鈴木マナツ『阿部くんの七日間戦線』完結

絶対なるもの、その名は妹

 

 

X脚ぎみの脚線がたまらなく好き

 

 

阿部くんの七日間戦線

 

作者:鈴木マナツ

発行:一迅社 2012-13年

レーベル:REXコミックス

[1巻の記事はこちら

 

《注意!》

以下の文章では、物語の核心にふれています。

まだの方は、すみやかに単行本全二巻をそろえてください。

 

 

 

 

七日間のラブコメ&殺人ゲーム。

イクとこまでイッて、堂々完結!

 

 

 

 

第2巻は、化けの皮が剥がれてきた「芦川さん」とのデートがみどころ。

 

 

 

 

おたがい初デートで、ぎこちない。

トランジスタグラマーの芦川さんはういういしくて、

「騙されるな」と自分にいいきかせてもドキドキ。

 

 

 

 

公園のベンチでいい雰囲気に。

だがそれは彼女の「ミッション」だつた。

 

具体的には、「オタクのクラスメイトとキス」。

 

 

 

 

高校デビューしたつもりの「阿部くん」にしたら、残酷すぎ。

 

 

 

 

でも芦川さんが必死なのも無理ない。

いかにも弱つちいので、クラスメイトの標的にされていた。

先手をうち、血祭りにあげたが。

ラブコメという戦場では、猫かぶりは自衛手段。

 

 

 

 

 

暗黒の姫君的なキャラ設定らしい(笑)

 

 

ぼつちキャラの「二ノ宮さん」は、制服をぬぎすて、ゴスロリ&眼帯で厨二病が暴走!

 

 

 

 

理不尽なゲームで生き残るのをあきらめ、ヤケをおこした。

いろいろまちがつてるけど、健気でいとおしい。

 

 

 

 

阿部くんのボディガード役、「小鳥遊さん」もかわらず我が道をゆく。

思春期の性の苦悩を、つめたい視線ひとつで全否定。

 

 

 

 

保健室に女子ふたりつれこみ、「効率的なのでいつぺんに済ませてください」。

阿部くん置いてきぼり。

 

 

 

 

 

 

 

主人公なのに主導権をにぎれないのは、黒幕がいるから。

「阿部一夏(あべ いちか)」ついに登場!

 

かくれオタクで、ネトゲをやりつくし、独力で理想のゲームをつくりあげた天才少女。

そして妹。

 

 

猫耳マフラーがお似合い

 

 

自分の娯楽のため、かつモテないアニキのため、愛の死亡遊戯を開発した。

ちよいとスリルをあたえ、吊り橋効果で男女の慾望を刺激。

「完ペキっしょ?」

 

 

尻尾つきのリュックサックもステキ

 

 

そういや逃げようとする兄を、校門まで見送つたりしてた。

学校やゲーム会社など組織の人間でなく、血縁者だからこそ、変幻自在にあやつれた。

 

 

部屋着も(略)

 

 

「うざい」だの「キモイ」だのいいつつ、カノジョができるよう応援したのは、支配慾ゆえ。

 

 

 

 

性格が乙女でなさけないけど、大好きなアニキを、

手のひらでころがし、成長をうながし、身も心も独占しつづけたい。

 

兄妹愛、それは窮極の人生ゲーム。

 

 

 

 

妹へ銃口をむける。

こんな胸ゆすぶる場面がかつてあつたか?

 

鈴木マナツの処女作にして名作、『阿部くんの七日間戦線』は、カルト的に語り継がれよう。

すくなくともボクがそうする。






阿部くんの七日間戦線2 (REXコミックス)阿部くんの七日間戦線2 (REXコミックス)
(2013/02/27)
鈴木マナツ

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ:   眼帯女子  鈴木マナツ 

左翼の推薦図書

(撮影:Wenjiang Yu)

 

 

吉成真由美によるインタヴュー集、『知の逆転』(NHK出版新書)は退屈だが、

言語学者ノーム・チョムスキーの応答の切れ味は、さすがとおもつた。

たとえば教育について。

 

――早期教育についてはいかがですか。

良い学校、良い大学に入るために、早期教育がもてはやされているわけですが。

 

チョムスキー 海兵隊員や労働者になるための訓練としては良いと思います。

 

「バカなこと聞くなよ」と相手にさとらせる、寸鉄人を刺す皮肉をボクもいつてみたい。

 

 

さてこの本は、話のおわりに若者むけの推薦図書をたづねる。

ジャレド・ダイアモンドなどほかの五人は、えらそうにズラズラ列挙するが……。

 

よくそのように質問されるのですが、

たいへんありがたいことではあるけれど、歯がゆくもある。

つまり、どう答えていいかわからないからです。

自分の子供や孫たちに対してさえ、そのようなリストを作れないくらいですから、

ましてや私の知らない人に対しては、さらに難しくなります。

 

数冊の書名をあげて物知りぶる、という誘惑に勝つのは簡単ぢやない。

筋金いりのアナーキストだけ可能だ。

 

 

(撮影:Rolfmueller)

 

 

『韓非子』「説難篇」をおもいだした。

 

ある日、鄭の武公は、大夫の関其思に相談する。

 

「これから兵をうごかすとしたら、相手はどこがよい?」

「胡がよろしいでしょう」

「……親類の国を攻めろとは、なにごとか!」

 

武公は激怒し、関其思を戮した。

なにせ娘を胡の王に嫁がせたばかり。

 

騒動をつたえきいた胡君は、安堵して鄭への防備をとく。

だがその虚をつき、武公は胡を征伐した。

 

 

つまり、結果として処刑されるも、関其思の説はあたつていた。

 

すなわち、知の難きにあらざるなり。

知に処する、すなわち難きなり。

(物事を知るのはやさしいが、その知識を実践するのがむつかしい)

 

「知に処する」術を知つてはじめて、世界を理解したことになる。

それは無政府主義的な学習によつてしか、身につかない。






知の逆転 (NHK出版新書 395)知の逆転 (NHK出版新書 395)
(2012/12/06)
ジャレド・ダイアモンド、ノーム・チョムスキー 他

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テーマ : 哲学/倫理学
ジャンル : 学問・文化・芸術

D.P/山本賢治『trash.』4巻

くちびる、パジャマ、妹、液体窒素

 

 

 

 

trash.

 

作画:D.P

原作:山本賢治

掲載誌:『ヤングチャンピオン烈』(秋田書店)2010年~

単行本:ヤングチャンピオン烈コミックス

[以前の記事はこちら→1巻/3巻

 

 

 

 

ビルの隙間でのフェラチオからはじまる第4巻。

新登場の「めいほ」は、ふわくしゅショートが可憐で、

美少女つるべ打ちの、本当に本当にありがたい漫画だ。

 

 

 

 

ただ即ガラガラペッで、代金を要求し、

射精後の余韻をあじわいそこねた男から値切られる。

二万を三千円に。

女学生風情では、売春の妙味がわからない。

 

 

 

 

めいほは、仲良し四人組でイジメもしている。

ぱっつん黒髪ロングの「チャーミー」がリーダー格。

 

 

 

 

売春・恐喝・万引き・暴行・傷害・拉致監禁……。

ありふれた課外活動ばかりで、漫画のネタにもならない。

 

 

 

 

だがイマドキのJKにだつて、特別なイヴェントがひとつ。

それはパジャマパーリィー!!!!!

 

 

 

 

小動物つぽい「マイン」は着ぐるみが似合いまくりだし、

「るしあ」の柄にもない照れ顔も堪能できる、本巻のハイライトだ。

 

 

 

 

無論、シメるところはシメるが。

 

このポーカーフェイス!

石川るしあは、草薙素子を越えつつある。

 

 

 

 

 

 

 

めいほは、両親の離婚以来はなれてくらす、妹「しずか」とあう。

 

 

 

 

妹の笑顔みたさで、ポンと服代4万2800円をだしたり。

 

 

 

 

父が職をうしない、母も娘二人そだてる余裕はなく、

ある日、ひさしぶりにあつた妹の表情はくらかつた。

しまいに泣きだす。

 

「せっかくお姉ちゃんとお出かけなのに、こんなカッコでごめんね……」

 

だれよりオシャレだから、ヨレヨレの服で外出するのが死ぬほどつらかつた。

めいほが「バイト」するのは、ただ妹のため。

 

 

 

 

うつくしい姉妹愛をえがき、精神面のふかみがました。

 

 

 

 

 

 

 

アクションも快調。

今回の殺し屋は、無敵自在変形アーマーに身をつつみ、

液体窒素を爆発させてたたかう、「ブロンコマスク」。

 

 

 

 

本作の基準にてらしてもオーヴァーキルぎみのエグい敵だが(くわしくは単行本で)

グルグル目で、天使みたいにあどけなく、お気にいりキャラに。

 

 

 

 

そして巻をかさねるたび、乙女の命をはかなく散らすのが、『trash.』。

様式は確立しており、ネタバレでもなんでもない。

 

 

 

 

学園祭でフランクフルトをほおばるブロンコマスク。

新キャラで死なないのは彼女だけ。

 

D.P先生は、山口ミコト原作『ガン×クローバー』の連載をはじめたので、

作画が荒れてないか不安だつたが、ブロン子たんの私服姿とか熱がこもる。

特にアホ毛をかかせれば、たぶん世界一!

 

 

 

 

 

 

 

絵師買いで『ガン×クローバー』をよんだら、本作とくらべものにならなかつた。

山賢先生の、人を人とおもわぬ、そのくせ妙に人なつこい、

入魂の物語あつてこそ、流麗な描線が映えるというもの。

『trash.』はすでに、漫画史にのこる傑作となつている。






trash. 4 (ヤングチャンピオン烈コミックス)trash. 4 (ヤングチャンピオン烈コミックス)
(2013/02/20)
山本賢治

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ:   ロリ 

山崎あおい『強くなる人』

画像クリックでユーチューブへとびます

 

 

強くなる人

 

山崎あおいのシングル曲

 

作曲:山崎あおい

発行:ビクターエンターテインメント 2013年

 

 

 

 

「諦めちゃだめだからね」「強くなきゃだめだからね」

 

卒業シーズンをあてこんだ、別れの歌。

中三のときかいた、いつもライヴの最後にうたう、山崎あおいの代表曲でもある。

 

「いつだって 待っているから」

「もう二度と 会えないわけじゃ ないんだから」

 

『Just Friend』もそうだが、サビの直前のタメにぐいと引きこまれる。

19歳とはいえ、札幌でかなり舞台をふんだせいか、独特のタイム感はゆるがない。

「ポップス」として完結した表現をするシンガーソングライターだ。

 

 

 

 

一方で私小説的でもある。

 

中学時代は、全国大会に出場したほどソフトテニスに打ちこんだが、

高校入学を機に、音楽に専念するときめた。

そのとき親友へささげた曲。

だから真情がこもり、うつくしい。

 

ちなみに肩幅のせいで、あだ名は「ガンダム」だつた。

 

 

画像クリックでユーチューブへとびます。声量がすごい

 

 

突飛にきこえるかもしれないが、爆風スランプ『Runner』を連想した。

 

運動会の定番曲の裏にも、ドラマがある。

メジャーデビューから四年、限界がみえだしたバンドは、「売れる」ための活動をはじめた。

ベースの江川ほーじんがそれに反発、脱退を決意。

バンドとしての判断はまちがつてないはずだが、ほーじんの気持ちもわかる。

サンプラザ中野は、「それでもオレたちは走りつづける」という覚悟を、歌詞にしたためた。

 

熱唱は大衆の心をうごかした。

 

 

七十万枚の折紙をつかつたPVは必見

 

 

『強くなる人』も、別れのせつなさと、夢を信じる意志が共存する、あじわいぶかい曲。

山崎あおい、ホント逸材だなぁ。

 

慶應大学にかよつてるから、文武藝の三拍子そろうスーパーガールなのに、

いかにも素朴な道産娘を演じる、猫かぶりなところもまた魅力。






強くなる人強くなる人
(2013/02/20)
山崎あおい

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テーマ : 音楽
ジャンル : 音楽

OVA版『秘境探検 ファム&イーリー』

ダンジョンの奥にある夢

 

 

ファムイリといえばこの場面

 

 

秘境探検 ファム&イーリー

 

出演:根谷美智子 椎名へきる 松本梨香 山寺宏一 緑川光 大塚周夫

監督:もりたけし

原作:田中久仁彦

発行:バンダイビジュアル/日本コロムビア/ムービック 1995-96年

[原作漫画の記事はこちら

 

 

 

 

シリアスもコメディも、丁寧な作画でみせる。

豪華声優陣の、たのしげな演技に笑わされ、うならされ、泣かされる。

当時隆盛をほこつた、OVA文化のみごとな結実だ。

 

 

 

 

絶対量が不足する田中久仁彦の漫画を、直線的につらなる全4話にまとめた。

原作にないが、第1話の砂漠での会話とか、ほほえましい。

 

秘宝「万能なる力」を手にいれたら、なににつかう?

イーリーは、自分の呪いをとき、老師に復讐し、あとは世界征服とか。

ファムは、魔法をたくさんおぼえ、精霊や動物や人間が、もつとたのしく暮せる街をつくりたい。

「はぁ……慾のないやつだねぇ~」

「イーリーが慾ばりなんだよぉ!」

 

 

 

 

宿で知りあつた、あやしい行商人「ガルフ」が情報をもつてるらしい。

「ところでおふたりは、例の万能なる力を追ってらっしゃるんで?」

「……な、な、なんだい、そのナントカノチカラって」

「おやおや御存じない! そりゃあ勿体ない……」

気のないふりして、ピクピクと耳ダンボ状態。

 

たしかに慾の皮が突つぱつてるのが、イーリーの持ち味。

 

 

 

 

「いっただっきまーす!!」

ヒョイと横からうばわれる。

 

 

 

 

「なにすんのよぉー!」

「バッカだねぇ、日持ちのするモンはもってくんだよ」

 

いくら路銀がたりないとはいえ、ここまでケチなヒロインもめづらしい。

ファンタジー世界は、金銭慾もおおらかに肯定する。

 

 

 

 

根谷美智子がたくみに、男勝りな雰囲気をかもす。

一方で、入浴シーンとかあるのが、規制のゆるいOVAらしくてよい。

 

 

 

 

ライヴァル剣士「ミゲル」に、胸元をはだけられたり。

 

 

 

 

ただこれは、男とおもわれてたから。

「……ったく、バッカバカしい!」

いろんな意味でプライドを踏みにじられる。

 

凄腕なのにヌケてるミゲルは、山寺宏一にピッタリ。

 

 

 

 

 

 

 

高笑いとともに「ラーシャ」らが登場。

行商人ガルフは、やはり食わせ者だつた。

 

世界は強慾でみちる。

 

 

 

 

第2話のラーシャさん。

遺跡で、イケメン騎士「ラエル」にすくわれる。

 

 

 

 

敵にかこまれてるのに一目惚れ!

意地悪で高慢でズル賢いんだけど、にくめないひと。

 

 

 

 

まだ亡国の王子とバレてないラエルをめぐり、奪いあいに。

剣と魔法の物語は、なんでも盛れる器。

 

 

 

 

 

 

 

精霊とたわむれるファム。

彼女の天真爛漫さをたのしむ、という原作のツボをおさえる。

元祖アイドル声優・椎名へきるも適役。

 

 

 

 

第4話。

ルグドゥルとの戦いはおわり、ラエルは祖国の復興に力をつくすと決意。

一行とわかれることに。

 

 

 

 

「ラエル、かわったね……なんか別人みたい」

「そうかい?」

「うん! すっかり王・子・さ・まって感じ!……ウフフッ」

 

 

 

 

「アハハハッ……あれ、変だね、うれしいはずなのにね……」

 

人生は無邪気なだけで生きられない。

あわい恋がやぶれる経験により、ファムの成長をえがく。

OVA版は、すくなくとも筋書きにおいて、原作をこえる解釈をしめす。

 

 

 

 

 

「イテテ……もぉ、尻尾が切れたらどうすんのよぉ」

 

 

本稿は、「ブログ DE ロードショー」という企画に参加したもの。

宵乃さん、norさん、ありがとうございました。

おかげで、一生大切にしたいお宝を手にいれました。

 

そしてまた、冒険はつづく。






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テーマ : アニメ
ジャンル : アニメ・コミック

みやざき明日香『リマスターズ!』

団塊とゆとりをまとめてブッとばせ

 

 

 

 

リマスターズ!

 

作者:みやざき明日香

発行:講談社 2013年

レーベル:アフタヌーンKC

 

 

 

 

ハウリング上等!

高校生四人組「ひばりバンド」が吠える。

 

 

 

 

ヴォーカルの「ひばり」とベースの「シロ」のふたりで活動開始。

夢は現役JKとしてデビューし、卒業前に東京ドーム5daysライヴをすること。

『ロッキング・オン』でのインタヴューの返しも想定ずみ。

 

 

 

 

解散後の身の振り方まで計画にある。

 

 

 

 

ギターの「松本暴威」。

ロックで革をおこす転校生だ。

 

 

 

 

ビートパンク世代の親につけられたDQNネームが、かれのCOMPLEX。

ちなみに「暴威」は、BOØWYの前の名称

 

 

 

 

ところでいまBOØWYつてどうなの?

ボクは直撃世代でなく、のちの渋谷系にも乗りきれず、半端な立ち位置で。

でもBOØWY以降、ロックらしいロックつてない。

え、ナンバーガールとかゆらゆら帝国とか?

でもかれらは、社会をうごかせなかつた。

 

 

 

 

ともかく、「灰野敬二~亀川千代」の衣鉢をつぐ、寡黙なシロのたたずまいがロックだぜ!

 

 

 

 

人数が多いほか、なにひとつ取り柄のない団塊世代が支配する国で、

スマホとツイッターに毒された、ゆとり世代のひとりとして生きる苦悩。

 

 

 

 

「でもなんで、わざわざスマホでカードゲームやってんだろ?」

 

こ・れ・だ・か・ら・ゆ・と・り・は!!!!

音楽は、ロックは、もう死んだのか?

 

 

 

 

 

 

 

さて、ひばりの天敵「レナ」との、歌姫対決をとりあげる。

雑誌にもでている、目の上のタンコブ的存在。

 

 

 

 

まづレナから。

会いたくて会いたくて震える思いを歌いあげる。

やり逃げされたバカ女の境遇に、女子はみな共感。

 

西野カナ『会いたくて 会いたくて』のジャケットまんま。

個人攻撃上等!

 

 

 

 

ひばりは、「めちゃホリ」のころの松浦亜弥みたいなアゲアゲナンバーで対抗。

だが恋愛経験がなくて、スイーツ(笑)の心をつかめない。

 

……わからない

なぜ わざわざ自分の時間を捨てて しかも震えてまで

クズ男からのメールを待つのか……

 

女子力はひくいが、ツッコミ力はたかい。

 

 

 

 

 

 

 

それでもひばりは、レナを斃した。

持ち前のエゴで。

 

有名になりたい、ほめられたい、負けたくない、カネがほしい。

また、自分と身内が幸せならよくて、ときに身内すら蹴落す。

結局あらゆる人間のいとなみは、エゴか、ただの習性か、もしくは負け犬の遠吠え。

 

 

 

 

ひばりがエゴにめざめたのは、トモダチがひとりもいない(いまもだけど)小学時代。

 

 

 

 

たとえばAKB48をdisるとか、もつと続けられそうなのに、13曲でアルバムは幕をとじる。

ピストルズみたくいさぎよい。

 

ドタバタコメディである一方、表現者の孤独がにじみ、藝術の本質をえぐる傑作だ。






リマスターズ! (アフタヌーンKC)リマスターズ! (アフタヌーンKC)
(2013/02/22)
みやざき明日香

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

イルカと戦争しないために

MK18 Mod1ソードフィッシュ 無人潜水艦(開発:ハイドロイド社) 調査などおこなう

 

 

ボクは『機動戦士ガンダム』でも、モビルスーツよりフラウ・ボゥやセイラさんに目移りするクチだが、

海軍のロボット兵器開発が、陸空とくらべ五年おくれてるという話はおもしろい。

 

海軍の敵は海水。

ソナーや攻撃用ハッチを内部コンピュータとつなぐと、

システムは複雑化し、塩分による腐食がおきやすい。

 

索敵から攻撃へうつる時間をちぢめるのも課題。

遠隔制御をたもちつつ、通常の戦艦よりはやく反応せるのが容易でない。

 

 

ビッグドッグ(開発:ボストンダイナミクス社) 軍馬のかわりに、けわしい地形で物資輸送する

 

 

冷戦時から米軍は、イルカやシャチやクジラなど海棲哺乳類に、

機械を装着させて戦わせる兵器開発をおこなつている。

タコまで動員。

それだけ人間にとり海は難物だ。

 

イルカたちに迷惑をかけないため、人智の結集がいそがれる。







【参考文献】

別冊宝島1931号『世界最先端兵器 衝撃のロボット兵器の全貌!』(宝島社)



世界最先端兵器 衝撃のロボット兵器の全貌! (別冊宝島 1931 ノンフィクション)世界最先端兵器 衝撃のロボット兵器の全貌! (別冊宝島 1931 ノンフィクション)
(2012/12/10)
宝島社

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テーマ : 軍事・平和
ジャンル : 政治・経済

ヒロイチ『お助け巫女ミコちゃん』

男の娘は正義!

 

 

 

 

お助け巫女ミコちゃん

 

作者:ヒロイチ

掲載誌:『わぁい!』(一迅社)2011年~

単行本:わぁい!コミックス

 

 

 

 

巫女で魔法少女な、オイシイとこ取りの主人公、「御子柴歩(みこしば あゆむ)」。

「お助け美少女ミコちやん」と名のり、街の平和のため戦う。

コスプレにしか見られないけど。

 

衣装から、『サムライスピリッツ』のアイヌ娘・ナコルルを連想したり。

 

 

 

 

こんなに可愛ければ当然、ミコちやんは男の娘。

 

普段は非力で、ひつこみ思案。

だがいまの時代、男は腕力や態度でなく、萌えで勝負!

 

 

 

 

男の娘の社会進出がすすみ、巫女や魔法少女まで門戸はひらかれた。

もう女の子なんていらない。

 

オトコノコとしての、ほのぼの学園生活もえがかれる。

ただ「若葉ちやん」のセクハラがひどい。

 

 

 

 

一応、定番のマスコットキャラも。

マネージャー気取りの、キツネつぽい「フーちやん」。

 

 

 

 

さつそく和風魔女つ娘に変身(早着がえともいう)

おもな活動内容は、神社のチラシくばり。

 

 

 

 

神社をきりもりする御子柴家だが、経営悪化したため、

ひとり息子の歩に、代々つづく大役をまかせた。

 

つまりお母さんが、先代の魔法少女(イメージガール)。

抱き枕など、グッズ展開にも積極的。

 

 

 

 

弱気な息子をみかね叱咤する。

 

くよくよしないの! オトコの娘でしょ!?

 

もう何が何やら……。

でもこのお母さん好き。

 

 

 

 

女子力アップしに服を買いにゆき、店員さんに化粧してもらう。

「う……わぁ……」

自分の外見がかわるだけで、世界がちがつてみえる。

 

チラシくばりしかできないミコちやんは、禁断の魔法をおぼえた。

 

 

好物の「うんめー棒」をたべるフーちやん

 

 

同級生の「惣一」とのキスシーンも。

 

惣一はただのトモダチで、ボクは普通にオトコノコで、

単に女装させられてるだけなのに、なぜこんなにドキドキするの!?

 

 

 

 

これが漢の生きる道。

とにかく本作は、女装少年ものとして鉄壁!






お助け巫女ミコちゃん(1) (わぁい!コミックス)お助け巫女ミコちゃん(1) (わぁい!コミックス)
(2013/02/19)
ヒロイチ

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 男の娘 

味の素の世界戦略

ヨハネスブルグの風景(撮影:Zakysant)

 

 

アフリカの経済成長は、アフリカ発のグローバル企業が主役を演じている。

 

携帯電話の普及は、いまこの大陸が最速。

たとえば1994年創業、南アフリカのMTN社などは、

中東ふくむ22か国で合計1億6000万契約を擁する。

 

同年にたちあげられたジンバブエのエコネットワイヤレス社は、

悪名たかきムガベによる独裁政権の妨害をうけるも、

法廷闘争のすえ、各国で電気通信事業を成功させた。

 

 

(撮影:MASA)

 

 

アフリカのスーパーは、低所得層をとりこみ、店舗網を急速にひろげている。

小売市場にしめる割合は、すでに50-60%とみつもられる。

 

1袋5円のパックでナイジェリア市場を開拓したのが、われらが味の素株式会社。

働き者のアフリカ女性に支持されている。

まだ朝暗いうち、一時間以上かけ水くみのため往復、

昼は穀物栽培に精をだし、あいまに子守などの家事をこなす。

それでも、かぎられた時間でおいしい料理をつくりたいという需要に、

遠隔地農村までロジスティクスを構築し、味の素はこたえた。

 

ただ旨味調味料は、低所得層あつてこその商品。

ナイジェリアの成長がつづけば、次第に主婦は食卓に贅をこらし、外食の機会もふえる。

旨味調味料にたよらなくなる。

そしたら味の素社は、またあらたなフロンティアをさがす。

創業まもない1910年に台湾へ進出、戦後もタイやインドネシアなどで、

開発途上国ビジネスにたづさわつた歴史をもつ企業だ。

 

 

 

ジョージ・ソロスが930億円ボロ儲けしたなんて話がでて、

アホノミクスなる政策が、民主党よりはやくメッキが剥がれて笑つたが、

ムガベとかアベとか、愚かで腐敗した権力にまけず、世界という名のカオスを駆けぬけろ!








【参考文献】

平野克己『経済大陸アフリカ』(中公新書)



経済大陸アフリカ (中公新書)経済大陸アフリカ (中公新書)
(2013/01/24)
平野克己

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ジャンル : 政治・経済

左翼軍人ヒトラー

後列右にすわるのがヒトラー。1914–18年(ドイツ連邦公文書館)

 

 

ヒトラーは無教養だつた。

読書家だが、独学の限界があつた。

はじめからわかつていることを本のなかにさがす、そんな読み方をした。

 

ただ、戦争や軍事技術についてだけ精通。

前線兵士としての体験に照らし合わせると、知識は血肉化した。

つまり戦場が、かれの唯一の学校だつた。

 

 

戦争指揮をおこなうところ。1942年(ドイツ連邦公文書館)

 

 

第一次大戦後も軍事研究をおこたらず、

チャーチルやルーズヴェルトやスターリンに、すこしも引けをとらなかつた。

ドイツ国防軍の将軍とくらべても遜色ない。

 

グデーリアンの独立戦車軍団や、マンシュタインの対フランス作戦計画は、

ヒトラーがいなければ、伝統に固執する上官に握りつぶされたろう。

対ロシア戦も、かれの頑固一徹さで四年ねばれた。

 

すくなくとも軍事オンチでなかつた。

敵の弱点を嗅ぎわける、驚異的な勘をそなえていた。

外交や内政をふくむ、あらゆる面で発揮された。

ワイマール共和国、ヴェルサイユ体制、ドイツ国内の右翼、フランス……。

ドミノのごとくバタバタ斃れた。

 

 

 

 

 

オーストリア併合後、ウィーン市内でパレード。1938年(ドイツ連邦公文書館)

 

 

ヒトラーを分類するなら、「左翼」がふさわしい。

クロムウェルやジェファーソンやレーニンや毛沢東など、

壮大な理想をかかげ成功した革命家の系譜につらなる。

上流階級による支配をみとめないから、「ファシスト」でもない。

同時代人では、ムッソリーニよりスターリンにちかい。

 

政治家としての武器は、組織能力。

ナチス党の結束のつよさは脅威だつた。

ただひとりの支配者の意志にしたがい、猛然と選挙戦を制した。

党内の敵対者を、難なく骨抜きにして排除する、ヒトラーの術策のおかげ。

 

また、経済のシロウトで、関心すらもたぬヒトラーが、

1930年代の復興をもたらしたのは、独裁権力をにぎつたから。

背後に強制収容所をちらつかせることで、ブロック経済をつくり、

賃金・物価を統制し、インフレなき成長をみちびいた。

 

例の耳ざわりな演説は、いまきけば失笑ものだが、

当時は反論をゆるさぬ実績の裏づけがあつた。

別にガラガラ声が、大衆を惹きつけたのではない。

 

 

暗殺未遂事件現場をムッソリーニと訪れる。1944年(ドイツ連邦公文書館)

 

 

ヒトラーは野心のため国家を利用した。

精確にいうと、国家機能を破壊した。

第三帝国には憲法がなく、基本的人権はおろか、国務機関の職務規定すらなかつた。

ゆえにさまざまな権力機構が、足をひつぱりあう。

対外的には、いくらも機会があるのに、講和条約をむすばない。

それがヒトラーの望みだつた。

混沌のなかで、混沌を制御するのが目的で、そして最後の最後まで権力を独占した。

 

 

 

 

 

ブーヘンヴァルト強制収容所。1945年

 

 

天才とうぬぼれるヒトラーだが、地位は長続きしないと知つていた。

妙に冷めてるのが、かれの一番おそろしいところ。

1939年、ルーマニア外相ガーフェンクにいう。

「わたしはいま50歳だ。55、60になる前に、いま戦争するつもりだ」

歴史の進行速度を、自叙伝のページ数にあわせた。

 

世界征服とユダヤ人絶滅に邁進した。

相反する目標だつた。

大量虐殺のせいで、中立でいてほしい英米を敵にまわす。

数個師団に相当するSS隊員を前線におくれず、

収容所ゆきの貨物列車が大陸を往復、補給もとどこおる。

 

 

アルデンヌ攻勢で戦うドイツ兵(ドイツ連邦公文書館)

 

 

1944年8月、地下壕にこもり衰弱の極みにあるヒトラーは、電撃的に復活。

敗北が目前にせまつたから。

微塵も死をおそれなかつた。

むしろかれを興奮させた。

 

12月、アルデンヌ攻勢を決定。

東部戦線を手薄にし、西側列強に一泡ふかせようとした。

だが参謀総長グデーリアンが諫言したとおり、攻勢は頓挫、ロシア軍に侵入される。

 

結果はドイツ国民の心情の正反対に。

野蛮なロシア人におびえ、西側による占領をひそかに願つていた。

ヒトラーはわざと拙劣な作戦をえらび、よわき民族を罰した。

英雄的決戦に命懸けでのぞまぬなど、極刑にあたいしよう!

 

以上が20世紀最大の悲劇だが、ことなる見方もある。

もし本土決戦がながびけば、アメリカは広島・長崎にさきだち、ドイツに原子爆弾をおとしたろう。

ヒトラーが兵力をムダづかいしたため、まぬがれたといえる。

戦争の喜劇的側面だ。








【参考文献】

セバスチャン・ハフナー『[新訳]ヒトラーとは何か』(草思社)




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(2013/01/17)
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テーマ : 歴史
ジャンル : 学問・文化・芸術

鈴木央『七つの大罪』

 

 

七つの大罪

 

作者:鈴木央

掲載誌:『週刊少年マガジン』(講談社)2012年~

単行本:講談社コミックス マガジン

 

 

 

 

『週刊少年マガジン』がプッシュする新作で、

第1話を試し読みしたら上の絵に鷲づかみされ、単行本購入。

鎧の下からあらわれた、はちきれそうな黒の帷子姿!

最高ではないか?

 

 

 

 

アマゾンレヴューは「星5つ」が5票!

 

「なにこのワクワク感」

「四大週刊少年漫画誌すべてに連載するなど地力は十分」

「今、マガジンで最も熱い作品」

「久しぶりにアニメ化が来そうな作品に出会えました」

 

……す、すごいな。

 

 

 

 

が、しかし。

はやくも2話で、ヒロインの姫さまは帷子を着がえる。

酒場のウェイトレスのもつさりした制服に。

心底ガッカリ。

 

ブタは「店主の趣味丸だし」というが、どういう趣味かさえ不明。

 

 

 

 

4話にでてくる巨人娘はツインテール。

おもしろい解釈だが、造形自体はありきたり。

 

こちとら、日々あらたなツインテ少女に出くわし、辟易ぎみなんで。

 

 

小野ハルカ『氷の国の王子様』(少年サンデーコミックス)

 

 

アーサー王伝説を下敷きにした作品としては、

小野ハルカ『氷の国の王子様』(少年サンデーコミックス)に軍配をあげる。

王道なのに、尖つてる点において。

 

それにしても、少年漫画家にとりつらい時代だ。

「友情・努力・勝利」の三原則は廃れ、「ツインテ・ツンデレ・絶対領域」におきかわつた。

 

 

 

 

数十キロ先まで、槍をなげつける主人公。

1977年うまれの鈴木央は、流行に目配せしつつ、あのころの少年の夢をわすれない。

 

まあボクは、「百合・妹・男の娘」をおうが。

たとえそれが悪夢でも。





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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

小杉光太郎『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』

 

 

普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。

 

作者:小杉光太郎

掲載誌:『まんが4コマぱれっと』(一迅社)2011年~

単行本:4コマKINGSぱれっとコミックス

 

 

 

 

「御当地アイドル」の流行に便乗。

目のつけどころがよいデビュー作だ。

 

 

 

 

主人公は高校一年の「菜々子」。

流川市職員のおじさんに手伝いをたのまれ、アイドル町おこしイヴェントにきた。

いきなり、二千円やるからステージで歌えと要求される。

 

 

 

 

藪から棒に「流川ガールズ」結成!

 

紹介された相方の「ゆかりさん」は、美人でボンキュッボンで、ますます自信喪失。

特に胸が。

いつそツルペタなら、とおもえる中途半端さが。

 

 

 

 

もともとアイドルに憧れてたこともあり、どうにか舞台をこなす。

その場で2600円支給。

「これだけ?」と不満なのに、「市民の血税」ときくとズッシリおもい。

 

 

 

 

ケーブルテレビで和菓子屋さんをレポートするのも、責任重大でガクブル。

自分のしやべりが、店の評判を左右するとおもえば。

 

菜々子の実直さが、本作最大の萌えポイント。

 

 

 

 

突然の雨にあわてず、水着にきがえ、災いを福に転ずる。

クラスでも地味な女子が、ステージではアイドルに!

 

あつさりした絵柄だが、少女をかがやかせる魔法をしる新人だ。

 

 

 

 

ゆるキャラの「魚心くん」の応援で、全国ネットにちよいと出演。

おばあちやんたちは、総額27万円のAV機器をそろえた。

さつそく地元経済に貢献!

 

「アイドルが題材の漫画はみな駄作」と以前書いたのをよそに、

日常と非日常の境を曖昧にし、型にはまらない物語をつむぐ。

 

 

 

 

魚心くんの中の人は「ゆいさん」。

ふたりにまけずカワイイが、声優志望で、脚光をあびたがらない。

着ぐるみでバク宙できるのに……。

 

 

 

 

地方都市の世間はせまく、ゆいさんは高校の先輩。

純朴な菜々子より腰がひくくて、からみづらい。

 

たとえローカルアイドルでも、いじらしさは全国級!





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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合  萌え4コマ 

『ヤングなでしこ 1600時間密着の記録』

 

 

ヤングなでしこ 1600時間密着の記録 ~サッカー少女からなでしこジャパンへ~

 

制作:ピボーテ

発行:ソニー 2013年

[インターネット配信コンテンツ。販売方法はこちらから]

 

 

 

 

サッカー界最大のエニグマ、猶本光18歳。

U-20ワールドカップでの動静をおう49分のドキュメンタリーをみて、ますます混乱。

 

 

 

 

2012年度版「ヤングなでしこ」の主将は藤田のぞみだが、

二つ下の猶本が実質的なリーダーだつた様におもえる。

 

選手のみのミーティングでも、中心にすわり、協議をまとめていた。

 

 

 

 

だがカメラがついつい、光ちやんを拾つただけにもみえる。

 

ケーキをほおばるところを撮影され、照れ笑い。

スポーツドキュメンタリーが、アイドルPVとなる。

 

岩渕真奈のファンであるボクは、天はきまぐれに二物をあたえるのを知つてるが、

彼女の場合なんというか、仕草や表情がいちいち純情可憐で、

サッカーエリートのくせ、きびしい生存競争の勝者らしさがない。

 

 

左から横山久美、仲田歩夢、田中陽子

 

 

くりかえすが、ヤンなではトップアスリートの集団だ。

顔が云々という次元でかたるのは、スポーツへの冒涜ですらある。

 

ボクは三年ほど掲示板を運営するなか、女子選手の精神についてすこし理解したつもり。

でも光ちやんに関しては、産んでくれた親を恨め、と言いたくなることも。

 

 

 

 

中村ゆしかの誕生日にドッキリをしかける。

藤田が中村を個室によび、説教されるとおもわせ、カーテンの裏からとびだす。

「ハッピーバースデートゥーユー!!!」

 

女子らしい一体感をはぐくむ様子の記録だ。

アイドルの楽屋みたくユルいけど。

 

 

 

 

そろそろ試合について書かないと(笑)。

 

宮城スタジアムでのグループリーグ第1戦、対メキシコ。

56分に猶本が、中距離からきめ2-0。

 

 

 

 

「どや!」と、みなで肘を突きあげる。

合宿中に負傷しチームをはなれた、村松智子へのメッセージ。

 

緒戦の緊張のなかでも、そこにいない仲間への思いを、わすれなかつた。

 

 

 

 

3位決定戦でナイジェリアをやぶり、銅メダルをみせびらかす。

 

 

 

 

だが優勝をよろこぶアメリカ代表をみて、悔しさがあふれる。

やさしく肩をだく田中美南。

その背中は、重荷でつぶれかけてたのを知つてるから。

 

 

絵になる田中陽子

 

 

女子サッカーつてなんだろう、といまだにかんがえる。

ただ敗者の涙にこそ真実がある、という確信だけはゆるがない。




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テーマ : サッカー
ジャンル : スポーツ

『ゼロ・ダーク・サーティ』

現代の諜報戦の全体像

 

 

 

 

ゼロ・ダーク・サーティ

Zero Dark Thirty

 

出演:ジェシカ・チャステイン ジェイソン・クラーク カイル・チャンドラー

監督:キャスリン・ビグロー

制作:アメリカ 2012年

 

 

 

 

情報は洪水だ。

テクノロジーが、量と多様性を爆発的にひろげた。

一方アルカーイダは、電話やメールなぞつかわない。

ゆえに濁流の最後の一滴まで、CIAは濾過して吟味する。

 

作中あるとおり、まさに「積み藁から針をさがす」作業。

ビン・ラーディンを殺すまで十年かかつたが、そもそも努力で点をかせげる問題でない。

 

 

CIA工作員役のジェイソン・クラークは好演

 

 

前半、CIAによる水責めなどの拷問をダラダラえがくも、

関係各所(大統領など)への配慮がいる厄介なネタで、歯切れわるい。

ママゴトにしかみえない。

さらに、供述の裏をとるため別のテロリストを拷問する、文字どおり水掛け論におちいる。

 

是非はわからない。

自分はされたくない、それだけ。

 

 

 

 

混沌の海でおぼれかけたCIAは、空前の失態を演ずる。

2009年、アフガニスタン・ホースト州のチャップマン基地でおきた自爆テロ事件だ。

三重スパイの罠にかかり、CIAの精鋭7名ふくむ9名死亡。

一個大隊に匹敵する損耗といわれた。

 

 

 

 

背景に関心ある向きに、ジョビー・ウォリック『三重スパイ』(太田出版)をすすめる。

なぜCIAが現代戦を主導し、女が最前線にたつか、劇映画ではわからない。

 

 

 

 

無論、闘争は米軍が制する。

クウェートにあるランボルギーニ販売店で、潮流がかわる瞬間が。

ビン・ラーディンの連絡役の電話番号をききだそうと、

深夜にディーラーをたたきおこし、高級車で買収。

 

 

 

 

もつとも印象ぶかい場面だ。

キャスリン・ビグロー監督は、つくづくお買い物好きだと、おかしかつた。

 

 

『ハート・ロッカー』(アメリカ映画・2009年)

 

 

前作『ハート・ロッカー』の名場面といえば、スーパーのシリアルの棚。

イラクがえりの兵士が唖然とする。

 

 

 

 

女流監督だから、と決めつけたら野暮だが、

実際、そう匂わせる映画をつくるのでしかたない。

 

 

 

 

主人公の女工作員は、複数人の逸話をまとめた、架空のスーパーウーマンとして描写。

無視できない瑕疵だ。

重大な歴史的事象をあつかうのに、アメコミ映画よりウソくさい。

機密上の限界もあるが、普通の人のがんばる姿に、観客が共感するのをわすれている。

 

 

 

 

ただ解釈のひとつとして、本作の存在意義はゆるがない。

「買い物好きのオバサンがみた戦争」があつてよい。

 

たとえばステルス型ブラックホークをみると、男子はウォーと興奮する。

マイケル・マンやリドリー・スコットなら、犬みたいにとびつき、舐めまわしたろう。

でもキャスリンおばさんはオモチャに興味しめさず、数歩ひいて撮る。

おかげで全体像がすつきり。

 

 

 

 

冷戦以来のトレードクラフトに、先端技術や特殊部隊をくみこむ。

キレるやつなら、女でもコキつかう。

2010年代の「総力戦」が、暗視装置でおぼろにうかぶ。




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テーマ : 映画
ジャンル : 映画

痴漢発生は女がわるい

イラスト:アート工房

 

 

田中一郎『[図解]電車通勤の作法』(メディアファクトリー新書)という変な本によると、

ちかごろの通勤者は痴漢冤罪をふせぐため、できるだけ手を上にあげる。

場所によつては、吊り広告を指でつまむ。

体勢がくづれると、紙がやぶれたり、ぬけたりするので注意。

ボクはあまり満員電車にのらないけど。

 

男の人生は、すなわちピエロと自覚しているが、

日ごと犯罪者あつかいされ、尊厳を踏みにじられねばならぬ謂れはあるのか?

 

 

 

 

ボクは女の尻なぞさわりたくない。

いや内心、どちらかというと胸より好きなくらいだが、

性慾は、こちらが主導権をにぎつてはじめて、みたされるもの。

つまらない女のしまらないケツをギュウギュウ押しつけられても、ひたすら不愉快。

気分は豚小屋。

 

つまり女が満員電車にいることは、まわりの男に対する、性的いやがらせだ!

 

 

 

 

このゆえに、散地にはすなわち戦うことなく、軽地にはすなわちとどまることなく、

争地にはすなわち攻むることなく、交地にはすなわち絶つことなく、

衢地にはすなわち交を合わせ、重地にはすなわち掠め、

圮地にはすなわち行き、囲地にはすなわち謀り、死地にはすなわち戦う。

 

『孫子』九地篇

 

電車、そして駅は戦場で、一瞬の油断が破滅をまねく。

智謀のかぎりをつくし戦うべし。





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テーマ : 日本を正常な国に戻したい
ジャンル : 政治・経済

藤こよみ『ひとつ屋根の下の』

ラブコメのあらたな古典?

 

 

黒髪だが、トーンワークは入念

 

 

ひとつ屋根の下の

 

作者:藤こよみ

掲載誌:『コミックハイ!』(双葉社)2012年~

単行本:アクションコミックスコミックハイブランド

 

 

 

 

ちかづくと、よい香りのしそうなヒロイン。

無風でもそよぐ髪。

匂いまであらわせる、漫画つて偉大だ。

 

高校二年の「和賀梨々子(わか りりこ)」は、

前年に共学化し女生徒ばかりの星淑学院で、寮長をつとめる。

 

 

 

 

主人公のハトコにあたる幼なじみで、むかし結婚の約束をしたことも。

なのに初対面のふり。

 

ふむ、『きまぐれオレンジロード』。

ボクもリアルタイムでしらないし、直接の影響はなさそうだが。

要するに、イマドキめづらしい古典的ラブコメつてこと。

 

 

 

 

美少女だらけの寮生活は、ハーレムというより、肩身せまい。

薔薇を手に、だれか口説こうとすると、寮長がツカツカ。

 

 

 

 

もめてるところに割つてはいり、株をあげる。

 

風まであやつれそうなクールビューティから、「はわわ……」な照れ顔、この落差を堪能したい。

 

 

 

 

だが主人公には、当人もしらない正式な婚約者、「ときをちやん」がいた。

せつなげに視線をおとす梨々子は承知。

 

ツインテのライヴァル登場で、ずぶずぶの三角関係を期待するし、

『オレンジロード』をふくめラブコメは、そして男は、

柔弱なものときまつてるが、本作の筋書きと主人公はやけに一途。

 

 

 

 

ときをとの婚約を解消し、りり姉ちやんとの仲をみとめさせるべく、保護者である祖父をたづねる。

心配のあまり、変装してついてきた梨々子を電車で発見。

 

藤こよみは、描線によどみない。

すつきりした胸元や横顔がうつくしい。

オシャレしすぎないところもよい。

髪は勿論ツインテでなく、シュシュなんてつかわず、ゴムひもでポニーテールに。

どこか80年代的。

 

 

 

 

嵐で電車が運行停止、旅館にとまるはめに。

1巻の見せ場だ。

料金をどちらが払うかで、話はおかしな方向へ。

 

「こういうときは男が出すものだって……」

「こういうとき?……まさか、わたしとHなことしたいから泊まろうって言い出したの!?」

「ち、ちがうよ!! あ、いや、ちょっとは期待して……たり」

 

したくないとはいえない。

 

 

 

 

ひと風呂あびたあと、あらためて気持ちをたしかめあい、くちづけをかわす。

当然おしたおす。

はげしく抵抗される。

 

 

 

 

スッと居住まいをただし、詰問する。

 

「それでもしたいっていうなら、お祖父さまの前に、わたしを説得してみなさい。

納得のいく理由があれば、わたしも応えるわ。さあ」

「え……えと……ごめんなさい」

「わかればよろしい」

 

ラブコメは真の性教育。

必死にかんがえても、ただ抱きたいというほか、理由なんてあるはずない。

でも「理由があれば応える」といつてくれたのがうれしいし、我慢できる。

 

 

 

 

制服は勝負服。

支配慾のつよい祖父に土下座し、「久太くんをください」発言。

 

環境をうけいれ、たがいを理解し、前向きにあゆむ若者たちに共感する。

 

 

 

 

80年代の尻尾をのこしつつ、10年代の絵柄で勝負する、

精神的な意味でのツインテールとよぶべき作品。






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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

王羲之『妹至帖』

上野で「書聖 王羲之」展をみてきた。

率直にいつて、猫に小判、犬に電子マネー状態だが、それでもかたる当ブログ。

 

 

『妹至帖』原跡:王羲之筆(唐代・7-8世紀摸)

 

 

名筆を数行きりとる鑑定資料が、奈良時代の日本につたわつたもの。

精巧な摸本としてしられる。

私信を寸断した、わづか二行十七字が珍重されるほど、王右軍への崇拝は熱狂的だつた。

 

 

妹至羸、情地難遣、憂之、可言須旦夕營視之

(妹は体がよわいのです。とても心配です。朝な夕なに看病してください)

 

 

「羸」や「難」などの字の運筆はおもく、なやましい。

一方で「憂」が、ひらがなの様になめらかでうつくしく、兄として気丈なところをみせる。

キビキビと「須(すべからく)」にこめたメッセージは、電子メールより迅速につたわつたろう。

 

 

咲香里『Sweet Pain Little Lovers』(富士見コミックス)

 

 

烏丸渡『NOT LIVES -ノットライヴス-』(電撃コミックス)

 

 

妹萌え、なかでも病弱な妹をおもいやる心ほど、きよらなものはないが、

おそるべきは支那の歴史、はやくも東晋時代に作品として結実していた。

 

 

 

 

書聖による「妹」。

これぞ妹のあるべき姿。

 

「未」は、「木」の字のさきに一印をつけ、まだのびきらぬ若枝をしめす。

そんな純情可憐さと、女偏が、ツンデレ的な不協和音をかなでる。

 

一字をもつて兄妹愛をあらわす。

書とはなんと深遠なるものか!?




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テーマ : 書道
ジャンル : 学問・文化・芸術

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さかもと麻乃『パイをあげましょ、あなたにパイをね』

女子という雑貨

 

 

 

 

パイをあげましょ、あなたにパイをね

 

作者:さかもと麻乃

発行:一迅社 2012年

レーベル:百合姫コミックス

[新刊『沼、暗闇、夜の森』の記事はこちら

 

 

 

 

婚活からはじまる百合漫画はめづらしい。

 

ウェディングケーキがミルフィーユだったらいいといったら、

「入刀でくづれるから縁起わるい」とか笑われた。

 

なんで、ちゃんと聞いてくれないの?

一般論なんて、どうでもいい。

まぢ可愛くて、エキセントリックで、心をぎゅんぎゅん持ってっちゃう様な、そういうモノなのに!

 

 

 

 

……とまあ合コンがえり、そんな愚痴を聞いてもらいに、

高校以来の腐れ縁の友だちをたづねる。

 

立派な盛りヘアで、もうすぐ27歳の「みどり」は、

女しか受けつけない身なのに、婚活にも熱心なお年ごろ。

 

「ユキちゃん」は胸おおきいし、正直気になるけど、

なんか近すぎて、恋愛の対象になったことがない。

 

それより、バカなあたしを、もっともっと叱って。

 

 

 

 

結局ユキちゃん家を追いだされ、セフレ(女)のとこへゆく気分でもなく、帰宅。

母の小言を無視したら、「孫産んでもらうためにあんたがいる」とかいわれた。

 

女同士のケンカは効率的で、男なら身構えてやりあうところ、

お茶でも飲みつつ、全人格を否定するひとことを吐く。

 

あんだけいってジョークとか。

あたしがバカだからいけないのかな……。

 

 

 

 

外で偶然顔をあわせる。

セフレが何人もいるビッチのくせ、ゴミの分別にうるさい。

 

胸ぎゅんぎゅん。

二次元の絵に、立体としての陰影が感じられると。

 

 

 

 

カヴァー下あとがきから。

 

「女の子」という名の雑貨が好きな私にとって百合とは天国でございます

 

BLが多いさかもとだが、悪夢から百合にめざめ、漫画も開眼したらしい。

実体験をもりこんだり、すきなブランドを着せたり。

街は、ひらひらの服と香水の匂いただよう、おおきな雑貨屋さん。

 

 

 

 

けど人と人のまじわりは、ままごとじゃない。

 

例のごとく合コンがえりにユキちゃん家によると、涙にじませ門前払い。

婚活がどうとかセフレがどうとか、誘い受けがミエミエで、いい加減キレた。

 

バカってきらいなの。

だってバカは目の前のわたしのことは、なにも考えてくれないでしょ。

 

 

 

 

真っ白になった視界のなか、路上をさまよう。

「バカ」という自己認識が、これまでずっと目隠ししていた。

単なる習性ではいったコンビニで、ミルフィーユをみつける。

 

儀式が、深夜にはじまる。

 

 

 

 

 

 

 

別の短篇「もう好きなんて言わないから」。

アイドルユニット「ティンクル」ふたりの話。

黒髪の「ナコちやん」に、女の恋人がいると聞かされ、目をまるくする「エリコ」。

 

アイドルをあつかう漫画はありあまるが、ほぼすべて凡庸。

マシなのは、ふるいが安達哲『キラキラ!』(講談社)くらいか。

理由は単純。

ひとは知らない世界を描けない、それだけ。

しかし、百合の教義体系にあって、藝能人と一般人の差異など、とるにたらない。

 

 

 

 

渋谷でカノジョと待ち合わせするナコ。

二時間たっても、待ち人こず。

 

「ティンクルのエリコ可愛いよなー」

「もうひとりのほう、顔おぼえらんない」

 

 

 

 

でも嫉妬しない。

ナコは、アイドルオタクが嵩じてアイドルになったクチで、エリコのファンでもある。

 

エリコが事務所にはいりたてのころのイヴェントで、客席にナコもいて、

ただ噛みまくるだけでドッと観客を沸かせる、新人の華に惚れこんだ。

 

 

 

 

打ち合わせなのにナコがいなくて変とおもったら、それはソロデビューのオファー。

でもことわる。

相方と一緒にいたいから。

 

 

 

 

喜んでもらえるとおもい、そうつたえる。

たたみかける様に、恋心も告白。

 

女の子同士ってドキドキするけど、ナコちゃんは経験あるんだし、嫌われたりしないよね。

……あれ?

 

 

 

 

それはナコにとって、なにより残酷な仕打ちだった。

 

相棒がほめてくれるのは、アイドルとしての才能でなく、女子としてだった。

すべて犠牲にささげがんばってるのに、みてくれてなかった。

むしろ自分が、エリの足枷になっている。

それって、かなしすぎるよ。

 

ティンクルは解散。

 

女子なのに、いや女子だからこそ、恋愛が至上の価値をもつとかぎらない。

ミルフィーユほど甘くなくても、折りかさなる乙女の心は、複雑なあじわい。






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タグ: 百合  百合姫コミックス 

ヨ・ラ・テンゴ『Detouring America with Horns』

 

 

 

Detouring America with Horns

 

ヨ・ラ・テンゴ(Yo La Tengo)のアルバム『May I Sing with Me』収録曲

 

作曲:ジョージア・ヒューブリィ

プロデュース:ジーン・ホルダー

発行:アメリカ 1992年

 

【上の画像クリックでユーチューブへとびます】

 

 

 

 

 

 

ボクの敵をしつてたんだね

You know the way to my enemies

 

キミの目は釘づけ

You keep your eyes on my enemies

 

うしろむきになにかいうけれど

Calling me backwards

 

ボクはおいてきぼり

Stringing along my heart (that way)

 

 

 

キミはまつしぐら

You're on your way to my enemies

 

ボクの記憶のなかまで

You're moving in on my memories

 

よび声がきこえる

Calling me over

 

心みだれる

Taking this heart of mine (away)

 

 

 

 

 

 

detourは「回り道」などの意。

 

映画のオープニングみたく、とりとめなく脳裏に映像うかぶ、不思議な曲。

どちらかというとヨ・ラ・テンゴ初期の作品で、みづみづしい。





MAY I SING WITH MEMAY I SING WITH ME
(1992/02/21)
YO LA TENGO

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テーマ : 音楽
ジャンル : 音楽

タグ: あいまい訳詞クラブ 

ケネディとフルシチョフの言語ゲーム

『13デイズ』(アメリカ映画・2001年)

 

 

ちかごろアメリカ史が気になるので、土曜夜は『13デイズ』や『マルコムX』をみてすごした。

 

キューバ危機をあつかう前者は、すきな映画。

ジャックとボビーのケネディ兄弟、ついでケネス・オドネル大統領特別補佐官が、

つれだちホワイトハウスの庭にでるショットとか、学生気分のぬけない感じがよい。

 

 

 

 

 

 

 

1962年10月26日、金曜日。

国防総省。

 

米国政府はキューバ周辺で海上封鎖をおこなつているが、

「グロズニー」というタンカーをみうしない、臨検線をこえられる。

 

 

 

 

わづかな摩擦が、第三次世界大戦をおこしかねない。

特に制服組は、先制攻撃したくてウズウズ。

 

 

 

 

発砲準備がどうのという、ジョージ・アンダースン海軍作戦部長の無線連絡を、

ロバート・マクナマラ国防長官がききとがめる。

 

「……なんの話だ?」

「23日付の交戦規則にのっとった行動です。いそがしいので、御用ならまたあとで」

 

小馬鹿にした表情。

 

 

 

 

「発射せよ」

 

 

 

 

「バカな……いますぐ撃つのをやめろ!!」

 

 

 

 

砲弾は上空でポンポンはじける。

 

 

 

 

「規則どおり照明弾を撃っただけでしょうが!」

「なに?」

「まったく冗談じゃない!

あんたは月曜からここに泊まりこみ、疲労のあまり判断がくるっている」

 

 

 

 

「照明弾か……」

歴戦の提督に一杯食わされたときづく、マクナマラ長官。

 

 

 

 

「わたしの邪魔をし、部下を死なせるなど、絶対ゆるされない!

海軍はジョン・ポール・ジョーンズの時代から、海上封鎖をおこなってるんです。

おとなしく我々にまかせなさい」

 

年下の、空軍で活躍したにせよ中佐どまりの政治屋に、デカい面されるのは我慢ならない。

非常時であればあるほど。

 

怒りにふるえる老軍人、マディスン・メイスンの名演だ。

 

 

 

 

だが、この程度の悪意でへこたれないのが、アメリカ映画。

規則のこまかな解釈をめぐり激論がつづく。

 

 

 

 

「なら、わたしとおなじ誤解を、フルシチョフがしたらどうなる!?」

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

「とにかく、あらゆる状況において、許可なく発砲はゆるさん!」

「…………」

「わかったか!?」

「……イエス、サー」

 

 

 

 

「それにしても、なぜ理解できない?

これはあたらしい語彙による、あたらしい言語だ。

艦船とミサイルで、ケネディ大統領とフルシチョフ書記長が、対話してるんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

テレビの報道記者を通じ、ソヴィエトがホワイトハウスに接触。

裏ルートの交渉をもとめているのか?

 

それとも罠か。

やつらはいつも嘘ばかりつく。

かといつて無視もできない。

 

 

 

 

オドネルは急遽FBIにむかい、ソヴィエトの専門家から、交渉相手の情報をおそわる。

 

「名目は駐米参事官ですが、KGBのスパイです。

あっという間に局長級までのしあがりました」

「ロシアでは、どういうやつが出世するんだ?」

「コネですよ」

「……政治はどこもおなじか」

 

自分が、ケネディ兄弟の引きでホワイトハウスにいることを指す。

 

 

 

 

スパイとフルシチョフの経歴を照らし合わせると、戦友だつたとわかる。

つまりフルシチョフは、一歩まちがえば世界が破滅する土壇場で、

信頼できる友にメッセージを託したのでは?

 

 

 

 

なにかと打算的なアングロサクソンとちがい、アイリッシュは友情をおもんずる。

むしろロシア人と共感するところが多かつたかも。

 

もし1962年の大統領がWASPだつたら……。

 

 

 

 

 

 

 

27日、土曜日。

 

ボビーが駐米ソ連大使との会見にのぞむ。

役職は司法長官なのに不思議。

実質的な副大統領だつたのか。

 

この兄弟愛も独特で、やはりおもしろい時代だ。

 

 

 

 

ソヴィエト大使館の前をとおりかかる。

濛々と白煙が。

 

 

 

 

「煙がみえるか?」

「機密書類を焼いてるんだ」

「すでに臨戦態勢か……なんとおそろしい」

 

 

 

 

 

ジャッキー役のステファニー・ロマノフ

 

 

世界史上、もつとも核戦争にちかづいた瞬間。

途轍もなく殺伐たるゲームだが、プレイヤーに役者がそろう、やけに人間くさいドラマでもある。







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(2001/08/10)
ケヴィン・コスナー、ブルース・グリーンウッド 他

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テーマ : 映画
ジャンル : 映画

中山敦支『アストラルエンジン』

 

 

アストラルエンジン

 

作画:中山敦支

原作:村上ひでお

メカデザイン:松川健一

発行:集英社 2006年

レーベル:ジャンプ・コミックス

 

 

 

 

若さという苦痛の代償は、失敗がゆるされることで、

つまり中山敦支の処女長篇が駄作でもさしつかえないが、

かくしようもない個性がつたなさを埋め、船出は上首尾だつた。

 

 

 

 

隕石が月を破壊し、地軸がかたむき、水没した地球。

「エッジ」と「チコ」は、遺跡の盗掘をなりわいとする。

 

物のはづみで、軍警察におわれる少女を保護。

 

 

 

 

気をうしなつてる隙に、ワンピースのしたを物色。

はいてる下着で女の子の人柄がわかる。

 

ソラクリオネの「クッさん」に噛まれた。

 

 

 

 

少女の名は「ロランド」。

人とペンギンを見分けられないほどド近眼。

 

 

 

 

というより遠視。

望遠鏡いらずの高性能デスから!!

 

 

 

 

なにせ彼女はメイドロボット。

「アストラルエンジン」がもたらす高度な智能をねらわれる。

 

それにしても、乙女らの、媚びず、透きとおり、凛とした佇まいを、

新人作家はすでにモノにしていたのが感慨ぶかい。

 

 

 

 

 

 

 

軍警察の「お竜」と甲板でたたかう。

おつぱいを一揉みしてたしかめ、満足。

 

蹴り、掌底、ストレートの連打を、スイスイかわす格闘描写に切れ味あり。

 

 

 

 

超振動の剣で、高速巡回船をまつぷたつ。

渦まく夜の海。

これぞ「見開きのナカヤマ」の真骨頂。

原作つきの少年漫画として、ゆきとどいた仕事ぶり。

 

反面、死や闇など、個人的主題は表にでない。

 

 

 

 

それは上巻表紙にかかれていた。

「死ぬほどキツい」「死ぬまで全力で描く」「夜な夜な公園のブランコで暴れる」

 

変則ながら、「処女作には作家のすべてがある」という俗説があてはまる。

 

 

 

 

 

 

 

抵抗むなしく、軍警察にとらわれたロランド。

野心家「ランゲルハンス」をにらみかえす。

「これが本当に機械の目か……?」

 

みるものの脊髄を電流がかけおりる様な、目力。

 

 

 

 

多数にかこまれ、射撃されるエッジ。

 

 

 

 

身を盾とするロランド。

幸福なほほえみ。

 

このモティフは、のちの作品ごと、純度をたかめつつ反復される。







アストラルエンジン 上巻 (ジャンプコミックス)アストラルエンジン 上巻 (ジャンプコミックス)
(2006/01/05)
中山 敦支

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 中山敦支 

三部けい『僕だけがいない街』

SFサスペンスの力作

 

 

 

 

僕だけがいない街

 

作者:三部けい

掲載誌:『ヤングエース』(角川書店)2012年~

単行本:角川コミックス・エース

 

 

 

 

主人公は、漫画家志望の28歳。

いや、すでにゲームのコミカライズで商業デビューしているが、

三話をもつて掲載誌が廃刊したと、本棚の背表紙からわかる。

そんな事情は、もちこみ先の編集者の関心をひかない。

 

私小説的な冒頭。

 

 

 

 

本作はSFでもある。

 

千葉にでてきた母とスーパーへ。

個人的なことだがボクの母も道民で、「いいべさ」「食べれるっしょ」など、

亡き祖母からきかされた北海道辯がここちよい。

 

背後で風船をくばつている。

 

 

 

 

とびちる風船。

ズッコケるJK。

 

 

 

 

暗転、そして、まきもどる時。

本作ではこの現象を、「再上映(リバイバル)」とよぶ。

会話がすこし変化。

 

 

 

 

不審者をみつけた母。

コケないですんだ、バイト先の同僚JK。

 

主人公のまわりで不幸がおきるたび「再上映」がはじまり、

その原因に関与すると、あしき結果が回避される。

 

 

 

 

ピザ配達のバイト中、運転手が心臓発作をおこしたトラックにでくわしたり。

 

あえて、『時をかける少女』で何度もかせいだ角川書店から、

陳腐化した流儀を再演するのが興味ぶかい。

 

三輪バイクがお似合いの「愛梨ちやん」もステキ。

 

 

 

 

 

 

 

石狩での幼少の記憶が、SF設定にからむ。

同級の少女「雛月加代」をうしなつた。

連続誘拐殺人事件で。

 

 

 

 

あまり学校になじめない主人公は、

いつも河原でペーパークラフトをとばす青年、「ユウキさん」となかよしに。

 

 

 

 

彼はいま、加代をふくむ小学生三人を殺した罪で、死刑囚として収容中。

1988年、それは宮崎勤が事件をおこした年。

 

あの狂気は、昭和という異常な時代に幕をおろし、平成という空虚な時代のはじまりをつげた。

2008年鳩山邦夫に縊られたあと、宮崎の叫びがさらにつよく、列島にこだまする。

オレをわすれるな、と。

 

 

 

 

 

 

 

トラックをとめようとして対向車と衝突し、入院した主人公をきづかい母が上京。

元地方局アナウンサーで、52歳だが姉にしかみえない。

息子とのやりとりはたのしく、ぜひ単行本であじわつてほしい。

 

 

 

 

スーパーの駐車場でみた男は、1988年の容疑者のひとりとおもいだす。

また、幼女をねらつていた。

 

 

 

 

母は当時、テレビ局のツテを利用し、自主的な報道管制をしくなどした。

息子や、その友人が、可能なかぎり動揺しない様に。

さらに捜査まで首を突つこんでいた。

 

 

窓ガラスは前夜、主人公が口論中に割つた

 

 

道民の作家が、北海道辯をはなす母の刺殺場面をえがく、容赦のなさ。

SFサスペンスだが、私的で、体温を感じる。

 

 

 

 

「再上映」は1988年にさかのぼる。

 

細田版「時かけ」とか「428」とか「シュタゲ」とか、

平成の世にタイムリープものがはやるのは、あの時代にかえりたがる心性ゆえか。

 

ただ本作は、虚脱した魂にトドメをささんと殺気みなぎる点で、おもむきを異とする。






僕だけがいない街 (1) (カドカワコミックス・エース)僕だけがいない街 (1) (カドカワコミックス・エース)
(2013/01/25)
三部けい

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

ミクロの決死圏

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(日本映画・2012年)

 

 

1月6日に穴をあけたので、当ブログのことしの目標は364日更新だが、

どうも時間的に無理があり(←気づくのがおそい)、また発熱した。

一か月しかもたないらしい。

細菌がはいり膿がたまつたか、彫刻みたいな鼻(笑)の中ほどが腫れ、さわると痛い。

 

「発熱は魂の咆哮」と大言壮語した身だし、熱は「冷えピタ&氷枕」でむしろ歓迎だが、

それでも免疫力低下はまぬがれず、顔の形までかわるとさすがにキツイ。

ものもらいとかなら眼帯にあこがれるが、造形的に鼻はねえ。

世界は、オレの息の根をとめようとたくらむ、敵性生物でウジャウジャみちる。

 

本当は、戦場をドイツにうつした岩渕真奈をおうため、ドイツ語の勉強もしたいのに。

……はぁ。

ちなみに最近漫画の記事ばかりなのは、本のハズレがつづいてるのと、

いまよんでる南北戦争の本が、熱のせいではかどらないから。

この戦争自体は、最高におもしろいけど。

特に北軍のグラント将軍なんて、飲酒癖がひどくて共感しまくり。

 

 

「さっさと殺られろ、グァキシンジィーッ!!!!!」

 

 

コメント欄をとじ、アクセス解析も見ないので、だれにどう読まれてるかわからない。

こんな自己満足のくだらないブログ、読者ゼロでもしかたない。

井戸に石をなげこむみたいに、むなしい。

 

だがすくなくとも、2013年のこり328日、オレは美少女や男の娘の画像を貼りつづける。

そして戦争や、暴力を、夢想しつづける。

愛と死のテーマパークが完成するまで、休息はゆるされない。




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テーマ : 雑記
ジャンル : 日記

タグ: 眼帯女子 

ちょぼらうにょぽみ『あいまいみー』名場面集

 

 

あいまいみー

 

作者:ちょぼらうにょぽみ

掲載サイト:『まんがライフWIN』(竹書房)2009年~

単行本:バンブーコミックスWINセレクション

 

 

 

 

本稿に「名場面集」と題したのは、てごわい四コマ漫画で、

「これはこういう作品だ」と論じきる自信がないから。

 

 

 

 

「愛」と「麻衣」と「ミイ」は、漫研部員。

ただし漫画をかくのは愛だけ、あとのふたりはケンカしたり、キスしたり。

 

 

 

 

ケンカは、兇器をもちい本気でやる。

やりすぎたら、「ぽのか先輩」の壺で復活させる。

ゴミとかはいつても気にしない!

 

 

 

 

「あなた達、不毛な争いなど空しいだけよ。

一番可愛いのは己自身。それでいいじゃない?」

 

死闘をもあつさり仲裁する、ぽのか先輩がなにものか書くべきだが、

単行本三冊とおして読んでもわからないので、無視するのが賢明か。

 

 

 

 

ボクがすきなのは、暴れん坊のミイ。

 

ある日、なんの脈絡もなく、かねてから夢だつたという馬になる。

それでも「日常系四コマ」に違和感なくおさまる。

 

 

 

 

ぽのか先輩に電流で責められ黒焦げに。

ただよう焼肉のにおいに、親友は舌なめずり。

 

 

 

 

本作でもつとも病んでいる、天衣無縫な麻衣。

 

初詣のねがいごとは、信号機が十二色になること。

不景気な社会に、笑顔をとりもどしたくて。

純粋さは胸をうつが。

 

 

 

 

ぽのか先輩への借金のうち、利子十万円をかえすため、

週末の六本木で売春すると決意。

解決策が具体的だ。

 

物理法則や医学や倫理など、常識の通じない作品世界だが、説得力あり。

 

 

 

 

屈強なニワトリに弄ばれる。

吹くとピロピロする笛みたいに。

 

2巻あとがきに、こうある。

 

「あいまいみー」は4コマ15本の連続で成り立つストーリーとして作っているので、

単行本で初めて本来の面白さが出る作品だと思っています。

 

ストーリーテラーとしての矜持。

掲載サイトでちよろつと見るとか、ブログで引用とか、そんなんでわかられてたまるか!

 

たしかに本作は、緻密で地に足がつき、シュルレアリスムよりレアリスムにちかい。

かといつて、本質はなにか問われても、即答できない。

 

 

 

 

 

 

 

では、珍妙な筆名をもつ作者の精神をさぐろう。

漫画家志望の愛が、笑顔で夢をかたる。

それをきいた麻衣は、耳から血をふきだし、痙攣しながら嘔吐。

 

 

 

 

おもう様に絵が上達しない、マジメな愛のなやみ。

すきな漫画をよんでも、才能のちがいを見せつけられ、かえつて凹む。

 

あらゆる漫画家が直面する壁であり、ちょぼらうにょぽみなりに、

真摯なおもいが感じられるといいたいところだが、

破壊的な二次創作でしられる作家でもあり、どうか?

 

 

 

 

まつたく漫画をかかないミイが、竹書房に原稿をもつてゆくと名刺をもらつた。

担当編集者がついたことを意味する。

「作品より宴会藝重視」という社風が暴露された。

 

『あいまいみー』の三人は、同人活動をすつ飛ばし、商業デビューまつしぐら。

ここにDIY精神を読みとれなくもない。

あたしでもできるんだから、あんたらもついてこい!

 

 

 

 

だが、負けじと愛が持ちこみのため編集部をおとづれると、

原稿料100円値上げを要求し、土下座するちょぼ先生が……。

夢も希望もない。

 

 

 

 

とにかく、混沌のなかに秩序をうちたてんと戦う、虚空戦士たちの生き様が感動的。






あいまいみー 1 (バンブーコミックス WIN SELECTION)あいまいみー 1 (バンブーコミックス WIN SELECTION)
(2010/08/27)
ちょぼらうにょぽみ

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 百合  萌え4コマ 

田中久仁彦『秘境探検 ファム&イーリー』

やわらかな塗りがすばらしい

 

 

秘境探検 ファム&イーリー

 

作者:田中久仁彦

発行:ホビージャパン 1995年

レーベル:ホビージャパンコミックス

 

 

 

 

田中久仁彦祭り第二弾!

 

『RPGマガジン』の連載、よんでたなあ。

遅筆すぎて休載ばかりだつたが。

連載開始は21年まえか。

まつたく勉強せず、ゲームと漫画と女の子の妄想だけしてた(笑)。

 

 

 

 

黒髪が「イーリー」。

魔法をつかえる遺跡探索者だ。

 

 

 

 

イーリーの弱点は、魔法をつかうとネズミになる呪い。

薬をのめばもどるが、残量わづかだし心ぼそい。

変身チューも、頬の傷はそのままでカワイイ!

 

 

 

 

ゆえに剣でたたかう。

剣術歴三か月で無理ないが、へつぴり腰を敵にわらわれる。

 

最近の漫画は、邪気眼とかいきなり暴走し(笑)、

生まれつきの能力で圧倒する厨二病設定が多いが、

平凡な人間が奮闘する、ドタバタ珍道中のほうがたのしい。

 

 

 

 

褐色の肌の「ファム」は、ウィガン族の少女。

ながい尻尾が愛くるしい。

自然のなかでくらす種族で、精霊と心をかよわす。

 

 

 

 

野営中にイーリーが悪夢からさめると、ファムが腕に噛みついていた。

ひどい寝相だ。

ファムの天真爛漫なふるまいを愛でる漫画。

 

 

 

 

好奇心がつよくて、ダンジョンの罠をことごとく発動させる悪癖が。

尻尾につかまり、命びろいしたイーリー。

 

 

 

 

 

 

 

さきほどからチラチラでてるのが、ライヴァルの「ラーシャ&ミゲル」。

 

 

 

 

ラーシャは、昭和の面影をのこすお姉さまキャラ。

敵でもあり、味方でもあり。

萌え豚に媚びた作品ばかりの昨今、あまりお目にかからないタイプ。

 

 

 

 

「そう!!! あたしって意地悪なの!!」

このドヤ顔!

 

お宝をめぐる低次元バトルが白熱。

 

 

 

 

 

 

 

亡国の王子や、囚われの姫君や、世界征服をたくらむ邪教の長など、

覚醒以前の『ファイアーエムブレム』をおもわせる、なつかしい王道ファンタジーでもある。

 

しかし連載は未完のまま打ち切り、単行本も一巻のみ。

アニメ化された人気作というのに、この体たらく。

永遠に背景を描きこみつづける作者のせいで。

 

 

 

 

20年以上たつても珍重される作品をつくるか、それとも納期優先か。

おそらく前者がただしいが、なやましい。






秘境探検ファム&イーリー (1) (ホビージャパンコミックス)秘境探検ファム&イーリー (1) (ホビージャパンコミックス)
(1995/10/01)
田中久仁彦

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

中山敦支『こまみたま』

 

 

こまみたま

 

作者:中山敦支

発行:集英社 2007年

レーベル:ジャンプ・コミックス

 

 

 

 

四つある中山敦支の長篇の二つめで、もつとも不発の作品。

 

見開きの構図など、才幹は片鱗どころでなく発揮されてるが、

MJ休刊もあつてか、集英社は彼をそだてられなかつた。

 

 

 

 

主人公は女子高生の「サクヤ」で、神主の娘。

神社にすむのはカギューたんと共通だが、より和風アクションを志向する。

 

それにしても、七年前の本作をよみかえすと、中山の作風が日本的でないのを痛感。

庭にタヌキが出没する様な、鹿児島のはづれの出身だからか。

 

かくし部屋でみつけた狛犬の描写は、かりてきた猫みたい。

 

 

 

 

一方、『ねじまきカギュー』7巻とおなじく、森や夜の闇がみごと。

原風景だろう。

 

 

 

 

千年ぶりに封印をとかれ、イケメンとなつた二匹の狛犬。

……ふむふむ。

 

つぎなる長篇『トラウマイスタ』が、ピカソだのダ・ヴィンチだのニーチェだの、

バタくさい素材をぺろり咀嚼するのとくらべると、作家の特異性は蕾のまま。

 

 

 

 

 

 

 

『こまみたま』のもうひとつの意義は、女性が主人公であること。

ただ華奢な造形は少年をおもわせる。

 

 

 

 

サクヤには力がない。

母の形見である犬笛で、狛犬を服従させるくらい。

 

 

単行本おまけカット。貧乳ヒロインが不満らしい

 

 

ときは2007年。

カギューたんの螺旋巻拳が炸裂するまで、あと4年。

中山敦支はまだ、「少年漫画」の型紙にあわすしかなかつた。

 

 

 

 

 

 

 

おさないころ、病弱な母と遊園地であそぶ約束をした。

たのしみにしてたのに、容態急変。

落胆するサクヤを気づかい、父が無理につれてゆく。

 

 

 

 

そこには息絶え絶えの母が。

「な……なんで?」

「なんでって、一緒にいこうって約束したじゃない」

 

自己犠牲なんて、手垢まみれの四字をつかうのもおこがましく、

呼吸する様にさりげない、死と背中あわせの生。

 

 

 

 

失敗作さえ、うつくしい。

それが表現者たる證。






こまみたま (ジャンプコミックス)こまみたま (ジャンプコミックス)
(2007/06/04)
中山 敦支

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テーマ : 漫画
ジャンル : アニメ・コミック

タグ: 中山敦支 

船津早稲『ダブルハピネス』

 

 

ダブルハピネス

 

作者:船津早稲

発行:宙出版 2013年

レーベル:ミッシイコミックス Next comics F

 

 

 

 

支那のある村のはなし。

結婚式当日、花婿はこなかつた。

お金もちのお嬢さまに乗りかえた。

 

 

 

 

でも、失恋ごときで絶望してたら、中国人はつとまらない。

花嫁になりそこねた「邑鈴(ゆうりん)」は、

三日三晩泣きくらしたあと、単身上京をおもいたつ。

新皇帝即位にともなう、後宮での女官の募集に応じて。

お妃さまになり、彼をみかえすため。

 

ただの村娘にツテはないから、宮殿の巨大な鉄扉を、自慢の怪力でやぶる。

 

 

 

 

「いいじゃない、減るもんじゃないんだし……もらいなさいよ!!」

小間づかいの少年「舜天」に追いかえされるも、

泣くわ暴れるわで、押しかけ女房は居座つてしまう。

 

フラれたての女はこわいものなし。

 

 

 

 

舜天の姉といつわり、下働きをはじめる。

邑鈴は九人兄弟の一番上、子どものあつかいは慣れたもの。

いじめにみえなくもないが。

 

 

 

 

ナマイキな舜天に、恋愛観を批判される。

 

「皇帝を利用して、自分をうらぎった男に復讐するなんて、おかしくない?」

 

 

 

 

「皇帝は何千人もお妃をもつんだから、不誠実なのはおたがいさまでしょ!?

そもそも後宮で、愛だの恋だの、滑稽だわ」

 

子どものくせに、わかつた様なこといつちやつて。

オトナの世界は綺麗ごとなんて通用しないのよ。

……でもなんか、くやしい。

 

 

 

 

姉弟ゲンカを水にながし、盗賊に拉致された邑鈴をたすけに参上。

やけに立派な身なり。

 

 

 

 

本作は、怪力チャイナつ娘と、ショタ皇帝の、恋物語だつた。

 

 

 

 

政権を形だけでも安定させるため、假の后妃となる。

 

セレブ生活はラクぢやない。

毎朝、日の出とともに起床、入念に身支度したうえで公務に臨席。

age嬢もびつくりの盛りヘアを強制されたり。

 

一方ショタ皇帝は、堂々たる仕事ぶり。

なみいる群臣をあやつり、政策を主導。

さすがは中華世界の支配者だ。

 

 

 

 

嫁姑対決もあり。

舜天の義母「東太后」の不興をかい、追放されかける。

 

 

 

 

国家をさわがす陰謀もえがく。

 

一巻完結ということもあり、いささか食いたりないが、

チャイナつ娘大好きな漫画家の初単行本として、称讃にあたいしよう。

 

 

 

 

弟みたいな存在とおもつてたのに……。

 

この世でもつとも、少女漫画的価値観と縁なき場所で、

運命の恋をみいだす、ある意味革命的な作品だ!






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(2013/02/01)
船津早稲

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有香子『執事でメイドなおとこのコ』

「男の娘にあらずんば人にあらず」(平家物語)

 

 

 

 

執事でメイドなおとこのコ

 

作者:有香子

発行:ミリオン出版 2013年

レーベル:OTONYAN SERIES

 

 

 

 

漫画にカワイイ娘がでるたび、「実はちんちんついてるのでは?」とうたがう時代。

長生きはするものだ。

 

名門・朝比奈家につかえるメイドの「悠里(ゆうり)」が、

まだスカートが板につかずパンツ丸見えなのは、そんなわけ。

 

 

 

 

もともと執事だが、お嬢さまに片思いしているのを、

次女「ひな子さま」にバレ、脅迫されて女装するはめに。

 

 

 

 

あこがれの「咲耶(さくや)」お嬢さまの商談につきそう。

 

「男子禁制の場に男ふたりで乗りこむとは滑稽だな」

…………。

きこえないふり。

 

 

 

 

そう、咲耶さまも男の娘。

イトコらにしこまれた。

 

ただ、「これが……ボク?」的な目覚めの描写はひかえめ。

キャラの魅力と、ドタバタ展開でたのしませる。

 

 

単行本おまけカット

 

 

風呂場でのタオルの巻き方ひとつに、個性があらわれる。

咲耶は「当然隠す派」で、悠里は「必要ないとおもいつつ、なぜか隠してしまう派」。

漫画つておもしろい。

 

 

 

 

身分も性格もことなるふたりが、男同士ハダカのつきあいで、絆をふかめる。

 

 

 

 

ドS執事の「新(あらた)」にも、ちよつかい出されたり。

事情あつて、レイプの演技をする。

 

「これもお嬢さまのため」といわれると抵抗できない。

 

 

 

 

新はノンケだが、悠里が可憐すぎてつい本気に。

うすい下着ごしに刺激され、はじめての絶頂に達した。

 

 

 

 

レイヤーのひな子さまが自宅で撮影会をひらき、悠里も嫌々コスプレ。

調子にのつたカメコどもの餌食に。

それでもお嬢さまが手出しされそうになると、身を盾とする。

「エッチな写真はボクだけにしてください……っ」

 

本当に嫌々かどうかあやしいが、忠誠心がうつくしい。

 

 

 

 

男の娘がスカートのしたに隠しもつ武器は、ひとつぢやない。

 

取引相手のブラック企業で乱暴されかけた咲耶をたすける。

拳銃をつきつけ、「お嬢さまを守れるなら犯罪者にだってなってやる!」

 

真の男の娘は、オトコノコとしてもカッコイイ!

 

 

 

 

ドジつ娘メイドの特技は、紅茶をいれるのと、お裁縫。

父が女装に反対する(あたりまえだ)のを気に病む咲耶のため、二着のドレスを自作した。

 

ウェディングドレス、それは男の娘の夢。

 

 

 

 

日本列島のおちんちんランド化、ただいま進行中!





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(2013/01/26)
有香子

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苑田 健

苑田 健
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