四次元空間からきたウイルスとの戦い

現実は、SF小説より奇なり

 

 

 

 

 

ウイルスを生物とみなせるか?

 

DNAまたはRNAからなる遺伝子をもつが、

単独で増殖できず、他の生物の細胞を乗つ取らねばならない。

 

生物の定義をひろげ、ウイルスをふくめよ、と主張する研究者もいる。

 

 

 

 

 

 

大多数のウイルスは、正二十面体か螺旋状の構造をもつ。

 

タンパク質分子のコピーで殻をつくるにあたり、

もつとも球にちかい正多面体を採れば、最小のエネルギーですむからと推測できる。

サッカーボールとおなじ。

 

神とFIFAは、似たデザイン思想をもつらしい。

 

 

 

ジオデシック・ドーム 1967年モントリオール万博アメリカ館(撮影:Cédric Thévenet)

 

 

 

生物物理学者のキャスパーとクルーグは、

ウイルスのカプシドの構造を、トポロジー的手がかりをもちい理論化した。

 

三角形にならぶカプソメアの列は歪み、となりの辺に食いこむ。

この奇妙な数学的状態を把握し、共通の特徴をみつけたい。

 

バックミンスター・フラーによる建築がひらめきをあたえた。

有名な「ジオシデック・ドーム」の三角形パネルは、正三角形からずれる。

キャスパーとクルーグは擬正二十面体に注目し、自然界にみられるタワミやズレを解決。

 

ただ有用な理論とはいえ、いくつか例外ものこる。

 

 

 

 

 

 

素粒子物理学者は、ありとあらゆる次元による理論をくみたてる。

技術者でさえ、格子構造の応力と変形を計算するため、高次元空間のなかに一点をさがす。

 

生物学者がつかうのは、「DNA空間」なる概念など。

たとえば十個のDNA塩基の配列を、

個々の次元がA・C・G・Tという四つの値をとりうる、十次元空間とみなす。

ウイルスのすばやい遺伝的変異も、多次元幾何学で特徴づけ、医学的に応用可能。

 

そして数学者のトゥヴァロックとキーフは、正二十面体ウイルスの構造を、

ペンローズタイリングの手法を借り、六次元格子を三次元空間に投影したものと定義。

これによりポリオマーウイルスなどの構造が説明された。

 

今日ではウイルスに対する戦略も、数学的な弱点をさぐることからはじめる。

化学的環境をかえ、感染性のたかい正二十面体型でなく、

チューブ型に組みあがるよう仕向けることで、ウイルスの増殖を阻害したり。








【参考文献】

イアン・スチュアート『数学で生命の謎を解く』(ソフトバンククリエイティブ)



数学で生命の謎を解く数学で生命の謎を解く
(2012/09/20)
イアン・スチュアート、Ian Stewart 他

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