なぜ軋轢が生じたのか

ボクの心がせまいから。

……それは事実だが、もうすこし経緯を分析する。

 

 

 

 

日曜夜、『pixiv』で「ルキナ」のタグがつくイラストを漁つた。

総数約450。

全部みた。

眼精疲労で目はショボショボに。

 

 

 

 

3~40枚ほど、PCにダウンロードした。

「Picasa」をもちい整理する。

バトル系、ラブ系、家族系、トレス系に分類し、

比較検討のうえ出来の劣るものは捨て、13枚にしぼる。

流れを意識し、物語が感じられる様にならべた。

「熱く、甘く」から「父の日」への落差は、我ながらあざとい。

 

イラストを編集するとき、ボクは昂揚する。

作業はさほど時間を要しないけれど、

それでもすべてが自分の作品とおもえるくらい。

写真において「撮影」と「編集」は、まるで異質の営為で、

ときに後者のほうが鍵をにぎるのに似る。

 

 

 

 

前回の「リズ篇」にコメントをくれたのはYさんだけ。

当然、彼女を念頭におきイラストをえらんだ。

エロが不快感をあたえることは想定していたが、

一枚くらいなら見逃してもらえるだろう、と高をくくつた。

 

あまかつた。

おそらく、個人的な侮辱とうけとられた。

その反応はただしい。

だつて実際に、彼女を意識して書いた記事だから。

でも編集者である自己が、書き手である自己に優越し、そそのかした。

 

Yさんに喜んでもらいたかつた記事は、真逆の結果をもたらす。

ボクは狼狽した。

 

 

 

 

ボクは絵が描けない。

精確にいうと、なにやら醜悪な物体しか描けない。

こんなに絵が好きなのに。

バカみたいに漫画を買い、毎週美術館へ足をはこぶのに。

 

漫画をスキャンする作業はむなしい。

ギュウギュウ単行本を押しつけながらスキャナをつかう。

傾き補正し、トリミングし、明るさやコントラストやRGBバランスを調整する。

ちまちまと。

800%に拡大し、ドット単位で修正したりする。

どこからどうみても奴隷だ。

 

偏見かもしれないが、音楽や絵やサッカーなどの才能の持ち主は、

持たざるものの目に、天使のごとく傲慢に映ることがある。

Yさんから否定的な意見をうけとり、窮鼠が猫を噛む様に、ボクは反論を投稿した。

それはささやかな、奴隷の反乱だつた。

ひどい失敗におわるが。

 

 

 

 

それでもボクのPCは、「Picasa」を起動しつづけるだろう。

あの写真をいじり、この絵をならびかえ、

きつとそれがいつか、創造的破壊になる日を夢みて。





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ふみふみこ『ぼくらのへんたい』

万華鏡のごとく複雑な表情をみせる、男の娘たち

 

 

 

 

ぼくらのへんたい

 

作者:ふみふみこ

掲載誌:月刊『COMICリュウ』(徳間書店)2012年~

単行本:RYU COMICS

 

 

 

 

パロウ、ユイ、まりか。

中3、中2、中1。

みな「男の娘」。

 

 

 

 

男の娘コミュでしりあつた三人はオフ会をひらく。

心をひらかないユイ。

ツンデレキャラを演じるにしては、言葉が尖りすぎ。

 

 

 

 

「あー、マジでキモいなお前ら」

女装少年に対する自然な反応。

ただ同族からいわれると立つ瀬なし。

 

 

 

 

 

 

 

ふみふみこの絵柄は、頭身ひくめで丸つこく、性差が曖昧。

「まるでオンナノコみたい!」という感動がない。

女装行為が孕む、みすぼらしさだけある。

 

 

 

 

暗がりでパンティ一枚でハリポタ眼鏡で、お姫さまごつこ。

幼なじみのあかねは、もうつきあわない。

 

 

 

 

だつて、本物のお姫さまになりたてのオンナノコが、「ごつこ」なんて。

入学式をまえに、セーラー服姿を披露。

花びらの様に、蝶の様に。

自分は詰襟で、お葬式ごつこ。

 

 

 

 

 

 

 

ユイの本名は亮介。

あかるくて、かわいくて、おつぱいが大きくて、

彼の前だと好き好きオーラ全開の、蜂谷さんとなかよし。

ふたりはつきあいだす。

 

 

 

 

あかねちやんにせよ、はつちーにせよ、

「男の娘もの」なのに、必要以上にオンナノコが愛くるしい。

残酷な漫画だ。

 

 

 

 

リア充中学生が、家庭という地獄にもどる。

母、それは理不尽な暴君。

 

 

 

 

姉である「唯」の死を受け容れない母のため、

ゴミ屋敷のなかで亮介は「ユイ」となる。

 

ときに女親は息子を、理解不能のケダモノとして蔑む。

男ならだれしも経験がある。

ただ存在まで否定されるのは、かなり不幸だ。

 

 

 

 

 

 

 

パロウは、先輩のため女になつた。

悦ばせ方をまなび、生殖器を消化器でうけることに慣れる。

 

 

 

 

「…また来て頂戴ね」というとき、先輩の母は視線をそらす。

階上で変態行為がおこなわれてると、気づかぬはずない。

 

 

 

 

手のひらをかえし、スカートでないパロウに冷淡となる渋谷先輩。

ムダに性慾がつよく、だれかを妊娠させ騒動になつたという噂も。

受胎しないパロウを、捌け口としてもちいた。

 

 

 

 

高校入試に失敗し、不登校となり、それをパロウのせいにする。

そんなダメ男と縁をきれない。

 

援用される、少女漫画的で、古典的ですらあるモティフが、

男の娘をオンナノコへちかづける。

 

 

 

 

しかし、まりかの可憐さに慾情し、あられもなく勃起させるパロウ。

 

オトコノコのみつともなさが、ごつこ遊びを中絶し、とめどなく性愛を陳腐化する。

 

 



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苑田 謙

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