島田裕巳『葬式は、要らない』

「教祖祭PL花火芸術 8000発一斉打ち HD」

 

葬式は、要らない

 

著者:島田裕巳

発行:幻冬舎 2010年

[幻冬舎新書]

 

 

 

釈迦は、死後のことは死なねばわからないとし、

生前にそれをかんがえ、かたるのは無用と説いた。

立派な見識だが、だれもしたがわない。

特に日本では。

鎌倉時代、法然と親鸞は念仏行の教えをひろめ、

大衆を極楽浄土への往生にみちびく。

葬式の手法は、禅宗の曹洞宗であみだされた。

そして江戸時代に寺請制度がはじまり、いわゆる「葬式仏教」が成立。

生老病死に執着しないのが仏教なのに、

四番目の文字と、異様にふかく結びついた。

たかだか四百年前のこと。

 

 

 

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わが国における葬儀費用の平均は231万円。

ダントツで世界一。

浪費超大国アメリカの五倍で、デフレ下でも高騰している。

例のゴテゴテ飾りたてた祭壇は、浄土を模したもの。

十円玉で有名な平等院鳳凰堂が代表する、

平安貴族の贅沢趣味の影響をうけた。

「袈裟」とは、ボロ切れをあつめてつくるものだが、

いまは金襴の紋様をほどこす、華美な衣装となつた。

極楽浄土の雰囲気を演出する小道具だ。

寺へはらう平均は、55万円。

戒名の習慣は日本にしかないことなどを根拠に、

坊主の「ぼつたくり」が批判される。

だが仏教界は自戒しないだろう。

全国に七万以上の寺があるが、そのうち二万が無住化している。

寺の経営もきびしく、金蔓を手放すはずがない。

 

 

 

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寺や葬祭場で式をいとなまない、「直葬」がふえている。

東京では二割。

もとは身元不明者などをおくるための方式だつた。

八十九十をこえて大往生をとげたとする。

葬儀をしても参列者はあつまらない。

生きている知人がすくないし、存命でも出かける体力がない。

 

当節は、商家や農家の時代ではない。

サラリーマンの「家」は、後継者を必要としない。

四百年の風習は、もう維持できない。

 

農村では、戒名のランクは身分秩序をしめす。

村の有力者だけが院号をさづかつた。

戦後は金をだせば「ナントカ院殿ナントカ大居士」になれる。

うれしくて、みな飛びついた。

しかし日本という村、またそれを構成する家が、ほろびつつある。

よいわるいでなく、これが現実だ。

 

 

 

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戦後すぐの時点では、日本も土葬が主流だつた。

土葬では石塔をたてられない。

墓がのこるのは権力者だけ。

ちなみに個人墓が主流の欧米は、埋めたらサイナラで、遺族も墓の場所をわすれる。

「墓参り」は東アジアの祖先崇拝に由来し、日本では家族行事として定着した。

一度墓をたてれば、大して金もかからないし、すぐには廃れなさそう。

土にはいるのに、僧侶の助けはいらない。

寺の檀家でなければ、無宗教の葬式をあげても、やすんじて永眠できる。

葬式仏教が死に、墓参りだけがのこるのか。

それとも。

ボクは「御先祖さま」の存在など信じないし、

連中から恨まれても屁ともおもわないが、そういうバチあたりがふえるのか。

 

 

 

 

 

 

PL教団初代教祖の御木徳一は晩年に、

「自分が死んだら嘆いたりせず花火を打ち上げて祝つてくれ」とのべた。

「教祖祭PL花火藝術」をもよおし、教団は遺志にこたえた。

日本一の規模をほこる花火大会は、近畿でしたしまれている。

家のためでも、個人のためでもない。

だれでも見物できるし、採算をかんがえれば、教団のためともいえない。

理想的な葬礼ではなかろうか。

 

 

 

葬式は、要らない (幻冬舎新書)葬式は、要らない (幻冬舎新書)
(2010/01/28)
島田 裕巳

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