天皇と言論

(借用元:トークス設計事務所ホームページ

 

 

2004年まで『噂の眞相』という雑誌があつた。

ウワシンほど過激に権力にいどみ、一定の信頼をおける定期刊行物はなく、

その空白は八年たつても埋まらない。

 

同誌副編集長をつとめた川端幹人の『タブーの正体!』(ちくま新書)は、

腹を割つておのれの恥をさらしている。

 

2000年6月、右翼団体「日本青年社」に属す二名が編集部をおとづれ、

岡留編集長と川端が応対した。

一行情報で、雅子を呼び捨てした誤植への抗議だ。

端から暴れるつもりだつたか、相手は聞く耳もたない。

川端は肋骨をおられ、全治三週間。

岡留は額を六針、太股を三針ぬう、全治四十日の重症。

だがウワシン編集部は陽気な集団で、

その日にも関係者がつぎつぎ陣中見舞いにあつまり、

慰労会と称し、包帯姿のまま居酒屋で朝まで飲みつづけた。

その後も皇室記事で筆を鈍らせず、暴力に屈しない姿勢が称讃された。

 

眞相はことなる。

川端は、記事のなかで天皇制そのものに切りこめなくなつた。

記憶がよみがえり、指先はかたまる。

 

雑誌休刊は既定事項だつたが、岡留は川端に引き継がせようとしていた。

しかし事件以降、その希望を口にしなくなつた。

副編集長が心にふかく傷をおつたのを見抜いていた。

 

特に根拠なく、ボクは右翼の活動が近年退潮した印象をもつていたが、

実際やつらは勝利の高笑いをあげている。

 

 

 

 

 

http://blog-imgs-55.fc2.com/n/e/a/nearfuture8/1-681px-Portrait_of_Atsutane_Hirata.jpg

 

 

高島俊男『お言葉ですが… 別巻4』(連合出版)所収「平田篤胤と片山松斎」は、

江戸後期の学問をとりあげるフリをしつつ、ギョッとする天皇批判となつている。

 

高島は共産主義の支那に手きびしい、左翼から程遠い人物だが、

そこは1937年うまれ、幼少時のトラウマは死ぬまで癒えない。

学校で最初にならつた歌は「カミノクニ」。

「ニッポンヨイクニ キヨイクニ セカイニヒトツノカミノクニ」

 

漢仏和洋の四方面に通じた片山松斎の、

理性の基礎は支那の学問にあり、狂信的な国学は冷淡に接する。

「日本は世界の頂上だ。

なぜなら西洋ではノアの箱舟、支那は帝堯のとき大洪水があつたが、

日本で記録はない、これは日本が世界で一番地面が高いからだ」

こんな与太話にみちた平田篤胤の『霊の真柱』を、まじめにとりあうのもアホらしい。

しかし正気でない人間はいつでもいるし、それを本気にする人間もいる。

一国がそれに覆われることさえあるのだから、批判は必要。

 

この項の附記がふるつている。

政府は小学校の教科書に「因幡の白兎」をねじこんだ。

 

天皇は神の裔であることを子供に教え、その慈悲深い話によって

天皇に対する尊敬と親愛の念を子供に植えつけようというのだろう。

天皇がいる限り、こういう、平田篤胤の亡霊のような手あいが出てくる。

 

一種の遺言としてうけとめたい。

 

 

 

 

天皇は、国と国民の、分裂と野卑と愚鈍の象徴。

当ブログ著者は、その一秒もはやい消滅をねがうものである。





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