拝される「笙子さま」が音頭をとり、

マリアさまをたたえる歌で、みなの心をひとつに。

 

 

 

 

「少しおてんばなリゾート」で妖精が舞う。

現実逃避の宴。

本作で一番こわい場面かもしれない。

 

 

 

 

こっそり排便してたのがばれ、ドリルツインテの「宮城野さん」がおこる。

体裁をおもんじる令嬢の身のつらさを力説。

家柄のちがう人間にはわからない世界だと。

 

 

 

 

密林の奥に咲く、百合の花。

ふたりきりでいることが、ふたりの望み。

救助なんて、こなければいいのに。

 

 

 

 

それは死亡フラグだった。

島に棲息する異形の怪物が、花びらの様にはかない命をちらす。

正視できないほどうつくしい。

 

 

 

 

トリノの唯一の友人「ひな」は、ネクラ少女の嫉妬をかう。

極限状況が慾望をむきだしにする。

現代の宗教「百合」に対するネガティヴな描写が興味ぶかいし、

トリノとひなの微妙な関係もよくかけてて、実にドラマティック。

 

 

 

 

書物でえたトリノの知識は大抵裏目にでて、ひとりまたひとりと死ぬ。

「草間さんにはマリア様のご加護がない」と非難される。

 

令嬢たちが他力本願で、現実から目をそむけがちなのは、

生まれつきの幸運を信じており、またそれは一面の真実だから。

めぐまれないものだけがジタバタあがき、往々にして自滅する。

自分しか信じないのは「あなた」の勝手だけど、「わたしたち」を巻きこまないで。

 

 

 

 

武田久美子的エロスがまぶしい「森山さん」など、

1巻だけで、紹介しきれないほど名場面連発。

孤島における生と死とゆがんだ愛に、社会の縮図をみる傑作だ。




HOLY HOLY(1) (アース・スターコミックス)HOLY HOLY(1) (アース・スターコミックス)
(2014/06/12)
菅原キク

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合 

たくま朋正/水野良『ロードス島戦記 灰色の魔女』

 

 

ロードス島戦記 灰色の魔女

 

作画:たくま朋正

原作:水野良

原案:安田均

キャラクターデザイン・原案:出渕裕

掲載誌:『コンプティーク』(角川書店/KADOKAWA)2014年-

単行本:角川コミックス・エース

 

 

 

ロードスといえば、わかきハイエルフ「ディードリット」。

異論はみとめない。

アランの街でチンピラにからまれる初登場場面も、高貴なたたずまい。

 

原作発売25周年を記念し、

3分のスピンオフアニメ『召しませロードス島戦記 ~それっておいしいの?~』と、

たくま朋正によるコミカライズの本作がはじまっている。

焼畑農業的にコンテンツをくいつぶす、いつもの角川商法か、

それとも真剣に時代とむきあう、有意義なリバイバルか?

 

 

 

 

主人公は熱血漢の「パーン」。

手柄をたて騎士に叙任されるのを夢みる傭兵が、

パーティをあつめ冒険の旅へでる、奇を衒わない物語。

 

 

 

 

エルフ族とドワーフ族は犬猿の仲。

ディードリットとドワーフの「ギム」はいつもケンカばかり。

 

『ロードス島戦記』は1986年、テーブルトークRPGのリプレイとしてはじまる。

同年の『ドラゴンクエスト』や翌年の『ファイナルファンタジー』と同等、

いやそれ以上に、RPGやファンタジー世界の快楽をわが国にひろめた。

 

 

 

 

盗賊の「ウッド・チャック」を仲間にするが、カネに目がなく信用できない。

 

本作のキャラクターはさまざまな背景をもっていて、

その糸が織りまざりつつ、波瀾万丈の王道ロマンがつむがれる。

もとはTRPGの「プレイヤーキャラクター」だから当然か。

 

 

 

 

ディードは、ほぼ不老不死なのに気がみじかい。

極端にながい耳で、後世のエルフのイメージを決定した出渕裕のデザインと、

たくま朋正の丁寧な作画が、会話劇をひきたてる。

彼女の「中の人」が作家・山本弘としったときは萎えたが、もうわすれよう。

 

 

 

 

決して「無双」しないのが、テーブルトーク流の戦闘。

ゴブリンみたいな雑魚相手でも、まづ偵察し、戦略ねってからバトル開始。

TRPGは、DQまたはFF的な「経験値かせぎ」がない。

 

 

 

 

ディードのあやつる「ウンディーネ(水の精霊)」でダークエルフの居場所をさぐり、

スレインが「ディスペル・マジック(魔法解除)」、ウッド・チャックの短剣でとどめ。

シンプルな短期決戦がたのしい。

 

 

 

 

旅の途中で「英雄戦争」が勃発。

目的地への道が封鎖されたので、ディードの案内で「帰らずの森」をとおる。

妖精界の時の流れはおそく、浦島太郎にならないよう一行はいそぐ。

 

やはりディードリットは画期的なヒロインだ。

キャラの魅力と、ファンタジー世界の情緒を、一身にかねそなえる。

 

 

 

 

繊細な感情は、単細胞のパーンに通じないことがおおいけど。

この「夫婦漫才」は『召しませロードス島戦記』でも再現されている。

 

 

 

 

作者は「いまロードスを描く意義」を理解し、鎧の描きこみなどで期待にこたえる。

おもう存分、奇想の世界にひたれる。

 

 

 

 

精霊の存在を肌で感じられる、まれな漫画だ。




ロードス島戦記 灰色の魔女 (1) (カドカワコミックス・エース)ロードス島戦記 灰色の魔女 (1) (カドカワコミックス・エース)
(2014/06/07)
たくま朋正

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

川本杏奈『ゆげ塾の構造がわかる世界史』

 

 

ゆげ塾の構造がわかる世界史

 

脚本・絵:川本杏奈

脚本:野村岳司

原作者:ゆげひろのぶ

発行:飛鳥新社 2014年

 

 

 

クレオパトラ7世は、近親婚によりギリシア系の血筋をたもったので、

その肌は映画などでみる褐色でなく、白人のそれだったはず。

ふむふむ、なるほど。

 

本書は、池袋の世界史専門塾「ゆげ塾」の塾長と門下生による、

漫画で勉強できる「はやわかり系」の一冊。

てゆうか、絵うまいな。

 

 

 

 

カトリック教会の組織力の所以を解説する第7章でも、

農家のポールとエミリーがいちいちエロい。

率直にいって歴史より、この夫婦の営みのつづきをみたい。

 

 

 

 

えてして「萌え」と「歴史」は両立しない。

現代の自由恋愛至上主義があてはまらないから。

しかし本書は、中世ヨーロッパの「初夜権」なんかもえがく。

その真偽はともかく。

 

 

 

 

第1章は奴隷貿易の話。

米英の鬼畜ぶりの證拠であり、全人類が記憶すべき事実だが、

絵柄がこうも可憐だと、読者へのダメージがおおきい。

 

 

 

 

作画担当は川本杏奈。

塾生時代は質問の嵐で、塾長をなやませたらしい。

中世ヨーロッパの重装騎兵のつよさを表現するのに、

『ファイアーエムブレム』を援用したり、FEファンなのはバレバレ。

 

 

 

 

本書の白眉は第二次世界大戦。

日丸屋秀和『Axis powers ヘタリア』の焼き直しにみえる「国家の擬人化」だが、

「フランスちゃん」がツインテのツンデレ少女だったりして、抵抗できない。

 

 

 

 

かしこいかわいい「ドイツちゃん」が、社会保障を整備し、

フランスちゃんに負けじと、急ピッチで国民国家をうちたてる。

 

 

 

 

あせるフランスちゃん。

アリスっぽい「イギリスちゃん」に、スエズ運河などの権益をまもってもらう。

 

 

 

 

だがイギリスちゃんは、おカネと植民地を愛する腹黒幼女だった。

ドイツをソヴィエトにぶつけ、漁夫の利を得ようとする。

 

 

 

 

問題は、ドイツちゃんがマジメすぎたこと。

必要以上に国民意識がたかまり、「劣等民族」の絶滅をはかったりして。

 

 

フランスちゃんはシャネルずき

 

 

20世紀は、帝国主義ロリと、共和主義ツンデレと、ファシズム優等生がつくった。

負の歴史を反省し、国家をこえた組織「ヨーロッパ連合」までうみだす。

 

 

 

 

EU加盟の絶対的条件が「死刑制度廃止」であることなど、

書くべきことが書かれている良書とおもう。

 

 

 

 

ブロック経済で封じこめられ、着物を軍服にきがえる「日本ちゃん」もカワイイ。

 

奥附によると作画の川本は、立教大学文学部史学科を卒業後、

歴史漫画家をめざしているらしいが、おそらく気のきいた編集者なら、

本書をよんでとっくにオファーをだしたことだろう。




ゆげ塾の構造がわかる世界史ゆげ塾の構造がわかる世界史
(2014/03/19)
ゆげ塾、ゆげひろのぶ 他

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テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

タグ: ファイアーエムブレム  刑罰 

堀泉インコ『愛しの花凛』2巻 乙女図鑑

 

 

愛しの花凛

 

作者:堀泉インコ

掲載誌:『まんがタイムきららフォワード』(芳文社)2013年-

単行本:まんがタイムKRコミックス

[1巻の記事はこちら

 

 

 

遊園地のマスコットをつとめる高校2年生「花凛」と、

花壇を管理する20歳フリーター「豊」の物語。

天使みたいな少女と、平凡な庶民の関係が、すくすく恋へそだつ。

 

 

 

 

友人につれられた新潟の海岸で、愛犬「まりん」と散歩。

 

視覚的な可憐さでは、いまの漫画の最高峰にある。

「やわらかい絵柄が、胸にしみるストーリーにあっている」と、

熱のこもった英文レヴューがアマゾンに投稿されてたり。

 

 

 

 

「最高傑作のカレーができた」といって、もってきてくれた。

彼女を部屋にあげるのは二度目。

「ナマステー」なんて挨拶がカワイイ。

 

 

 

 

しづかな夏の午後、花凛の方から告白する。

予期せぬ天変地異に、とりみだす。

片思いするのだって不釣りあいな、あこがれのアイドルだから。

 

 

 

 

豊のこぼした麦茶が、乙女の腿をぬらす。

いたたまれなくなり食パンをかじる花凛。

「好き」のあとの5秒間が、永遠となって宇宙を支配するさまを切なく描写。

 

 

 

 

なやみになやんだ数日後、返答する。

自分はフリーター生活をおえたら帰郷するから、つきあえないと。

「やり逃げ」みたいな不誠実なマネはできないと。

 

 

 

 

にょきっとツノをはやす花凛。

豊が自分のことを好きなのはバレバレだったとあかす。

だっていつも必死なんだもん。

「安牌」とおもったから、こっちから告白したんだ。

まぁでもマスコットの「めるんちゃん」にコクられたって自慢できるし、いいんじゃない?

 

 

 

 

天使と悪魔の假面をはぎとったら、夜のバスの車窓を背景に、

傷つきやすい思春期女子の泣き顔がうかぶ。

 

やさしくて誠実なところが好きだから、フラれたのも理解できるし、うれしくなくもないし、

これでよいのかもしれないけど、せめて負け惜しみいってイジメたい。

 

 

 

 

ふたりは半歩ちぢまった距離で日々をすごす。

 

ボクのお気にいりは、資材置き場でお化粧している花凛とでくわす場面。

普段からメイクしてるけど、いまは「めるん」だから入念に。

 

 

 

 

ビューラーをライターであぶり睫毛をさかだてる。

あまりに危険な施術にドン引き。

 

化粧するきらら系ヒロインに、ボクもおどろいた。

彼女らのパッチリお目目は、天然であることが不文律だったのに。

男子の妄想から一歩はみだす、等身大の少女だ。

 

 

 

 

豊の妹「のどか」や花凛の友人「桃代」などもステキだが、紹介しきれない。

水着回まであって、いたれりつくせり。

ぶあつい植物図鑑みたく、オンナノコの魅力をすべてつめこんだ逸品。




愛しの花凛 (2) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)愛しの花凛 (2) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
(2014/06/12)
堀泉インコ

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: きらら系コミック 

中山敦支『ねじまきカギュー』最終話

 

 

ねじまきカギュー

 

作者:中山敦支

掲載誌:『週刊ヤングジャンプ』(集英社)2011-14年

単行本:ヤングジャンプ・コミックス

[以前の記事→1-4巻/5巻/6巻/7巻/8巻/9巻/10巻/11巻/12巻/13巻/14巻

 

《注意》

以下の文章では、物語の核心部分にふれています。

 

 

 

ところは「社会福祉法人 犬塚保育園」。

エリザらしき幼女がテトリとアトリをしたがえ、アイドル然とふるまう。

暴君だった父の悪夢から解放されており、回想シーンじゃない。

 

 

 

 

『週刊ヤングジャンプ』28号で、本作は3年におよぶ連載をおえた。

うまれかわった登場人物をえがく最終回。

 

 

 

 

紫乃と織筆はスーツをきこむ。

察するに、この保育園を経営している。

つまり「後日譚」でもある。

 

 

 

 

黒髪にソバカスの子は性別不明。

カギューとカモ、両者の特徴をうけつぐ。

実子かもしれないし、ふたりの魂がむすびついて輪廻転生したのかも。

解釈は読み手にゆだねられる。

 

 

 

 

だが読者はみな確信するだろう、後者が真実だと。

カギューたんとカモ先生は死んだのだと。

 

毒とも薬ともつかぬ錠剤を恋人をわかちあい、鉤生十兵衛は斃れた。

古典の風格そなえる本作は、『ロミオとジュリエット』を大胆になぞったあと、

かの偉大な悲劇をのりこえ、「ハッピーエンド」へなだれこむ。

 

ひとは愛につきうごかされ、はかない生を駆け抜け、死とゆうゴールへたどりつく。

おわってみれば本作の主題はそれだけ。

稚拙ですらある。

ただカギューの愛が、桁外れにつよく、きよらかだっただけ。

 

ボクがなにをいおうが蛇足にちがいない。

最後に、ナカヤマ風にひとこと。

 

 



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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 中山敦支 

乃至政彦『戦国武将と男色』

『戦国BASARA』(テレビアニメ/2009年)

 

 

戦国武将と男色 知られざる「武家衆道」の盛衰

 

著者:乃至政彦

発行:洋泉社 2013年

レーベル:歴史新書y

 

 

 

われらの性的衝動はつよいのに、色恋沙汰が歴史をうごかすことはない。

不思議なものだ。

本書は、ロマンティックに拡大解釈されがちな「男色」の実相をあばき、

腐女子たちの悪酔いをさます一冊。

 

1:「男色は戦場で生まれたのではない」

公家や僧侶の趣味が、武家にひろまったもの。

そもそも戦場で女は忌避されない。

飯炊きやセックスなどの役があるし、女武者すら活躍した。

 

2:「それは高度な文化などではない」

崇高な趣味として憧憬されたとゆう證跡は、同時代の資料に確認できない。

後代に付されたイメージだ。

 

3:「武将が男色により出世することはない」

主従強化のため男色が活用された事実はみあたらない。

その様なふるまいは、家中の乱れをもたらすと嫌われた。

 

通説俗説に、あまたの具体例をもっていどむ労作である本書は、

その論争的内容をここに要約するより、実際に通読するのをすすめたい。

 

 

『戦国BASARA4』(カプコン/2014年)

 

 

有名武将になすりつけられた醜聞も、丁寧にそぎおとす。

 

武田信玄と高坂昌信の関係を実證するとされる誓詞は、

宛名をすり消して書きかえたもので、根拠として薄弱。

 

「生涯不犯」としてしられる上杉謙信が、男色をたしなんだとする資料もない。

妻帯しなかったからってホモあつかいでは、軍神もなげくだろう。

 

 

『戦国無双』(コーエー/2004年)

 

 

織田信長の寵臣といえば森蘭丸だが、色っぽい伝説は論外として、

そもそも「森蘭丸(ないし乱丸)」を称する人物自体、どの資料にも登場しない。

モデルらしき森成利が、「蘭丸」を名乗ったことは確認できない。

 

信長と前田利家がふかい仲だったとゆうのも、

『利家夜話』の記述にあたれば、性的関係など示唆されないとわかる。

 

 

Martin van Maëleによるイラスト(1905年)

 

 

最大の問題は、男色が「児童虐待」であること。

成人男性は基本的に対象外。

古来よりそのむごさは認識されており、決してキリスト教伝来からではない。

 

腐女子が鼻息あらく、戦国武将に男色のイメージを投影するのは理解できるし、

だれもそれをとめる権利はない。

だが、過去の残酷な文化を無批判にうけいれることは、

現代における性的虐待を肯定するにひとしいと、彼女らは自覚すべき。

たとえフィクションでも、いやフィクションだからこそ、歴史の歪曲は害がおおきい。

 

 

くりきまる『のぶながちゃん公記』(バンブーコミックス)2巻

 

 

つまり、くりきまる『のぶながちゃん公記』に代表される「戦国×百合」こそ、

みなをハッピーにする創作活動の鑑ではなかろうか。




戦国武将と男色―知られざる「武家衆道」の盛衰史 (歴史新書y)戦国武将と男色 知られざる「武家衆道」の盛衰史 (歴史新書y)
(2013/12)
乃至政彦

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テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

タグ: 百合 

小林俊彦『セーラー服、ときどきエプロン』

 

 

セーラー服、ときどきエプロン

 

作者:小林俊彦

掲載サイト:『マンガボックス』(講談社)2014年-

単行本:講談社コミックス マガジン

 

 

 

既刊37巻をかぞえる、人気ラブコメ『ぱすてる』をかかえる小林俊彦が、

箸休めとゆうか、マンネリ打破をもくろんだとおぼしきウェブ連載。

ヒロインこそJKだが、楚々としたお姉さんもいる。

 

 

 

 

高校2年「青野ほのか」は、武蔵小金井にある祖父のアパートへやってきた。

ほかの住人は女子ばかりで開放的。

肩甲骨や臀部など影の表現がうまく、全篇にわたり女体を賞味できる。

 

 

 

 

ドアをあけると、セックスぽいことしてる女ふたりが。

 

 

 

 

黒髪ボブがエロ漫画家の「香さん」。

茶髪ボブの「雪子さん」はエロ看護婦で、漫画のアシスタントもする。

作画のため、ほのかをデッサン人形がわりに。

 

 

 

 

ちなみにほのかは、祖父の管理人の仕事もひきついだ。

水瀬るるう『大家さんは思春期!』を髣髴させる。

 

 

 

 

料理が得意で、カレーの味つけなどもこだわりあって、

「おふくろの味」的テイストが好みらしい。

思春期の娘に、母親のペルソナをかさねたら、もう無敵。

 

 

 

 

そこへ雪子さんのきびしい指導がはいる。

ブラをただしくつけ、ゆたかなおムネをより魅力的に。

 

 

 

 

その完成形が「裸エプロン」。

キャラの二面性と、凹凸ある体型が、燦然とかがやく。

 

 

 

 

下着が乾かなかったので水着で外出したら、川へおちセーラー服がびしょ濡れ。

誤解されたくなくて水着と主張したら、ますます注目あびる。

アリジゴク的に愛されるヒロイン。

 

 

 

 

作者は「毒にも薬にもならないマンガをめざす」とかたる。

その意気やよし。

徹底的に「イミ」を排し、描きたい「モノ」だけ描く。

分類するなら百合漫画だが、あのジャンル特有の心理戦はない。

「おゆうぎ」としての性。

 

 

 

 

本作の空気は、幼稚園のそれに似ている。

けだるい夏の午後の昼寝のお供にいかが?




セーラー服、ときどきエプロン(1) (少年マガジンコミックス)セーラー服、ときどきエプロン(1) (少年マガジンコミックス)
(2014/06/09)
小林俊彦

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合 

fruits

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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テーマ : スナップ写真
ジャンル : 写真

もうひとつの神ハード、PCエンジン

 

 

1987年10月30日、「PCエンジン」が発売される。

本体を核として、CD-ROMドライヴやペンタブレットやプリンタなど、

さまざまな拡張機器をつなぐ「コア構想」が売りだった。

5個のコントローラ端子をそなえるマルチタップは、いまでゆう「USBハブ」を先どり。

 

CPUは、ファミコンとおなじモステクノロジー社の「MOS 6502」を、

演算とグラフィックの処理速度を大幅にたかめたもの。

ハドソンは「ファミリーベーシック」を任天堂と共同開発するなど、

このアーキテクチャに習熟していたのが理由だが、

ファミコンの設計思想がいかにすぐれていたかの証左でもある。

PCエンジンは、いわば「ファミコン2.0」だった。

 

 

左がアーケード版、右がファミコン版

 

 

かたりつくされた感もあるが、ファミコンとゆう傑作機の開発は、

任天堂社長・山内溥の単純明快な戦略によるところ大だ。

ひとつ、本体小売価格を1万円以下におさえる。

ふたつ、アーケードの『ドンキーコング』をそのままあそべる性能をもたせる。

たまたまゲーマーがおおくいたリコーの技術者たちは、

このムチャぶり(結局価格は14800円)にこたえた。

表示色数の削減やメモリ容量などの決定に、

ゲームデザイナーの宮本茂がふかくかかわったのも成功の一因。

 

 

 

 

翌年12月4日、「CD-ROM2」が発売。

単なる周辺機器でなく、遠大な構想にもとづくプラットフォームの確立であり、

PCエンジン本体とみごとに一体化、1991年のグッドデザイン賞を獲得する。

システムアップデート機能も先進的だった。

 

当時パソコン用のCD-ROMドライヴは40万円前後と高額で、

ソフトも広辞苑や住所録くらい、大容量をメーカーも持てあましていた。

CD-ROM2のソフトを開発するにあたり、現場にドライヴがないので開発者は、

プログラムを記録した磁気テープをいちいちNECへもちこみ、CD-Rに焼いてもらった。

 

 

『イースI・II』(ハドソン/1989年)

 

 

新メディアは、しかるべきコンテンツをもとめていた。

『イースI・II』がそれだった。

「優しさから感動へ」とのキャッチコピーにふさわしい、

ストーリー重視のコンセプトは、オリジナルのパソコン版よりイース的。

店頭でも、消費者へCD-ROMの威力をアピールした。

 

 

『ゆみみみっくす』(ゲームアーツ/1993年)

 

 

だがそれは、ゲームそのものに直接関係しない、

デモシーンの制作に労力をさかれる時代の到来でもあった。

 

任天堂は、ソニーやフィリップスとくんでCD-ROMドライヴを開発するも、

揉めに揉めて頓挫し、それを正当化したかったのか手のひらかえして、

アクセスの遅さやあつかいづらさなどを、むやみに批判しだす。

1996年のNINTENDO64でもROMカートリッジを採用、

自縄自縛となって流行からとりのこされるハメに。

その桎梏のねぶかさは、いまだ解消されたといえない。

 

PCエンジンのちいさな筐体には、ゲームの全歴史がつまっている。







【参考文献】

前田尋之『家庭用ゲーム機興亡史 ゲーム機シェア争奪30年の歴史』(オークラ出版)



家庭用ゲーム機興亡史家庭用ゲーム機興亡史
(2014/04/25)
前田尋之

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テーマ : レトロゲーム
ジャンル : ゲーム

タグ: 任天堂 

ウロ『ぱわーおぶすまいる。』3巻 虎道環のアガペー

 

 

ぱわーおぶすまいる。

 

作者:ウロ

掲載誌:『まんがタイムきららキャラット』(芳文社)2011年-

単行本:まんがタイムKRコミックス

[以前の記事はこちら→1巻/2巻

 

 

 

忘れ物をとどけたメイドにより、「虎道環(こどう たまき)」の金満ぶりが露見。

お嬢さまなのは、みためでバレバレだけど。

 

傑作ハーレムラブコメは軌道にのり、長期連載化した様でめでたい。

 

 

 

 

(男子ふくめ)ほとんどのヒロインが、さえないメガネ主人公に惚れこむ。

ただそれだけの話で3年以上飽きさせない。

ウロ先生を野球でたとえるなら、直球しか投げないピッチャー。

ファウルでねばられても、最後にねじふせる。

 

 

 

 

メインヒロインの母「紗雪さん」まで、豊満な体で肉薄する。

愛とおっぱいにみちた完璧な世界。

 

 

 

 

3巻は、クーデレな「叢園寺観久(そうえんじ みく)」に脚光あてる「みるく巻」だが、

ツンデレ姫の一挙手一投足から目をはなせない。

メイドの「鈴音=イングラムさん」だって成長記録をのこす。

 

 

 

 

文化祭の出し物をメイド喫茶にしようとする提案は拒否。

自宅でみなれてるし。

しかし「まゆちゃんのメイド姿見たくないか?」との釣言葉にまける。

ツンデレやドジっ娘にくわえ、百合属性まで。

 

 

 

 

美少女ぞろいの1-bは、ほかの男子の垂涎の的だが、

環さまの男嫌いは校内にとどろいており、ちかよりがたい。

でもじかに接すると、案外やさしい。

 

 

 

 

姫の内面におりてみよう。

趣味はSF小説で、51巻まで刊行中の『デストロイ博士』シリーズがお気にいり。

宇宙と冒険は乙女の嗜み。

彼女自身ハイブリッドでサイケデリックな、SF的ヒロインでもある。

 

 

2コマめの髪と下半身のバランス! 「絶対的絶対領域」とよびたい

 

 

SF関連図書が充実する本屋へ、主人公をさそう。

だれがなんといおうと、「文学少女」属性にまさる萌えはない。

そこに指一本分、ギャップ萌えをかける制球の妙。

 

 

「まゆ太郎」呼ばわりがカワイイ

 

 

実は『ぱわすま』はブッキッシュな萌え四コマ。

 

兄といちゃつく妄想にふけるところを恋敵(?)の「まゆさん」に目撃され、

フテ寝する主人公の妹「宮乃」が、その愛は「LOVE」であると断言。

 

 

 

 

かたや正ヒロインは、みんながすき。

その感情は、ギリシア語で「無限の愛」を意味する「アガペー」。

メロキュアによるアニソン(名曲だ……)の題名にもつかわれる言葉で、

「真実の愛を定義する」とゆう、サブカルの困難な伝統に本作もしたがう。

 

大雑把に歴史を俯瞰するとこうなる。

古代ギリシアで讃美されたロマンティックな「エロース」を、

キリスト教神学は抑圧し、博愛主義的な「アガペー」におきかえた。

うつくしい愛から、うつくしくないセックスは排除されるべき。

それはわかるが、セックスぬきの愛は不毛じゃないか?

現代ラブコメの「愛」は、エロースとアガペーを無矛盾に包摂しようとこころみる。

 

 

 

 

2月14日、暴徒が環をとりかこむ。

ひとかけらのアガペーをもとめて。

 

 

 

 

主人公のため用意した手づくりチョコは机にしまったまま、ひとりであじわう。

ちょっと満足げに。

ささやかでうつくしいエロース。

 

『ぱわーおぶすまいる。』の読後感は、プラトンの対話篇にちかい。

緻密で華麗なレトリックに幻惑される。

乙女らの饗宴はまだおわらない。




ぱわーおぶすまいる。 (3) (まんがタイムKRコミックス)ぱわーおぶすまいる。 (3) (まんがタイムKRコミックス)
(2014/05/27)
ウロ

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テーマ : 4コマ漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: きらら系コミック    萌え4コマ 

ベア・グリルス『究極のサバイバルテクニック』

 

 

究極のサバイバルテクニック

Born Survivor: Survival Techniques from the Most Dangerous Places on Earth

 

著者:ベア・グリルス

発行:朝日新聞出版 2014年

原書発行:2007年

 

 

 

ディスカバリーチャンネルのドキュメンタリー番組で有名な冒険家の著書。

あまたの窮地をくぐりぬけたせいか、内容はふかい。

いわく、サバイバル状況では「現実的」になるより、「あかるい希望」をもつ方がよい。

統計によれば大概の場合、ひとは5日以内に救出される。

悲観していたらチャンスをみうしなう。

 

イギリス陸軍特殊空挺部隊に所属してたそうで(非常勤の国防義勇軍第21連隊だが)

寒冷地では靴下をズボンにつるして乾かすとか、SASじこみの智恵も披露。

「雲は見かけどおりにふるまう」なんて豆知識は、きょうから活用できる。

物騒な感じの雲は悪天を、やさしげな雲は好天をもたらす。

 

 

 

 

熱帯地方では、ヘビに噛まれて死ぬより、落下するココナツにあたって死ぬ確率がたかい。

半分以上は無毒なヘビだし、毒ヘビの噛みつきも25%は、体内にまわらない「ドライバイト」。

人間はかれらの獲物でない。

 

傷口から毒を吸い出すのは効果ないし、むしろ口腔内の毛細血管の方が毒を吸収しやすい。

止血帯をまいて横になり、できるだけ水をのむ。

パニックをおこし心拍数あがるとあぶない。

 

自分のいる地域に生息する毒ヘビだけしらべておけば、ほかの種類をみわけなくてすむ。

悠々と頭をおさえ、肛門より先をもって地面にたたきつけると即死。

ヘビ肉はステーキなみのうまさだ。

膀胱内の塩分にひきよせられ、ながれる尿をさかのぼり尿道へ侵入する、

ナマズの仲間「カンディル」の方がよほどおそろしい。

 

 

アラブ首長国連邦のベドウィン(撮影:nbahan)

 

 

砂漠では黒い服と白い服、どちらが適しているだろうか?

黒服は紫外線をとおさないが、熱を吸収。

白服は太陽光を反射するかわりに、肌を日焼けさせ、汗の蒸発をはやめる。

むかしから砂漠の民が採用してきた、黒に白を重ね着するのが正解。

 

砂漠で水がなくなっても焦らないこと。

かんがえなしに水源をさがしまわれば、発汗して余計に渇く。

日陰をみつけて休み、需要と供給のバランスをたもつべし。

 

 

 

 

サメを目にすると、ヒトは原始的な恐怖をおぼえる。

食物連鎖のトップにのぼる前の、集合的記憶が呼び覚まされるからか。

しかしサメは温和な動物だ。

サメによる死者は年平均10名だが、ヒトが殺すサメはその数百万倍。

 

海水は絶対のんではいけない。

塩分は血液の3倍で、腎臓をいため、脱水や体液減少をまねく。

脳細胞への血のめぐりが悪くなり、譫妄状態に。

サバイバル状況で人肉を食らったりするのは、くるった頭で自暴自棄となるから。

体が欲しているのは、肉でなく水分なのに。

 

 

シリアカニクバエの幼虫(撮影:ウミユスリカ)

 

 

ウジは高カロリーの栄養食だ。

手のひら一杯のウジで一日生きられる。

頭以外はたべられない味じゃない。

 

医療の道具にもなる。

傷口が感染をおこしたときは、ハエをおいはらわず卵をうませよう。

ウジが湧き傷口をおおうと、組織のくさった部分と膿をたべてくれる。

血がにじんだら、健康な肉までたべはじめたしるしだから、洗い流す。




究極のサバイバルテクニック究極のサバイバルテクニック
(2014/04/18)
ベア・グリルス

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テーマ : ノンフィクション
ジャンル : 本・雑誌

くりきまる『のぶながちゃん公記』2巻 濃姫無双!

 

 

のぶながちゃん公記

 

作者:くりきまる

掲載誌:『まんがくらぶオリジナル』(竹書房)2010年-

単行本:バンブーコミックス

[1巻の記事はこちら

 

 

 

織田信長が替え玉で、しかも女の子だったら、とゆう四コマ漫画。

「むしろこっちが史実では?」とおもわせる「くりきまる史観」は、

2巻にはいりますます密度をたかめている。

 

 

 

 

『のぶながちゃん公記』はコメディでもパロディでもない。

歴史的事件が時系列にそっておこる「歴史漫画」だ。

2巻は、信長が家督相続するまえの安城合戦を中心にえがく。

今川義元に東海地方のほとんどを勢力下におかれ、大ピンチ。

 

 

 

 

濃姫こと帰蝶は、マムシの道三の娘だけあり、

こないだまで村娘だった信長より頼りになる。

軍師として今川軍をむかえうつ。

 

 

織田家筆頭家老・林秀貞

 

 

彼女の弱点はスイーツ。

高価な南蛮菓子の購入をとめられたショックで寝こむ。

 

 

 

 

鬼嫁すら音をあげる「兵糧攻め」の有効性にきづいた、のぶながちゃん。

その策は今川家の軍師・太原雪斎を翻弄する。

力をあわせ乱世をいきぬく、新婚夫婦がけなげだ。

 

 

 

 

尾張は内政も多事多難。

現当主・信秀が病におかされたのち、跡目争いで家臣団は分裂する。

 

信長の母・土田御前は、気のつよい帰蝶とソリがあわないこともあり、

うつけの長男より、デキのいい信行に家督をつがせたい。

花見の席での嫁姑バトルが嵐をよぶ。

美濃と尾張の桜自慢は、愛知県在住の作者ならでは。

 

 

 

 

周囲を敵にかこまれてるのに、国をふたつに割ってる場合じゃない。

重臣の柴田勝家は、次期当主に「うつけ」をやめるよう諫言しにゆくが、

どうみても帰蝶のオモチャ状態、織田家の未来に絶望。

 

 

 

 

のぶながちゃんの妹・お市は、のちの夫である勝家に目をつけ家来とする。

名将勝家の謀反の陰にロリがいた。

さすがは美貌をうたわれる戦国の花、兄妹ゲンカを内戦にスケールアップ。

 

 

 

 

兄が「第六天魔王の転生者」と信じるなど、中二病こじらせたお犬の方もカワイイ。

 

 

 

 

岩室長門守は、甲賀五十三家に属する忍びだが、

巨乳を帰蝶にねたまれ、仕官を反対される。

これでもかと登場するマイナー武将の洪水は、大河ドラマが裸足でにげるレヴェル。

 

帰蝶のツッコミ役……じゃない、侍女としていい味だす「おえい」は、

「攻めの三左」森可成の正室だったと2巻で判明。

かれらの息子が、かの有名な森蘭丸(成利)ってことは、

腐女子の母の薫陶により、BL界のスーパースターとなったのか。

いやはや、気がとおくなるほど壮大なサーガだ!

 

 

 

 

とはいえ本作は、ツンデレ姫あっての作品。

気位たかくて嫉妬ぶかくて、いとおしくってしかたない。

変則百合カップルのイチャラブが、戦乱の時代に終止符をうつ。




のぶながちゃん公記 2 (バンブーコミックス)のぶながちゃん公記 2 (バンブーコミックス)
(2014/05/30)
くりきまる

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合    ロリ  萌え4コマ 

ハザキ・ヤマト『ちくちくぬいぬい』

 

 

ちくちくぬいぬい

 

作者:ハザキ・ヤマト

掲載サイト:『Webコミック EDEN』(マッグガーデン)2013年-

単行本:マッグガーデンコミックスEDEN

 

 

 

服飾専門学校を卒業した「八谷美里(はちや みさと)」は、

あこがれのデザイナーのいるアパレル企業へ入社する。

いつも自作の服をきるくらい実技は達者だが、絵は大の苦手。

 

 

 

 

志望はとおらず、「生産管理部」に配属された。

社内のデザイナーと外部の縫製工場をつなぐ、いわば下働き。

長年の夢がついえたことに落胆する。

 

 

 

 

気になるのは同期の存在。

ズケズケものをゆう「町田さん」は、デザイナーになれたのに愚痴ばかり。

生産管理部を「だれでもできる仕事」とバカにしたり、話をきいてるとモヤモヤする。

 

 

 

 

お直しのため、客からおくられた服のなかに、

自分がファッション好きになるきっかけとなった子供服が。

希望部署でなくとも、服飾にたづさわるのはたのしい。

「やりたい仕事」をもらえずに不満をもらすくらいなら、

手元のTODOリストに、やりたいことをさがしてみよう。

 

 

 

 

そんな「はちこ」は、おもわず応援したくなる頑張り屋さんのヒロインだが、

自分に気があるっぽいイケメン先輩を足代りにこき使うなど、甘え上手な小悪魔の面も。

就活生や新社会人、特に女性を勇気づける作品だ。

 

 

 

 

おもな業務は工場とのやりとり。

「安田産業」は縫製技術はたかいが、見本をなげてよこすなど横柄な態度。

衣服なんて所詮、布と糸のかたまりにすぎず、

毎日お針子仕事してれば、ウン万円の高級服もありがたみなくなる。

 

 

 

 

それでもファッションは、女子のアイデンティティの重要な一部、ひとによってはすべて。

一生の宝物になりうるし、ときに癒えない傷となることも。

工場長の辛辣さには理由があった。

 

 

 

 

それぞれの登場人物の背景に、重厚なドラマが用意されてるらしく、

初単行本とは信じがたい画力もあいまって、長期連載が期待される。

 

 

 

 

入社早々、八面六臂の活躍をみせるはちこだが、

社内でつかう符丁がわからずミスをおかす。

服に命をかけるデザイナーは、糸一本ちがうだけで激怒。

 

はなやかな世界の裏でくりひろげられる地味な日常は、リアルでシヴィアだ。




ちくちくぬいぬい 1 (マッグガーデンコミックス EDENシリーズ)ちくちくぬいぬい 1 (マッグガーデンコミックス EDENシリーズ)
(2014/06/03)
ハザキヤマト

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適材適所だったダグラス・マッカーサー

コレヒドール島の洞窟で、参謀長リチャード・サザーランド少将と(1942年3月1日)

 

 

マッカーサーは攻勢型の将軍だった。

防戦においては自軍を過大評価しがちで、何度も痛い目にあう。

日本がハワイやフィリピンを奇襲するなど夢にもおもわなかったし、

朝鮮戦争勃発時も狼狽し、それが開戦だと認識するのに一両日かかった。

また「中共の介入はありえない」と断言、みづからの解任をまねく。

 

晩年にかいた回想録はウソばかり。

手柄を誇張しつつ、ミスを政治家や海軍や日本軍へなすりつけた。

ウェストポイントを抜群の成績で主席卒業し、軍事以外の歴史にも精通する教養人だが、

後世の歴史家による批判などすこしもおそれなかった。

信じがたい自尊心と楽観主義。

 

 

 

 

マッカーサーはお気にいりでかためた、直接の幕僚にのみ依存した。

現場の指揮官は意思決定にくわわれず、サザーランド参謀長など、

傲慢な「バターン・ボーイズ」の命令にふりまわされた。

 

かれは一言でいえば貴族だった。

父が南北戦争の英雄であるだけでなく、本人の気質が貴族的だった。

他人とうちとけず、めったに笑わなかった。

 

 

『終戦のエンペラー』(アメリカ映画/2013年)

 

 

常識はづれの勇者でもある。

銃弾とびかう敵前上陸中、ほかはみなヘルメットで身をまもるのに、

トレードマークの金モールつきフィリピン軍元帥制帽をかぶりつづけた。

日本の降伏直後、狙撃の可能性を十分しりつつ、平然と厚木飛行場へおりる。

部下は軍神をみるおもいだった。

 

側近を依怙贔屓し、軍内に特権階級をつくったが、公私混同にはきびしく、

サザーランドの女性問題が発覚したときなど、はげしく怒り狂った。

 

 

1945年9月27日、アメリカ大使館にて

 

 

これほど「占領者」にふさわしい男はいない。

憲法改正はワシントンの指示でなく、マッカーサーの独断ですすめた政策。

「二院制」「生存権」「内心の自由」など、日本政府の要請もとりいれる。

おおむねGHQ案がとおったのは、それがすぐれていたから。

むしろ抵抗がなさすぎ、占領者の方がおどろいた。

いまさら「GHQの押しつけ」なんて文句をつける連中は、歴史に無知なだけ。

 

朝鮮戦争で混乱する1950年7月、GHQの指令で「警察予備隊」が設置される。

警察なんだか軍隊なんだか、不明瞭な組織だ。

マッカーサーは新憲法の平和主義に自信をもっていたが、

ワシントンの要求にしたがわざるをえず、曖昧な表現でメンツをまもった。

のちの9条をめぐる不毛な論争は、マッカーサーのプライドに起因する。

 

 

1950年のフィリピンで、妻ジーン、息子アーサーと

 

 

かれは、軍人としては露骨すぎるほど大統領選へ意慾をもやし、

国民からの人気もあったが、えらばれたのは元部下のアイゼンハワー。

調整能力のたかい司令官で、「アイク」の愛称でしたしまれていた。

「占領者」より「外交官」の方が、戦後のリーダーにふさわしいと判断された。

 

エゴの塊みたいな男をこき使い、絶妙のタイミングで梯子をはづす。

アメリカの人材活用術は、神のごとく老獪だ。




マッカーサー フィリピン統治から日本占領へ (中公新書)マッカーサー―フィリピン統治から日本占領へ (中公新書)
(2009/03)
増田弘

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長月みそか『のぞむのぞみ』完結 妹の叛乱

 

 

のぞむのぞみ

 

作者:長月みそか

発行:少年画報社 2012-14年

レーベル:TSコミックス

[1巻の記事はこちら

 

《注意》

以下の文章では、物語の核心部分にふれています。

 

 

 

TS(性転換)モノの傑作が、第2巻をもって完結。

胸もふくらみ、ますます女らしくなる「のぞむ」の成長をフルカラーでおう。

 

 

 

 

生理もはじまり、中1の妹はまだだから、服をかり自分でナプキンを買いにゆく。

いちいちオシャレするのは変装のためだが、もはや趣味でもあり。

ドラッグストアで憧れの「井手さん」に出くわす。

 

 

 

 

井手さんも、のぞむのことを異性として意識していたが、

「彼」の変化を敏感に察してるらしく、すこしづつ疎遠に。

 

 

 

 

作者は男だが、女子の文化への関心はホンモノで、あちこちに素養がうかがえる。

制服を水着にきがえる井手さんのなめらかな動きは、盗撮映像みたくさりげない。

ハダカをえがかなくとも、オンナノコを丸裸に。

 

のぞむの妹「香苗」の水着も、シンプルでカワイイ。

 

 

 

 

さっぱりした性格の香苗は女子から人気で、たくさんチョコをもらった。

普通にうれしい。

「あーもう、いっそのこと私が男だったらよかったのになあ」

 

 

 

 

それは禁句だった。

自室で絶叫した香苗をみたら、股間のモノがスカートをもちあげている。

 

 

 

 

勃起がおさまらず途方に暮れる。

兄よりガサツで勝ち気な妹が、ぼろぼろ涙をこぼしてすがりつく。

ほうってもおけず手でみちびき、しまいには早くおわらせようと口で。

 

 

 

 

まんざらでもない表情で口をゆすぐ、のぞむの愛くるしさ!

口内射精は、性交渉のなかでもハードルたかめだが、

相手が妹だから、家族愛でひょいとのりこえた。

田尾望、身も心も女になった瞬間である。

 

さっきまで泣きわめいていた香苗は、

はやくも男のサガを身につけたのか、一発ヌイてすっきり顔。

一回だけの約束なのに、またしてほしげに甘えるのも、いじらしい。

 

生涯わすれられそうにない名場面。

 

 

 

 

妹は正義。

うじうじ悩んでばかりの兄を尻目に、ばっさり髪をきり、解決策を提示する。

 

TSモノの枠をこえ、兄妹の絆が感動をよぶ、奇跡の物語だ。




のぞむのぞみ 2 (TSコミックス)のぞむのぞみ 2 (TSコミックス)
(2014/05/31)
長月みそか

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百乃モト『無敵の迷子』

 

 

無敵の迷子

(『トゥルー・トゥルー』所収の短篇)

 

 

作者:百乃モト

発行:一迅社 2014年

レーベル:百合姫コミックス

[同作者の単行本『レイニーソング』の記事はこちら

 

 

 

女子校は百合の温床である一方で、百合を排除するシステムをそなえる。

不自由な人生のなかで、すきなひとと一緒にいる自由くらい、あってもいいのに。

 

 

 

 

加虐者はつねに、一番もろい鎖をねらう。

机に「レズ」だの「キモイ」だの落書きされ、気弱な「夏加」が自殺願望をもらす。

樹海へゆきたいと。

 

 

 

 

その気持ちにウソはないとはいえ、行動力にとむ「美優」が、

本当に山奥への小旅行をアレンジしたのにとまどう。

でも素直にしたがう。

自分のためにしてくれてると痛いほどつたわるから、うれしい。

できればまだ生きてたいけど、美優と一緒に死ねるならそう悪くない。

 

 

 

 

死を決意したのに、雷におびえたり、「泊るってお母さんに連絡しなくちゃ」とあわてたり、

はじめての夜は、自分のちっぽけさを思いしらされ、なんかせつない。

いつしか、たがいの吐息と鼓動しか聞こえなくなり、宇宙は幸福感でみたされる。

 

 

 

 

しらぬ間に眠ったあと、陽の光で目をさます。

美優から、今回の旅の目的をおしえられる。

きっと現実世界は、鬱蒼たる森よりこんがらがってるけれど、

その手のぬくもりがあれば、もう迷いはしない。




トゥルー・トゥルー (IDコミックス 百合姫コミックス)トゥルー・トゥルー (IDコミックス 百合姫コミックス)
(2014/05/17)
百乃モト

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