加藤マユミ・横山了一『飯田橋のふたばちゃん』
飯田橋のふたばちゃん
作画:加藤マユミ
原作:横山了一
掲載サイト:『WEBコミックアクション』(双葉社)2012年-
単行本:アクションコミックス
二コマめは、スポ根ずきで熱血な「講談ちやん」。
三コマめは、ファン層ひろいが意外と腹黒い「小学ちやん」。
四コマめは、アンケート結果にきびしい「集英ちやん」。
主人公は、個性のない(笑)「双葉ちやん」。
よりによつて出版社を擬人化する、訴訟上等なメタ四コマ漫画。
講談ちやんの武器は丸太(彼岸島ネタ)。
縦ロールの「白泉ちやん」は、花とゆめチックなお嬢さまだが、大剣をあやつる(ベルセルクネタ)。
各社のドル箱コンテンツを容赦なくパロつたり。
ギョーカイの本音を垣間みせたり。
ジャンプが「友情・努力・勝利」をすて、「BL」で腐女子相手の商売に堕したとか。
三大出版社以外の方が、いきおいある。
たとえば綾波風の無口少女、「角川ちやん」(名前そのまんますぎ)。
「これをきっかけに仲よくしたいな~って!」
「それはつまり……ウチのホールディングスに入りたいってこと?」
手あたり次第に買収をたくらむ風雲児だ。
メディファちやんもエンブレちやんも富士見ちやんも、みな角川ちやんの傘下。
(これでもアスキー・メディアワークスをはぶいている)
フラッパーファンとしては、メディファちやんがどんなキャラか気になる。
角川ちやんに「オタクのツボをおさえろ」と助言されるが、
双葉ちやんの趣味は駅弁(駅弁ひとり旅)やお酒(BARレモン・ハート)で、かみあわない。
ふつう双葉社作品でおもいつくのは『クレヨンしんちゃん』だけ、
しかも作者が亡くなつており、そういう「不憫な子」ゆえ実現した企画か。
話題は、どう出版不況をのりきるかになりがち。
オタクから搾取する角川ちやんも、家計は楽ぢやない。
アリーナ姫つぽい「スクエミちやん」は、ゲーム事業の損失を出版で補填している。
辛気くさいクラスメートをよそに、わが道を驀進するのは「芳文ちやん」♪
ゆるふわな人気者だが、キャラットにMAXにフォワードにミラクと、
そつくりな妹が大勢いてまぎらわしい。
秋田さん家の「いちごちやん」は、芳文シスターズが大嫌い。
自分は都条例なんのその、寸止めのエロスで攻めてるのに、
芳文ちやんがキャッキャウフフで荒稼ぎするのがゆるせなくて。
「きらら世界」に移住したいほど愛読するボクも、ちよつと共感。
すでに当ブログ読者の多くは置いてきぼりな気がするが、本作はさらなる深みへ。
成人向けの女王「ワニマガちやん」や、ガチロリの「茜ちやん」(コミックLO)まで登場!
編集プロダクションの銀杏社ネタなんて、漫画家と編集者以外、だれがおもしろがるのか不明。
廊下をあゆむ清楚な黒髪少女は……い、一迅ちやん!
百合姫さまが本気だしたら、学園の秩序は崩壊する。
ながい物をもつと「無明逆流れ」(シグルイネタ)をやつてしまう秋田ちやん
集英社と茜新社が、同列でかたられる2013年。
現代漫画という混沌なるカオスを、もつともつとたのしもう。
![]() | 飯田橋のふたばちゃん(1) (アクションコミックス) (2013/06/28) 横山了一 |
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