湯浅ヒトシ『空拳乙女』

 

 

空拳乙女

 

作者:湯浅ヒトシ

掲載誌:『漫画アクション』(双葉社)2012年-

単行本:アクションコミックス

 

 

 

 

男どもは斃れ、パトカーが殺到、百合つぽいJKふたり。

この漫画は一体なに!?

 

 

 

 

小柄な女子高生「町田歩夢」は、空手にあこがれる。

同好会結成のため仲間をつのるも、反応はかんばしくない。

 

 

 

 

下校中、配達人によびとめられた。

そこへ血相かえ、同級生の「武部 道」が駆けつける。

 

 

 

 

四人のヤクザは、拉致をたくらむ。

ところが人ちがいで、クラスでもおとなしい道が、敵対する辯護士の娘だつた。

護身用に身につけた空手技が炸裂!

 

 

 

 

四人斃したが、息がきれ、へたりこむ。

 

湯浅ヒトシはヴェテランで、いわゆる劇画よりの作風。

アマゾンでしらべると、すくなくとも26年のキャリアがある。

ボクは普段、若手作家の装飾的な技巧をみなれてるせいか、

地味なコマ割りもかえつて魅力的に映つた。

 

 

 

 

物語はさらに大ゴトに。

街でちよつとケバい女に声をかけられる。

 

 

 

 

彼女はイヴェント会社の経営者で、ある企画に道をさそう。

美少女同士がコスプレでたたかう、K-1ルールの格闘技大会。

なづけて「B-1」!

 

 

 

 

父の仕事の問題もあり、その場で即答しないが、

「どんな人生にもリスクはつきもの」という、去り際の言葉にうごかされる。

 

ヴェテラン作家が、失礼ながら年甲斐なく「戦う女子」の流行にのつたわけで、

作品そのものも異種格闘技戦みたいな妙味が。

 

 

 

 

道と歩夢は、閉鎖した町道場で稽古をはじめた。

ボクはくわしくないが、空手家がK-1ルールへいどむ際の課題など、

格闘描写は好事家をも満足させる水準なのでは。

 

 

 

 

女子が殴りあうのは、さほどうつくしいといえない。

顔はゆがみ、障碍がのこる可能性も。

なにより、女に男同様の闘争心があるか?

そういう「リスク」もガチでえがく。

 

 

 

 

『空拳乙女』は、中身がつまつて筋肉質の、漫画らしい漫画。

いいかえると、つづきが気になる漫画。




空拳乙女(1) (アクションコミックス)空拳乙女(1) (アクションコミックス)
(2013/05/28)
湯浅ヒトシ

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『オブリビオン』

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オブリビオン

Oblivion

 

出演:トム・クルーズ オルガ・キュリレンコ アンドレア・ライズボロー モーガン・フリーマン

監督:ジョセフ・コシンスキー

制作:アメリカ 2013年

 

 

 

 

西暦2077年。

異星人とまじえた、核兵器ふくむ戦火により、地球は荒廃していた。

トム・クルーズ主演のSF映画である。

 

 

 

 

ペンタゴンもかくのごとく。

廃墟は心たかぶらせる。

 

 

 

 

人類は地球を放棄したものの資源を必要とし、

軍人であるクルーズは、通信担当の女とふたりでチームをくみ、

異星人の残党から施設をまもるため、監視と機器の管理保全をおこなう。

女とは恋仲でもある。

 

 

『トロン:レガシー』のオリヴィア・ワイルド

 

 

ボクはコシンスキー監督の処女作『トロン:レガシー』(2010年)がすきで、

舌なめずりしつつ、今回もスカした映像を堪能した。

 

 

アンドレア・ライズボロー

 

 

おいシコルスキー、オレはしつてるぞ!

アンタが近未来SFをこのむのは、女をよりうつくしく撮るためと。

最高にスケベなカントクだぜ。

 

 

 

 

 

 

 

ある日、どこからともなく宇宙船が墜落。

わかい女ひとりいきのこつた。

 

 

オルガ・キュリレンコ

 

 

こちらも美人で、クルーズはムラムラひかれる。

ブロンドにブルネット、両手に華でうらやましいが、

超クールな近未来設定でも、三角関係は波風たたずにすまない。

タブレットみたくスワイプできない。

 

 

 

 

よみがえる、抹消された記憶。

ブルネットは自分の妻だつた。

 

 

 

 

ゆえにこれは「元鞘におさまる」のとちがうし、まして「浮気」でない。

単なる義務の遂行。

近未来SFは、男の慾望をややこしく肯定する。

 

 

 

 

 

 

 

……というリクツは、ブロンドに通じない。

修羅場はさけられない。

 

 

 

 

異星人よりおそろしいもの、それは女の嫉妬。

 

 

 

 

モーガン・フリーマンは、レジスタンスの司令官。

クルーズとブルネットが遠出からかえつたとき、

かもしだす雰囲気がことなるのを察し、やさしい微笑をうかべる。

年少者の愚行への理解がつたわる、包容力あふれる演技だ。

 

 

 

 

現状にあきたらない。

男はつねに未来を夢みる。



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